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【2023年】暗号資産の自社保有は課税対象外に!暗号資産の課税 [所得税・法人税・相続税・贈与税・消費税] を解説

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暗号資産の取引をする上で、「これは課税対象になるのだろうか?」「いつ税金を支払うのだろうか?」と悩みが出てきます。このような悩みは、暗号資産の課税対象、非課税対象について理解を深めておくことで解決できるため学んでおきましょう。

今回は暗号資産の課税について詳しく解説します。この記事を読めば、どのような取引が課税対象となるか理解できるようになります。また、各種税金の計算方法まで分かるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。

暗号資産の課税(所得税・法人税)

暗号資産で売却益を得たり所得を得たりした場合には、所得税・法人税が課せられます。所得税・法人税が課せられるのは以下の通りです。

暗号資産の売却 所有している暗号資産を仮想通貨取引所で売却し利益が出れば課税対象

[計算式]売却価格―取得価格=利益

暗号資産で商品を購入 所有している暗号資産が値上がりして特定の商品を購入した場合は課税対象

[計算式]商品価格―取得価格=利益

暗号資産同士を交換 暗号資産同士を交換して利益が出た場合も課税対象

[計算式]購入した暗号資産の評価額―売却した暗号資産の評価額=利益

暗号資産の分裂により新通貨を取得 分裂した暗号資産を売却して利益が出た場合も課税対象

 

マイニングなどで暗号資産を取得 マイニングなどで暗号資産を取得した場合も課税対象

所得税の計算方法

個人で暗号資産の取引をして所得金額(収入金額から必要経費を差し引いた額)を得た場合には、所得税が課せられます。所得税は「課税所得金額×税率-税額控除額」によって算出されます。

例えば、マイニングなどで100万円分の暗号資産を得た場合は、(200万円×10%)-97,500円=10.25万円の所得税を支払わなければいけません。

所得税の計算方法

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 42万7,500円
695万円を超え900万円以下 23% 63万6,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

 

法人税の計算方法

法人で暗号資産の取引をして課税所得(益金から損金を差し引いた額)を得た場合には、法人税が課せられます。法人税は年間課税所得によって税額が異なります。例えば、暗号資産による取引を含め、課税所得が1,200万円の場合は1,200万円×23.20%=278.4万円支払わなければいけません。

 法人税の計算方法

年間課税所得 税率
800万円以下の法人 15%
800万円超えの法人 23.20%

[補足]暗号資産の法人期末課税

法人で暗号資産を保有している場合は、決算で暗号資産の時価評価額を算出して利益分に法人税が課せられます。個人事業主の場合は売却した時の損益で判断しますが、法人は法人期末課税で判断されるため注意してください。

暗号資産の課税(相続税・贈与税)

親族が保有していた暗号資産を相続、贈与した場合には相続税・贈与税が課税されます。なぜなら、暗号資産は、代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値と規定されているためです。暗号資産は相続・贈与する際の取引価格を評価額とします。

相続税の計算方法

親族の遺産を整理して課税価格の合計を計算します。計算した課税価格の合計額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法廷相続人)を差し引いて税率をかけます。

例えば、課税価格の合計が4,000万円で法定相続人が2人いる場合は、4,000万円―4,200万円で課税価格が0になるため相続税を支払う必要はありません。基礎控除額を差し引いても課税価格がプラスになる場合は、以下の表を参考に相続税を計算していきます。 

相続税の速算表

課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超1億円以下 30% 700万円
1億円超2億円以下 40% 1,700万円
2億円超3億円以下 45% 2,700万円
3億円超6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

贈与税の計算方法

贈与税の計算方法には2種類ありますが、一般的に贈与金額に110万円の基礎控除を引いて課税価格を計算した後に、下記の表を使用して贈与税を計算していきます。 

贈与税の早見表

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
200万円超400万円以下 15% 10万円
400万円超600万円以下 20% 30万円
600万円超1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円超1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円超3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円超4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

※祖父母や両親から贈与をもらう場合に使用する贈与税の早見表です。それ以外の贈与税を計算したい場合は税理士に相談をしてみてください。

暗号資産の課税(消費税)

暗号資産の譲渡や貸付をした場合には消費税が課税されるのでしょうか?結論から説明すると、暗号資産の課税(消費税)は以下の通りとなります。 

  • 暗号資産の譲渡…消費税の課税対象外
  • 暗号資産の貸付…消費税の課税対象 

仮想通貨取引所に保有している暗号資産を貸付し、契約満期時に貸し付けた暗号資産に一定の料率を乗じた金額を受領した場合は消費税が課せられます。なぜなら、このような取引は対価をもらうために、暗号資産を貸し付けていることになるため消費税の課税対象となります。

消費税の計算方法

個人事業主や法人が利用料を対価とする暗号資産の貸付けをした場合は、決算期に課税売上―課税仕入=課税所得を計算して消費税10%を乗じます。

【2023年】暗号資産の自社保有は課税対象外に

法人の場合は、決算時期に暗号資産を保有していると評価損益額に法人税が課税されるとお伝えしました。しかし、2023年度から下記に該当する場合は法人税の課税対象外となります。

  • 自社が発行した暗号資産で発行時から継続して保有しているもの
  • 自社が発行した暗号資産で、譲渡制限が行われているもの

※譲渡制限とは移転できてないように技術的措置が取っている、もしくは一定の要件を満たす信託財産であることを意味する 

このような政府の発表から、エコシステムを強化するためにスタートアップ企業を支援することが伺えます。

まとめ

今回は暗号資産の課税について解説しました。暗号資産で取引する際は、税金が課せられるときと、課せられないときがあります。どのような場合に、暗号資産による課税を受けるか正しい知識を持っておき、計算できるようになっておくことが大切です。この記事では、各種税金の計算式までご紹介しました。ぜひ、この記事を参考に理解を深めておきましょう。

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※参考文献

『日経新聞 仮想通貨の自社保有、課税対象外に 企業の海外流出防ぐ