ミッションステートメントの作成方法[便利なテンプート&事例付き]

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ミッションステートメントを作成する企業が増えています。簡単に説明すると、企業や従業員が共有すべき価値観や行動指針を意味するものですが、社訓や経営理念と何が違うのでしょうか?

この記事では、ミッションステートメントの基本的な説明から作成方法まで、わかりやすく解説します。

ミッションステートメントとは

ミッションステートメントとは、経営理念を実現するための判断基準となる行動指針をいいます。

私たちを取り巻く環境は急激に変化していますが、経営するためには意思決定していかなければいけません。ミッションステートメントが確立されていなければ、意思決定の判断がブレてしまいます。

逆にミッションステートメントが確立されていれば、一貫した姿勢が見せられて、社内・社外から信頼を得ていくことができるのです。一貫した姿勢が見せられれば、サービス品質の向上やブランディングも上手くいくようにもなるでしょう。

そのため、従業員で共有される行動指針として扱われていましたが、近年では外部のステークホルダーに発信されるものとしても取り扱われ始めてきました。

参考資料:Schoo for Business「ミッションステートメントとは?重要性や作成方法を事例を踏まえて解説」

ミッションステートメントの4つの効果

Double exposure image of many business people conference group meeting on city office building in background showing partnership success of business deal. Concept of teamwork, trust and agreement.

ミッションステートメントを作成すると、次のような効果が見込めます。

従業員の統率ができる

ミッションステートメントを作成すれば、従業員の統率ができます。その理由は、具体的な行動指針を示して共通認識を持たせることで、一体感が芽生えるためです。

会社が存在する意味や行動指針を明確にして示せば、働く意義を感じてもらえて、離職の防止につなげられます。

逆に、行動指針を示さなければ、従業員の企業に対する信頼度や愛着度が落ち、離職率が上がってしまうでしょう。このようなリスクを防止するためにも、ミッションステートメントを作成してください。

対外的なアピールがしやすくなる

事業計画を説明する場合など「どのように決めたのか?」をミッションステートメントに沿って説明すれば、納得してもらいやすくなります。その理由は、ミッションステートメントとは、どのような信念を抱いて物事を決めているかの根拠となるためです。

会社経営を継続していくためには、ステークホルダーとの関係を深める必要があります。そのため、対外的にアピールする場合は、ミッションステートメントに沿って説明して、納得してもらわなければいけません。

このような理由により、ミッションステートメントが必要になります。

意思決定における重要な指標になる

企業経営には、意思決定をしなければいけない瞬間がありますが、その時ミッションステートメントが重要な指標になります。その理由は、企業の価値観をブラさずに意思決定ができるようになるためです。

会社の将来を決める大切な意思決定は、「業績」「業界動向」「株主の考え」などトータル的な観点から見極めなければいけません。

しかし、これらに配慮しても意思決定が正しいという保証はされません。そのような中でも、意思決定はしなければいけないのです。ミッションステートメントに沿って意思決定をすれば、価値観をブレずに済むため一貫した行動がとれるようになります。

広報活動に活かせる

行動活動をする上でも、ミッションステートメントが欠かせません。その理由は、ビジネスのグローバル化により技術が平準化し、多くのサービスがコモディティ化(商品に差がなくなること)しているためです。

このような時代でサービスを差別化して生き残るためには、企業毎に異なる価値観を言語化する必要があります。

その1つの答えが、「この商品は何のために作られたのか」「どのような想いを大切にしているのか」の価値観を示すこと。価値観を示せば、ステークホルダーから共感が集められることでしょう。

参考資料:Schoo for Business「ミッションステートメントとは?重要性や作成方法を事例を踏まえて解説」

ミッションステートメントの作り方

ミッションステートメントは、正しい手順で作成しなければ失敗に終わってしまいかねません。そのため、ミッションステートメントの作り方を学んでおきましょう。

チームを結成する

ミッションステートメントを作成するために、部署をまたがったメンバーで、チームを結成してください。その理由は、異なる部署で働くメンバーを集めることで、俯瞰的に自社を見つめ直せるためです。

1人でミッションステートメントを作成すると物理的に時間がかかり、幅広い知識が求められ、大変な思いをしてしまいます。そのため、各部署のメンバーの力を借りましょう。

各メンバーが意見を出し合うため、意見がバラバラになることがありますが、あらゆる意見を出し切ることが大切です。その後に、チームリーダーが意見を組み合わせてまとめていきます。

各メンバーの意見はマインドマップにまとめるなど、視覚化できる状態にしておきましょう。

必要な要素を検討する

ミッションステートメントを作成する前に、各要素に対して意見を出し合っていきます。要素は全部で9つです。

■ミッションステートメントの9つの要素

顧客 商品やサービスの提供範囲を明確にする
製品またはサービス 自社製品やサービスの特徴や社会的使命を明文化する
市場 どのような市場で事業展開していくのかを検討する
技術 事業活動に必要な技術を精査する
企業理念 既存の企業理念を加えるか、新しい企業理念を作るか検討する
企業の強み 競合優位性を考えて事業の成長や健全性を確保する
企業の成長性または財務の健全性 企業が持続的に成長できるのか、財務状況が健全化を確認する
パブリックイメージ SDGs目標を立てて参加する姿勢を示す
従業員に対する姿勢 従業員に対する姿勢を再確認する

文章化する

9つの要素に対して出てきたメンバーの意見を組み合わせていき、文章化していきます。ミッションステートメントを文章化する場合は、社内の人にしか分からない専門用語や共通言語を使用するのはやめましょう。

社外の人にも分かるような言葉を使用してください。見る人に訴えかけるフレーズを用いると、ミッションステートメントをよりアピールしやすくなります。

参考資料:MarkeTRUNK「ミッションステートメントの役割とは?経営理念との違いと作成方法、効果について」

ミッションステートメント作成用テンプレート

海外の企業では、ミッションステートメント作成が主流となっています。海外企業で使用されているミッションステートメント作りに役立つテンプレートを活用すれば、素敵な言語化ができるかもしれません。ぜひ、下記のテンプレートと海外事例を参考にしてみてください。

■ミッションステートメント作成用テンプレート

What does our company offer?

(私たちの会社は何を提供していますか?)

Who is our audience?

(私たちのお客様は誰ですか?)

                      

 

What problem do we solve?

(私たちはどのような問題を解決するのですか?)

                      

 

What makes us unique?

(私たちの会社をワクワクさせるのは何ですか?)

                      

 

What is our contribution or impact?

(私たちは、どのような影響を与えて、どのようなものに貢献したいですか?)

                      

 

 

Formula: To [contribution/goal] so [impact]

(目標を達成または良い影響を与えるための行動指針とは)

                      

 

ミッションステートメントの導入事例

最後に、ミッションステートメントの作成の見本になる導入事例をご紹介します。

株式会社ファーストリテイリング

ユニクロやGUの衣料品メーカーであるファーストリテイリング社では、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」というミッションステートメントが設定されています。

具体的なミッションとしては、「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」と掲げられており、それを実現するため、各従業員の行動規範が定められています。

(参考資料:FAST RETAILING「FAST RETAILING WAY (FRグループ企業理念)」)

株式会社トヨタ自動車

トヨタ自動車では、トヨタ基本理念に基づき「トヨタウェイ」が制定されています。全世界で働く社員が共有すべき価値観や手法がわかりやすくまとめられており、社員への企業の価値観の浸透に成功しています。

同社はグローバル化が進んでいますが、全社員に行動指針を示して一体感を上げていることにより、高い品質とブランディングを維持できています。

[トヨタの行動指針]

  • 「だれか」のために
  • 誠実に行動する
  • 好奇心で動く
  • ものをよく観る
  • 技能を磨く
  • 改善を続ける
  • 余力を創り出す
  • 競争を楽しむ
  • 仲間を信じる
  • 「ありがとう」を声に出す

トヨタの行動指針を紹介しましたが、「トヨタウェイ」は非常に参考になるため、一読しておくことをおすすめします。

参考資料:TOYATA「トヨタグローバルビジョン」

株式会社良品計画

無印良品やMUJIブランドの小売店舗を展開する株式会社良品計画では、ビジョンと企業理念が掲げられており、それらを達成するための行動指針(ミッションステートメント)が記載されています。

ビジョン 「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を考えた商品、サービス、店舗、活動を通じて「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献する。
企業理念
  • 良品価値の探求 QuestValue
  • 成長の循環 PositiveSpiral
  • 最良のパートナーシップ BestPartnership
行動基準
  • カスタマー・レスポンスの徹底
  • 地球大の発想と行動
  • 地域コミュニティーと共に栄える
  • 誠実で、しかも正直であれ
  • 全てにコミュニケーションを

参考資料:株式会社良品計画「企業理念」

まとめ

今回は、ミッションステートメントについて解説しました。ミッションステートメントは、「従業員の統率」「対外的アピール」「経営の意思決定の指標」「広報活動のツール」などに使用されるものです。ミッションステートメントを作成しておけば、一貫性のある行動がとれるようになり、企業信用力を上げていけます。そのため、ぜひ、これを機会にミッションステートメントを作成してみてください。