企業がDXに向けた取り組みを進める中、その多くが業務効率化を目的としています。しかし、事業成長の本質的な価値を追求するDXにはまだ課題が残されています。今回は、株式会社Geneが提供する、単なる効率化を超え、事業の成長に直結する「本来のDX支援」に迫ります。Geneはどのようにして企業の成長を支え、地域経済の活性化にも貢献しているのか。そのビジョンや実績を伺いながら、DXの本質を探ります。
1991年東京生まれ、東京大学大学院卒。大学院時代にデータサイエンティストとして大手小売企業のR&Dに携わり、卒業後はスタートアップの執行役員としてプロダクト開発や大企業との連携を推進。2020年にGeneを創業し、事業成長のためのDX推進支援を行っている。
ーーまずは、御社についてお伺いできますでしょうか?
坂東氏(以下敬称略):弊社、株式会社Geneでは、業務効率化のDXではなく、事業成長を目的としたDX支援を提供しております。現在、多くの企業でデジタル投資やDX推進が進められていますが、その多くが業務効率化を主な目的としたDXです。つまり、業務をデジタル化して作業時間を短縮し、創造的な業務に時間を充てるという形でのデジタル活用が主流です。
しかし、事業者様が本当に目指しているのは、業務効率化だけではなく、事業の成長や存続を見据えた取り組みです。これが本来のDXの目的だと考えています。
私たちも業務効率化はあくまで一つの手段に過ぎないと考えており、本当の意味で事業を成長させ、存続させるためのDXを体系化し、支援しているのが弊社の取り組みです。
具体的な例としては、大前研一氏が1970年代に執筆した著書『企業参謀』が挙げられます。彼は、それまで属人的だった経営層の意思決定や戦略構築のプロセスをフレームワークに基づいて体系化し、実践に移すことに成功しました。このアプローチは、日本のコンサルティング市場を活性化し、大前氏が重要な役割を果たす要因となりました。
現代におけるデジタル領域では、デジタルツールや技術が急速に進化している一方で、企業がデジタルを活用して事業を成長・存続させるための具体的なフレームワークは、まだ確立されていないのが現状です。もちろん、各企業によって状況は異なりますが、その共通した指針となるようなフレームワークが欠けています。
弊社では、業界を横断して様々な企業とお取引させていただいております。私や取締役陣は、前職も含めて数百社にわたる企業支援を行ってきました。重要なのは、どのデジタルツールを使うかという選定以上に、それをどのように活用し、自社の事業推進や成長に結びつけていくかという点です。現状、多くの企業は自社内で学び、試行錯誤しながら改善していくという限られた範囲での取り組みになってしまっています。
私たちは、これまで支援してきた数百社の事例から共通点を見つけ出し、それをフレームワーク化しています。そして、そのフレームワークを各企業の事業に合わせて最適化し、デジタル活用の方法を提案するという形で支援を行っています。こうしたアプローチが、弊社の業務内容の大きな特徴です。
ーーコンサルティングをされているということですね?
坂東:そうですね。DXのコンサルティングだけでなく、その後の実行支援も含めた伴走型のサポートを行っています。
ーーコンサルティングだけでなく、実際の現場にも入り、オペレーションもサポートされているということでしょうか?
坂東:はい、おっしゃる通りです。お客様は24時間365日、自社の事業に向き合っておられるので、デジタルを活用した運用や日々の事業活動に関しては、基本的にお客様ご自身が行う必要があります。しかし、何をどう進めればいいのか、日々の運用の中でどのように改善し、より効果的にデジタルを使いこなしていくかといった部分については、弊社がご支援しています。
ーーフレームワークをどのように活用して支援されているか、もう少し詳しく教えていただけますか?
坂東:まず、弊社は様々な業界のお客様とお仕事させていただいております。アパレル業界や配送業、保険業界など、多岐にわたる企業様とご一緒しています。その中でも共通して行っているのは、事業を「何を届けるか」という価値の部分と、「どう届けるか」という流通の部分、この2つの軸で考えることです。事業の規模を「価値×流通」として捉えた場合、弊社がご支援させていただいているのは主に「どう届けるか」の部分です。
「何を届けるか」は、お客様が長年顧客と向き合ってきた結果、深く理解されている領域です。自社のオリジナリティを発揮するのは「どう届けるか」よりも、「何を届けるか」の方が重要であると考えています。しかし、「どう届けるか」の部分は、特にデジタルを活用することで普遍化できると考えています。
「どう届けるか」に関しては、簡単に言うと売上機会の最大化を目指します。これは「売上機会をどうやって作り出すか」と「売上機会のロスをどう減らすか」の2つに分けられます。弊社の支援は、主にデータを活用して既存顧客からの売上を最大化することが中心です。一般的にはMA(マーケティングオートメーション)やCRMの活用が該当しますが、さらに新規顧客の集客も最適化していく必要があります。
集客の最適化に加え、既存顧客にリピート利用してもらうためには、サービス体験の導線を最適化することも重要です。呼び込んだお客様が、サイトや店舗の使い勝手が悪く離れてしまうと、集客効率も悪化してしまいます。そのため、サービス体験の最適化をメインにご支援しています。
そのための手段として、顧客とのコミュニケーションタッチポイントであるアプリの設計や、ECサイトのスクラッチ開発も行います。既存のパッケージソリューションでは、お客様の伝えたいことや提供したい価値を反映できない場合もあるため、開発チームを組み、1からお客様のニーズに応じたシステムを構築することもあります。
これを実施する上で、意外とボトルネックになるのがオペレーションです。例えば、お客様への配送能力に限界があり、1日で対応できる上限が決まってしまう場合、配送能力を向上させないと顧客満足度が下がる可能性があります。そのような場合は、オペレーションの改善が必要となり、1日の配送量をどう増やすかといった問題にも取り組むことがあります。
すべての取り組みは、お客様の売上機会を最大化するために行われています。データドリブンで集客、体験導線、関係性構築、そしてそれを支えるオペレーション領域において支援を行っているという形です。
大きな課題に取り組む場合もあれば、小さな改善にフォーカスすることもあります。例えば、顧客のリピート購入に関しては、二つの法則があります。弊社ではリピート率を「残存率」と呼んでいますが、残存率には一定の法則性があります。この残存率はある一定の値に収束する傾向があり、その値自体を引き上げるのは非常にコストがかかりますが、収束する速度を速めることは可能です。これにより、リピート顧客が増えることになります。
もう一つは、購買間隔に応じてリピート率が変動することです。顧客のライフスタイルや業界のトレンドによってリピートのタイミングに山があり、その山から離れるほどリピート率が低下します。そこで、クーポンやキャンペーン、顧客プログラムのタイミングを最適化することで、リピート率を改善することが可能です。このような取り組みは、様々な業界で行っています。
また、オペレーションに関しては、属人的な業務にも対応しています。例えば、見積もりのプロセスにおいて、見積もりの精度が担当者に依存している場合があります。しかし、ヒアリングを重ねることで特定の領域においてフォーマット化できる部分が見つかり、9割程度の精度でモデル化することが可能です。最終的な判断は人が行いますが、これにより見積もりにかかる時間が短縮され、1日当たりの処理能力が向上し、事業全体で対応できる量が増えるという結果をもたらしています。
ーーデジタルマーケティングだけでなく、オペレーション全般にも関わっているのですね。
坂東:はい、私たちはデジタルに関わるすべてをサポートしています。ただ、業務効率化にフォーカスしているわけではありません。先ほどの見積もりの例でも、事業成長のボトルネックが見積もりプロセスだったため、その部分を改善しました。
また、他の例としては、倉庫の管理において、住所を振り、どこに何があるかをアプリで管理できるようにし、倉庫内のスタッフが商品や製品を簡単に見つけられるようにする取り組みも行いました。以前は商品を探す時間が非常にかかっていたため、それを短縮することで1日あたりの対応量を増やすことができました。
ーーそうすると、デジタルを軸にしながら、経営やオペレーションの再設計まで支援されているということですね。
坂東:はい、そうです。データやデジタルデバイスを活用しながら、デジタルの使い方を中心に、事業推進や事業成長の全体的な支援を行っています。
ーーちなみに、支援されている企業の規模感はどれくらいなのでしょうか?
坂東:比較的大きな企業が多いです。私たちの支援では、多くの場合、各施策が数%ずつ改善され、それが積み重なって大きなインパクトを生むという形になります。例えば、売上高1億円の企業が10%改善するのと、売上高100億円の企業が10%改善するのでは、影響の大きさが全く異なります。
私たちは、劇的に2倍になるような改善が出ることも稀にありますが、基本的には当たり前のことを着実に積み重ねています。その結果、数%の改善がしっかり積み上がっていくため、支援する企業の売上規模は、数十億円から数百億円規模の企業が多いです。
また、数千億円規模の企業になると、特定の事業部門を担当することが多くなります。そのため、担当する事業単位で言えば、やはり数十億円から数百億円の規模の企業が主なクライアントとなっています。
ーーありがとうございます。今回のテーマである地域経済に関連すると、規模感としては少し小さめの企業も対象になるかと思います。小規模な企業への支援について、今後お考えでしょうか?
坂東:小規模な企業への支援も、非常に重要だと考えています。ただし、その場合、ハンズオンで直接支援するというよりも、まずは正しいことを実行することが大切だと思っています。つまり、まず始めることが大事です。その意味では、地域でのセミナーや講演を通じて、基本的な正しい考え方や方向性を多くの方にお伝えできる場を設けるのが効果的だと思います。
もちろん、そうした基礎知識を持ったうえで、より具体的に投資して取り組みたいという企業には、個別の支援も可能です。弊社ではフレームワークが整っていますので、何をすべきかについては明確にお伝えできると思います。
また、デジタル領域では「何か取り入れないと遅れてしまう」「DXをやらなければいけない」「無駄な業務を減らさないといけない」といったプレッシャーを感じがちですが、出発点はそこではないと考えています。地域の事業者の皆様は、地域経済を支える重要な存在ですので、まずは正しい認識を持っていただくことが大切です。
さらに、地域には旗振り役となる大企業が存在する場合もあり、そうした企業と連携してハンズオンで地域全体に広げていくことも考えています。成功事例を地域の他の事業者と共有し、地域全体の成功体験を作り上げていくことで、地域経済圏を活性化するような取り組みを進めていきたいと考えています。
デジタルを使わなければいけない、という発想ではありません。特に地域の事業者様やこれからの日本を考えると、人口が大きく伸びる見込みはなく、最も重要なのは「どうやって長く事業を継続させるか」、そして「その中で成長を続けるか」だと思います。
日本には100年、200年続く企業が非常に多く存在しています。世界の200年以上続く企業の65%が日本にあると言われています。日本企業には、従業員やその家族を守る責任や、仕入先などのエコシステムを支える責任があります。例えば、自社が倒れることで、他の企業も製品を作れなくなるといった影響が出てしまいます。
地域に根ざして生活しているお客様がいる中で、拡大してうまくいかなければ撤退するという短期的な考え方よりも、「長く事業を営み続ける」という意志やDNAが、多くの日本企業には備わっていると感じています。そうした企業が、長く事業を続け、さらに成長していくためにどうすべきかが、最大の課題です。
その手段の一つとしてDXがあるだけで、デジタルを使うこと自体が目的ではないと考えています。
ーー捉え方を間違っている方が多いという印象でしょうか?
坂東:そうですね。「変革しなければならない」「デジタルを使わなければならない」というプレッシャーを感じている方が多い印象です。しかし、デジタルを導入するにはコストがかかり、一度導入すると簡単には変えられないものです。そのため、何でもデジタル化すれば良いというわけではないと考えています。
また、デジタル化が進むにつれて、人間がデジタルツールに合わせて作業を増やしてしまっているという現象も見られます。結局、デジタルツールを使うのは人間ですので、デジタルを導入したことで作業が増えてしまうのは本末転倒です。
さらに、デジタルの話が難しいという印象を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、実際の商売というのはシンプルなものです。基本的に「お客様を増やす」「お客様に高い商品を買っていただく」「お客様にたくさん利用していただく」の3つしかありません。
デジタルマーケティングとは、今や多くの人々がインターネット市場にいる中で、どのようにして自社の広告を届け、自社を知ってもらうかという手段の一つにすぎません。また、お客様に高い商品を買っていただくための工夫も、リアル店舗ではディスプレイの配置やプロモーションで行っていたものが、インターネット上でどう展開するかという形に変わるだけです。
さらに、お客様にリピートしてもらうための手段も、昔は手紙や商店街の看板でアプローチしていたものが、今ではメールやアプリ通知に変わっただけです。基本的には、やっていることは変わらないのです。
ただし、デジタルだからこそ可能になった新しい価値もあります。例えば、インターネットを使えば24時間365日営業が可能になり、店舗の営業時間の制約がなくなりました。また、配送業務でも、デジタルを活用して効率化することで、1人あたりの配送能力を向上させ、結果的にサービスの品質を維持することができます。
これからの時代、採用が難しくなる中で、デジタルを使って人間の作業を代替し、事業を成り立たせる必要があります。AIや新しい技術の話に偏りがちですが、本質はもっと原始的な話であり、そこから出発して考えるべきだと考えています。
ーー例えば、原始的な部分から考え始める場合、どのように進めていけばよいでしょうか?
坂東:基本的には、まず事業を成長させたいのか、それとも維持したいのかを明確にすることが重要です。そして、どれくらい成長を目指すのかによって、お客様が増えるか、もっと利用してもらうか、またはもっと高価なものを購入してもらうかの選択肢が出てきます。
お客様を増やす、あるいは高額商品を購入していただく場合は、付加価値の高いサービスを提供する、つまり利益率の高いサービスを提供することが求められます。逆に、お客様に何度も利用してもらう場合は、頻繁に使いたくなるようなサービスの提供や、価格を下げて利用頻度を上げるといった戦略が考えられます。これらを実現するためには、自社のアセット、つまり商品やサービスにどのような付加価値をつけられるかが出発点となります。
新しい商品や顧客を獲得するのは難しいことも多いですが、今まで取引のあるお客様に対して、今以上の価値をどう提供するか、きめ細やかなサービスをどう提供するか、付加価値の高い高品質なサービスにどうしていくかを積み上げて考えるべきだと思います。
今後、地域の人口が減少する中で、お客様と長く関係を築いていくことがますます重要になります。そこで、顧客満足度を高めるためのサービスを提供することが鍵となります。例えば、今いる顧客から、より多くの価値を引き出すために、常連になっていただくことや、他のお客様を紹介していただくこと、さらには他のビジネスや仕事を依頼してもらう関係を築くことが大切です。
それがBtoBの取引で相手が事業者の場合には、その業界で新しいスキームが生まれたり整備された際に、同様の課題を抱えている他の業界のお客様に、どのようにそのスキームを展開できるかを考えることが重要だと思います。つまり、一つの業界で成功した解決策やノウハウを、他の業界にも応用し、同じような課題に対して効果的にアプローチできるかどうかがポイントです。興味深いことに、今の話にはデジタルの要素が一つも入っていません。
ーー確かに、デジタルの話は出てきていませんね。
坂東:そうなんです。こうした基本的な考え方を持った上で、「そのためにデジタルをどう活用するか?」を次に考えるのが自然な流れです。
ーーつまり、デジタルは手段でしかないということですね。
坂東:そうです。デジタルと人間が存在して、その間にあるのが「活用」です。デジタルと人を結びつける接着面は「どう使うか」という部分です。この「どう使うか」を工夫してきたのが、日本の民族性だと思います。
例えば、私たちが話している日本語の漢字も、もともとは中国から伝わってきた道具です。それを音読みで取り入れ、訓読みを作って日本語として使いこなすようにしました。日本の伝統芸能や技術も、多くは異国から渡ってきたものを、日本人が自分たちの素材や対象に向き合いながら最適化していった結果、文化として根付いてきたものです。
このように、日本人は技術を活用し、自分たちのものとして最適化していくことが得意な民族だと私は思っています。しかし、デジタルに関しては、道具自体が優先されてしまいがちです。「デジタルを使いこなせない人が悪い」という風潮があるかもしれませんが、そうではなく「どうやってこの道具をビジネスに活用するか」を研究することが重要です。弊社も、この活用の部分に重点を置いて取り組んでいるところです。
ーー御社が地域に対して進めているプランや、現在の取り組みについて教えていただけますか?
坂東:基本的な考えとして「地域のことは、地域の人が主導して進めるべきだ」という前提があります。私たちのような外部の人間が「あなたの地域はこうあるべきだ」と言うべきではないと思っています。ただ、地域の人たちが地域をより良くするためのチャレンジをできる環境を整える、それが私たちの役割です。特にデジタルの領域において、地域の人々がデジタルを活用してチャレンジを実現できるよう支援することが、私たちができる重要なサポートだと考えています。
もう一つの考えは、地域と地域は競争相手ではないということです。例えば、福岡の企業と東北の企業が競合することは少ないです。それぞれが地域内の経済を支える存在であり、利害関係がないため、成功や失敗の経験を共有することで、学習速度を高めることができると考えています。地域の企業に対して、私たちのような会社が担うべき役割は、地域の企業と連携し、その地域の経験を集約し、再構築すること、そしてより多くの学びを共有できる環境づくりだと思っております。
特に、単一の地域では予算やリソースが限られていることが多いため、慎重にならざるを得ません。しかし、10地域がそれぞれ独自に学び合うことで、学習のためのリソースも10倍になります。日本全体がデジタルを活用し、地域間で成功事例や失敗事例を共有することで、お互いに学び、地域をより良くしていける環境を作りたいと思っています。
私たちの会社も、このような地域間の連携を支援し、貢献できる存在でありたいと考えています。この理念に基づいて事業運営を行っているところです。
ーーそういったコミュニティのようなものを作っているというイメージでしょうか?
坂東:そうですね。業界は同じでも、ある程度地域性があり、競合しないような企業同士が一緒に協力できるようなコミュニティを作っていけたら良いと考えています。そういった形で、様々な業界で協力関係を築くことができれば、さらに多くのチャレンジが生まれると思います。
ーーいろいろな業界でそういったコミュニティを作り、ノウハウを共有するようなものを地域間で展開していくということですね。
坂東:そうですね。ただ、私たちが主導して進めるのは少し違うと感じています。むしろ、業界にとって「こうした協力体制が良い方向に向かう」と事業者の方々に共感していただくことが大切です。
また、私たちを信頼し、ご一緒してくださる事業者様が、実際に前進し、時代や社会に合わせて事業をより長く続けられると実感していただけることが目指すところです。
私たちは常に基礎に忠実であり、この取り組みを続けていくことが重要だと思っています。
ーーありがとうございます。追加でお話ししたいことがあれば、ぜひお願いします。
坂東:そうですね。私が思っているのは、こういった話に共感していただける方が、気軽に声をかけてくださると良いなと思っています。特に感じているのは、デジタル化が進む中で、人間という存在が見えなくなることが多いという点です。すべてが数値や確率の話になってしまうことが少なくありません。
しかし、デジタルの向こう側では、社会活動をし、お金を支払っているのはやはり「人間」なのです。そして、地域における事業を考えるとき、最終的には「どうやってその地域で人々がより豊かに暮らし、働くか」ということが重要です。それが人間の社会活動の本質であり、最終目的だと思います。
特に地域で事業を営む皆様にとっては、自社の顧客がどのように地域でより良い活動ができるのか、どうすればより良いサービスを提供できるのかを常に考え続けることが、良い結果をもたらすのではないかと感じています。
私自身、そして弊社のスタンスとしては、地域がもっと豊かになることが大切だと考えています。経済の基盤は地域にあると信じています。地域がデジタルをうまく取り入れて、時代に合わせた形で発展し続けるために、私たちも全力で取り組んでいきたいと考えています。これは、弊社にとっても追求し続けたいテーマです。
ーー実際、坂東さんは地域の事業者様をサポートされているという感じですか?
坂東:そうですね。地域で活躍されている事業者様のサポートをさせていただくことが多いです。私たちは、事業者様がどのようにすればより良い形で事業を伸ばしていけるかという点でご支援させていただいています。ただ、それが短期的な利益追求、いわゆる焼畑農業的なアプローチではいけないと考えています。長期的な視点で、事業者様と一緒に歩んでいく形で支援を行っています。
ーーありがとうございます。今後、自治体の方や地域の有力企業の方々を招いて、セミナーのようなイベントを開催するのも良さそうですね。
坂東:ぜひ、そういった取り組みを進めていきたいと考えています。
ーー大手企業の成功事例は経済メディアでよく取り上げられますが、もっと地域の企業の成功事例にフォーカスを当て、広めていくことが今後ますます重要になってくる気がします。
坂東:そうですね。ただ、成功事例というのは、実際には簡単に真似できるものではありません。状況や市場、顧客がそれぞれ異なるため、単純に同じ方法を取ってもうまくいくとは限りません。
ーー確かにそうですね。
坂東:ですから、成功事例を自社にどう適用するかが重要です。私たちがご支援している事業者様の多くが、確かに成果を上げていますが、それはあくまで事業者様ご自身が実践し、日々の事業運営の中でお客様の期待に応え続けた結果です。そのため、「私たちが何%成長させます」といった表現には少し違和感を感じます。成果を出しているのは事業者様ご自身ですし、外部の人間が「すべてを理解している」とか「絶対に正しい」とは言えません。
24時間365日、最も自社のことを考えているのは、当然ながら事業者様ご自身です。そのため、事業者様がやりたいことや目指しているものをどう実現するか、そしてデジタルをうまく活用して、今まで抑圧されていたものをスムーズに流れるようにする。それができると、働く人たちのクリエイティビティが開花し、「これをやってみたい」「次はこれを実現したい」という風に進化していきます。これだけで、企業全体が大きく変わっていくと感じています。
ーーありがとうございます。企業の状況に応じて、従業員の働きやすさにもフォーカスを当てながら支援されているということでしょうか?
坂東:働きやすさをどう定義するかにもよりますが、私たちがご支援するのは、より自分たちがやりたいことを実現できる状態を作ることです。単に「楽になる」という意味での支援ではありません。
ーーつまり、顧客価値の創造が大きな目標ということですね。
坂東:その通りです。顧客価値を創造するために必要なことをすべてご一緒させていただくという形です。
ーー本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。これでインタビューを終わります。
株式会社Geneの概要と提供するサービス内容をまとめた会社概要資料をご用意しました。事業成長に向けたDX支援の全体像を、ぜひご覧ください。