DX推進は大手企業を中心に行われていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中小企業も続々と取り組む姿勢を示しています。しかし、DX推進の取り組み方が分からないという方が多いのが現実です。そこで、今回は中小企業向けのDX推進方法について解説します。DX推進を検討している方は、ぜひ参考にしてください。ちなみに、株式会社富士キメラ総研においては、2020年度の国内DX市場は1兆3,821億円と言われています。
中小企業DX(全業界共通)
中小企業もDX推進に前向きな姿勢を示していると説明しましたが、具体的に何を行えばよいか分からない企業が多いです。そのような悩みを抱えた企業のために、DX推進方法をご紹介します。
営業活動や商談のオンライン化
新型コロナウイルス感染拡大で非対面営業が推奨されてから、オンライン営業が多くの方に認知されました。
訪問営業では移動時間が発生するため、商談件数に限界が出ます。しかし、オンライン営業であれば、移動時間が削減でき、より多くの商談が行えるようになります。また、オンライン営業を上手く活用すれば、営業エリアの拡大も可能です。
オンライン営業を実現するためには、録画や電話の営業データを自動録音・解析できるデジタルツールを導入しましょう。営業データを解析して従業員育成に活用すれば、組織全体のボトムアップが図れ、売上を伸ばしていけます。また、録画・録音の証拠を残しておけば、トラブルの原因を突き止められるなどの効果も見込めます。
《After DX》オンライン商談ツールを導入する
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仮想店舗や展示会の活用
新型コロナウイルス感染拡大により、注目を浴びたのが「仮想店舗」と「バーチャル展示会」です。
バーチャル展示会を活用すれば、集客の幅を広げられます。インターネットが繋がる環境が用意できれば、誰でもバーチャル展示会に参加できるため、世界各地の方を集められます。
また、バーチャル展示会の来場者情報を集計できるため、展示会終了後のアプローチも図りやすいです。また、来場者情報を解析して、PDCAを回していけば、参加者満足度の高い展示会が開催できます。
しかし、対面ではないためPUSH営業が行えません。さらに、特別感を演出しづらいです。成功する企業と失敗する企業に大きく分かれているため、豊富な実績を持つ専門業者に相談するようにしましょう。
《After DX》仮想店舗や展示会を活用する
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バックオフィス処理の効率化
デジタルツールを活用したバックオフィス処理の効率化は欠かせません。経営安定化を目指すには、自動化・効率化できる業務を改善していかなければいけません。
効率化できるバックオフィス業務には「勤怠管理」「採用管理」「経理業務」「ワークフロー業務」「会議運営業務」があります。これらの業務を効率化するデジタルツールの導入を検討してみましょう。
また、RPAやAIを活用したバックオフィス処理の自動化という方法もあります。バックオフィス処理の効率化・自動化は人件費削減だけではなく、ヒューマンエラーの抑制にも効果を発揮します。
《After DX》デジタルツールやRPA・AIでバックオフィス業務効率化を図る
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ペーパーレス化・脱印鑑化
商談から契約までオンラインで完結するために、ペーパーレス化・脱印鑑化に取り組みましょう。遠方の企業と契約を締結する場合、契約書の送付をしていると手間がかかります。オンラインで契約締結ができれば、テレワーク推進に役立ち生産性向上が期待できるでしょう。
また、オンライン上で契約締結することで、紛失や改竄などのトラブルを防止できます。
近頃は、SDGsが注目を集めています。ペーパーレス化を促進すれば、環境問題を意識して取り組んでいる姿勢を示せて、取引先や顧客に良い印象を与えることができるでしょう。
《After DX》ペーパーレス化・脱印鑑化に取り組む
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人材教育のオンライン化
オンライン上で人材教育できる体制を整えて、リモートワークに対応する動きが出ています。スキル別に応じたe-ラーニングのカリキュラムを用意しておき、育成文化を定着させることが大切です。人材教育のオンライン化に取り組めば、テキスト代金や会場費、備品費が不要になります。
しかし、インターネット接続の不具合による映像中断などのトラブルが起きる恐れもあります。従って、人材教育のオンライン化に詳しい方に相談をしましょう。
新型コロナウイルス収束後も多様な働き方は続くことでしょう。優秀な人材を獲得するためにもリモートワークの環境整備はしておくとよいでしょう。
《After DX》オンラインで人材教育できる体制を整備する
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従業員の健康状態の管理
労働安全衛生法によって、従業員の定期健康診断の実施が義務付けられており、従業員数50名を超える事業者は、年1回労働基準監督署へ報告しなければいけません。新型コロナウイルス感染拡大の影響で健康管理の意識が高まっています。
リモートワークで働いてもらう場合は、従業員の健康状態を把握できません。リモートワークでメンタルに不調をきたす人も多いと報道されており、ストレスチェックができるデジタルツールが登場しているので導入を検討してみましょう。
また、従業員の脈拍や血圧の情報を測定できるウェアラブルも登場しました。また、社内のコミュニケーションを円滑にするコミュニケーションを導入する企業も増えています。不測の事態に備えて従業員の健康状態の管理を行いましょう。
DX推進が浸透すれば、従業員の健康管理が適切にされているか問われる時代になっていくことでしょう。
《After DX》従業員の健康管理に気を配る
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点検・保守・警備の自動化
商業施設や工場などの警備にドローンが活用されています。ドローンが撮影したデータにより、侵入の痕跡や不審者の有無を判定。また、建物の設備の異常判定や保守なども行えて、点検報告書を作成する手間もかかりません。
広大な商業施設を人力で巡回するのは想像以上に大変です。しかし、ドローンで空上から撮影して異常箇所を警備員が点検する業務フローにすれば、大幅に業務改善ができます。
また、被災地の状況のモニタリングにもドローンが活用されており、二次災害による事故防止などにも貢献しています。
《After DX》ドローンを活用した点検・保守・警備
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サブスクリプションサービスの開発
DXで注目を浴びているのが、サブスクリプションサービスです。サブスクリプションサービスとは「料金を支払えば、製品やサービスを一定期間利用できる」形式のビジネスモデルをいいます。
サブスクリプションサービスは、ソフトウェアを利用するために広まりました。しかし、近頃では車や家具、サプリメントなどのサブスクリプションサービスも登場しています。
インターネットが普及した今だからこそ、サブスクリプションサービスを開発してみると良いでしょう。サブスクリプションサービスは、定期的に売上が見込めるだけではなく、顧客との関係性構築にも役立ちます。
《After DX》サブスクリプションサービスを開発する
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中小企業DXを成功させるポイント
全業界向けの中小企業が行うべきDX推進の方法をご紹介してきました。しかし、各業界に応じたDX推進も考えていかなければいけません。
例えば、製造業ではIoTやAIを活用したスマートファクトリー化が進んでいます。各業界、事業規模に見合うDXを行う必要があります。そのため、DX推進の知見を持つコンサルタントに相談をしてください。
また、新型コロナウイルスの影響で日本経済が停滞しており、ビジネス投資が行えないと悩んでいる人もいるでしょう。しかし、補助金や助成金を活用すれば少額の初期費用でDX推進が行えます。
まとめ
今回は、全業界向けの中小企業のDX推進化について解説してきました。DX化が加速していますが、AfterDXのビジネスで求められることを理解して対策をしましょう。新型コロナウイルス感染拡大で経済が停滞しており、ビジネス投資に躊躇してしまう方もいるでしょう。
※参考文献
『IT市場専門調査会社ノークリサーチPRESS RELEASE』