世界のドローン市場規模は?

世界のドローン市場規模は?

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2024年の世界のドローン市場規模は約730.6億USD(約8兆5,000億円)と推計されており、2025年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)14.3%で拡大する見通しですこの成長は、ドローン技術の急速な進歩、バッテリー効率の向上、AIによる自律システムの進化、画像センサーの強化などによって、さまざまな産業でのドローン活用が広がっていることが背景にあります。

民生用と軍事用の割合は?

空飛ぶドローン一機

用途別では「軍事用」が市場全体の48.8%を占め、「民生用(商用・レジャー等)」が51.2%とほぼ拮抗。特に軍事用ドローンは高性能化・自律化が進み、防衛・監視用途で需要が拡大しています。

ドローンメーカーの世界シェアは?

世界地図の上を飛ぶドローン

メーカー別では中国DJIが世界シェア約60%、米国市場では約80%を占めており、圧倒的なリーダーです。ほかにAutelやParrot、Skydioなどが続きます。

メーカーに関してはDJIが圧倒的だが、ドローン周辺サービスに関してはどうか?

 ソフトウェア開発プログラム FPV - 一人称視点ドローン

ハードウェア以外では、ドローンサービス(点検・測量・農業・物流など)が市場最大セグメント。2030年にはサービス市場がハードウェアを上回る見通しです。

また、ソフトウェア、データ解析、運用支援プラットフォームも急成長中で、特にインフラ点検や農業支援で導入が進んでいます。

サービス市場の規模と成長予測

市場規模のイメージ、右肩上がりの矢印

🔵2030年のサービス市場規模

Drone Industry Insightsによると、2025〜2030年の商用ドローン市場は年平均成長率(CAGR)7.9%で成長し、2030年には全市場規模が約578億USDに達すると予測。その内最も大きなセグメントは「ドローンサービス」で、ハードウェアを上回る見通しです。

🔵長期的な急成長

一方、別の調査では、2024年に世界のドローンサービス市場規模は約115.1億USD(約1.4兆円)で、2025年には約167.2億USD、2033年には約2,285.3億USDまで拡大し、2025~2033年にCAGR45.3%という驚異的な成長が見込まれています。

サービス用途別の内訳

ドローンで作業を点検する建設工事担当者

🔵点検・モニタリング(Inspection & Monitoring)

ドローンによるインフラ点検は、従来の足場設置やヘリコプター巡視を大幅に削減し、安全性と効率性を飛躍的に向上させます。赤外線カメラやLiDARセンサーを搭載することで、送電線や橋梁、風力発電タービンなどの微細な亀裂や腐食箇所を高精度に検出。リアルタイムでの3Dモデル化やAI解析により、劣化予測やメンテナンス時期の最適化が可能となり、ダウンタイム短縮とコスト抑制に寄与します。Markets and Marketsによると、2022年の市場規模は116億USDで、2027年には230億USDに拡大するとされています。

🔵測量・マッピング(Mapping & Surveying)

高解像度カメラとRTK(リアルタイムキネマティクス)対応GNSSを備えたドローンは、地形測量や3Dモデル作成を自動化。従来の地上測量と比較して、現地調査の工数は最大90%削減、精度は数センチメートル単位まで向上します。これにより、建設現場の進捗管理や鉱山の採掘計画、災害リスク評価などで即時性の高いデータ提供が可能になり、プロジェクト全体のスピードアップと予算管理の正確性を高めます。Grand View Researchでは、2025〜2030年に15%超のCAGRが見込まれています。

🔵農業支援(Precision Agriculture)

マルチスペクトルや高解像度カメラとAI解析を組み合わせることで、作物の生育状況、病害虫発生、水分ストレスを非破壊でモニタリング。これにより、農薬散布や灌漑のタイミングをフィールドごとに最適化でき、収量向上と資源使用量の削減を両立します。さらに、収集データをクラウドに蓄積し、長期的な生育履歴の分析や気象データ連携による予測モデル構築も進行中です。Fact.MRの予測では、2035年には約329.6億USD規模に成長すると試算されています。

🔵物流・配送(Product Delivery)

医療品や食料など、ラストワンマイル配送のソリューションとしてドローンが注目されています。特に交通インフラが未整備な地域や災害発生時の緊急物資輸送で実証実験が進み、配達到達時間を従来比で50%以上短縮するケースも。米ZiplineやAlphabetのWingなどが先行し、安全回避アルゴリズムや地上管制システムを組み合わせた運用が普及期に入りつつあります。規制緩和が進む地域では、今後数年で商用サービスが数十億USD市場に達する見込みです。

🔵空中映像・データ解析(Aerial Photography & Data Analytics)

不動産や映画撮影用途では4K・8Kカメラによる高品質映像が求められ、一方でインフラや農業分野では熱赤外線やマルチスペクトル映像をAIで解析し、劣化箇所や病虫害を自動検出するプラットフォームが増加中です。これらのデータはクラウド上で統合・可視化され、Webダッシュボードやモバイルアプリを通じた運航管理・報告書作成が可能。運航ログや分析結果をAPI連携で既存システムに取り込む動きも活発化しています。

主なサービスプロバイダー

配達ドローン

ドローンサービス市場は、ハードウェアを上回る最大の成長セグメントであり、今後10年で倍以上の拡大が見込まれています。点検・測量・農業・物流などの分野では用途ごとに専門プレイヤーが存在し、年平均成長率(CAGR)は14%〜45%と非常に高水準です。こうした中、サービス提供企業はハードウェアへの依存を減らし、ソフトウェアやデータ解析、運航支援プラットフォームを活用して差別化を図っており、特定用途における高付加価値サービスの提供や、これらの技術を強みにしたビジネスモデルの構築が成功の鍵となっています。主なサービスプロバイダーについて以下に挙げたいと思います。

リモートセンシング(Remote Sensing)|Terra Drone(テラドローン株式会社)

東証グロース市場上場のテラドローンは、2025年1月期連結売上高44.3億円、時価総額約155億円を誇ります。LiDARや赤外線カメラ搭載ドローンと独自のクラウド解析プラットフォームをワンストップで提供し、送電線・橋梁のインフラ点検から農地の3Dマッピング・生育モニタリングまでをカバー。自動レポート生成やAI診断で、メンテナンスコストの最適化と作業工数の大幅削減を実現しています。
公式サイト: テラドローン株式会社|terradrone japan

Aerodyne Group

マレーシア発のAerodyneは、累計調達1.3億USD、2023年売上約90億円規模のリモートセンシング企業。高解像度撮影とAIデータ解析プラットフォームを組み合わせ、石油・ガス施設や建設現場の定期モニタリングから緊急対応までを一手に引き受けます。RTK対応ドローンによる精密測量や異常検知アルゴリズムも強みです。
公式サイト:Aerodyne Group

配送ドローン系(Delivery)|Zipline

米国発の医療品配送リーダー。累計調達約1.8億USD、2023年売上約35億円で、ルワンダ・ガーナ・米国各地で24時間自動飛行の商用ネットワークを運営。血液製剤やワクチンをラストワンマイルへ届け、地上管制センターと連携した飛行管理・障害回避システムで高い稼働率を維持しています。
公式サイト: Zipline

Wing Aviation (Alphabet 子会社)

Alphabet傘下で世界初の住宅向けドローン配送を商用化。2023年までに数十万件の配送実績を誇り、独自の自動航行制御と地上管制プラットフォームを活用して日用品や医薬品の高頻度・短距離配送を実現。親会社の資金力で技術開発と規制対応を加速中です。
公式サイト: Wing

Matternet

累計調達3,000万USD、2023年売上約4.5億円のシリコンバレー発ベンチャー。FDA認証済みのMatternet M2ドローンと専用ステーション、運航管理プラットフォームを一体提供し、都市部病院間の検体・医療資材輸送を効率化。リアルタイム追跡と自動最適ルート生成が特徴です。
公式サイト:ビジネスワイヤ

Swoop Aero

豪州拠点で累計調達額約1,760万USD、年商約28億円の物流ドローン企業。遠隔地・災害地域向けに再利用可能な発着ステーションネットワークを構築し、病院間輸送や必需品配送を専用アプリで完結。2025年3月にKite Aeroへ事業譲渡されました。
公式サイト: Kite Aero

Manna Drone

アイルランドの都市型配送ベンチャー。2023年売上約300万円ながら累計調達€91.4Mで成長中。クラウドベースの運航管理、リアルタイム追跡、DRL(Dynamic Route Logic)による最適ルート算出を強みに、食品・日用品のラストワンマイル配送を試験的に商用化しています。
公式サイト: Manna

その他注目企業|DroneDeploy

2013年創業、従業員308名。推定年間売上140–1,400億円のクラウド型ドローンフリート管理プラットフォーム事業者。飛行計画作成からリアルタイム監視、データ解析までを統合し、農業・建設・インフラ点検の現場効率化を支援。API連携で既存システム統合も可能です。
公式サイト: dronedeploy.com

PrecisionHawk

米国発の空中データ解析企業。2023年売上約270億円、累計調達1.39億USD、従業員125名。マルチスペクトル解析や機械学習モデルを駆使し、農業の病害虫検出・生育予測、送電網や石油・ガス施設の劣化診断など、多業種向けAIソリューションを提供しています。
公式サイト:agtecher.com

Microdrones

ドイツ拠点の測量ソリューションプロバイダー。高精度RTK-GNSS搭載ドローンと専用ソフトをパッケージ化し、鉱業・建設現場でセンチ単位の3Dマッピングを実現。現地処理とクラウド連携により迅速なデータ提供と運用コスト低減を両立しています。
公式サイト: microdrones.com

Cyberhawk

英国企業で2023年売上約310億円(前年比63%増)。3D可視化ソフトとAI解析を組み合わせたインフラ点検サービスを展開し、風力発電タービンや送電網、石油・ガス施設の定期モニタリングから損傷診断レポートの自動生成までを一貫してサポートします。
公式サイト:thecyberhawk.com

日本におけるドローンビジネス、市場での成長余地は?

農業用ドローン

日本市場は2024年に約29.87億USD(約3,500億円)規模。2025〜2030年にCAGR15.2%で拡大し、2030年には約69.93億USD(約8,000億円)に達すると予測されています。ハードウェアが主力ですが、サービス分野の伸びが最も速い点が特徴です。

また、商用ドローン市場は2023年に約9.84億USD(約1,476億円)と小規模ながら、CAGR18.4%で急成長中です。

スタートアップや中小企業がドローンビジネスをする際の勝ち筋とは?

緊急用薬品を運ぶドローン

スタートアップや中小企業がドローンビジネスで成功するには、ニッチ分野への特化やAIを活用したデータ解析など、独自性のあるサービス展開が鍵となります。さらに、自治体との連携や補助金の活用で初期負担を軽減し、法規制への対応力を強みに信頼を獲得する戦略が有効です。

1.ニッチ特化型サービス

老朽化インフラの点検、農業分野の精密農業支援、災害時の緊急配送など、専門性を持つユースケースに注力。

2.データ解析・ソフトウェア開発

収集データのAI解析、運航管理プラットフォーム、映像解析ソリューションなど、ハードウェアに依存しないビジネスモデル構築。

3.官民連携・補助金活用

地方自治体や国の補助金・実証実験支援制度を活用し、初期投資負担を軽減しながら実績を積む。

4.パートナーシップ戦略

建設会社、農業協同組合、物流業者など既存業界との連携で実案件を確保し、サービス価値を高める。

5.安全・法規制対応力のアピール

飛行許可取得・オペレーター教育・セキュリティ対策に強みを持ち、信頼性で差別化。

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