成功事例に学ぶ、コロナ禍でも売上を伸ばせるDX活用法

新型コロナウイルスの影響により、多くの企業が打撃を受けたとともに、ビジネスモデルの再考を迫られることとなりました。とりわけ注目を集めているのが、デジタルトランスフォーメーションで、かねてより必要とされてきた業務のデジタル化が、あらゆる業界で求められています。

今回は、実際のDX成功事例をもとに、コロナ禍でも売上を作っていくためのDX活用法について、ご紹介します。

DXの目的

一般的にDXは、デジタル技術を用いて業務をハイテク化することを指しています。DXによって、どのような効果が期待できるのでしょうか。

生産性の向上

一つ目の目的は、生産性の向上です。例えば伝票作成や顧客管理など、これまで紙媒体で記録していたデータを全てデジタル化することで、管理業務を効率化することができます。欲しいデータは、検索にかけることで、すぐに引っ張ってくることができるようになりますし、データの編集も簡単に行えます。さらには顧客情報と営業の進捗状況をリアルタイムで連携し、マネジメント効率と正確性を高めることができます。

コストパフォーマンスの改善

DXはある程度の初期費用が発生しますが、その後の維持管理コストの軽減効果や生産性の向上による人件費の軽減効果を加味すると、多くの場合、コストパフォーマンスの改善が期待できます。

近年はクラウドサービスの普及により、DX関連サービスの維持管理負担も大きく軽減され、導入に伴う初期費用も、無料に近い負担で実装できるサービスも登場しています。導入後の圧倒的なパフォーマンス改善やコスト削減効果を考えると、一度は試してみる価値がある施策であると言えるでしょう。

DX成功事例①:ベイクルーズ

ここからは、実際のDX成功事例について詳しくみていきましょう。アパレル大手のベイクルーズでは、小売業界の売上の落ち込みが大きかった2020年にも、EC強化などの施策の結果、大幅な売上増加を達成しました。

EC売上は前期比29%増の510億円を記録

ベイクルーズは2020年8月期決算において、EC売上高を前期比29%増の510億円に到達したと発表しました。この数字はアパレル業界においても特筆すべき成果であると言え、EC化、DXが遅れている同業界に与えるインパクトは確かなものがありました。

参考:https://netshop.impress.co.jp/node/8479

カギはDXとユニファイドコマース

DXは一朝一夕で達成できるものではなく、今回のEC売上の記録的な増加にはコロナ禍による「巣ごもり消費」が後押ししていたことも大きいと考えられます。それでもこのような成果を挙げることができたのには、何年もかけて同社が取り組んできた、段階的なDX戦略が功を奏したと言えます。

元々ベイクルーズはアパレル業界の中でもEC売上の割合が高い企業で全社売上高の約30%をEC売上高が占めています。2016年の時点でオムニチャネル化を完了させており、物流拠点の一元化、在庫や会員データ、ポイントプログラムの統合などを実現してきました。EC事業部を中心としたデータ中心の意思決定、いわゆるデータドリブンな組織文化を育て、客観性の高い事実に裏付けられた行動計画を実現してきたのです。

また、同社では2017年よりユニファイドコマースも成長戦略の一環として掲げ、積極的に推し進めてきました。ユニファイドコマースは顧客一人一人にパーソナライズした情報提供や接客を届け、ブランドを通じた購買体験(CX)の向上を促す手法です。

特定の顧客がどの商品を欲しがっていて、どんなニーズを満たしたいのかを丁寧に汲み取るためには、彼らから取得したデータを積極的に活用しなければなりません。優れた顧客体験を届けてリピーターとなってもらう上で、データドリブンな環境構築は不可欠と言えるでしょう。

活況を迎えるアパレルEC。新サービスも続々登場

アパレル分野は長い間ECには向かないとされてきましたが、近年のDX推進に伴い、多様なサービスの登場も見られます。例えばECソリューションを提供するバニッシュ・スタンダードは、実店舗スタッフがECで接客を行えるサービス「スタッフスタート」を展開し、「ECの実店舗化」に努めています。

参考:https://diamond.jp/articles/-/248360

これまで実店舗とECは、たとえ同じブランドでも、別個のものとして扱われてきました。特に実店舗を主軸としてきたアパレル業界では、ECは副次的なサービスとされてきたのです。しかし近年のEC需要の高まりにより、ECでも店舗同様の顧客体験が求められるようになっています。そこでスタッフスタートを活用することで、実店舗スタッフがECでも、商品レビューや接客を行えるようになり、彼ら経由の購入はそのまま評価に直結する仕組みを整えられます。

店舗だけでなく、ECでも店舗スタッフが営業活動を行えるようになったことで、一人当たりの売り上げ単価は大きく向上しました。スタッフによっては月当たり9,000万円を売り上げるケースもあり、今後の成長に注目が集まります。

DX成功事例②:関東製作所

二つ目の事例は、製造業です。関東製作所は自動車向けの内外装品や部品を取り扱っているメーカーで、営業活動にも従事しています。受注生産を採用しているため、取引先の開発や生産動向に売り上げは大きく左右されますが、DXの積極的な推進により、コロナ禍においても新規受注の増加を実現しています。

2020年には新規受注で1.2億円を達成

同社が特に問題視していたのは、特定の取引先への依存と闇雲な営業活動です。取引先がわずかな数に依存していると、大幅な売上の落ち込みや契約の打ち切りなどの悪影響を受け安く、安定した収益が見込めません。複数の取引先を確保し、安定した企業経営を実現する必要があります。

また、新規顧客開拓を急ぎたい事情があっても、手当たり次第の営業が必ずしも実を結ぶとは限りません。関東製作所が営業をかけていた金形メーカー分野は、新規顧客開拓が難しいニッチな業界であったため、無理な値下げにでも応じなければ受注を獲得することはできませんでした。

そこで同社が目をつけたのは、デジタルマーケティングです。飛び込みの営業ではなく、オフィスからWeb経由で営業をかける手法へ転換することで、徐々に問い合わせ件数などを増やすことに成功しています。

成果が現れるまでには数年の月日を要しましたが、同社では2020年は1億2000万円程度の新規受注を獲得し、既存顧客で生じていたマイナスを補填することに成功しています。2021年には新規で3億円程度の受注を見込んでおり、更なる成長にも期待が持てます。

参考:https://smbiz.asahi.com/article/14256495#inner_link_007

中小企業でもすぐにできる5つの取り組み

デジタルマーケティングは一朝一夕で成果を挙げられる手法ではありませんが、試行錯誤や前者的な意思疎通と共通理解を深めていくことにより、確かな成果を確保することができています。ここでは関東製作所が取り組んだ、主な5つの施策についてご紹介します。

見込み客リストの見直し

1つ目は、見込み客リストの拡充です。既存リストにはない見込み客にアプローチするためには、アピールの機会を増やし、接点とデータを得られる機会を増やすことが大切です。展示会への出展やホワイトペーパーの作成など、情報活用ができる土台を整備します。

顧客ニーズに沿ったソリューションサイト作成

2つ目に、ソリューションサイトの作成です。Web上での接点を確保し、問い合わせにつなげるためには、そのためのプラットフォームが欠かせません。問題解決につながるコンテンツを用意し、自社がどんなサービスを提供し、どんなニーズに応えられるのかを伝えるサイトを作りましょう。

サイトコンテンツの充実

ソリューションサイトの効果を高めるためには、継続的な更新とコンテンツボリュームの拡充が欠かせません。ブログ形式のコンテンツはもちろん、動画などを駆使してチャンネルを広げていくことで、自社の魅力を最大限に発揮できます。

メルマガ配信

定番の手法ですが、メルマガ配信も有効な施策です。展示会参加者やセミナー参加者向けにメルマガを配信し、マーケティングオートメーション(MA)などを駆使して開封率やクリック率を調査しながら、改善と問い合わせ獲得を目指しましょう。

インサイドセールス担当者の配置

上記のようなデジタルマーケティングを成功に導く上では、専門の担当者の配置も大切です。継続的な社内運用を進めるためにはマーケティングと営業を切り離しつつも、密な連携を取れる環境を構築することで、インサイドセールスの効果を最大限高められます。

DXを成功させるためのポイント

DXを成功に導くためには、ただツールを導入したり、施策を実行したりするだけではいけません。最低限DX実現に必要な2つのポイントを、最後にご紹介します。

経営層からトップダウンで改革する

1つ目のポイントは、経営層が主体的にDXへコミットすることです。DXは全社的な改革が求められ、組織文化の刷新も必要な取り組みです。そのため、特定の部署だけで取り組んでいては満足のいく結果が得られないため、幅広い部署に対して意思決定力を発揮できる人物の協力が必要です。

DXに成功している企業は、いずれも経営層の主体的な参画を前提としています。DXの理解を深め、主体的に動かしてくれる人物が欠かせません。

DXはあくまで「手段」であることを意識する

2つ目に、DXは手段であることを念頭におくことです。DXはセンセーショナルな取り組みであるため、どうしてもDXを実現することに意識を奪われてしまいがちです。しかしDXを実施するにあたっては、その動機付けとなった課題設定があるはずです。課題意識を明確にすることで、大規模なプロジェクトでも目標を見失わずに取り組めます。

まとめ

今回は、企業のDX成功事例を元に、中小企業でも取り組めるDXのポイントについてご紹介しました。DXは幅広い取り組みを指す言葉であるため、どうしても大企業が実践する大掛かりな取り組みに目が行きますが、実際には予算をそこまでかけずに行える施策も豊富です。

まずは自社が抱える課題の見直しから進め、どのようにDXを進めていけば良いのかを検討するところから、実施に向けて動き始めましょう。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA