若者の大半は本当にパソコンを使えないのか? 

若者の大半は本当にパソコンを使えないのか? 

アバター投稿者:

近年、新卒社員が「意外にEXCELを知らない」「PCに不慣れで一からやり方を教えないといけない」といった声が、企業や教育現場から聞こえてくるようになりました。果たして本当に若者はPCを使うことができないのでしょうか。

今の若者の約半数はパソコンスキルが低い

パソコンの前で考える二人の女性

OECDが実施した15歳を対象とする学習到達度調査(PISA)によると、47%が「全くパソコンを使わない」と回答し、約半数がパソコンを利用していない実態が明らかになりました。

さらに、WHITE株式会社が大学生を対象に行ったアンケートでは、「マウスをほとんど使わない・使ったことがない」と答えた学生が約4割に上り、WordやExcel、PowerPointについても「よくわからない」「あまり使いこなせない」と答えた学生が全体の4割程度を占める結果となっています。

また、フォルダや階層構造に関する理解についても、3~4割の学生が不確実であるとされています。これらの結果から、約半数の若者のパソコンスキルが低い状況であることが浮き彫りになっています。現在の業務システムはパソコンの利用を前提としているため、若い従業員がパソコンを使いこなせないことは大きな課題です。特に、DX化が企業の競争力に直結する現代において、企業はどのような対応を取るべきなのでしょうか?

企業ができることとは?

パソコンの画面にe-learning

企業が取り得る具体的な対応策を挙げます。自社の状況や従業員の実態に合わせて組み合わせたり優先順位をつけたりしながら取り組むと効果的です。

経営層のコミットメントと社内浸透

経営トップが「デジタル化やDX化がわが社の競争力強化に必要である」と明確にメッセージを発信し、若い社員だけではなく、全社一丸となってPCスキル向上をサポートする風土づくりを行います。それらを推進するため、アドホックかつ組織横断的なチームを新設し、各部門が連携しやすくする方法があります。

段階的な目標設定と評価

「最低限の操作ができる」「ある程度の資料作成ができる」「高度な分析ができる」など、レベル分けした目標を設定し、従業員の上達度を把握・評価する。達成度に応じてインセンティブや表彰制度を設けることでモチベーション向上に繋げます。

PC基礎研修の実施

新入社員や若手社員を対象に、WordやExcel、PowerPoint、フォルダ構成など基本的なPCスキルを学ぶ研修を設ける方法があります。集中的に短期間で行うか、定期的に小分けにして実施するかは、企業の環境に合わせて検討しましょう。また、eラーニングプログラムの活用も有効です。社内ポータルや外部の学習プラットフォームを活用し、自己学習できるコンテンツを提供します。時間や場所を問わず受講できるため、育児や遠隔勤務者なども支障なく学習ができます。一方で、職業訓練校においても基礎的な研修を実施しているケースがあり安価で受けることができます。

実践的なOJT(On-the-Job Training)の導入

研修だけでなく、業務の中で先輩社員やメンターが実際にPC作業をサポートしながら教える機会を作ります。分からないことを都度相談・確認できる体制を整え、スキルを定着させます。

マニュアル・ガイドの整備

PCの基本操作や、よく使う業務システムの使い方をまとめた簡易マニュアルや動画チュートリアルを用意します。いつでも見返せるようにデジタルや紙媒体で共有することで、習得や復習をサポートします。

ツールの使いやすさ・環境整備

スマートフォンやタブレットに慣れている若年層を考慮し、簡単な操作から始められるモバイル用アプリや業務ツールを取り入れる。更には、使いやすいクラウドツールやUI(ユーザーインターフェース)のシンプルなソフトウェアを導入し、現場での抵抗感を減らします。また、動作が遅いPCや複雑な承認フローなどがあるとスキル習得以前にストレスが生じるため、作業効率を上げる環境を整えることも大切です。

お問い合わせ

※参考文献

【大学生519名に聞く、ITリテラシー実態調査】| WHITE株式会社のプレスリリース

子供の5割がPC「使わず」 校外利用頻度、先進国で最低|日本経済新聞