地方創生の方法

地方創生は意味があるの?地方活性化は中央依存型からの脱出がカギ

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地方創生の目的は、「人口減少の克服」「地方の活性化」「東京一極集中の緩和」で、国は必要な予算を取り推進していますが、依然として地方の経済の落ち込みは続いています。果たして、地方創生の政策には意味があるのでしょうか?地方の経済を回復させるためには、各自治体はどのようなことに取り組めば良いのでしょうか?

今回は、地方創生のカギを握る「中央依存型から脱却する方法」をご紹介します。

政府の地方創生は意味がない理由

中央依存型経済構造の図
出典元:『BBT大学総合研究所』

結論から云うと、政府による地方創生には、あまり意味がありません。海外では、人口が多い都市の問題を政治の課題に設定するケースはありますが、地方創生を政治の課題に設定しているのは、日本だけです。

日本では、各都道府県が均一に発展することに主眼が置かれ、人口の少ない地域の問題も、都市部と同様に、政治の課題として取り扱われています。

一方で、「東京一極集中の問題」「少子高齢化の問題」などの諸問題を解決しなければ、地方創生に予算をかけても効果が上がりません。また、現在の地方創生の政策が、短期間で成果を出せるものが良しとされている以上、期待できる効果が少ないのが実情です。

地方創生にイタリアが参考になる理由

イタリアの風光明媚な景色

地方創生の政策効果が見込めない自治体は、イタリアを参考にすると良いでしょう。その理由は3つあります。

政府に頼らずに自力で売上を伸ばしている

イタリアの国家経済は破綻しており、債務危機の再来などニュースでも取り上げられている通り、国民は政治を信用していません。また、政治自体を迷惑なものだと思っているのです。

イタリアの企業は自社商品のブランド力を磨いており、政府に頼らずに自力で売上を伸ばすという意欲が高いです。例えば、日本でも有名なフェンディやグッチもイタリアのメーカーです。また、パルメザンチーズで有名なパルミジャーノなども世界的に知られています。このようなイタリアの企業は、自力で国内・国外の市場を開拓して売上を伸ばしているのです。

商品の知名度を醸成させて輸出に成功している

イタリアの企業はブランド力を持っており、日本国内でも愛されている商品が数多く存在しています。各自治体は、商品の知名度を醸成させて、世界の人々に自社商品を売り、収益を上げています。小さな村が世界に商品を輸出し、1500億円を売り上げることができるのです。このように、自治体が単独で莫大な売上を出していければ、地方創生に予算を割り当てられます。

それだけでなく、企業に就職したい人が地方に住み始めたり、観光客が訪れたり、地方活性化の効果が見込めるのです。

従業員15人未満の企業が多い

欧州の中でも、イタリアは従業員15人未満の零細企業が多い国で有名です。その理由は、従業員を増やして大企業にすると徴収される税金が高くなるためです。このような理由により零細企業が多い国として知られていますが、零細企業が集まった地域が自力で地方創生できているため、参考にしやすいです。

自力で地方創生して地域活性化する方法

河川と中州に地球儀のデジタル画像

イタリアの小さな村の地方創生を参考にすべきだと説明しましたが、どのように地域活性化させていけば良いのでしょうか?ここでは、自力で地方創生して地域活性化する方法をご紹介します。

自社製品のブランディングをする

最初に、自社製品のブランディングを強化していきます。日本国内で製造している商品には品質が良い商品が多く存在します。品質の高い商品として世界でも認められているものには、新潟県の燕市の金属製洋食器や福井県鯖江市のメガネがあります。

これらが、世界で売れないのは、ブランディングをしていないためです。その結果、ブランディングに成功するOEM開発会社に越境ビジネスの機会を取られてしまうのです。

これまで、超境ビジネスは、大手企業が取り組むものだと認識されていたため、仕方ないことかもしれませんが、地域にある商品のブランディングは、地方創生に必要不可欠です。

自社製品の販路を自力でつくる

ブランド力を持つ製品を製造したら、海外に輸出する販路をつくります。海外に輸出する販路と考えると難しくなりがちですが、ITを駆使して商品PRするだけです。

近頃はIT技術が発展してきており、超境ECサイトが簡単に制作できるようになりました。越境ECサイトを制作できるサービスを利用すれば、必要な情報を入力するだけでECサイトができます。

また、自動翻訳機能で多言語に翻訳してもらうことも可能です。このように、世界に情報発信するためのハードルが下がってきているため、世界の人々に地域の情報を届けられます。

世界の人に受け入れられる価格設定をする

最後に、価格設定も必要です。商品の価格設定は安ければ良いというものではありません。ブランドにふさわしく、世界の人に受け入れられる価格を設定しましょう。世界の競合他社の価格をリサーチして価格設定することをおすすめします。

自力で地方創生に励んでいる成功事例

最後に、自力で地方創生に励む自治体の事例をご紹介します。ぜひ、地方創生の取り組み方の参考にしてみてください。

ブランディングで観光誘致に成功した「阿智村」

日本一の星空ツアー 天空の楽園 公式ホームページ
出典元:『日本一の星空ツアー 天空の楽園 公式ホームページ』

長野県阿智村は、「日本一の星空ナイトツアー」という旅行プランをつくりました。2012年から旅行プランを提供していましたが、2015年には年間6万人を誘致するほどの人気スポットに。阿智村の中心地には昼神温泉があり、温泉旅館が20軒ありますが、定価の宿泊料金でも予約が満杯になるほど盛況しています。ブランディングに成功して、地方創生に成功している自治体として注目を浴びています。

世界にメガネの情報を届ける「鯖江市」

福井県鯖江市 鯖江めがね 総合案内サイト
出典元:『福井県鯖江市 鯖江めがね 総合案内サイト』

福井県鯖江市のメガネは、世界の中でも高い品質の製品です。このメガネを武器にして、地域活性化に励んでいます。具体的な取り組み方を説明すると、中国の北京で開催された「世界のめがね展示会」に出展し、製品をPR。それだけでなく、展示会の来場者がスムーズにメガネを購入できるように、中国のSNSアカウントWeiboや越境ECサイトを作成したのです。

このような取り組みを定期的に実施しており、世界中にメガネを販売し、地域活性化に成功しています。

技術力の高さで魅了し観光誘致に成功した「三条市」

新潟県三条市公式観光サイト
出典元:『新潟県三条市公式観光サイト』

新潟県三条市には多くの工場があり、職人の技術が宿る製品が製造されてきました。職人の技術による高品質な製品を多くの人に知ってもらうために、ものづくりを学べる祭典「燕三条 工場の祭典」を毎年開催しています。この祭典には、109の事業所が参加していますが、年々来場者数は増えていき、1回の開催で5万人以上が訪れる祭典となりました。

祭典が注目を浴びた背景の1つとして、外国人向けに、ものづくりの魅力をメディアで紹介していることが挙げられます。このような取り組みで、三条市に興味を持ってもらい観光誘致に成功しています。

地方創生に積極的な企業とは?

大企業を中心として地域創生に対して積極的に関与する事例が増えてきています。代表的な事例について以下採り上げたいと思います。大企業が地方創生に積極的になることで、各地方で雇用が生まれ、かつ外部からの人流の増加に伴う経済効果が期待できます。

パソナグループ

2020年にパソナグループは本社機能の一部を淡路島に移転、2024年までに管理部門1,800人のうち1,200人分の業務を移転させる計画を発表し、実際に2022年4月までに約350人が実際に移住しています。更に、物販・レストランなどの観光施設を島内に次々にオープンすることで、雇用創出を目指しています。

JTBグループ

JTBグループの「地域交流事業」では、地域マーケティングと地域マネジメントを有機的に連携させることで、交流人口を拡大させることによる地域活性化支援を行っています。地域住民がより暮らしやすく、まちをもっと好きになるような、様々な施策を企画、日本全国や世界各地から、地域に訪れる人を増やす施策、地域の持続的発展をめざし、基礎となる「地域力」を高めるプロデュースを行っています。

ANAグループ

ANAグループが持つ強み、アセットを活用することで、「地域」の悩みや課題解決に貢献するため、
全国33支店と連携しているANAあきんど地域創生部を主管とした「グループ地域創生会議」を創設。
2023年6月までには、三重県、北海道など13道府県と締結しています。

また、ドローン事業化プロジェクトを設立し、航空機の安全運航に関する知見を活かしたドローン物流サービスの事業化に向けた検証を継続して実施。将来、物流課題や離島中山間地域での買い物や医療機関へのアクセス不便などを解消するための、輸送インフラの一部として社会普及することを目指しています。

移住支援事業

「東京一極集中の問題」を解決する手段として、地方創生移住支援事業も注目されてきています。東京23区に在住または通勤する方が、東京圏外へ移住し、起業や就業等を行う方に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業ですが、この施策により積極的に地方へ移住する人が増える事が期待されています。

地方創生に関して参考になる書籍とは?

以下の書籍が地方創生に関係する書籍になります。ご参考にしてみてください(※デジタル版は若干安いです)。


まとめ

地方創生の政策を頼りにするのではなく、自力で地域活性化を目指す取り組みが必要です。近年はIT技術の進化に伴い、越境ECサイトや翻訳サイトを簡単に制作できるようになりました。このような技術を上手く活用すれば、自力で地域活性化することも可能です。

この記事では、地方活性化に成功している自治体の事例まで紹介しました。これを機会に、ぜひ地方創生に取り組んでみてください。

お問い合わせ

※出典元:

BBT大学総合研究所

スタービレッジ阿智

鯖江めがね

SANJONAVI_三条市公式観光サイト