中小企業もDX推進に取り組む必要があります。既存システムが老朽化するとシステムの保守費が高くなり、悪意を持ったハッカーによる攻撃によりシステムトラブルが発生し、業務が停滞する恐れがあります。システムの見直しを図ることで、業務の効率化とコスト削減、セキュリティの強化を実現することができます。
このような背景により、DX推進を図る中小企業が増えつつありますが、補助金を有効に活用していない中小企業が多いです。DXを推進する補助金は多数あり、有効に活用できれば非常に安価で推進することができます。そのため、DX関連の補助金を活用する方法を覚えておきましょう。この記事では、DX関連の補助金の一覧表と活用方法について解説します。
DX関連の補助金の活用方法
DX関連の補助金を申請する前に、正しい活用方法を把握しておきましょう。
1.DX導入のステップを把握しておく
まずは、DX導入のステップを把握しておきましょう。どのような手順でDX推進していくかを把握しておけば、補助金申請時だけではなく、実際DXを導入するプロセスにおいても非常に役に立ちます。
1.業務プロセスを効率化するツールを把握する | CRMやSFA、RPAなど業務効率化を図るツールについて把握する |
2.自社の商材の強みを把握する | 競合他社に勝つために、どのようなテクノロジーを活用すべきか考えてみる |
3.DX推進の計画を立てる | DX推進で何を実現するか計画を立てていく |
4.DX推進に合意してもらう | DX推進はトライ&エラーを繰り返す必要があるため、従業員に合意を得て協力してもらう |
5.DX推進のチーム体制を整える | DX推進していくためのチーム体制を整える |
6.DX推進の目標を立てる | DX推進で実現したい目標を立てておく |
7.DX推進の評価を行う | DX推進の効果を測定して評価する |
※(可能であれば)DXの原動力となるテクノロジーを把握する | AI・IoT・5GなどのDXを実現するためのテクノロジーについて把握する |
2.DXに詳しい専門家に相談に乗ってもらう
DX導入ステップでは、原動力となるテクノロジーや業務効率化を実現するツールに関する知識が必要です。
これらの知識を基礎から学ぶと想像以上に大変で、DX推進を実現するまでに時間がかかります。そのため、DXに詳しい専門家に相談するのも1つの方法です。同業界のDX推進の実績を持つ専門家であれば、競合他社がどのようなDX推進を行っているかを教えてくれるでしょう。
3.DX関連の補助金を活用する
大企業ではDX推進が積極的に行われています。しかし、中小企業ではDX推進が積極的に行われていません。その理由は、DX推進には莫大なコストが必要で、中小企業は費用対効果が感じにくくなっているためです。このような課題はDX関連の補助金を活用することで解決できます。DX関連の補助金を活用すれば、少額の初期費用でDX推進が実現できます。
DX関連の補助金の一覧表
中小企業のDX推進は、補助金の活用がポイントとなります。しかし、さまざまな補助金があり併用はできません。そのため、最適な補助金が選択できるように理解を深めておきましょう。次にDX関連の補助金について簡単に説明します。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
新商品開発のために製造機械の購入やシステム構築する場合に申請できる補助金です。認定支援機関の支援を受けながら、事業計画書を作り申し込む必要があります。
【対象事業者】
中小企業・小規模事業者(5年以内に付加価値額は年率3%、経常利益は年率1%アップを達成できる計画が必要)
【補助額・補助率】
上限額 | 補助率 | |
一般型 | 1,000万円 | 1/2 |
小規模型 | 500万円 | 小規模事業者2/3 |
その他事業者1/2 | ||
企業間データ活用型 | 2,000万円 | 1/2 |
地域経済牽引型 | 1,000万円 | 1/2 |
IT導入補助金
バックオフィス業務効率化や生産性工場、新規顧客獲得のために、ITツールを導入する場合に申請できる補助金です。
【対象事業者】
ITツールを導入する企業(飲食・宿泊・小売・運輸・医療・介護・保育・製造・建設などあらゆる業種が対象)
【補助額・補助率】
事業類型 | 通常枠 | 低感染リスク型ビジネス枠 | ||
A類型 | B類型 | C型類 | D型類 | |
補助下限額・上限額 | 30万~150万円未満 | 150万から450万円未満 | 30万円~450万円 | 30万円~150万円 |
補助率 | 1/2 | 2/3 | ||
補助対象経費 | ソフトウェア・クラウド利用費、専門家相談料 | ソフトウェア・クラウド利用費、専門家相談料、PC・タブレットのレンタル費用 |
戦略的基盤技術高度化支援事業
事業者の大部分を占める中小企業を中心としたイノベーション創出に向けた支援です。中小企業が産学官と連携して行う研究開発や新サービス開発をする場合に申請できる補助金です。
【対象事業者】
「特定ものづくり基盤技術高度化指針」に記載された内容に関する研究開発を実施する中小企業
【補助額・補助率】
上限額 | 補助率 | |
中小企業 | 4,500万円(※3年間で9,750万円) | 2/3 |
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援するための補助金です。販路拡大を目的とした費用(機械装置・広報費・展示会出展費・旅費・開発費・資材購入費・専門家謝礼金・設備処分費など)などに充てることができます。
【対象事業者】
販路開拓を計画している小規模事業者
【補助額・補助率】
上限額 | 補助率 | |
中小企業 | 50万円 | 2/3 |
サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、我が国のサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから強化を図る目的で誕生した補助金。
【対象事業者】
サプライチェーン対策のため、建物・設備・システム投資を図る事業者
【補助額・補助率】
上限額 | 補助率 | |
中小企業 | 5億円 | 2/3 |
全国事業再構築補助金
Withコロナ時代はビジネス方法が大きく変えなくてはいけなくなりました。新分野展開・業態展開・事業や業種転換・事業再編などに取り組む際に申請できる補助金です。
【対象事業者】
下記に該当する事業者が対象となります。
- 2020年4月以降の連続する6ヵ月間で、任意の3ヵ月の合計売上高がコロナ以前と比較して10%以上減少している
- 2020年10月以降の連続する6ヵ月間で、任意の3ヵ月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少している
- 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定して事業再構築している
- 補助事業終了後、3~5年以内に付加価値額の年率3.0%と以上増加、従業員1人当たりの付加価値額の年率平均3.0%以上を達成すること
【補助額・補助率】
上限額 | 補助率 | |
通常枠 | 100万円~8,000万円 | 2/3(6,000万円超の場合は1/2) |
卒業枠 | 6,000万円~10,000万円 | 2/3 |
テレワーク促進助成金
働き方の多様化を実現するためにテレワークを開始する際に利用できる助成金です。PCやスマホ、VPNルータ、無線LAN、Web会議ツールなどの導入費に助成金が活用できます。
【対象事業者】
各都道府県で対象事業者は異なります。東京都の場合は、下記の要件に該当する事業者が対象となります。
- 東京都に事業所がある
- 常時雇用労働者数999人以下
- 都内に勤務する常時雇用労働者2名以上、6ヵ月以上継続雇用していること
- 過去5年間に重大な法令違反等がないこと
- 「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
上限額 | 補助率 | |
一般型 | 250万円(※3年間で9,750万円) | 10/10(100%) |
補足:自治体の補助金も確認しよう
上記に該当する補助金は、国が中心となり支援しているものです。上記以外にも自治体が主体となっている、補助金制度があります。そのため、企業の所在地を管轄する自治体にお問い合わせをして、DX推進に役立つ補助金がないかを確認してください。自治体の補助金も積極的に活用していきましょう。
補助金申請前にDX推進計画を立てることが大切
DX関連の補助金をご紹介しましたが、同一事業で補助金の併用は認められていません。(※異なる事業で別々の補助金を活用することはできます。)そのため、どの補助金を活用すべきかを慎重に選ばなければいけません。補助金申請前にDX推進計画を立てて、最適な補助金を選ぶようにしましょう。
しかし、補助金制度には予算が組まれており、上限を超えると募集が中止されます。そのため、素早く補助金申請の手続きを行わなければいけません。また、事業計画書はシッカリと作成されているかもチェックされます。このように、補助金申請にはコツがあるため気をつけてください。
まとめ
今回は、中小企業が活用できるDX関連の補助金をご紹介しました。最後にDX関連の補助金を活用する場合の注意点をおさらいしておきましょう。
【補助金活用の注意点】
- DX推進の計画書を作成して、どのような取り組みを行うかを考えておく
- 補助金は予算を超えたら募集終了となるため、早めに申請をする
- 補助金採択は申請書の書き方が影響するため、専門家に相談をする
中小企業がDX推進化を図るには補助金の活用は欠かせません。しかし、DX推進に関する知見や補助金申請がわからずに悩む中小企業も珍しくありません。このような悩みを抱えた場合は、ぜひ「ベリーグッド社」までご相談ください。DX推進計画から補助金申請までワンストップでサポート致します。