大阪万博の開催開始まで1年を切りました。工期の遅れ、費用の増額、参加国の撤退など、状況は必ずしも順調ではありません。また国民の関心度は低く、大阪万博の期間中に来場したいとする人は2022年10月の調査では31.0%にとどまっています。一方で日本で開催される世界的なイベントであることには変わりありません。この記事では大阪万博の魅力と開催に向けての課題について解説します。
大阪万博とは?
大阪万博、正式には「2025年日本国際博覧会」と呼ばれ、2025年4月13日から 10月13日までの184日間、大阪府の夢洲で開催されます。万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、科学技術、文化交流、環境問題など多岐にわたる分野での革新やアイデアが展示され、国際的な協力と理解を深める場を提供することを目的としています。
2025年大阪万博は、人々の生活や社会全体において、持続可能でより良い未来を創造するための解決策や技術を世界中から集め、展示します。さらに、日本国内外から多くの観光客を引き寄せることで経済的な波及効果も大きいとされています。
大阪万博の見どころ?注目すべきパビリオンは?
2025年大阪万博は、未来技術、文化交流、サステナビリティに焦点を当てた多彩な展示やイベントが予定されており、その見どころは非常に豊富です。例えばパソナグループのパビリオンPASONA NATUREVERSEでは、澤芳樹氏が開発する『iPS心臓』を展示する予定です。これはiPS細胞や既に実用化されているiPS心筋シートの技術を基に、生きた細胞による立体の心臓を培養したものです。
具体的には以下のようなポイントが挙げられます。
■未来の技術とイノベーション
人工知能、ロボティクス、バイオテクノロジーなど、最先端の技術が展示され、未来の生活や産業がどのように変わるかを体感できます。
■持続可能な社会の実現に向けた取り組み
環境問題や持続可能な開発目標(SDGs)に対する革新的なアプローチが紹介され、エコフレンドリーな技術やシステムが披露されます。
■国際文化交流の場
世界各国からの参加者が自国の文化や伝統を紹介するパビリオンが設けられ、グローバルな視点での文化交流が楽しめます。
■インタラクティブな体験
来場者が直接参加し、体験することのできるインタラクティブな展示が多数用意されているため、子供から大人まで幅広い年齢層が楽しめます。
■食の革新
次世代の食料問題に対応するための新しい食材や料理技術が紹介される予定で、持続可能な食文化について学ぶことができます。
■アートとエンターテインメント
音楽、ダンス、ビジュアルアートなど、多様なアートパフォーマンスが行われ、万博全体を通して文化的な魅力を感じることができます。
このように、大阪万博は科学技術だけでなく文化や芸術にも焦点を当てたイベントであり、様々な分野からの最新のアイデアや技術が集結します。
そして万博の華といわれるのがパビリオンですが、今回の万博では3つのタイプに分類されます。1つ目は『いのちをテーマにしたプロジェクト』として知られる「シグネチャープロジェクト」の8つのパビリオン、2つ目は各国の個性が光る海外パビリオン、そして3つ目は民間企業が運営するパビリオンです。ここで、注目すべきパビリオンについてご紹介したいと思います。
シグネチャーパビリオン|8人の専門家がプロデュース
「いのち」をテーマに8つのパビリオンが会場の中心に配置されます。生物学者の福岡伸一氏やロボット工学の石黒浩氏ら8人のプロデユーサーが主導する特別なプロジェクトです。
これらパビリオンは、来場者にリアルとバーチャルが融合された多様な体験を提供し、訪れる人々に「いのち」の概念を深く考え直し、更新するきっかけを与えることを目的にしています。
シグネチャーパビリオンは、以下のような特徴があります。
- 8人のプロデューサーが特定のテーマやビジョンに基づいて展示やイベントを企画し、その専門知識とクリエイティビティを活かします。
- 最新のテクノロジーを利用して、来場者に現実とデジタルの境界を超えた体験を提供します。
- 人間の生命だけでなく、地球上のすべての生命を尊重し、その重要性を探る展示や活動が行われます。
- 来場者が自らの生活や行動について考え、持続可能な未来への貢献を促す内容が組み込まれています。
このエリアは、万博の来場者が刺激的かつ意義深い体験をすることで、未来の社会的、環境的課題に対する新たな理解と解決策を模索する場となることが期待されています。
8つのパビリオンの概要
1.Better Co-Being
テーマ:いのちを響き合わせる
慶応義塾大学教授 宮田 裕章
2.いのちの未来
テーマ:いのちを拡げる
大阪大学教授、ATR石黒浩特別研究所客員所長石黒 浩
3.いのちの遊び場 クラゲ館
テーマ:いのちを高める
音楽家、数学研究者、STEAM教育家 中島 さち子
「国境や人種や年齢や立場などの分断をこえて、いのちを高め合い、未来の希望を共創する」という趣旨で遊びと学びの場を提供しています。
4.null2
テーマ:いのちを磨く
メディアアーティスト 落合 陽一
5.いのち動的平衡館
テーマ:いのちを知る
生物学者、青山学院大学教授 福岡 伸一
6.いのちめぐる冒険
テーマ:いのちを育む
アニメーション監督、メカニックデザイナー、ビジョンクリエーター 河森 正治
7.EARTH MART
テーマ:いのちをつむぐ
放送作家、京都芸術大学副学長 小山 薫堂
8.Dialogue Theater – いのちのあかし –
テーマ:いのちを守る
映画作家 河瀨 直美
海外パビリオン
次に、海外のパビリオンをご紹介します。各国は独自の観点から、現在と未来の課題に切り込みます。
アメリカパビリオン|二つの三角形の木造建造物にキューブが浮かぶ
アメリカパビリオンは、未来における人類の共同創造をテーマにしており、来場者が共に未来を思い描く場として設計されています。特徴的なのはその建築デザインで、わびさびの美学を取り入れた二つの三角形の木造建造物が基礎となっています。これらの建造物の上には、ライトアップされたキューブが浮かんでいるかのように設置されており、その独特な形状と光の演出が未来的な雰囲気を醸し出しています。
また、パビリオンの側面には2つのLEDスクリーンがあり、アメリカ合衆国の名所を映し出すことで、アメリカの多様性と美しさを紹介しています。このデザインは、交流、協力、成長を促すことを目的としており、持続可能な社会、宇宙探査、教育、起業家精神など、様々な分野での協働を促進することを意図しています。このようにアメリカパビリオンは、単なる展示空間ではなく、来場者が参加し、共に未来を形作るためのインスピレーションを提供する場となっています。
イタリアパビリオン|美しい庭園を眺めながらイタリア料理を堪能できる
イタリアパビリオンは、建築家マリオ・キュシネラによって設計され、「ルネッサンスの理想都市」を現代的に再解釈した建築であり、テーマは「芸術は生命を再生する」とされています。このテーマでは、「芸術」という言葉が持つ広範な意味が探求されており、ものづくり、ファッション、デザイン、工学、研究、イノベーションなど、多岐にわたる分野が含まれます。
パビリオン内部に入ると、来場者はイタリアの豊かな創造性に対するオマージュとして設計された劇場で迎えられます。ここでは、最新技術と伝統が融合した最高級の「Made in Italy」製品がイベントや展示を通じて紹介されています。内部には航空宇宙、社会、人間という3つの主要な領域が設けられており、各領域でのイタリアのイノベーションと成果が展示されます。
また、屋上には庭園とレストランが設けられており、来場者は美しい庭園を眺めながらオリジナル素材を使用したイタリア料理を楽しむことができます。このパビリオンは、イタリアの文化的遺産と現代的な創造性が見事に融合した空間として、来場者に新しいインスピレーションを提供しています。
オーストラリア|Chasing the Sun ― 太陽の大地へ
オーストラリアパビリオンは、「Chasing the Sun ― 太陽の大地へ」というテーマで、オーストラリアの活力、開放性、および美しい自然を表現しています。外観デザインは、オーストラリアを象徴するユーカリの木や花をモチーフに取り入れており、これによって国の活気や多様性を象徴的に示しています。さらに、持続可能性への配慮も重要な要素であり、過去の国際イベントで使用された建築資材を再利用している点が特筆されます。
パビリオン内では、オーストラリアの最新技術や豊かな文化、ダイナミックな社会を反映した様々な文化イベントやビジネスプログラムが開催される予定です。これらのプログラムを通じて、来場者はオーストラリアの現代的な面々とその進化を体験できます。
来場者に提供される没入型体験を通じて、オーストラリア大陸を横断する太陽を追いかけるというコンセプトの下、新たなオーストラリアの一面を発見し、冒険の旅を体験することができます。
オーストリア|螺旋状のオブジェで、楽譜をデザイン
オーストリアパビリオンの特徴は、その革新的なデザインと文化的表現にあります。テーマ「オーストリア:未来を作曲」を掲げ、クラシック音楽で世界的に知られるオーストリアが、大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を音楽を通じて表現しています。
このパビリオンの目玉は、空に向かって壮大に立ち上る螺旋状のオブジェで、楽譜をモチーフにデザインされています。この螺旋状のオブジェは、音楽の流れやリズムを形象化し、来館者にオーストリアの文化的多様性と創造性を感じさせることを目指しています。来館者はこのオブジェを通じて、音楽が未来社会のデザインにどのように影響を与えるかを体感することができます。
パビリオン内部では、過去から未来へ、既知のものから未知のものへと、現代および最新のオーストリアが展示され、文化的な側面が強調されています。さらに、来館者はオーストリアの伝統菓子を楽しむこともでき、文化的な体験を食を通じても享受できます。
このようにオーストリアパビリオンは、音楽とデザインの融合により、来館者に強い印象と深い文化的体験を提供することに重点を置いています。
オマーン|独創的な水の流れを表現
オマーンパビリオンは、「地球、水、人間性」という3つの要素をコンセプトにしており、オマーンの自然美をモチーフとしたデザインで来館者を迎えます。このパビリオンは、特に水の流れや自然景観を巧みに取り入れた建築が特徴です。例えば、パビリオン内の廊下にはガラスの天井が設けられ、その下で独創的な水の流れが表現されることで、オマーンの自然を象徴的に再現しています。
このプロジェクトでは、オマーンの若手建築家が建築デザインを担当しており、新進気鋭の才能が国の文化と自然の美しさを形にしています。また、建物の外には来館者が座って交流できるエリアが設けられており、これによってコミュニケーションと文化の交流の場が提供されています。
オマーンパビリオンは、自然と人間性を融合させたデザインを通じて、来館者にオマーンの魅力を伝えるとともに、持続可能性と人間と自然との調和をテーマにした深いメッセージを発信しています。
オランダ|建物中心の球体が新たな幕開けを象徴する
オランダパビリオンは、「コモングラウンド―新たな幕開け」と題されたテーマを持ち、共に価値を分かち合い、健全で幸せな社会を構築することを目指しています。このパビリオンのデザインコンセプトは循環型で、持続可能な開発と環境に優しい技術が重視されています。
特徴的な建築要素として、建物の中心に設置された球体があります。この球体は、持続可能なクリーンエネルギーの利用と日の出を象徴しており、新たな始まりと再生のメタファーとして機能しています。また、この球体はパビリオンのビジュアル的な焦点となり、来館者に強い印象を与えます。
パビリオン内部は、人々が集まり、互いに学び合い、刺激し合うことができる開かれた空間として設計されています。ここで、水からクリーンエネルギーを生成する新技術など、革新的な環境技術が紹介される予定です。
カナダ|川面の氷が溶け始める美しい瞬間を捉えた儚い氷の造形
カナダパビリオンのテーマは「再生(Regeneration)」で、春の訪れとともに凍っていた川の水が溶ける風景をイメージして設計されています。このテーマは、自然の循環と変化を象徴しており、特にカナダの自然現象である「水路氷結」がモチーフとして採用されています。パビリオンの外観は、川面の氷が溶け始める美しい瞬間を捉えた儚い氷の造形で表現されています。これにより、来館者はカナダの厳しい冬から春への移行を感じ取ることができます。
パビリオンの内部では、外観とは対照的にカナダの温かさ、開放性、前向きな姿勢が表現されています。来館者は、カナダの革新性、多様性、創造性、そして持続可能な社会への取り組みを体験することができます。この内部空間は、教育的なプログラムや展示を通じて、カナダの文化と社会のダイナミズムを探究する機会を提供します。
全体として、カナダパビリオンは自然の再生と持続可能な未来への取り組みを象徴的に表現しており、来館者にカナダの自然と文化の深い理解を促す環境を提供しています。
サウジアラビア|街や都市を探索するかのような空間体験を提供
サウジアラビアパビリオンは、サウジアラビアの豊かな遺産、伝統、および価値観に基づいて構築されており、来館者に国のアイデンティティを深く探求する機会を提供します。パビリオンのデザインはサウジアラビアの伝統的な都市構造物から着想を得ており、王国の歴史、文化、遺産を反映しています。このデザインは、持続可能性を意識した未来へのコミットメントを体現している点が特徴です。
パビリオン内部は、サウジアラビアの街や都市を探索するかのような空間体験を提供し、来場者は国の文化遺産と現代の進歩を感じ取ることができます。また、サウジアラビアが持続可能な未来へ向けて進行中の変革と計画を展示しています。
来館者は、没入感のある展示を通じて、サウジアラビアの新たな魅力を発見し、国の過去と未来をつなぐ壮大な旅を楽しむことが可能です。サウジアラビアパビリオンは、伝統と革新が融合した環境を通じて、より良い未来へのビジョンを共有し、来館者に深い印象を与えることを目指しています。
スイス|万博史上最軽量の球体の建物
スイスパビリオンは、「生命(ライフ)」、「地球(プラネット)」、「人間拡張(オーグメンテッド・ヒューマン)」という3つのテーマを掲げており、大阪・関西万博での最も小さなエコロジカルフットプリント(環境への影響を測る指標)を目指しています。
パビリオンの取り組みとして「Vitality.Swiss」という対話型プログラムが展開されます。このプログラムは、活力ある未来を実現するための解決策やシナリオを探求し、参加者との積極的な交流を促します。このような取り組みにより、スイスパビリオンは来館者に具体的で実践的な持続可能性のアプローチを提案し、教育的な体験を提供することを目指しています。
建物は「万博史上最も軽い」をコンセプトに、環境負荷を抑えた軽量設計が特徴です。このパビリオンは、五つの球体を膜素材で覆い組み合わせた形状で、建物全体の重さは管理棟を除いて400キロ以下となっており、一般的な建物の面積あたりの重さの約1%に抑えられています。設計者は、「空気のように軽いパビリオンで、多くの来場者を引きつけたい」としています。
館内では、アルプス山脈の映像を流し、訪れる人々はスイスの自然を間近に感じることができます。また、技術力の高いスイス企業の製品が展示され、料理やお酒を楽しめるバーも設けられる予定です。
さらに、このパビリオンは環境に配慮した設計が徹底されており、使用されるすべての建材は万博閉幕後に家具の製作などに再利用される計画です。全世界で植物を増やし、二酸化炭素を吸収して環境負荷を減らすことを目指して敷地内には草花が植えられ、来場者には植物の種が配られます。
全体として、スイスパビリオンは環境への影響を最小限に抑えつつ、先進的なテクノロジーと持続可能な生活様式を推進することにより、生命、地球、そして人間の拡張というテーマを通じて、より良い未来への道を探ることに焦点を当てています。
チェコ|外観にボヘミアン・クリスタルを使用
チェコパビリオンのテーマ「人生のための才能と創造性」は、チェコの豊かな文化的遺産と現代的な技術の融合を通じて表現されています。このパビリオンは、最新の建築技術と伝統的な素材を組み合わせたデザインが特徴です。具体的には、最新のCLT(Cross Laminated Timber)パネルが構造素材として使用されており、これにより環境に配慮した持続可能な建築が実現しています。さらに、外観にはチェコの象徴的なボヘミアン・クリスタルを用いることで、美しい芸術的表現が施されています。
パビリオンの内部には、来場者が回廊を歩きながらチェコの文化や技術について学べる空間が設けられています。この回廊は、来場者にチェコへの理解を深めてもらうためのインタラクティブな展示が並び、チェコのクリエイティブな側面とグローバルな影響力を体感できるよう設計されています。
チェコパビリオンは、伝統と革新の融合を象徴し、才能と創造性をテーマに掲げることで、来場者に新しい視点からチェコを発見してもらうための空間となっています。
中国|中国の伝統的な書道の巻物を広げた形の外壁
中国パビリオンは、「自然と共に生きるコミュニティの構築ーグリーン発展の未来社会ー」というテーマを掲げており、持続可能な開発と自然との調和を重視しています。このテーマは、環境保護と社会の緑化を推進する中国の取り組みを反映しています。
パビリオンの建築は非常にユニークで、外壁が中国の伝統的な書道の巻物を広げた形をモチーフにしています。このデザインは、中国の文化的な深さと歴史的な背景を象徴し、同時に開かれた姿勢と受容性を表現しています。
来場者がパビリオンに足を踏み入れると、自然由来の素材や技術を活用した展示が出迎えます。これらの展示は、自然に順応し、自然と調和して生きる中国文化の精神を示しており、エコロジカルなライフスタイルと持続可能な社会構築の重要性を訴えます。
全体として、中国パビリオンは環境との調和を目指す現代的な視点と、伝統的な価値観が融合した場所となっており、自然と共に生きる未来社会のビジョンを展望しています。来場者には、このビジョンを体感し、中国がグリーン発展に向けてどのように進んでいるかを学ぶ機会が提供されます。
ドイツ|3つの要素「循環・調和・驚き」を体感
ドイツパビリオンは「循環経済(サーキュラーエコノミー)」をテーマに掲げ、「わ!ドイツ」というタイトルで展示されています。この「わ!」には複数の意味が込められており、循環の「環(わ)」、調和の「和(わ)」、そして感嘆の「わ!」を象徴しています。これにより、パビリオンは循環と調和、そして来場者を驚かせる要素が組み合わさっています。
森の茂みをイメージしたスペースに、再利用可能な最先端の建材を用いた7つの円形の木造建物が設置されています。パビリオン自体が一つの展示作品として設計されており、循環型・持続可能な建築の理念を体現しています。建築、景観、展示が一体化しており、来場者には他では体験できないような独特の環境が提供されます。この設計は、物資の再利用、エネルギー効率の高い建築技術、および生態系との調和を考慮しています。
パビリオンでの体験は、来場者に循環型の未来への道を歩むことを促し、持続可能な生活や経済への関心を高めることを目指しています。ここでは、循環型経済の原則がどのように実生活に適用されるかを具体的に学ぶことができ、インスピレーションを受けるとともに、実際の解決策や技術を目の当たりにすることが可能です。
ドイツパビリオンは、持続可能な未来への一歩を踏み出すための学びの場として機能し、循環経済の理念を広く伝えるための重要な役割を担っています。
トルクメニスタン|丸みを帯びた三角形のデザイン
トルクメニスタンパビリオンは、「より良い明日を作り出す(Inspiring a Better Tomorrow)」というテーマを掲げており、持続可能な発展と生命の流れを象徴するデザインが特徴です。パビリオンの建築は、丸みを帯びた三角形のデザインが用いられ、天井の象徴的な形状は「循環」「サステナビリティ」「生命の流れ」を表しています。このデザインは、自然との調和および生態系の持続可能性に対するトルクメニスタンの姿勢を視覚的に表現しています。
パビリオン内部では、来館者がトルクメニスタンの文化や歴史を深く理解するための展示があります。また、国の経済発展におけるサステナビリティへの取り組みが重点的に紹介されており、来場者にはトルクメニスタンがどのように持続可能な方法で成長を遂げようとしているかを体験してもらいます。
このパビリオンは、トルクメニスタンが直面する環境問題への対策や、再生可能エネルギー、自然資源の管理など、具体的な持続可能性のイニシアティブを紹介する場となっています。来館者は、トルクメニスタンの国の豊かな文化遺産と共に、未来指向的で持続可能な発展戦略を学ぶことができます。
フランス|劇場のカーテンのようなベールで覆われた外観
フランスパビリオンのテーマ「愛の讃歌」は、深い感情の糸で結ばれた人々の関係性と自然に対する愛を探求しています。このパビリオンは、日本の「赤い糸の伝説」に触発されており、運命的に結ばれた人々や自然とのつながりを象徴する糸をテーマに、自分自身、他者、そして自然への愛を探求する展示を展開しています。
パビリオンの設計は非常にユニークで、エントランスは神秘的かつ開放的な劇場としてデザインされています。この劇場形式のデザインは、パビリオン全体の芸術的アプローチを強調し、来館者を迎え入れる際に劇的な印象を与えます。建物の外側は、劇場のカーテンのようなベールで覆われ、これによって内部の展示への好奇心と期待感を高めます。
フランスパビリオンの展示の最後に位置する庭園は、自然への愛を象徴し、来館者に静寂と平和、そして美しさを感じさせる場所です。この庭園は、展示を通じて受けた印象や感情をゆっくりと噛みしめ、考えを深めるための空間として設計されています。
全体として、フランスパビリオンは愛というテーマを探求し、多様な愛の形を通じて新しい未来のビジョンを提示します。来館者はここで感じた愛の価値を再認識し、日常生活においてそれをどのように生かすかを考える機会を得ることができます。
ルクセンブルク|楽しみながら持続可能性や循環型経済を学べる場
大阪・関西万博のルクセンブルクパビリオンは、「Doki Doki – ときめくルクセンブルク」をテーマに、訪れた人々に胸が高鳴るような体験を提供します。このパビリオンは、ルクセンブルクの持続可能性と循環型社会への取り組みを反映して設計されており、鉄骨構造と膜屋根を採用しています。万博終了後には、できる限り部材を再利用する方針です。
パビリオンは、万博のサブテーマ「いのちをつなぐ」に基づき、来場者とルクセンブルク、日本とのつながりを強化します。内部では、デジタル技術を駆使してルクセンブルクの自然や生活が紹介されています。また、中庭ではルクセンブルクの伝統的な食事や飲み物を楽しみながらリラックスすることができ、ルクセンブルクの「サヴォワール・ヴィーヴル」(豊かな生活文化)を体感することができます。
建築と設計
この建物は「分解を前提とした設計」に基づいており、解体後の資材再利用を考慮した設計が施されています。基礎部分には、鉄骨フレームとコンクリートブロックが使用されており、解体と再利用が容易です。また、膜屋根は軽量かつ高性能で、建物を雨や日差しから守っています。そして他のプロジェクトで再利用することが可能です。
3つの戦略
1. Refuse(削減): 必要最小限の資材を使用し、資源とエネルギー消費を削減。
2. Reuse(再利用): 標準化された資材を選び、万博終了後に地域で再利用を目指す。
3. Recycle(リサイクル): 使わなくなった資材を地域でリサイクル。
内部では3つのステージ体験ができます。
1. ルクセンブルクの人々との出会い: 物理的な空間とバーチャルイメージを組み合わせて、ルクセンブルクの多様性や温かいもてなしを体験できます。
2. 持続可能な技術の探求: インタラクティブなゲームを通じて、未来技術と持続可能性に関する取り組みを学べます。
3. 風景と文化の没入体験: 網の上に座り、独特な視点からルクセンブルクの美しい風景や文化を堪能できます。
このように、ルクセンブルクパビリオンは、楽しみながら持続可能性や循環型経済を学べる場となっています。
ベルギー|3層構造の建物で「水」を体現
ベルギーパビリオンは、「水」というテーマを採用し、その三態―「固体」、「気体」、「液体」をそれぞれのフロアで体現しています。このユニークなコンセプトは、パビリオンの建築設計にも反映されており、3層構造の建物がそれぞれの状態を視覚的に表現しています。
- 固体のエリアでは、水が氷として固定される性質をテーマにした展示が行われ、来場者に対して氷の美しさやその利用方法についての洞察を提供します。
- 気体のエリアでは、水蒸気としての水の状態を探求し、そのエネルギー変換や気象への影響などを紹介します。
- 液体のエリアでは、水の最も一般的な状態である液体としての性質や、日常生活や産業での利用に焦点を当てます。
パビリオン内にはレストランも設置されており、来館者はベルギー料理を楽しむことができます。また、展示エリアではライフサイエンスとヘルスケア分野における最新の人間中心技術が紹介され、科学技術の進展とその日常生活への応用が展示されます。
ベルギーパビリオンは、水という素材を通じて科学的な探求と文化的な体験を結びつけ、来場者に教育的かつ楽しい体験を提供することを目指しています。
国内パビリオン
次に国内パビリオンをご紹介します。
日本館|日本の先進的な技術とイノベーションを世界に発信
日本館は、大阪・関西万博における「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを具現化する中心拠点として機能します。このテーマは、持続可能な社会を目指すための行動変容を促すことを目的としており、日本の先進的な技術とイノベーションを世界に発信します。
特に、「いのちと、いのちの、あいだに」というサブテーマを掲げて、生命(いのち)とその繋がりに焦点を当てています。このテーマを体現するため、日本館では万博会場内で発生する生ゴミを利用したバイオガス発電などの環境に優しい技術を展示し、資源の有効活用とエネルギーの持続可能な利用を提案しています。
日本館の展示は、来場者に対して具体的な持続可能性への取り組みを示すことで、彼らの意識や行動に変革を促します。これにより、一つの循環を創出し、未来社会における持続可能な生活様式への理解と関心を高めることが期待されます。
全体として、日本館は技術展示だけでなく、教育的な体験も提供し、来場者が日本の持続可能な取り組みを学び、それを自らの生活にどのように応用できるかを考える機会を提供します。
ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier
ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」は、内閣府、経済産業省、リシュモン ジャパン株式会社 カルティエ、博覧会協会が共同で出展するパビリオンであり、女性が繁栄することが人類全体の繁栄につながるというコンセプト「When women thrive, humanity thrives ~ともに生き、ともに輝く未来へ~」を掲げています。このパビリオンは、すべての人々が真に平等に生き、尊敬し合いながら共に歩み、それぞれの能力を最大限に発揮できる世界を目指すきっかけを提供することを目的としています。
展示内容は、女性たちの体験や視点を通じて公平で持続可能な未来を目指すことを訴え、来場者に女性のエンパワーメントとジェンダー平等の重要性を認識させることを意図しています。パビリオンでは、女性が直面するさまざまな課題を浮き彫りにし、それに対する解決策や取り組みを紹介することで、来場者に行動を促します。
このように、「ウーマンズ パビリオン」は、女性の権利の向上と社会全体の進歩を促進するためのプラットフォームとして機能し、ジェンダー平等が持続可能な発展に不可欠であることを強調しています。また、このパビリオンは、文化的、経済的、社会的な観点から女性がどのように社会に貢献しているかを示すことで、来場者にインスピレーションを与え、共感を呼び起こすことを目指しています。
大阪ヘルスケアパビリオン|2050年頃の未来の自分と出会うというユニークな体験
大阪ヘルスケアパビリオンは、大阪府と大阪市が大学や企業などと連携し、産学官一体となって出展するパビリオンです。このパビリオンのテーマは「REBORN」であり、「いのち」と「健康」をキーワードに、来場者が未来の大阪の可能性を感じることができるような展示体験を提供しています。
展示の一つの特徴として、パーソナルヘルスレコード(PHR)を活用した体験があります。これにより、来場者は自分自身の健康情報を基に、2050年頃の未来の自分と出会うというユニークな体験ができます。この未来の自分と一緒に、未来のフードやヘルスケア技術を体験することが可能です。
このパビリオンは、教育的で楽しい体験を通じて、子どもから大人までの来場者に健康とウェルネスの重要性を教えるとともに、科学技術がいかに私たちの生活を豊かにし、健康を向上させるかを示します。また、大阪がこれらの分野でどのようなイノベーションをリードしているかを紹介することで、地域の強みと未来へのビジョンを強調しています。
全体として、大阪ヘルスケアパビリオンは来場者に対して、健康とテクノロジーの融合がもたらす未来の可能性を感じさせる場となっており、健康情報を活用した未来予測やインタラクティブな体験を通じて、健康意識の向上と科学への興味を促しています。
関西パビリオン|白い膜が覆う外観にプロジェクションマッピングが投影
関西パビリオンは、「いのち輝く関西悠久の歴史と現在」というテーマで、関西地方の9府県(滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、徳島、福井、三重)が共同で出展します。このパビリオンは、関西の豊かな歴史と現在の文化を体現し、その多彩な魅力を国内外の来場者に広く紹介することを目的としています。
建物の外観は、白い膜で覆われ、その上にプロジェクションマッピングを活用した映像が投影されます。これにより、昼夜を問わず視覚的に魅力的な外観が演出され、関西の伝統と現代技術が融合した表現が可能になります。さらに、切り絵のデザインが施されていることで、日本の伝統的な芸術形式も取り入れられ、来場者には視覚的な美しさとともに文化的な深みを感じてもらえる設計となっています。
パビリオン内部では、参加している各府県が独自の展示エリアを設けており、それぞれの地域が持つ歴史や文化、観光スポットなどを紹介します。これにより、来場者は関西地方の多様性と地域ごとのユニークな特色を一堂に見ることができます。
全体として、関西パビリオンは関西地方の過去と現在を繋ぐ橋渡しとなる場所であり、その悠久の歴史と現代文化が交差する点を体感することができるパビリオンです。来場者には、関西の持つ無限の可能性とその地域が誇る豊かな文化遺産が、革新的な方法で伝えられます。
企業パビリオン
企業パビリオンには、パナソニックや吉本興業を含む13館が参加しています。バンダイナムコは『機動戦士ガンダム』の世界観を展開し、日本ガス協会は「おばけ」をテーマにした参加型アトラクションを提供しています。企業パビリオンをご紹介します。
NTT Pavilion “Natural”|NTTグループ
NTTパビリオンは、NTTグループが開発した次世代インフラ「IOWN」とその最先端の研究開発技術を活用して、新しいコミュニケーションの形を提案する場として設計されています。IOWNは大容量、低遅延、低消費電力の特性を持ち、これにより、物理的な距離や心理的な障壁を超えて、遠く離れた人々や物ともに空間や感覚を共有できる体験が可能になります。
パビリオンのテーマ「Natural」は、リアルとバーチャルの境界を曖昧にし、来場者に自然で直感的な体験を提供することを目指しています。このテーマのもと、NTTは来場者に対して、新しい形のコミュニケーションがもたらすワクワクするような未来を展示します。来場者は、NTTの先端技術を体感することで、より豊かで効果的なコミュニケーションの可能性を探ることができます。
NTTパビリオンは、テクノロジーとヒューマンインタラクションの融合を促進し、人々がどのように接続し、情報を共有し、共感を深めるかという点において、革新的なビジョンを提供します。このパビリオンは、来場者に未来のコミュニケーション技術の進化を直接体験してもらうことで、新たな可能性を感じ取ってもらうことを目的としています。
電力館 可能性のタマゴたち|電気事業連合会
電力館は、「カーボンニュートラルのさらにその先」を見据え、電力業界ならではの視点から未来社会を描くことを目指しています。このパビリオンは、エネルギーの無限の可能性を探求し、それを「可能性のタマゴ」と称して、来場者に体験してもらうことで、エネルギーが未来を切り開く力を感じてもらいます。
外観については、非常にユニークなデザインが採用されています。ボロノイ構造を採用したタマゴ型の形状は、自然界に見られるパターンを模倣しており、未来の技術と自然の調和を象徴しています。さらに、外壁のシルバーの膜は、天候や時間帯によって見え方が変わるため、環境との一体感を演出しつつ、多様な未来の可能性を視覚的に表現しています。
電力館の展示は、エネルギーに関する最新技術や持続可能なソリューションを紹介し、来場者に環境問題への意識を高めさせるとともに、これからの社会でどのように電力が利用されるかを示します。このようにして、電力館はエネルギー業界の未来像を描き、持続可能な未来への道を提案しています。
住友館|住友 EXPO2025 推進委員会
住友館では、「さあ、森からはじまる未来へ」というテーマを掲げています。このパビリオンは、社会や環境問題に対する関心を持ち続けることの重要性を来場者に伝え、自然との繋がりを深める体験を提供することを目的としています。
パビリオンでは、森の中を散策しながら「いのちの物語」に出会うインタラクティブな体験が用意されています。この体験を通じて、森が持つ豊かな生態系とそこに息づく生命の多様性を実感できます。また、来場者自身が参加できる植林体験も実施され、この活動を通じて、個々の行動が環境に与える影響を学び、自然保護への意識を高める機会を提供します。
住友館での体験は、将来にわたって森や自然と向き合う大切さを伝える「原体験」として機能します。植林された木々は数十年後、100年後にも成長を続け、来場者が植えた木が未来へと受け継がれていく様子を象徴的に示します。これにより、自然との継続的な関わりが未来の世代への責任を意識させ、持続可能な行動を促進するきっかけとなります。
全体として、住友館は森と人とのつながりを重視し、環境への思いやりと行動を促すパビリオンとなっています。
パビリオン「ノモの国」|パナソニックグループ
パナソニックグループが展開する「ノモの国」というパビリオンは、「モノとこころは写し鏡のような存在である」という考え方を基に命名されました。このパビリオンのコンセプト「解き放て。こころとからだとじぶんとせかい。」およびタグライン「Unlock your nature」は、来場者に自分自身と向き合い、内面の可能性を解放する体験を提供することを目的としています。
「ノモの国」では、特に子供たちに焦点を当て、こころの持ち方を変えるような体験を通じて、「自分を信じる力」と「一歩を踏み出す勇気」を育む機会を提供します。このパビリオンは、参加型の活動やインタラクティブな展示を通じて、来場者が自己認識を高め、自己表現の方法を学び、個々の内面と深く向き合うことができるよう設計されています。
全体として、「ノモの国」は、テクノロジーと創造性を駆使して、子供たちだけでなく全ての来場者が自分自身のこころと身体、そして外の世界との関係を再考し、新しい自己発見の旅に出るきっかけを提供します。このパビリオンは、個人の成長と自己実現をサポートする場として、精神的な解放と勇気ある一歩を促進することを目指しています。
三菱未来館|三菱大阪・関西万博総合委員会
三菱未来館は、「いのち輝く地球を未来に繋ぐ」という基本コンセプトのもとに、来場者に「いのちの始まり、いのちの未来」などいのちに関わる深い思いを感じさせる展示を提供しています。パビリオン自体が地上に浮かぶマザーシップのような外観を持ち、未来的かつ幻想的な雰囲気を醸し出しています。
展示の特徴的な点は、地下空間から始まり、未知なる深海の世界を経て、遥かなる宇宙へと続く、いのちを巡る壮大な旅を来場者に体験させることです。この旅は、いのちの尊さや出会いの奇跡を通じて、自然と宇宙のつながりを探求することを目的としています。
三菱未来館では、最新のテクノロジーや創造的な展示手法を駆使して、来場者にこれまでにない未知なる体験を提供し、いのちとは何か、その未来について考える機会を提供します。このような独特なアプローチは、教育的な側面とエンターテイメントを融合させ、幅広い年齢層の来場者に深い印象を与えることでしょう。三菱未来館は、未来への思索と共に、いのちの重要性を再認識する場となることを目指しています。
よしもと waraii myraii館|吉本興業ホールディングス株式会社
よしもと waraii myraii館は、笑いとエンターテイメントを通じて「いのち輝く未来」を探求するユニークなパビリオンです。この施設のメインエントランスは、丘の上に浮かぶ直径約20メートルの笑顔の球体で、このユニークなデザインは訪れる人々を即座に引きつけます。パビリオン全体は、様々なイベントやショーが楽しめる広場で構成されており、来場者に連続したエンターテイメントを提供します。
パビリオンのコンセプトは、笑いの新しい可能性を拡げることにあり、SDGsの先にある真の「いのち輝く未来」を目指しています。言葉や文化を超えて、世界中の子どもたちが笑顔でつながることができるような、楽しい展示やコンテンツが展開されています。これにより、来場者は国籍や文化の壁を超えて、共通の喜びを共有する体験を得ることができます。
来場者は、このパビリオンでの体験を通じて、笑いがいかにして人々を結びつけ、ポジティブな影響を社会に与えるかを体感することができます。よしもと waraii myraii館は、単なるエンターテイメントの提供だけでなく、笑いを通じた社会的なメッセージと結束の強化を目指しており、すべての年齢層の来場者にとって魅力的な場所となっています。
PASONA NATUREVERSE|株式会社パソナグループ
PASONA NATUREVERSE パビリオンは、「いのち、ありがとう。」という感謝のコンセプトを基に設計されており、生命の象徴である心臓を模したiPS心筋シートなどの最先端技術を展示しています。このテクノロジーは、医療分野における革新的な進歩を示しており、訪問者に未来の医療技術についての理解を深めさせます。
パビリオンのテーマ「からだ・こころ・きずな」は、人間の肉体、精神、そして社会的なつながりに焦点を当てた展示を通じて、健康とウェルビーイングの重要性を探求します。展示は、生命への感謝と尊重を促す内容で構成されています。
また、鉄腕アトムがパビリオンのナビゲーターとして登場し、来場者を案内します。彼は日本のポップカルチャーのアイコンであり、未来のテクノロジーと人間性の間の橋渡し役を果たします。さらに、ブラック・ジャックは未来の医療のあり方や、環境にも人にも優しい食べ物などを紹介し、持続可能なライフスタイルについての議論を促します。
このパビリオンでは、これらのキャラクターと共に、生命の歴史を学びながら、人類の知恵や未来社会のデザインに触れることができます。PASONA NATUREVERSEは、最新の科学技術と人文科学が交差する場所として、来場者に深い洞察と新たな視点を提供することを目指しています。
BLUE OCEAN DOME|特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン
BLUE OCEAN DOMEは、海洋環境の保護と持続可能な利用を推進する目的で設計されたパビリオンです。2019年のG20大阪サミットで発表された「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」に基づき、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指しています。このビジョンの実現に向けて、BLUE OCEAN DOMEは、海洋資源の持続的活用と海洋生態系の保護をテーマにしています。
パビリオンでは、「海の持続的活用」に関する保全と啓発促進のための取り組みが展示され、来館者は環境保護の重要性について楽しみながら学ぶことができます。展示内容には、海洋生態系の重要性、海洋プラスチック問題の現状とその影響、そしてそれを解決するための具体的な手法や技術が含まれています。
BLUE OCEAN DOMEは、来館者に海洋環境の現状を理解させるとともに、個人として、またコミュニティとしてどのように行動を起こせば海洋環境を保護し、持続可能な未来を実現できるかを示すことを目的としています。これにより、「ブルーオーシャン宣言」の実現に向けた社会全体の意識改革と行動変容を促すことが期待されます。
GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION|株式会社バンダイナムコホールディングス
GUNDAM NEXT FUTURE PAVILIONは、ガンダムシリーズが持つ独特の宇宙世紀を再解釈し、「もうひとつの宇宙世紀」をテーマにした展示を行っています。このパビリオンでは、ガンダムと人類が共存する新たな未来を探求し、未来社会の課題解決に向けた共創の可能性を模索します。
パビリオンのデザインは、未来のスペースエアポートをイメージしており、人類が宇宙に生活圏を拡大した世界観を表現しています。この空間では、ガンダムの生誕45周年を記念して、これまでの歴史を振り返りながら、ガンダムがこれから展開していく可能性についての新しい展望を発表します。
来場者は、ガンダムの世界観を体感しながら、未来について深く考える機会を得ることができます。また、ファンや来場者との交流を通じて、次なる未来社会のビジョンを共に創造する場となることを目指しています。このパビリオンは、ガンダムファンだけでなく、広い意味での未来技術や社会設計に興味を持つ来場者にとっても魅力的な体験を提供します。
TECH WORLD|玉山デジタルテック株式会社
「TECH WORLD」パビリオンは、自然の要素と先端技術を融合させた革新的な展示空間を提供します。このパビリオンの建築デザインコンセプトは「心の山」で、高くそびえる群山から着想を得たものです。このデザインは自然の雄大さと人間の内面的な成長と探求を象徴しています。
展示内容では、「都市×地方」、「大自然」、「暮らし」のエッセンスをデジタル技術や立体映像技術と組み合わせることで、来場者に全く新しい体験を提供します。このパビリオンは特に、来場者の「六感」—視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚、感性—に訴えかけ、感覚を通じてテクノロジーの可能性を探ります。
また、「TECH WORLD」ではデジタル技術を活用して、先端技術が私たちの生活にどのような変化をもたらすかを紹介します。このパビリオンは、日常生活におけるテクノロジーの影響を理解し、将来の技術革新が人々の生活をどのように豊かにするかを探る場となるでしょう。
全体的に、「TECH WORLD」パビリオンは、自然のインスピレーションと最新テクノロジーの融合を通じて、来場者に感覚的かつ知的な体験を提供し、テクノロジーと人間の関係を再考する機会を提供します。
ガスパビリオンおばけワンダーランド|一般社団法人日本ガス協会
「おばけワンダーランド」は、「化けろ、未来!」をコンセプトに掲げた来場者参加型のエンターテインメントパビリオンです。このユニークなテーマは、おばけたちと共に未来へ「化ける」というドキドキ・ワクワクするような体験を提供することを目指しています。
このパビリオンでは、キャラクター「ミッチー」が案内役として登場し、来場者を楽しませながら未来の技術やカーボンニュートラルを実現するための新しい発見を紹介します。このアプローチは、エンターテイメントと教育を組み合わせることで、環境問題に対する意識を高めつつ、来場者に積極的な学びの機会を提供します。
パビリオン内では、様々な「化ける」をテーマにしたインタラクティブな展示やアクティビティが用意されています。これにより、来場者はおばけたちと共に未来技術を体験し、これがどのように日常生活や社会に役立つかを理解することができます。
全体的に、「おばけワンダーランド」は、楽しみながら学べる環境を提供し、特に若い来場者に対して、未来への好奇心と環境保護への関心を育むことを目指しています。このパビリオンは、エンターテインメントを通じて未来の可能性を探る魅力的な場所となっています。
飯田グループ×大阪公立大学共同出展館|飯田グループホールディングス株式会社
このパビリオンは、「サステナブル・メビウス」という外観コンセプトを採用しており、持続可能性と永続性を象徴するメビウスの帯がインスピレーション源です。このデザインは、人々が幸せに暮らすという変わらない願望と、輝く「いのち」への希望を表現しています。
パビリオンは特殊加工された西陣織の生地を全面に使用しており、これにより未来と伝統の融合が具体的に示されています。西陣織は日本の伝統的な織物技術であり、その現代的な応用は、技術と伝統がどのように融合し、新しい形を創出できるかを象徴しています。
内部では、新技術や脱炭素社会に向けた新エネルギーを利用した「未来型住宅」や「まちづくり」が紹介されています。これらの展示は、健康的で快適な生活空間を実現するための最新技術やアプローチを示し、来場者に持続可能な未来に向けた具体的なライフスタイルの選択肢を提供します。
このパビリオンは、美的にも機能的にも未来指向的でありながら、日本の美意識と持続可能な開発へのコミットメントを巧みに組み合わせています。来場者は、伝統と革新がどのようにして新しい社会的、環境的課題の解決に貢献するかを学ぶことができます。
ORA外食パビリオン『宴~UTAGE~』|一般社団法人大阪外食産業協会
このパビリオンは、外食産業の新しい動向と変化に対応するためのコンセプト「宴~UTAGE~」を掲げています。コロナ情勢や世界的な食の都市間競争の中で、外食産業は大きな変革期にあります。このパビリオンは、人々が集まり、共に時間を楽しむ「熱量のある外食」の重要性を強調し、新しい形の外食体験を提案しています。
具体的には、「宴~UTAGE~」のコンセプトの下で、5つのアクション—おもてなし、食体験、新境地、賑わい、外食産業の発展—を実現することを目指します。これらのアクションは、来場者に対して、ただ食事を提供するだけでなく、食を通じて人々がどのようにつながり、新しい文化的体験を共有できるかを示すものです。
- おもてなし: 顧客の期待を超えるサービスと心地よい空間提供。
- 食体験: 料理の味はもちろん、それを楽しむ全体的な体験を重視。
- 新境地: 斬新な料理やコンセプトを通じて外食の新しい可能性を探る。
- 賑わい: 食を通じた社交場としての機能を強化し、人々が集まる楽しい場を提供。
- 外食産業の発展: 業界全体の持続可能な成長と革新を目指す。
このパビリオンは、外食が単なる食事の場でなく、文化的交流と創造の場であることを再定義し、新しい外食の形態を世界に広めることを目指しています。来場者は、外食がどのように社会的なつながりや文化的な豊かさを促進するかを体験し、外食産業の未来について新たな視点を得ることができます。
大阪万博は成功するのか?予想来場者数、経済効果について
予想来場者数について
2025年大阪・関西万博の来場者数は、会期中の半年間で約2,820万人と想定されています。(参考:大阪・関西万博 来場者輸送具体方針(アクションプラン) 第 2 版。来場者総数の約2,820万人のうち、国内来場者は約90%、海外来場者は約10%とされています。また、国内来場者のうち、近畿圏内からの来場者が約60%、近畿圏外からの来場者が約40%と想定されています。
経済効果について
2025年大阪・関西万博による大阪府内の経済波及効果は、約1兆6,000億円に上るとされています。この金額は、経済産業省が試算する国内全体の経済波及効果約2兆9,000億円の約50%に相当します。この試算は、会場建設費を含む建設投資、運営・イベント効果、そして来場者消費の三つの要素に基づいています。
内訳は以下の通りです。
- 建設投資による効果が5,700億円
- 運営・イベント効果が3,200億円
- 来場者消費が7,200億円
実際のところ、大阪万博の2兆円の経済波及効果が実現可能かどうかについては、様々な要因に依存しています。計画では、万博によって約28.2百万人の来場者を引きつけることを目指しており、その消費による直接的な経済効果が大きな部分を占めると予想されています。ただし、建設コストの高騰や労働力不足などの問題が、計画の遂行に影響を与える可能性があります。
さらに、万博の開催による経済活性化や中小企業の支援など、地域経済全体に及ぼす間接的な効果も期待されていますが、これらの効果が具体的にどの程度実現されるかは、万博の運営の効率や参加国の活動の質に大きく左右されます。
建設費が大幅に膨らみ、開催そのものに批判が集まる大阪万博ですが、万博の成功は民間企業の底力に左右されるとも経済ジャーナリスト磯山友幸氏は指摘しています。(引用:「万博、中止でええやん」(プレジデントオンライン)
また、新型コロナの影響が減退し、円安の影響もあり、訪日外国人の数が急増しています。この流れが万博の成功にも寄与することが期待されています。万博の成功は新しい日本企業の姿を国内外にアピールする絶好の機会となりえます。万博がどのように展開されるかによって、日本の未来への投資や国際的な評価が左右されるため、その成否は非常に重要な意味を持つことになります。
大阪万博が批判されている点について
大阪・関西万博への批判は、主にコスト増加と建設遅延に関連する懸念から生じています。当初の予算は1,250億円でしたが、その後、パンデミックの影響やウクライナの紛争による建材と燃料の価格上昇を受けて、約1,850億円に近い50%の増額が必要とされました。この財政的な問題に加えて、地元住民は、東京オリンピックの際に経験したように、財政的な負担が自分達に降りかかることを恐れています。
さらに、建設スケジュールは様々な要因により影響を受けています。世界的な鋼材と労働力の不足が、会場の準備に遅れをもたらし、参加国のパビリオン建設数も60から40へと減少しました。これにはメキシコやエストニアなどの国々が撤退した事例も含まれます。
また、会場となる夢洲は、工業廃棄物を利用した人工島で、その柔らかく水分を含んだ土壌は自然災害時の液状化のリスクを高めるため、批判の一因となっています。
このように、万博は世界の革新を紹介し、国際協力を促進する目的で開催される予定ですが、これらの運営上の課題と財政超過が熱意を減退させ、プロジェクトの実現可能性と影響についての透明性と再評価を求める公的な声が高まっています。
まとめ:大阪万博の魅力を発信する
経済効果が当初の見積もりを上回るかどうかは、これからの準備と運営次第であり、国内外の状況変化による影響も考慮に入れる必要があります。2兆円の経済波及効果が実現するかどうかは不明ですが、世界から政府、企業の関係者が集まりビジネスのきっかけを掴むチャンスでもあります。その意味でも、大阪万博の魅力ひとつひとつを発信し、より多くの人が注目し多くの技術が発表される場となるべきでしょう。改善できる部分は改善し、国際舞台で日本の企業をアピールできるこのイベントを成功させるために協力することが、現在のところ最善策と言えるでしょう。
関連記事:
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※参考文献
大阪・関西万博
開催まであと2年の「大阪万博」
2025年大阪・関西万博で未来を体感「未来の暮らし」を知る注目エリアとは
万博の華「パビリオン」に「未来社会の実験場」…大阪・関西万博、ここに注目!
(シグネチャーバビリオン関連)
宮田裕章 シグネチャーパビリオン Better Co-Being
石黒浩・シグネチャーパビリオン「いのちの未来」
null2
いのち動的平衡館 大阪・関西万博
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EXPO 2025 大阪・関西万博 河森 正治 シグネチャーパビリオン
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(その他)
めざせ「万博史上最軽量」 スイスがパビリオンの完成イメージを公表
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万博経済効果、大阪府内で「1.6兆円」か…府市試算
大阪万博「関連費」に約13兆円 便乗の広域開発「理解できない」