デジタルトランスフォーメーションで変わる行政:日本の自治体における11の具体例

デジタルトランスフォーメーションで変わる行政:日本の自治体における11の具体例

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未曾有の災害が多発する昨今、行政や自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、以前にも増して具体性と効率性が求められています。地震、台風、洪水などの自然災害に直面した際に、限られた人員とリソースで迅速かつ効率的に対応するためには、普段からの強固なネットワーク構築と先進的なデジタル技術の導入が不可欠です。これにより、情報の収集と分析、対策の立案と実行がスムーズに行え、緊急時の対応力を大幅に向上させることが可能になります。

また、日本は少子高齢化という社会問題を抱えていますが、これを逆手に取り、DX化や人工知能(AI)の活用を通じて問題解決を図ることが求められています。高齢者向けのサービスのデジタル化や、労働力不足を補うための自動化技術の導入は、これからの日本社会において重要な施策となるでしょう。

本稿では、自治体のDXが如何にして様々な課題に対応しているかを、具体的な11の事例を通じて解析します。これらの事例からは、技術の適用方法や、それによる地域社会への具体的な影響、さらには持続可能な開発に寄与する方法など、多岐にわたる知見が得られることでしょう。このように、デジタル技術を活用した自治体の取り組みは、将来的な課題への適応だけでなく、現在直面している問題の解決にも不可欠です。

Contents
  1. 行政のDX化、自治体のDX化とは?
  2. 行政のDX化、自治体のDX化を実現するための課題とは?
  3. 行政のDX化、自治体のDX化を推進する方法とは?
  4. 行政DX、自治体DXの具体的事例11選
  5. まとめ:自治体DXの推進とその実践事例の概観

行政のDX化、自治体のDX化とは?

日本地図と手

行政のDX化や自治体のDX化は、公共部門においてデジタル技術を積極的に導入し、業務プロセスの効率化、サービスの質の向上、市民とのコミュニケーションの改善を図る取り組みを指します。具体的には以下のような点が含まれます:

1. デジタル技術の導入:クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AI(人工知能)などの最新技術を活用して、行政のデータ管理や分析を改善します。

2. 業務プロセスの改革:紙ベースの作業からデジタル化への移行を進め、業務の自動化や効率化を図ります。これにより、行政の迅速性や透明性が向上します。

3. 市民サービスの向上:オンラインでの手続きの提供を拡充し、市民が24時間いつでも、どこからでもサービスを利用できるようにします。また、アプリケーションやウェブサイトを通じて、より使いやすいインターフェイスを提供します。

4. 市民参加の促進:デジタルツールを活用して市民との双方向のコミュニケーションを強化し、市民の意見や要望を行政運営に反映させやすくします。

5. 持続可能な開発目標(SDGs)の支援:デジタル技術を利用して環境保護、教育、公衆衛生など、多岐にわたる分野で持続可能な開発を推進します。

行政や自治体におけるDX化の推進は、これらの技術や手法を用いて、より効率的で公平、かつアクセスしやすい公共サービスを提供することを目指しています。これにより、行政の負担を軽減しつつ、市民の満足度を高めることができます。

行政のDX化、自治体のDX化を実現するための課題とは?

digital transformationのアイコンをタッチする女性

行政や自治体のDX化を実現するためには、多くの課題が存在します。これらの課題がDX化を難しくしている理由も含めて以下に挙げます:

1. 予算の制約:
行政や自治体のDX化には初期投資が必要ですが、限られた予算内での優先順位付けが必要であり、資金調達が課題となることがあります。

2. 既存システムとの互換性:
古いシステムやインフラと新しいデジタル技術との間で技術的な互換性が不足している場合があります。これにより、システムの全面的な更新が必要になることがあり、大規模な変更はリスクとコストが伴います。

3. 人材の不足:
DXを推進するためには、デジタルスキルを持つ人材が必要ですが、特に地方自治体ではこれらのスキルを持つ人材を確保するのが困難な場合があります。また、既存の職員に対する継続的な研修とスキルアップが必要です。

4. 文化的・組織的抵抗:
変化に対する抵抗や、既存の業務プロセスへの固執が、DX化の推進を遅らせる要因となることがあります。イノベーションを取り入れる文化が根付いていない場合、変革を受け入れるのが難しいです。

5. データ管理とプライバシーの問題:
大量の個人データを扱うため、データの保護とプライバシーの確保が重要です。これには厳格なデータ管理ポリシーと技術が必要であり、これらを適切に設計・実装することは複雑です。

6. 法規制と政策の遅れ:
法規制が技術進化に追いついていない場合があり、DX化の進行を妨げることがあります。また、デジタル化を推進するための明確な政策や指針が不足していることも、進行を遅らせる要因です。

これらの課題を解決するためには、戦略的な計画、適切な予算配分、継続的な人材育成、組織文化の変革、データ管理体制の強化、そして政策・法規制の更新が必要です。これらを総合的に管理し、実行に移すことが自治体におけるDXの成功には不可欠です。

行政のDX化、自治体のDX化を推進する方法とは?

クラウドやAIのアイコンのグラフィックと指

行政や自治体のDX化を推進するためには、戦略的なアプローチと段階的な実行が必要です。以下にその方法を詳しく説明します:

1. ビジョンと戦略の明確化:
DX化の目的とするビジョンを明確にし、それを達成するための具体的な戦略を策定します。これには、どのような市民サービスをデジタル化し、どの業務プロセスを改善するかを定義することが含まれます。

2. リーダーシップの確立:
DX推進のためのリーダーシップを確立し、CIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)などの役割を設けることが有効です。これらのリーダーがDXの取り組みを主導し、組織全体に対してDXの重要性を浸透させます。

3. 組織構造の調整:
DX推進に必要な組織構造を構築します。これには、部門横断的なチームを組織し、異なる部署からの意見やスキルを活用できるようにすることが含まれます。

4. デジタル技術の導入:
クラウドサービス、ビッグデータ解析、AI技術など、最新のデジタル技術を導入します。これにより、データ駆動型の意思決定を促進し、サービス提供の効率化を図ります。

5. 人材育成とスキル向上:
職員のデジタルスキル向上に重点を置き、定期的な研修やワークショップを実施します。また、必要に応じて外部の専門家を招聘し、内部人材のスキルアップを図ります。

6. 市民との協働:
DX化のプロセスに市民を積極的に巻き込むことで、市民ニーズに基づいたサービスを設計します。市民からのフィードバックを受け入れ、改善に繋げることが重要です。

7. 継続的な評価と改善:
導入された技術やプロセスの効果を定期的に評価し、必要に応じて改善策を講じます。このプロセスには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が含まれます。

8. セキュリティとプライバシーの確保:
デジタル化に伴うリスクを管理し、市民のデータ保護とプライバシーを確保するための対策を講じます。

このような方法で段階的に推進することにより、行政や自治体のDX化は効果的に進めることができます。それにより、より迅速で透明性が高く、アクセスしやすい行政サービスを市民に提供することが可能になります。

行政DX、自治体DXの具体的事例11選

次に具体的な自治体DXの事例をご紹介します。

「愛媛県・市町DX協働宣言」にもとづき、県と県内市町が協働してをDX推進 【愛媛県】

愛媛県庁

愛媛県と県内の市町は、「愛媛県・市町DX協働宣言」に基づき、DXの推進に共同で取り組んでいます。この協働の主な目的は、地域課題の解決や新たな価値の創造を目指すことであり、地域住民がデジタル技術を積極的に活用し、高品質な行政サービスを提供することによって生活の質を向上させることです。

具体的な取り組みとして、「愛媛県・市町DX推進会議」が設置され、現場職員の研修や自治体間の横連携を通じて、DXの推進が進められています。また、令和4年度からは、高度デジタル人材シェアリング事業とデジタルデバイド対策事業に注力しています。

この取り組みの発端は、令和3年3月に策定された県デジタル総合戦略と、全市町の首長と知事による全国初の「県・市町DX協働宣言」の発表にあります。この宣言と戦略により、県と市町が一体となった取り組みが進行中です。

費用としては、高い専門性を持つ外部人材の確保に県と市町が共同で投資しています。また、令和4年度では国の地方創生推進交付金を活用しています。

今後も、各市町の実情やニーズに応じた支援を続け、広域連携による課題解決のための仕組みを構築していく方針です。

参考:知事と全市町の⾸⻑による「愛媛県・市町DX協働宣⾔」にもとづき

全59市町村へのICTアドバイザー派遣等にて市町村のDXを底上げ 【福島県】

福島県庁

福島県では、市町村のデジタル変革(DX)を推進するための複数の取り組みを行っています。具体的には、「ICTアドバイザー市町村派遣事業」と「市町村DX推進トップセミナー事業」の2つの主要プロジェクトが進行中です。

1. ICTアドバイザー市町村派遣事業:
– アンケート調査を通じて市町村のDXに関する課題とニーズを把握し、それに基づいてICTの専門家を派遣する。
– 派遣された専門家は、市町村のDX推進計画の策定、マイナポータルの導入、情報システムの標準化支援など、具体的な支援を提供。
– 支援は福島県全59市町村に展開され、派遣費用は県が負担。
– この事業の効果として、行政運営の効率化や住民サービスの向上が見込まれ、事後アンケートで95%以上の満足度を記録しています。

2. 市町村DX推進トップセミナー事業:
– DXの必要性は認識されているものの、具体的な取り組み方が不明確な市町村が多い中、約9割の市町村が県に対して研修会の開催を求めています。
– このセミナーでは、DX推進の基礎知識、トップマネジメントによる推進方法などが教育され、市町村の自主的なDX取り組みを促進することを目的としています。

福島県は、これらのプロジェクトを通じて、県全体のデジタル化を底上げし、行政サービスの向上を目指しています。さらに、令和5年度からは県職員の人材育成も強化され、新任職員から管理職まで、DXに関連する様々な研修が計画されています。

参考:全59市町村へのICTアドバイザー派遣等にて市町村のDXを底上げ【福島県】

人事担当と情シス担当が各業務担当のICTリーダーと対話を重ね取組を推進 【埼玉県上里町】

埼玉県の地図

埼玉県上里町では町長の直接の指揮の下、総務課(人事や組織に関する事項を扱う)と総合政策課(情報システム、行政改革、財政に関する事項を扱う)が中心となり、全町的なDXの施策を推進しています。重要なポイントは以下の通りです:

1. 体制と組織:
– 行政改革推進本部/情報化推進委員会: これらの組織が全体方針の決定や改定を行い、ビジョンや工程表を含む全体方針を設定しています。
– 総務課: 人材の育成や適切な人員配置を推進しています。
– 総合政策課: DX施策の取りまとめと情報基盤の整備、運用、評価、改善を行っています。
– 各業務担当課: 全体方針に基づいて、具体的なDX施策を企画・実施しています。

2. ICTリーダーの役割:
– 毎年度、各事業担当課からICTリーダーを1名ずつ選出し、総務課や総合政策課と連携してDXの推進を図っています。これにより、情報提供、調達支援などの司令塔的役割を果たしています。

3. DX施策の具体例:
– ICTの活用: 地域活性化のためのICT・IoTの利用、災害発生時のオートコールサービス、見える通訳サービスなどを試験導入しています。
– ペーパーレス会議システム: 介護認定審査会と障害区分認定審査会でタブレットとペーパーレス会議システムを導入して印刷負担を軽減しています。

4. 財政措置と外部専門人材:
– DX推進のための積極的な財政措置が取られており、外部からDX推進アドバイザーが派遣され、推進体制の強化に寄与しています。

この取り組みは、町のデジタル化とサービスの向上、さらには災害発生時の対応力向上を目指しています。これらの施策がどのように進められているかは、行政のトップダウンアプローチと各課の積極的な参画によって支えられています。

参考:人事担当と情シス担当が各業務担当のICTリーダーと対話を重ね取組を推進【埼玉県上里町】

係長級以下のWGから意見をデジタルファースト推進本部幹事会が吸い上げ 【山形県舟形町】

若鮎の遡上

デジタルファースト推進本部幹事会が、副町長を幹事長として、係長級以下の若手職員で構成されるワーキンググループを通じて、各課の意見を吸い上げ、実際の現場に即した推進策と進捗管理を行っています。これにより、デジタル技術の利活用を地域の課題解決に繋げ、DXの推進を図っています。

事業の背景として、令和2年度に第7次形町総合発展計画の一環としてデジタルファーストプロジェクトがスタートし、先進的少数社会の実現を目指しています。このため、デジタルファースト推進室を新設し、デジタル技術の利活用、セキュリティ対策、情報化施策の推進を支える体制を整えました。この取り組みには、若手職員の柔軟な発想が不可欠であり、意見が出しやすい環境を作るための情報提供や共有が重要視されています。

デジタルファースト推進本部は町長が本部長を務め、副町長、教育長、各課長などがメンバーです。彼らは計画と施策の進捗を管理し、ワーキンググループからのフィードバックを基に意思決定を行っています。また、アイデアソンを通じて若手職員からの課題感や解決策を掘り下げ、DX推進施策の理解を深める取り組みも行っています。

参考:係長級以下のWGから意見をデジタルファースト推進本部幹事会が吸い上げ【山形県舟形町】

若手職員に限定せず「本人手上げ式」でDX推進員を広く募集・任命 【福井県あわら市】

福島県あわら市風力発電

あわら市では「あわら市DX推進本部」の下で、市全体のDXを進めるための体制が整えられています。この取り組みは、政策広報課スマートシティ推進グループが中心となって企画や調整を行い、DX推進基本計画の策定などを行っています。

DX推進員は、部署を超えて広く募集され、本人の意志で手を挙げる方式が取られています。この開かれた募集方法により、様々な年齢や所属の職員が参加しやすい環境が作られており、半年に一度の募集期間が設けられています。また、辞めたいと思う職員にはその理由を素早くフィードバックし、改善につなげることが可能です。

地域の団体や他の自治体、産業支援センター、教育機関、民間企業と連携して地域課題の解決に努め、地域活性化起業家制度を活用して、職員の研修やスマートシティ推進に関する支援を受けています。DX推進員の活動は庁内で共有され、将来的には庁内デジタル人材プロジェクトの一環としてDX推進員になることが期待されています。

勉強会や打合せは業務時間内に行われており、職員が学び続ける文化の醸成が進んでいます。「やれることからやる」という方針の下、組織全体が変化に柔軟に対応できるよう進められており、将来的には人事グループと連携してデジタル人材育成を進める計画です。

参考:【福井県あわら市】

市長をCDO、外部デジタル人材をDXアドバイザー等としたDX推進体制 【宮崎県都城市】

高千穂牧場から見た霧島連山

都城市では、市長を最高デジタル責任者(CDO)とし、副市長を副CDOとしてデジタル統括本部を設置しています。この本部は、さまざまな部局長や局長がメンバーとして参加し、全庁的にデジタル化を推進する体制を構築しています。具体的には、デジタル統括委員会も設けられており、総合政策部長が委員長を務めています。この委員会は複数の部署の課長を委員として含んでおり、各部署でのDXの推進を担当しています。

外部からの専門家もDXアドバイザーや地域情報化アドバイザーとして活用されており、特に土木技師をデジタル統括課に配置することで、土木・産業分野のデジタル化を強化しています。これにより、全庁的な強力でスピーディなDX推進体制が築かれ、関連予算も大幅に拡充されています。

さらに、都城市は直近3年間で90以上の新規デジタル関連事業を企画立案し、デジタル化推進のためには人材、体制、予算の三つを充実させる必要があるとの認識のもと、人材育成やデジタル分野の知識の習得に努めています。外部人材の活用では、特に実績に注目し、自治体内の調整ができる「通訳」人材の必要性も強調されています。

このように、都城市はデジタル統括本部の設置や外部専門人材の活用を通じて、DX推進に積極的に取り組んでおり、その成果として日経自治体DXアワードの「DXリード部門賞」を受賞しています。これらの取り組みは、市民の幸福及び市の発展に貢献することを目指しています。

参考:市長を CDO、外部デジタル人材を DXアドバイザー等とした DX推進体制【宮崎県都城市】

国のアドバイザー等を務める人材をCDOに据えデジタル戦略室がDX推進 【福島県西会津町】

稲穂 豊かな実り

福島県西会津町では、国のアドバイザーを務める経験豊富なデジタル人材を最高デジタル責任者(CDO)として迎え、企画情報課内にデジタル戦略室を設置しました。このデジタル戦略室は「西会津町デジタル戦略」に基づき、町のデジタル化を推進するための様々な取り組みを行っています。

具体的には、デジタル戦略推進本部を新設し、町のデジタル施策やデジタル技術を利用した業務改革を総合的かつ効果的に推進しています。この推進は、AIオンデマンドバスの導入やLINE公式アカウントの構築、町民向けデジタル教室の開催、Web会議システムの活用など、デジタル技術を利用した新たな事業や機会を増やしています。

また、職員の意識醸成も重要な取り組みであり、デジタルに苦手意識を持つ職員や効果が出にくい事業では、まず協力的な職員や事業から推進し、成功事例を作ることが重要だとされています。外部のデジタル人材や複業人材の登用、地域おこし協力隊の任命などを通じて、ノウハウを生かしたデジタル戦略の推進が行われています。

今後の展望としては、若手職員向けのBPR研修会や管理職向け講演会を開催し、デジタル技術の導入だけでなく、仕事のやり方そのものを変革することを目的としてDXをさらに推進していく計画です。

参考: 国のアドバイザー等を務める人材をCDOに据えデジタル戦略室がDX推進【福島県西会津町】

外部人材の下に各担当課兼務職員を配置した「デジタル変革戦略室」を設置 【山形県酒田市】

庄内平野

山形県酒田市では、デジタル変革戦略室を新たに設置し、市のデジタル変革(DX)を全庁的に推進しています。この戦略室は、最高デジタル変革責任者(CDO)とCDO補佐官の下、専任職員と各課との兼務職員から構成されています。

デジタル変革戦略室の主な目的は、住民サービス、行政、地域の三つの分野にわたるDXを総合的に進めることです。このために外部人材をCDOやCDO補佐官として登用し、民間IT企業の取締役などの経験を活かしています。

具体的な業務内容としては、各課の手続きのオンライン化、内部業務の効率化、市民マイページを活用した各課業務の検討、ロードマップの進捗管理、リビングラボの仕組みの理解と活用、各課からの相談窓口役などがあります。また、DXを理解しデジタルツールを知るための研修にも参加しています。

新型コロナウイルス感染症の拡大がデジタル変革推進の契機となり、特別交付税を活用して外部人材のコストを賄っています。今後は、各課でのオンライン化の進捗にばらつきがあるため、オンラインフォームの作成方法を検討し、さらに拡大する計画です。また、スキルアセスメントを実施し、その結果に基づいて必要なスキル別の研修を検討しています。

参考:外部人材の下に各担当課兼務職員を配置した「デジタル変革戦略室」を設置【山形県酒田市】

知事(CXO)のもとデザイン思考に基づくDXを全庁横断的に推進中 【大分県】

大分県庁

大分県では、知事をチーフトランスフォーメーションオフィサー(CXO)として位置づけ、デザイン思考に基づいたデジタル変革(DX)を全庁横断的に推進しています。このために「大分県DX推進本部」を設置し、「大分県DX推進戦略」を策定しました。

この戦略は、県民、県内事業者、自治体自体を変革することを含め、四つの柱を設けています。具体的には、①「暮らしのDX」(福祉、医療、教育、防災分野等)、②「産業のDX」(中小企業支援、産業振興、農林水産業等)、③「行政のDX」、④「DXの推進基盤」(人材育成やデータ利活用、通信インフラ等)です。

DX推進のためには、外部専門人材(DX推進アドバイザー等)の活用が重要であり、これにより全庁的なDX関連施策の計画実行が支援されています。また、全県職員に対してデザインシンキングやデジタルスキル研修を実施し、幹部から若手職員に至るまでDXマインドの植え付けとスキル向上に努めています。

外部アドバイザーや副業人材の活用も積極的に行われており、デジタル技術の導入やビジョン設定から事業実施フェーズまで、専門的な知見を取り入れています。今後もDX人材育成、アドバイザー活用を通じて全庁のDX推進をさらに強化し、地方創生臨時交付金を活用しながら施策を推進していく計画です。

参考:全庁組織「⼤分県DX推進本部」を設置

デジタル×デザインを戦略的に推進する体制の強化 【神奈川県横浜市】

神奈川県横浜市役所

横浜市はデジタルとデザインを融合させたアプローチで市のデジタル変革(DX)を推進するため、「デジタル・デザイン室」を新設し、市のDX推進の司令塔として機能するデジタル統括本部の体制を強化しています。この取り組みは、「横浜DX戦略」の一環として、デジタルの恩恵を市民全員に行き渡らせ、魅力あふれる都市を作ることを目的としています。

デジタル×デザインの実践では、UX(ユーザーエクスペリエンス)、アジャイル、オープンイノベーション、データドリブンの四つの視点とデザイン思考が基本姿勢とされています。デジタル・デザイン室では、民間人材の活用を含む、区局の先進的な取り組みの支援や、デジタルツールを活用した情報共有や意見交換、DX関連の研修を通じてデジタル×デザインの実践を推進しています。

このDX推進の背景には、スマートフォンの普及や社会の急速なデジタル化、自然災害や少子高齢化などの課題があり、これらの課題に対応するために人材育成と確保にも力を入れています。また、市のCIO・CDO(副市長)を本部長とする「横浜市DX推進本部」が全庁的・横断的なDX推進のための体制を構築し、横断的な視点と外部からの価値観の導入を模索しています。

今後は、行政内部だけではなく外部の視点を取り入れるために、会計年度職員や任期付職員の採用、副業や短時間勤務を可能とする民間人材の活用スキームを検討・試行し、さらなる人材確保を図っていく計画です。

参考:デジタル×デザインを戦略的に推進する体制の強化【神奈川県横浜市】

部局横断メンバーによる「働き方改革推進チーム」を構築 【兵庫県神戸市】

兵庫県神戸市の眺望

兵庫県神戸市では、「ヒューマンで優しいスマートシティ神戸」をビジョンに掲げ、DXを積極的に取り入れつつ、市民サービスと職員の働き方を革新することを目指しています。このビジョンの実現に向けて、「働き方改革推進チーム」が設置され、人事、研修、業務改革、デジタルなどの部局横断メンバーから構成されています。

このチームは、全庁的な働き方(業務)改革の推進とロードマップの目標達成をミッションとして掲げており、半期ごと及び通期での主要施策の進捗状況を数値で把握し、データに基づく効果測定と課題分析を行い、対応策を講じています。これにより、新しい行政のスタイルと価値の創出を目指しています。

神戸市は、DXを通じて市民サービスの向上と職員の働き方改革を進めることで、より効率的で人間中心のスマートシティを実現しようとしています。

参考:部局横断メンバーによる「働き方改革推進チーム」を構築【兵庫県神戸市】

以下は上記事例の自治体担当課一覧になります。

事例 人口 自治体HP 担当課
愛媛県 134.2万⼈ デジタルシフト推進課 – 愛媛県庁公式ホームページ デジタルシフト推進課 代表

Tel:089-912-2280 

福島県 184.1万⼈ 福島県情報化推進計画 デジタル変革課 デジタル変革担当

Tel:024-521-7134

埼玉県上⾥町 3.1万⼈ デジタル行政の推進について/上里町 総合政策課

TEL:0495-35-1238

福島県あわら市 2.7万⼈ DX推進基本計画の策定 | あわら市ホームページ 創造戦略部政策広報課

Tel:0776-73-8005

宮崎県都城市 16.3万⼈ デジタル化推進 – 宮崎県都城市ホームページ 代表 Tel:0986-23-2111
福島県⻄会津町⼈ 0.6万⼈ 「西会津町デジタル戦略」の策定について[中間見直し] 企画情報課デジタル戦略室

Tel:0241-45-4536 

山形県酒⽥市 9.9万⼈ デジタル変革(DX):酒田市公式ウェブサイト 酒田市デジタル変革戦略室

Tel:0234-43-8336

大分県 113.1万⼈ 「大分県DX推進戦略」について DX推進課 DX推進班

Tel:097-506-2474

神奈川県横浜市 375.6万⼈ 「横浜DX戦略」について デジタル統括本部企画調整部企画調整課

Tel:045-671-2130

兵庫県神戸市 151.8万⼈ 神戸市のDX 企画調整局デジタル戦略部ICT業務改革担当

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まとめ:自治体DXの推進とその実践事例の概観

カラフルな人々のシルエットとデジタルな波長のイラスト

この記事では、公共部門のDXに関する具体的な事例を紹介してきました。これらの事例を通じて、行政や自治体がDXをどのように推進し、市民サービスの質の向上と効率化を図っているのかがわかります。

具体的には、デジタル技術の導入、業務プロセスの改革、市民サービスの向上、市民参加の促進、持続可能な開発目標(SDGs)の支援などが挙げられます。各自治体ではクラウドコンピューティング、ビッグデータ、AI技術を活用しており、これにより市民がいつでもアクセス可能なオンラインサービスを提供することで行政運営の迅速性や透明性が向上しています。

さらに、デジタル化のプロセスに市民を積極的に巻き込むことで、フィードバックを基にしたサービスの改善が行われています。DXを成功に導くためには、戦略的な計画立案、人材の育成、データ管理体制の強化、法規制の更新が不可欠です。

総括しますと自治体DXでは技術導入に加えて、組織文化や政策面からのアプローチが重要であることがいえます。

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