心理的安全性とは?高めるためのコミュニケーションとは?

心理的安全性とは?高めるためのコミュニケーションとは?

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「最近、会議で意見が出ない」
「部下が本音を言ってくれない」
「ミスの報告が遅れる」

もしこのような課題を感じているなら、原因は心理的安全性の低下にあるかもしれません。

心理的安全性とは、チームの成果やイノベーションを左右する重要な要素です。特に管理職の関わり方によって、その高低は大きく変わります。

本記事では、心理的安全性の基本的な意味から、管理職が実践できる具体的なコミュニケーション方法まで詳しく解説します。

心理的安全性とは?

女性がグループの会話に入れない様子

心理的安全性とは、「このチームで発言しても、否定されたり恥をかかされたりしないと感じられる状態」を指します。

米Googleが実施した有名な研究「Project Aristotle」において、成果を出すチームの最重要要素が心理的安全性であると示され、一気に注目されました。

仲良しチームとは違う

よくある誤解が、「心理的安全性=ぬるい職場」「優しいだけの組織」というものです。

しかし本質は違います。

心理的安全性が高いチームとは、

  • 異なる意見を率直に言える
  • 上司にも疑問を投げかけられる
  • ミスを共有できる

つまり、建設的な衝突ができる状態です。

成果を追求する組織ほど、心理的安全性が不可欠なのです。

心理的安全性が高い職場のメリット

チームで話し合う笑顔の職場

心理的安全性が高い職場は、単に「雰囲気が良い」だけではありません。組織の成果や成長に直結する、具体的なメリットがあります。主な効果を見ていきましょう。

1.意見・アイデアが増える

部下が「どうせ否定される」と感じていると、何も言わなくなります。
一方、安心して発言できる環境では改善案や新しい視点が自然と生まれます。

結果として、会議が報告の場から「創造の場」へと変わります。

2. ミスが早期に共有される

心理的安全性が低い組織では、ミスは隠されます。
しかし、責められないと分かっていれば、問題は早期に共有されます。

これは重大事故や顧客トラブルの防止に直結します。

3. 部下の成長スピードが上がる

質問しやすい環境では学習が加速します。
フィードバックも素直に受け取られやすくなります。

心理的安全性は「育成の土台」です。

4. 離職率の低下

「ここにいていい」と感じられる環境は、エンゲージメントを高めます。
優秀な人材の流出を防ぐ効果もあります。

心理的安全性が低い職場の特徴

沈黙する若手社員

心理的安全性が低い職場には、いくつかの分かりやすいサインがあります。まずは管理職として、自組織の状態を客観的に振り返ってみましょう。思い当たる点がないか、チェックしてみてください。

上司の機嫌で空気が変わる
上司の態度ひとつで職場の雰囲気が一変する職場では、部下は常に顔色をうかがうようになります。安心して働けず、萎縮が当たり前になります。

発言するとすぐ否定される
意見を出しても「それは違う」「無理だ」と即座に否定される環境では、誰も発言しなくなります。結果として、改善案や新しいアイデアが生まれにくくなります。

会議で沈黙が続く
会議が「意見交換の場」ではなく「上司の話を聞くだけの場」になっている状態です。本音が出ないため、課題が見えなくなり、意思決定の質も下がります。

ミスが起きると犯人探しになる
失敗の原因を分析するよりも、責任を押し付ける文化があると、ミスは隠されやすくなります。小さな問題が放置され、重大なトラブルにつながる危険があります。

若手が発言しない
若手が黙っている職場は、「何を言っても無駄」「言うと面倒」と感じている可能性があります。育成も進まず、成長機会を奪う環境になりがちです。

もし当てはまるものがあるなら、コミュニケーションの改善が必要です。

心理的安全性を高めるコミュニケーション方法7選

会議をする男女の手元

心理的安全性を高めるために、特別な制度や研修を用意する必要はありません。
むしろ職場の空気を左右するのは、日々交わされる「ちょっとした一言」です。

何気ない否定、冷たい反応、責めるような質問。それらが積み重なると、人は徐々に発言しなくなり、相談もしなくなります。

逆に言えば、言葉の使い方を少し変えるだけで、チームの雰囲気は驚くほど改善します。ここでは、今日から実践できる「心理的安全性を高めるコミュニケーション方法」を7つ紹介します。

1. 否定から入らない

NG例:
「それは違う」
「前にも言ったよね」

OK例:
「なるほど、そう考えたんだね」
「どうしてそう思ったのか教えてくれる?」

まず受け止める。これが基本です。

2.「質問してくれてありがとう」と伝える

「質問ある?」ではなく、
「質問してくれて助かる」と明確に言語化する。

これだけで質問のハードルは大きく下がります。

3.ミスを“人”ではなく“仕組み”の問題として扱う

NG例:「誰がやった?」
OK例:「何が起きた?どうすれば防げる?」

個人攻撃は、心理的安全性を一瞬で破壊します。

4. 上司が弱さを見せる

「正直、私も迷っている」
「この分野は詳しくないから教えてほしい」

完璧な上司の下では、部下は黙ります。
弱さを見せられる上司の下では、部下は発言します。

5. 小さな発言を必ず拾う

発言があったら必ず反応する。
「いい視点だね」
「言ってくれてありがとう」

発言が報われる経験が、発言を増やします。

6.フィードバックは人格ではなく行動へ

NG例:「君は詰めが甘い」
OK例:「この資料、数字の根拠があるともっと良くなる」

人格否定は沈黙を生みます。
行動への指摘は成長を生みます。

7. 会議で“全員に発言機会”を作る

発言が偏る会議は安全ではありません。

  • 1人1回は必ず話す
  • チャットで意見を書いてもらう
  • 少人数グループで議論する

発言の仕組み化は非常に有効です。

管理職が特に意識すべき3つのポイント

腕を組んでオフィスに立つ男性ビジネスパーソン

心理的安全性を高めるコミュニケーションは、全員が意識すべきものです。しかしその中でも、職場の空気を最も左右するのは「管理職のふるまい」です。

部下は上司の言葉だけでなく、表情や態度、反応の仕方を常に見ています。そして上司の小さな一言が、安心して話せる職場にも、沈黙が支配する職場にも変わってしまいます。

だからこそ管理職には、一般社員以上に「心理的安全性を守る役割」が求められます。
ここでは特に重要な3つのポイントを紹介します。

1.「聴いている」ではなく「反応する」

無表情・無反応は、否定と同じです。

  • うなずく
  • 復唱する
  • 具体的な質問をする

反応が信頼をつくります。

2. 成果だけでなくプロセスを承認する

結果だけ評価すると、挑戦が減ります。

「今回の工夫は良かった」
「挑戦してくれたことが価値だ」

この言葉が挑戦文化を育てます。

3. 本音を言った人を守る

一度でも本音を言った人が損をすると、組織は沈黙します。

本音が出たときこそ、管理職の姿勢が問われます。

心理的安全性を高める施策例

1on1ミーティング

心理的安全性を高めるためには、日々のコミュニケーション改善が土台になります。そのうえで、組織として「話しやすさ」を仕組みとして支える施策を取り入れると、効果はさらに強まります。

特に中小企業や自治体の現場では、個人の努力だけに任せるのではなく、安心して声を出せる場を制度として用意することが重要です。ここでは、比較的導入しやすく、実践例も多い施策を紹介します。

1on1ミーティング(評価とは切り離す)
業務評価とは別の場として定期的に実施します。上司が話す場ではなく、部下が安心して悩みや本音を話せる時間にすることが重要です。

振り返りミーティング(KPTなど)
「Keep(良かったこと)」「Problem(課題)」「Try(次にやること)」のように、仕組み化された振り返りを行います。個人を責めるのではなく、プロセスを改善する視点を共有できます。

感謝共有の時間を設ける
定例会議の最後に「ありがとう」を伝える時間を設けます。小さな貢献を可視化することで、承認の文化が根付きます。

匿名アンケートの活用
直接は言いづらい意見を吸い上げる手段として有効です。実施するだけでなく、結果を公開し、改善につなげることが信頼構築につながります。

ただし重要なのは、制度よりも日常の言葉です。

よくある誤解

クエスチョンマーク

心理的安全性という言葉が広まる一方で、現場では誤解も少なくありません。特に多いのが、「心理的安全性を高める=甘やかすこと」「厳しさがなくなること」という誤ったイメージです。

しかし心理的安全性とは、居心地の良さだけを追求する概念ではありません。むしろ組織が成果を出すために必要な「率直な意見」や「建設的な対立」を生み出すための土台です。

ここでは、よくある誤解を取り上げながら、本来の意味を整理していきます。

1. 心理的安全性が高いと甘えが出る?

→ いいえ。
安心して発言できる環境では、責任ある発言や改善提案が増えます。
心理的安全性は「優しさ」ではなく「率直さ」を支える土台です。

2. 心理的安全性=仲良し職場?

→ いいえ。
仲が良いことと、率直に意見を言えることは別です。
対立や指摘があっても、人格攻撃にならない状態こそが心理的安全性です。

3. 心理的安全性があれば成果は自然に出る?

→ いいえ。
心理的安全性はあくまで“土台”です。
明確な目標や責任の所在があってこそ、成果につながります。

4. 厳しく指導すると心理的安全性は下がる?

→ 必ずしもそうではありません。
人格否定はNGですが、行動や事実へのフィードバックはむしろ必要です。
「何を改善すればよいか」が明確な方が安心につながります。

5. うちは少人数だから関係ない?

→ いいえ。
小規模組織ほど、人間関係の影響は大きくなります。
一度の沈黙が、そのまま組織文化になることもあります。

まとめ:心理的安全性は管理職の言葉で決まる

積極的な打合せ

心理的安全性とは、「安心して発言できる状態」のことです。
そしてそれは、立派な制度や高価な研修で生まれるものではありません。

  • 否定しない
  • まず受け止める
  • きちんと反応する
  • ミスを人ではなく仕組みとして扱う

こうした日常の言葉と態度の積み重ねが、職場の空気をつくります。

管理職の何気ない一言が、チームを沈黙させることもあれば、意見が飛び交い、挑戦が生まれるチームへと変えることもあります。

今日の会話、次の会議、1on1の一言。その言葉が、心理的安全性を高める一歩になるかどうかは、管理職次第です。