建設業向け原価管理システム比較 おすすめ6選【2025年】

建設業向け原価管理システム比較 おすすめ6選【2025年】

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建設業において、正確な原価管理は、利益の確保と経営の安定を図るうえで欠かせない要素です。しかし、「どの原価管理システムを選べばよいかわからない」「Excelでの管理に限界を感じている」といった課題を抱えている経営者や実務担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、建設業に特化した原価管理システム(原価管理ソフト・原価計算ソフトとも呼ばれます)の選定ポイントから、主要システムの比較、および導入によるメリットまでを、わかりやすく解説します。自社の業務に最適な原価管理システムを見つけることで、業務の効率化と利益の最大化を実現しましょう。

建設業向け原価管理システム おすすめ6選比較表

産業建設エンジニア

まずは、建設業におすすめの原価管理システムを比較表でご紹介します。ここでは代表的な6つのシステムを取り上げ、主要機能と価格帯の目安をまとめました。

システム名 提供形態 工事別原価計算 実行予算管理 会計ソフト連携 価格帯(目安) 特徴
レッツ原価管理Go2 クラウド/パッケージ 要問い合わせ 中小建設業向け、操作性◎
どっと原価NEO クラウド/パッケージ 要問い合わせ 機能豊富、カスタマイズ性◎
建設BALENA クラウド 月額料金16,500円(年額198,000円) 財務会計連携、経営分析機能
SMILE V 建設業 クラウド/パッケージ 要問い合わせ 販売管理一体型、大塚商会提供
建設大臣NX クラウド/パッケージ 要問い合わせ 応研、シンプル操作
AnyONE クラウド 要問い合わせ 工務店・リフォーム業向け、顧客管理も可能

※価格は変動する可能性があるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

主要機能で比較 工事別原価計算・実行予算管理

建設業の原価管理において特に重要なのが、工事ごとの原価計算と実行予算管理機能です。

🟢 工事別原価計算

材料費、労務費、外注費、経費などを工事ごとに正確に集計し、リアルタイムで損益を把握する機能です。これにより、赤字工事の早期発見や利益改善策の検討が可能になります。

🟢 実行予算管理

工事ごとに事前に実行予算を作成し、実績原価と比較することで、予算超過を防ぎ、利益を確保するための管理機能です。予実対比をタイムリーに行えるシステムを選びましょう。

今回ご紹介したシステムは、いずれもこれらの基本的な原価管理機能を備えています。ただし、操作性や管理項目の細かさ、帳票の種類などに違いがあるため、デモや資料請求で確認することが重要です。

価格帯で比較|初期費用・月額料金の相場

原価管理システムの費用は、提供形態(クラウド型かパッケージ型か)、機能、利用ユーザー数などによって大きく異なります。

🔵 クラウド型

初期費用は抑えめですが、月額利用料が発生します。相場としては、月額数万円から十数万円程度が一般的です。サーバー管理が不要で、場所を選ばず利用できるメリットがあります。

🔵 パッケージ型

初期費用としてライセンス購入費が必要ですが、月額利用料はかからない(保守費用は別途必要な場合が多い)のが特徴です。相場としては、数十万円から数百万円程度です。自社サーバーでの運用となります。

価格だけでなく、機能やサポート内容、将来的な拡張性なども考慮して、自社にとってコストパフォーマンスの高いシステムを選びましょう。

失敗しない原価管理システムの選び方 5つのポイント

 テーブルの上に置かれた建設用安全ヘルメットとブループリントを持つエンジニ

数ある原価管理システムの中から、自社に最適なものを選ぶためには、以下の5つのポイントを押さえることが重要です。

建設業特有の機能要件を確認

建設業の原価管理には、製造業など他の業種とは異なる特有の要件があります。以下の機能が自社の業務に合っているか確認しましょう。

🔵 工事台帳管理

工事ごとの基本情報、契約金額、実行予算、原価実績などを一元管理できるか。

🔵 出来高管理

工事の進捗状況に合わせて売上や原価を計上できるか(工事進行基準への対応)。

🔵 労務費・外注費管理

作業員別や外注先別の費用を正確に集計・管理できるか。

🔵 資材管理

材料の仕入、在庫、払出を管理し、工事原価に正確に反映できるか。

🔵 JV(共同企業体)管理

JV工事における原価按分や請求処理に対応できるか。

これらの建設業の原価管理に必要な機能が、自社の業務フローに合致しているかを確認することが、原価管理システム選び方の第一歩です。

クラウド型とパッケージ型の違い

原価管理システムには、大きく分けてクラウド型(SaaS)とパッケージ型(オンプレミス)があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に適した方を選びましょう。

クラウド型(SaaS)

🔵 メリット

・初期費用が比較的安い。

・サーバー管理が不要。

・インターネット環境があればどこでも利用可能。

・常に最新バージョンを利用できる。

🔵 デメリット

・月額(または年額)の利用料が継続的に発生する。

・カスタマイズの自由度が低い場合がある。

・インターネット接続が必須。

パッケージ型(オンプレミス)

🔵 メリット

・買い切り型のため、ランニングコストを抑えられる場合がある。

・カスタマイズの自由度が高い場合がある。

・オフライン環境でも利用できる場合がある。

🔵 デメリット

・初期費用が高額になる傾向がある。

・自社でサーバーを用意・管理する必要がある。

・バージョンアップに追加費用がかかる場合がある。

近年では、導入のしやすさや日常的な運用負荷の軽減といった利点から、クラウド型の原価管理システムを採用する企業が増加しています。中でも中小建設業にとっては、初期投資の抑制や拠点間でのデータ共有の容易さなどから、「建設業向けクラウド原価管理システム」が有力な選択肢となりつつあります。

会計ソフト・販売管理ソフトとの連携性

原価管理システムで算出したデータを、会計ソフトや販売管理システムと円滑に連携できるかどうかは、システム選定において極めて重要なポイントです。これらのシステムと連携することで、二重入力の手間を省き、転記ミスの防止や月次決算の迅速化につながります。

現在、多くの原価管理システムには会計ソフトや販売管理システムとの連携機能が備わっていますが、自社で既に使用している、あるいは導入を検討している建設業向けの会計ソフトや販売管理システムとスムーズに連携できるかを、事前に確認することが大切です。特に、勘定奉行、弥生会計、freee会計、MFクラウド会計といった主要ソフトとの連携実績が豊富な製品を選ぶと、導入後も安心して運用できます。

導入・運用サポート体制の確認

新たにシステムを導入する際には、操作方法の習得や不具合発生時の対応などにおいて、ベンダーのサポート体制が非常に重要な役割を果たします。導入後に安心して運用を続けるためにも、以下の点について事前に確認しておくことをおすすめします。

🚀 導入支援

初期設定やデータ移行のサポートはあるか。

🚀 操作指導

導入時の研修やマニュアルは充実しているか。

🚀 問い合わせ対応

電話、メール、チャットなど、問い合わせ方法や対応時間はどうか。

🚀 保守サポート

法改正への対応やバージョンアップは適切に行われるか。

特にITシステムに不慣れな従業員が多い場合は、手厚いサポート体制を持つ原価管理システムメーカーを選ぶと良いでしょう。

無料トライアル・デモの活用

多くの原価管理システムでは、無料トライアルやデモンストレーションを通じて、事前に操作感や機能を体験できる機会が提供されています。導入を検討する際は、こうした機会を積極的に活用し、実際にシステムを操作してみることが重要です。特に、以下の点について事前に確認しておくと、導入後のミスマッチを防ぐことができます。

🟢 操作性

直感的で分かりやすいか、自社の担当者が使いこなせそうか。

🟢 機能

必要な機能が揃っているか、業務フローに合っているか。

🟢 画面の見やすさ

帳票やグラフが見やすいか。

🟢 レスポンス速度

動作は快適か。

【建設業向け】主要な原価管理システム3選

 クラウド・コンピューティングの概念。サービスとしてのソフトウェア。SaaS。

ここでは、特に建設業で評価の高い主要な原価管理システムを3つピックアップして、その特徴をご紹介します。

レッツ原価管理Go2の特徴

レッツ原価管理Go2は、株式会社レッツが提供する、中小規模の建設業・工事業向けに特化した原価管理ソフトです。

🟠 強み

🔹 シンプルで直感的な操作性。パソコンが苦手な方でも使いやすいと評判です。

🔹 工事台帳、実行予算、支払管理、請求入金管理など、建設業に必要な基本機能を網羅。

🔹 クラウド版とパッケージ版を選択可能。

🔹 手厚いサポート体制に定評あり。

🟠  ターゲットユーザー

主に中小規模の建設会社、工務店、設備工事業者など。

どっと原価NEOの特徴

どっと原価NEOは、建設ドットウェブ株式会社が提供する、建設業・工事業向けの工事原価管理システムです。

🟠 強み

🔹 豊富な機能と高いカスタマイズ性。企業の規模や業務フローに合わせて柔軟に対応可能。

🔹 実行予算作成から原価実績管理、支払・請求管理、経営分析まで幅広くカバー。

🔹 クラウド版、パッケージ版、オンプレミス版を提供。

🔹 各種会計ソフトとの連携実績が豊富。

🟠 ターゲットユーザー

中小企業から中堅・大手企業まで、幅広い規模の建設会社、工事業者。

建設BALENAの特徴

建設BALENAは、株式会社Office Conciergeが提供する、建設業・設備工事業向けのクラウド型原価管理システムです。

🟠 強み

🔹財務会計システムとのシームレスな連携を実現。経理業務全体の効率化に貢献。

🔹工事原価管理に加え、経営分析機能も充実。リアルタイムな経営状況の把握が可能。

🔹クラウド型のため、初期投資を抑え、場所を選ばずに利用可能。

🔹同社の施工管理システムとの連携も可能。

🟠 ターゲットユーザー

財務会計との連携や経営分析を重視する建設会社、設備工事業者。

原価管理システムとは?基本機能と導入メリット

建設プロジェクト パソコンと図面

ここで改めて、原価管理システムとはどのようなものか、その基本的な機能と導入によるメリットについて整理しておきましょう。

原価管理システム(別名:原価管理ソフト、原価計算ソフト)は、製品・サービス・プロジェクト(工事)ごとに発生する原価を正確に算出・集計し、分析や管理を行うためのITツールです。従来のExcelや手作業による管理と比べて、業務の効率化とデータ精度の向上が期待でき、経営判断の迅速化にも寄与します。

主な機能一覧|原価計算・損益管理・予実管理

原価管理システムには、一般的に以下のような原価管理 機能が搭載されています。

🟢 原価計算機能

材料費、労務費、外注費、経費などを費目別・部門別・プロジェクト(工事)別に集計し、原価を算出します。個別原価計算システムとしての機能も持ちます。

🟢 損益管理機能

売上データと原価データを紐付け、プロジェクト(工事)ごとの損益状況をリアルタイムで可視化します。利益管理システムや採算 管理 システムとしても活用されます。

🟢 予実管理機能

事前に設定した予算(実行予算)と実績原価を比較し、差異分析を行います。

🟢 データ分析・レポート機能

集計したデータをグラフなどで可視化し、経営判断に役立つレポートを作成します。

🟢 他システム連携機能

会計ソフト、販売管理システム、勤怠管理システムなどと連携し、データ入力の手間を削減します。

導入メリット|業務効率化・利益率向上

原価管理システムを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

🟢 業務効率化

データ入力や集計作業の自動化により、担当者の負担を大幅に軽減します。二重入力や転記ミスも防止できます。

🟢 正確な原価把握

リアルタイムかつ正確に工事ごとの原価を把握できるようになり、どんぶり勘定から脱却できます。

🟢 利益率の向上

赤字工事の早期発見や原因究明、実行予算管理の徹底により、利益率の改善に繋がります。

🟢 迅速な経営判断

正確な損益情報に基づき、迅速かつ的確な経営判断が可能になります。

🟢 内部統制の強化

データの一元管理やアクセス権限設定により、内部統制の強化にも貢献します。

エクセル運用に限界を感じている企業にとって、原価管理システム 導入は大きな効果をもたらすでしょう。

原価管理と販売管理・会計ソフトの違い

 エンジニア、建築家、建設現場の作業員、タブレット・コンピューター

原価管理システムとよく似たシステムとして、販売管理システムや会計ソフトがあります。それぞれの役割と違いを理解しておきましょう。

🔵 原価管理システムとは

原価管理システムは、主に「モノやサービスを提供するために実際にかかった費用(=原価)」を正確に把握・管理することを目的としたシステムです。特に建設業などのプロジェクト型ビジネスにおいては、工事ごとの詳細な原価計算や、予算と実績の差異を可視化する予実管理機能に特化しており、収益性の分析や経営判断に欠かせないツールとなっています。

🔵 販売管理システムとは

販売管理システムは、主に「モノやサービスを販売する一連のプロセス」を効率的に管理するためのシステムです。具体的には、見積作成から受注、売上計上、請求処理、入金確認に至るまでの業務を一元管理します。

一部の販売管理システムには原価管理機能が備わっていることもありますが、原価管理に特化したシステムと比べると、詳細な原価の分析や工事別のコスト管理には限界がある場合があります。そのため、建設業などの複雑な原価構造を持つ業種では、業界特化型の販売管理システムや、原価管理専用システムとの併用が検討されます。

🔵 会計ソフトとは

会計ソフトは、企業の経理業務を効率化し、財務情報を正確に記録・管理するためのシステムです。仕訳の入力、試算表や決算書の作成、税務申告に必要な帳票の出力など、日々の会計処理から月次・年次決算に至るまでを幅広くカバーします。

原価管理や販売管理のような業務に直接関わることは少ないものの、これらのシステムと連携することで、会計処理の正確性が向上し、経理業務の効率化や経営の可視化につながります。

これらのシステムは、それぞれ役割が異なりますが、連携させることで販売管理原価管理や会計ソフト原価計算のデータをスムーズに受け渡し、会社全体の業務効率を大幅に向上させることができます。原価管理ERPのように、これらの機能を統合したシステムもあります。

原価管理システム導入時の注意点

エンジニアがパソコンの画面を見ながら打合せ

原価管理システムの導入効果を最大限に引き出すためには、いくつか注意点があります。

🔵 導入目的の明確化

「何のために導入するのか」「どのような課題を解決したいのか」を明確にし、関係者間で共有することが重要です。

🔵 現場への定着

システム導入は、現場の協力なしには成功しません。導入のメリットを丁寧に説明し、操作研修を行うなど、現場がスムーズに利用できるような体制を整えましょう。

🔵 費用対効果の検討

システム導入にはコストがかかります。導入によって得られる効果(業務効率化、コスト削減、利益向上など)を具体的に試算し、費用対効果を検討しましょう。

🔵 スモールスタート

最初から全機能を使いこなそうとせず、まずは主要な機能から利用を開始し、徐々に活用範囲を広げていくのが現実的です。

🔵 データ移行計画

既存のデータ(Excelなど)を新しいシステムに移行する作業が必要です。事前に移行対象データや移行方法を計画しておきましょう。

これらの点に注意し、計画的に導入を進めることが成功の鍵となります。

まとめ

建設業において、適切な原価管理システム(原価管理ソフト)を導入することは、正確な原価計算、損益管理、そして利益率向上に直結します。

今回ご紹介した選び方のポイントや比較表、主要な原価管理システムおすすめ情報を参考に、自社の規模や業務内容、予算に合った最適な原価計算システムを見つけてください。

多くのシステムで無料トライアルやデモが提供されていますので、まずは気軽に試してみてはいかがでしょうか。適切な原価管理ツールを導入し、より強固な経営基盤を築きましょう。

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