地方活性化の鍵、二地域居住:多様な生活スタイルを支える政策とは?

地方活性化の鍵、二地域居住とは?:多様な生活スタイルを支える政策とは?

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デジタル田園都市国家構想総合戦略において、地方移住を促進するための取り組みが強化されています。地方への人流を生み出すことで、東京圏の一極集中の是正を目指します。2027年度には東京圏から地方への移住者を年間10,000人に増やすことが目標とされています。

同時に、生活基盤を完全に地方に移すことへのハードルを考慮し、二地域居住への関心が高まっています。二地域居住とは国土交通省によると、主な生活拠点とは別の地域に生活拠点(ホテルを含む)を設ける生活様式です。これには多拠点居住、お試し居住、長期滞在なども含まれます。

政府が二地域居住を促進する背景には、国全体の人口減少の中で、すべての地域で定住人口を増やすことが難しい現状があります。そのため、多様なライフスタイルの視点を持ち、都市住民が農山漁村などの地域にも生活拠点を持つ「二地域居住」を推進し、地域づくりの担い手となる人材を確保し、持続可能な地域の形成を目指しています。本記事では、「二地域居住」についての現状について述べつつ、今後についても述べたいと思います。

二地域居住等の促進に向けた広域的地域活性化法の改正とは?

国会議事堂

2024年5月15日に改正広域的地域活性化基盤整備法(広活法)が可決・成立しました。これは地方への人の流れを創出・拡大し、二地域居住を促進することを目的としています。法改正には次のような背景があります。

【人口減少と地方の持続可能性】

全国的な人口減少の中で、すべての地域で定住人口を増やすのは難しいが、都市住民が地方にも生活拠点を持つことで、多様なライフスタイルを持ち、地方への人の流入を促進することができます。

そのため、政府は地方創生の手段としても、二地域居住の促進を進めています。特に、新型コロナウイルスの影響でテレワークやフリーランスの増加、副業を許容する企業の増加など、働き方に多様性が生じています。これに伴い、個人の価値観や生活様式が変化し、新たな生活のスタイルが可能になり、「転職なき移住」が徐々に浸透してきています(国土交通省のアンケートによると、約701万人が二地域居住等を行っており、関心も高まっています)。

【経済的・地域的効果】

二地域居住は地方への人流を生み出し、地域の活性化や消費の需要創出、新たなビジネスの機会や雇用創出、人材の確保に貢猘します。また、災害時のリスク回避や支援の基盤としても機能します。

【サポート事業の台頭】

二地域居住を支援するさまざまな事業やサービスが登場しており、定額制住居サービスやシェアオフィス、移動費サービスなどが二地域居住を促進しています。

広域的地域活性化法の改正の目的

広域的地域活性化に向けた基盤整備を一層推進するための法律改正になります。

■政策と施策の推進

2023年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」では、テレワークを利用した転職なしの移住や二地域・多地域居住を推進するためのサテライトオフィスの整備などが進められると定められています。これにより、地方の活性化や地域への人材流入が促されることが期待されています。

■デジタル田園都市国家構想

この構想では、都会に住む人が地方にも生活基盤を設ける二地域居住への関心が高まっていることに注目し、地方創生に資する施設整備を支援する方針が示されています。

■全国二地域居住等促進協議会の設立

この協議会は多様な二地域居住の促進を目的としており、様々な施策や事例の情報交換や課題の整理を行うことで、二地域居住の機運を高めることを目指しています。

■法的・制度的枠組みの整備

新たな取り組みとして、空き家を活用したサテライトオフィスの整備や二地域居住の環境整備を推進する方針が立てられています。これには、市町村が中心となり、計画に基づく法令手続きの円滑化や財政的支援を行うことが含まれます。

■専門委員会の設置と検討

専門委員会が設置され、移住や二地域居住等の促進策に関して検討を行い、中間とりまとめを報告しています。この中間とりまとめでは、促進策のスコープや地域連携の促進などが議論されています。

これらの施策は、多様なライフスタイルを支持し、地方創生を進めるための重要なステップとされています。

改正広活法によって何が変わるのか?

模型の家が2つと電卓と二地域居住の文字

この法改正によって、以下の主な施策が導入され、自治体が二地域居住の促進しやすくなります。

■市町村計画制度の創設

都道府県が二地域居住を含む広域的地域活性化基盤整備計画を作成すると、市町村は「特定居住促進計画」を作成することができるようになります。この計画には、施設整備や就業機会の創出が含まれ、計画区域内の用途規制を緩和し、コワーキングスペースなどの新設が可能になります。

これにより、市町村は二地域居住の促進に関する具体的な計画を立てることが可能になり、法的な特例も設けられます。

■特定居住支援法人の指定制度の創設

市町村長は、二地域居住促進に取り組むNPO法人や民間企業を「特定居住支援法人」として指定することができるようになります。

これにより、空き家や仕事、地域イベント情報の提供など、二地域居住をサポートする様々な活動が法的な支援を受けることが可能になります。

■協議会制度の創設

特定居住促進計画の作成やその他の関連活動を効果的に進めるために、市町村は関連各方面の代表者で構成される「特定居住促進協議会」を組織できるようになります。

これにより、地方自治体、民間企業、地域住民が連携して、二地域居住の推進に関する協議を行うことができます。

これらの改正は、地方部の活性化を図るとともに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて変化する居住ニーズに応え、多様な生活スタイルを支援することを目指しています。

二地域居住を通じて、関係人口の創出・拡大を促進し、地方の魅力的な地域づくりに寄与することが期待されています。

改正広域的地域活性化基盤整備法(広活法)は、都市と地方の双方に生活拠点を構える「2地域居住」を促進する内容を含んでいますが、この法律により、市町村は建築基準法の規制を緩和し、これにオフィスなどの整備がしやすくなり、地方での受け入れ体制を整えることが可能となります。

二地域居住は広がるのか?

都市と地方のイラストと人の手

地方圏は人口減少と高齢化により、地域づくりの担い手が不足しています。しかし、地域外から新たな人材が流入し始めており、これらの「関係人口」と呼ばれる人々が新たな担い手として期待されています。

二地域居住は、こうした移住した「定住人口」でもなく、観光客の「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様な関わりを持つ「関係人口」を増やすことに繋がります。

移住は人口増加への取り組みとして理想的ですが、人口は限られており、自治体間での競争になりがちです。一方、地域づくりに参画する人々の流れを作り出し、関係人口を増やすことで、地域経済の活性化が可能です。

実際に移住するには、就業機会、子育て環境、医療施設の有無、災害時の安全など、様々な要因を考慮して決定する必要があります。

一方で、何らかの形で関わりを持ち続ける地域を持つことは容易です。地域に興味を持っている人、地域の熱意をつなぐコーディネート役割を持つ人がいれば、2つは繋がり、そこに「関係人口」が生まれます。

また、二地域居住はこの「関係人口」の増加のきっかけとなり得ます。関係人口が増えることで情報も拡散し、企業が商機を見つけ地域に投資を行うようになります。

その結果、やがて定住する人も増え、定住人口が緩やかに上昇することが期待できます。

更に、改正広活法により、地方自治体は二地域拠点の受け入れ体制を整えることがより容易になります。地方の魅力と都会の便利さを享受しながら生活することはもはや夢ではありません。二地域居住が1つのライフスタイルとして当たり前となる日も近いでしょう。

※参考文献
参考:地方振興:二地域居住 - 国土交通省

参考:二地域居住等の促進に向けた広域的地域活性化法の改正

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