YouTubeやTikTokなど、動画が当たり前になった今、企業の情報発信も「文章だけ」では差がつきにくくなっています。
そんな中で動画は、商品・サービスだけでなく、人柄や仕事への姿勢まで伝えられる“信頼のコンテンツ”として注目されています。
今回は、株式会社マスドライバー代表の牧野徹郎さんに、中小企業が動画で成果を出すためのポイントを伺いました。
〇牧野 徹郎
株式会社マスドライバー代表取締役。神奈川県出身。Webマーケティング歴15年。広告運用からキャリアをスタートし、アプリマーケティング領域ではインストール獲得からLTV最大化まで一貫して担当。独立後はSEO・広告・Web制作を軸に、クライアントの売上向上に直結する伴走型支援を行っている。2015年に株式会社favaryを創業、2021年に株式会社マスドライバーを創業。SEO×SNS×広告を組み合わせた「売れるWebマーケティング支援」を強みとし、PV数20倍・申込数70倍などの成果実績も持つ。
(公式サイト:massdriver.net)
動画が伸びた3つの要因
――動画は累計で大きく再生されていて、YouTubeだけでも約1億回ほど再生されているそうですね。ここまで伸びた要因はどこにあるとお考えですか?
牧野氏(以下敬称略):そうですね、累計で見るとかなり再生されていて、ただ単独の動画だと200万回前後のものが数本、という感じです。要因は大きく三つあります。
※再生状況や活動内容は、TikTok公式アカウント/YouTube公式チャンネルを参照
一つ目は「タイミング」です。コロナ禍で外出制限がかかり、在宅時間と動画視聴時間が大きく伸びた時期と重なりました。この社会的環境の変化が、チャンネル成長の土台になったと感じています。
二つ目は「コンセプト設計」です。立ち上げ当初から、気になる切り口、いわゆる「認知不協和」を意識しました。「太らないケーキ」のような表現と同様に、「耳が聞こえないのに、普通に会話ができる」という点は、多くの人の固定観念とズレがあります。その「なぜ?」という違和感を入口に、最後まで見てもらう導線を設計しました。
三つ目は、多くの人が気になりつつも聞きづらいテーマに踏み込んだことです。特に再生数が伸びたのは、「なぜ耳が聞こえなくても◯◯できたのか」といったテーマでした。当事者には直接聞きにくい疑問を、画面を通して聞けるのがYouTubeの強みです。そこに知的好奇心で人が集まり、多くの共感・ファン化につながっていったのだと思います。
まとめると、
- コロナ禍という社会的タイミング
- 認知不協和を意識したコンセプト設計
- 聞きづらいテーマに踏み込む姿勢
この3つが重なったことが、累計約1億回という結果につながった大きな要因だと思います。
――ありがとうございます。最初の1本目を投稿してから、チャンネルが伸び始めるまでには、どれくらいの期間がかかりましたか?
牧野:「伸び始めた」と実感するまでには、約3〜4か月かかりました。立ち上げから1〜2か月は投稿を続けても、登録者数は200〜300人程度で、正直伸び悩んでいました。
転機を感じたのは2020年1月頃です。2019年末に妻とYouTubeの将来性について話していたのですが、その1〜2か月後から再生数や登録者数が明確に動き始めました。
特に大きかったのが、妻が投稿した「日本語の『ん』の発音は、実は6種類ある」という動画です。日本語の意外性を切り取った内容が注目を集め、この動画をきっかけに他の動画も見られるようになりました。
――1つのヒット動画を起点に、チャンネル全体が伸びたということですね。
牧野:その通りです。当時は今ほど参入者が多くなく、気に入ったチャンネルがあれば登録してもらいやすい環境でした。また、当時のアルゴリズムでは、登録を起点に関連動画がおすすめに表示されやすく、再生数と登録者数が相互に伸びる好循環が生まれていました。
その結果、チャンネル全体が自然に成長していった、というのが率直な実感です。
伸びる動画の共通点(テーマ・構成・尺・サムネイル)
――200万回前後まで伸びた動画には、テーマや構成、尺、サムネイルなどで共通点はありますか。
牧野:はい、明確な共通点があります。特に「コンセプト設計」と「テーマ設定」です。
テーマ面では、認知不協和が生まれること、そして本当は気になるけれど聞きづらい内容を扱っている点が共通しています。
構成では、冒頭で結論や問いを提示することを徹底していました。最初に結論を示す、もしくは「耳が聞こえない人は◯◯ができるのか?」といった問いを置き、最後まで見たくなる“引き”を作っています。
尺については、横長動画でも8分前後。長尺は避け、テンポよく最後まで見られる長さを意識していました。
サムネイルは、説明ではなく問いかけを重視しています。「聴覚障害のある夫婦」と説明するのではなく、「なぜ、聞こえないのに結婚したのか?」とすることで、視認性と引きを高めました。
まとめると、
- 認知不協和を生むテーマ設定
- 冒頭で強いフックを作る構成
- 短くテンポの良い尺
- マーケティング視点で設計したサムネイル
これらが、再生数が伸びた動画に共通するポイントです。
なぜ今、動画が「必須」なのか
――なぜ今、動画マーケティングは「必須」と言えるのでしょうか。
牧野:大きな理由は、検索体験そのものが変わってきているからです。GoogleのAI Overviewでも分かるように、検索結果にYouTube動画が直接表示される場面が増え、情報取得の入口として動画が選ばれやすくなっています。
また、生成AIの進化によって、動画・テキスト・画像はいずれも短時間で量産できるようになりました。その結果、似たような情報があふれ、差がつきにくい状況が生まれています。
こうした環境で重視されるのが、「誰に頼めば安心か」「どこなら失敗しないか」という信頼の比較です。
その点で動画は非常に有効です。顔や名前、考え方や仕事への姿勢を伝えることで、文字や画像だけでは伝わらない人間性や温度感が可視化され、「ここなら任せられそうだ」という感覚を生み出せます。
だからこそ動画は、認知を広げるための手段ではなく、比較検討の段階で選ばれる理由をつくるコンテンツだと考えています。他社との差別化を図る上で、いまや動画マーケティングは「推奨」ではなく、ほぼ必須の取り組みです。
――牧野さんはいま、デジタルマーケティング分野でコンサルティングもされていますが、動画活用についてのアドバイスも行っているのでしょうか。
牧野:はい、行っています。コンサルタントとしてはYouTube運用だけではなく、広告運用/SEO/LP改善/計測設計などと多岐にわたったことをしておりますが、YouTube領域でいえば「選ばれる理由」をつくることはもちろん、最近は生成AIに言及されるためにも、動画の存在感が重要になっています。YouTubeだけでなく、TikTokやInstagramリールなど、動画プラットフォーム上でのサイテーション(言及)を増やす視点から、動画活用を勧めています。
――ありがとうございます。「デフサポチャンネルの取り組み」と、コンサルタントとしての立場の違いについても教えてください。
牧野:デフサポチャンネルでは、妻が演者として出演し、私は裏方として関わっています。コンセプト設計や運営方針などの戦略から、撮影・編集・コメントの返信といった運営まで、全部自分たち自身で行っています。
一方、コンサルタントという職種は、”分析・理論・戦略構築に優れているが実務はしない”というイメージが強いと思います。ただそのような薄い関わり方で結果が出る可能性は低いのが実情です。そのため私はコンサルタントとして関わる際でも、自分たちのように成功体験が作れるように、前述の分析や戦略構築だけではなく、伴走支援や運用代行などといった実務もチームで行っています。自分たち自身が動画で成果を出してきた実体験をもとに、理論だけでなく実践に基づいたアドバイスや支援を行えることが強みですね。
――テキスト広告やSNS投稿と比べて、動画の最大の強みはどこにあるとお考えですか。
牧野:大きく二つあります。表現力の豊かさと、プラットフォーム上で「回る」構造を持っている点です。
どれだけ丁寧に文章や画像で説明するよりも、動画1本を見たほうが理解は圧倒的に早い。商品の使い心地や雰囲気、温度感まで、一度に伝えられるのが動画の強みです。たとえばリップクリームも、文章で説明するより、実際に塗って質感やツヤを見せたほうが直感的に伝わります。
加えて、ロジカルな面でも動画は有利です。例えばInstagramでは静止画よりリール動画のほうが表示されやすく、広告として使った際もお問い合わせ率が高くなりやすいという分析結果があります。
つまり動画は、
- 魅力や使用感といった定性的価値を強く伝えられる
- アルゴリズム上も優遇され、拡散や成果につながりやすい
この二つを兼ね備えています。そういう意味で、今のマーケティングにおいて動画は欠かせない存在だと考えています。
成果が出ない企業の共通点
――動画に取り組んでも成果が出ない企業には、どのような共通点がありますか。
牧野:一番多いのは、こだわりすぎて動けなくなっていることです。
その結果、
- なかなか動画を公開できない
- 公開できても制作や意思決定が極端に遅い
といった状態に陥りやすくなります。
SNS上でいえば、今、成果が出やすいのはテレビCMのようなきれいな型ではなく、SNS文脈に合った手触り感のある動画です。にもかかわらず、完璧さを求めると広告色の強い動画になり、SNSでは受け入れられにくくなります。
主に人間の暇つぶしに利用されるSNSで求められているのは、楽しく、気軽に見られるコンテンツです。
そのため、
- スマートフォンでラフに撮る
- 1日で撮って出す
- 最低限の構成でスピード重視
このくらいの温度感のほうが、結果につながるケースは多いです。
成果が出ない企業に共通するのは、
- 考えすぎて動けない
- SNSの文脈を無視して広告として作ってしまう
この二点だと感じています。
――実際のコンサルティングの中で、先ほどお話しされていた「成果が出にくいパターン」に当てはまるケースはありましたか。
牧野:はい。大きく二つのパターンがあります。
一つ目は、クリエイティブへのこだわりが強すぎるケースです。「この商品は、この見せ方で、きれいに作らなければならない」という思想自体は悪くありませんが、テレビCM的な発想のままでは、SNS動画の文脈とズレてしまうことが多いと感じました。
もう一つは、社内の協力体制が整っていないケースです。社員が動画に出たがらない、顔出しや声出しに強い抵抗があるなど、非協力的な雰囲気があると、動画はどうしても“広告的”になりがちです。
動画は商品ではなく「人」にもファンがつくメディアです。誰が、どんな想いで提供しているのかが見えなければ、共感は生まれません。
極端な話、顔出しが難しければ工夫はいくらでもできますが、外部の演者に任せきりにすると、企業のリアリティは伝わりにくくなります。
結果として、
- 温度感が伝わらない
- 制作コストや時間だけが増える
- 成果につながらない
という悪循環に陥りやすい。動画で成果が出ないケースを振り返ると、社内の協力体制の弱さは非常に大きな要因だと感じています。
まず押さえるべき最小セット
――では、「まずこれだけやれば失敗しにくい」という最小セットはありますか。
牧野:失敗を「再生されない」「続かない」と定義するなら、最小セットは実はシンプルです。
一つ目は、当事者が出ること。見た目や話のうまさは重要ではありません。それよりも、商品やサービスへの熱量があり、自分の言葉で語れる人が出ることが大切です。多少口下手でも、本気度が伝わるほうが共感は生まれやすいと感じています。
二つ目は、冒頭で結論を出す・もしくは気になってしまう構成を作ることです。特にショート動画では、最初の1〜2秒で結論や見どころを示さなければ、すぐにスワイプされてしまいます。「何が分かる動画なのか」「なぜ見る価値があるのか」を一瞬で伝えることが重要です。
この二つ、
- 当事者が登場すること
- 冒頭で強い引きを作る構成
まずはこれだけを押さえておけば、動画マーケティングで致命的に失敗する確率は大きく下げられると思います。
――中小企業が動画で成果を出す場合、大企業と同じような取り組みをする必要はあるのでしょうか。
牧野:結論から言うと、まったく必要ありません。大企業のような豪華なセットや高価な機材、有名な出演者をそろえる必要はありません。
動画の成果を左右するのは、機材ではなく、「誰が、何を、どんな温度感で語るか」です。
――では、クリエイティブへのこだわりはどう考えればいいでしょうか。
牧野:クリエイティブ自体は重要ですが、こだわるポイントは業種や目的によって違います。たとえば飲食店なら料理をおいしく見せる工夫は欠かせません。一方、IT企業やコンサルティング業であれば、立派なセットよりも、考え方やノウハウ、信頼感をどう伝えるかのほうが重要です。
中小企業が目指すべきなのは、豪華さで大企業と競うことではなく、人のリアルさや独自性で勝つことです。現場の実情や当事者の考え、等身大のストーリーは、中小企業だからこそ強い武器になります。
だからこそ、中小企業は大企業と同じことをやる必要はありません。自分たちにしか語れない切り口で発信することが、最も成果につながりやすいと考えています。
テーマ選びは「検索需要」で決める
――「伸びるテーマ」を決める際には、どのような基準を重視されていますか。
牧野:テーマ選びについては、かなりロジカルに考えています。率直に言えば、「お金」「恋愛」「名誉」といったテーマは、昔から再生されやすいジャンルですし、美容も非常に強い分野です。ただ、今回の文脈では、そうした一般論をお伝えしたいわけではありません。
私が一番重視しているのは、「そもそも、そのテーマに十分な“パイ”があるのか」つまり、多くの人が本当に関心を持っているテーマかどうか、という点です。
具体的には、YouTube内検索やGoogle検索を使って、「そのテーマが、どれくらい検索されているのか」を必ず確認します。
正直なところ、再生数が500回や1,000回で終わってしまうテーマを狙っても、「伸びた」とは言えません。1万回、2万回といった再生数を取りにいくのであれば、少なくとも月間で10万回以上は検索されているテーマでないと、そもそも土俵に乗りにくいと考えています。
ですから、基準は非常にシンプルです。感覚や思いつきではなく、検索されている数を基準にテーマを決める。この一点を徹底しています。
――その検索数は、具体的にどのように調べているのでしょうか。
牧野:方法はいくつかあります。有料ツールを使えば、YouTube内での検索数を直接調べたり、Google検索数と合わせて確認したりすることができます。
一方で、無料で調べる方法としてよく使っているのが、Googleキーワードプランナーです。広告の管理画面から利用できるツールですが、無料でも検索ボリュームを確認することができます。
――動画検索の数も、そこで確認できるのでしょうか。
牧野:キーワードプランナー自体では、YouTube内の検索数までは分かりません。あくまで通常のGoogle検索数が対象になります。
そのため、YouTube内の検索数を正確に把握したい場合は、有料ツールを使う必要があります。ただ、そこまでコストをかけられない場合でも、キーワードプランナーの検索数を見て、「このテーマにはこれくらいの需要がありそうだな」と大まかに当たりをつけるだけでも、十分に参考になります。
――クライアント企業のお客さまの悩みは、どのように拾い上げて動画に反映しているのでしょうか。
牧野:一番多く使うのは、検索キーワードから拾う方法です。たとえば「オフィスチェア」と検索すると、「腰痛」「蒸れる」「硬い」などの関連ワードが出てきます。これらはそのまま、ユーザーが自分の言葉で打ち込んだ生の悩みです。
検索キーワードを分解すれば、
「長時間座っても腰が痛くならない椅子を探している」
「夏でも快適に使える椅子がほしい」
といった具体的なニーズまで読み取れます。
――その悩みに答える動画を作る、ということですね。
牧野:はい。すでにある悩みに答える形で動画を作ると、再生されやすく、コメントや問い合わせといった反応もはっきり出ます。「自分のための動画だ」と認識されやすいからです。
――特に効果が高かったテーマや切り口はありますか。
牧野:動画では美容系は非常に強いですね。たとえば「顔タイプ診断」を軸にした美容系チャンネルを支援しましたが、特に反応が良かったのは、「ユニクロで1万円以内のコーデ」といった切り口でした。
――価格を絡めた点がポイントでしょうか。
牧野:そうですね。美容に興味があればあるほど、化粧品・エステ・衣服などと使い先が複数に渡っていきますから、各カテゴリに月に使える予算の額は数千〜数万円程度になることが多いです。その現実に寄り添い、「特別お金をかけなくても似合うコーディネートは作れる」と伝えたことで、強い興味が生まれました。
単にマジョリティ向けにするのではなく、マジョリティの欲求×分かりやすい具体性を掛け合わせるのがポイントです。
――そのチャンネルの成果はいかがでしたか。
牧野:YouTubeのチャンネル登録1万人を超えるまで支援させていただき、現在では登録者は約5万5,000人。動画は平均2万〜3万回再生、伸びたものでは10万回前後まで成長されていますね。この取り組みはMassdriverの導入事例でも紹介されています。
――しっかり成果が出ていますね。
牧野:はい。悩みと切り口が噛み合えば、動画はきちんと成果につながると実感しています。
――YouTube運用を始める際、最初に注目すべき指標は何でしょうか。再生数や視聴維持率、CTRなど、さまざまあると思いますが。
牧野:最初に見るべき指標は、間違いなく視聴維持率です。
――やはり、維持率を高めるコンテンツ作りが重要、ということですね。
牧野:はい。YouTube運用の初期段階では、圧倒的にそこが重要です。視聴維持率が高い動画は、YouTube側から「視聴者にとって価値がある」「満足度の高い動画」と評価されやすくなります。
その結果、
- おすすめ欄に表示されやすくなる
- 関連動画として露出が増える
といった形で、拡散されやすくなります。
逆に、視聴維持率が低い動画は、おすすめに載りにくく、結果として再生数も伸びづらくなります。
だからこそ、運用初期は再生数やCTRを追う前に、「最後まで見てもらえているか」この一点、つまり視聴維持率を最優先で確認すべきだと考えています。
――次に、動画を使ったPRについて伺います。会社紹介や採用といった目的で、動画を活用するケースはありますか。
牧野:はい、多いですね。YouTube広告として使うケースもありますし、会社紹介や採用目的のPR動画として活用する企業も増えています。
たとえば倉庫を建設している企業では、完成までの過程を定点カメラで撮影し、タイムラプス動画として発信しました。これは、「自分たちはこういう仕事をしている会社です」というメッセージを自然に伝えられる好例です。
採用目的での活用も効果的です。保育園や介護施設などでは、現場の雰囲気や仕事への想いを動画で伝えることで、「一緒に働く人」を集めるマーケティングとして機能しています。
――実際の効果はいかがでしょうか。
牧野:効果は大きいです。採用専用のSNSアカウントを運用したケースでは、半年で4人の採用につながりました。人材エージェントを使う場合と比べると、費用対効果は非常に高いです。
※参考:株式会社マスドライバーの支援事例「自立支援型デイサービス「ヒトテマ茅ヶ崎」の仕事の魅力を伝える動画制作・発信」(Massdriver公式)
――やはり、会社紹介や採用でも動画は有効だと。
牧野:そうですね。正直、やらないのは大きな機会損失だと思っています。
――「動画は手間がかかりそうだ」と感じている企業も多いと思いますが、実際はいかがでしょうか。
牧野:こだわろうと思えば手間はいくらでもかかりますが、手間をかけずに始める方法も十分あります。スマートフォンで自分を撮って話すだけでもいいですし、歩きながらの一人語りでも問題ありません。「完璧でなければ意味がない」と考えすぎて、動けなくなっている企業は多いと感じています。
――実際、スマートフォンだけでも十分なのでしょうか。
牧野:十分です。話せる人であれば、台本すら不要だと思います。
実際、デフサポチャンネルでは台本は作らず、テーマと場所だけ決めて撮影しています。
――編集はどうされていますか。
牧野:不要な間をカットし、テンポを整えて字幕をつける程度です。派手な演出はしていません。そのため、編集初心者でも対応できますし、スマートフォン一台で始められます。
――動画に挑戦する企業が増えるといいですね。
牧野:本当にそう思います。
まとめ:中小企業の動画は「豪華さ」より“設計”が成果を分ける
今回のインタビューで印象的だったのは、動画マーケティングで成果を出すために必要なのは、高価な機材やテレビCMのような完璧な映像ではなく、「誰が、何を、どんな温度感で語るか」という点でした。
特に中小企業が押さえるべきポイントは、次の3つです。
- 認知不協和を生むテーマ設定(思わず「なぜ?」と気になる切り口)
- 冒頭で結論や問いを置く構成(最初の数秒で離脱を防ぐ)
- 当事者が登場し、自分の言葉で語ること(信頼と共感が生まれる)
動画は単なる「認知拡大の手段」ではなく、比較検討の段階で“選ばれる理由”を作るコンテンツになりつつあります。中小企業こそ、等身大のリアルさを武器に、無理なく継続できる形から始めてみるのが有効です。
後半では、牧野さんが米国ダラスを拠点に働く中で見えてきた「海外移住×働き方の設計(時差・家族・英語・住まい・生活コスト)」について掘り下げます。
▶後半:海外移住という選択肢について
