DX担当者必携!驚くべき心理術で成果を倍増させる方法:ドア・イン・ザ・フェイス

DX担当者必携!驚くべき心理術で成果を倍増させる方法:ドア・イン・ザ・フェイス

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ビジネスパーソン向けに、コミュニケーションの秘訣を心理学的な視点から深掘りするシリーズの第一弾をお届けします。数々の医療経営コンサルティングでその手法を活用してきたGUTS株式会社の代表取締役清水氏から、その実践的なノウハウを伺いました。

コラムニスト

清⽔ 仁氏
GUTS株式会社代表取締役
プロフィール:2005年 社会学修士(社会心理学)
東京都内の医療法人に入職し、同法人本部で購買業務および各種契約業務を担当
2009年から病院経営コンサルタントに転身
2017年4月にGUTS株式会社を設立し、代表取締役に就任
社会心理学や行動経済学を病院経営に応用することでモチベーションアップと組織改革を両立させるコンサルティングスキームを提唱している

みなさん、はじめまして!

GUTS株式会社という、ダサくて暑苦しい会社の責任者をしている清水と申します。
当社は総合病院などの医療機関を中心にLCO(Low cost operation)のコンサルティングを行っており、主にサプライヤーとの価格交渉を支援しています。LCOを達成するためには、院内のステークホルダーである医師や看護師とのコミュニケーション、特に説得が鍵を握っています。

その説得作業には、私が大学院で学んだ心理学のエッセンスを活用しています。この知識は、社内の変革を推進しているDX担当者の方々にも役立つのではないかと思い、具体例と共に、みなさんに知っていただきたい心理学をお伝えします!

説得の心理学

赤と青の頭

みなさんは「チャルディーニの法則¹」という言葉を聞いたことがありますか。
チャルディーニの法則とは、アメリカの社会心理学者、ロバート・B・チャルディーニ氏が提唱する、人間の行動に社会的影響力を与える以下の6つの普遍的な心理的法則のことを指します。

1. 返報性:恩恵を受けたら報いなければならないと感じること
2. 権威:専門家の指示に従いたくなること
3. コミットメントと一貫性:自分のコミットメントや価値観と一貫した行動を取ること
4. 希少性:手に入れにくいものほど求めたくなること
5. 好意:好意を持つ相手に賛同したくなること
6. 社会的証明:他人の行動を指針とすること

今回は、これらの中でも私自身が日常的に活用している「返報性」について、具体的な事例を用いて説明します。

返報性とは、「ギブアンドテイク」という言葉の通り、テイク(受け取る)を得る前にギブ(与える)が必要であるという考え方を指します。そこで、少しテクニックを取り入れてみましょう。

ドア・イン・ザ・フェイス(door in the face)テクニック

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック Copyright GUTS INC.

ドア・イン・ザ・フェイステクニック²の具体例を漫画風に記載してみました。このテクニックは、「最初の要請が大きすぎて応じられないと感じると、多くの人はその要求を断るが、その後に出される小さな要請には応じやすくなる」という法則を利用したものです。具体的な手順は以下の通りです。

1. 相手が受け入れられないであろう大きな要求を先に出す。
2. あえて相手にその要求を断ってもらう。
3. その後、本命の要求を出す。
4. 多くの相手は何度も断ることがストレスと感じるため、本命の要求が通りやすくなる。

ただし、この方法は最初の要求が偽であるとバレた場合、効果が薄れます。また、本命の要求の内容にもよりますが、経験的には偽の要求を1つか2つ入れることで、本命の要求が通りやすくなると考えられます。

まとめ:ドア・イン・ザ・フェイステクニックの活用

人のシルエットと棒グラフ

今回は、ドア・イン・ザ・フェイステクニックに関して、GUTS株式会社の代表取締役、清水氏に解説していただきました。このテクニックは、相手の心理的反応を巧妙に利用して、本命の要求を通しやすくする手法です。しかし、成功の鍵は相手の反応や感情を的確に読み取ること。偽の要求が露骨であったり、本命の要求があまりにも大きすぎる場合は、その効果を得ることは難しいでしょう。

使用する際は、相手の立場や状況をきちんと考慮し、相手を尊重する姿勢を持ちながら適切な要求を工夫してください。誠実さが最も重要です。テクニックはあくまでツールであり、信頼関係を築くことが何よりも大切です。ドア・イン・ザ・フェイステクニックを上手く使い、より良いコミュニケーションを目指しましょう。

DX担当者へのメッセージ:心理学を活用した効果的なコミュニケーション

Digital Transformation

デジタル変革を推進するDX担当者として、新しい技術や戦略の導入はもちろん大切ですが、それと同じくらい、組織内の人々とのコミュニケーションが鍵となることを、多くの皆さまが実感されていることでしょう。

心理学、特に「ドア・イン・ザ・フェイステクニック」などの心理的アプローチは、DXの進行中に頻繁に出会う異なる意見や抵抗を円滑に取り扱うための強力なツールとして活用できます。しかし、このテクニックを使用する際は、相手を尊重し、信頼関係を築くことが最も重要です。

デジタルトランスフォーメーションは、技術だけでなく、人々の心との連携によって成果を上げるものです。心理学の知識を駆使して、組織内のコミュニケーションを強化し、DXの成功への道を一緒に築いていきましょう。

成功のための新しい技術を学ぶだけでなく、人々の心の動きを理解することで、DX担当者としての影響力をさらに高めることができます。この知識が皆さまの日々の業務に役立ち、デジタル変革をより円滑に進める一助となれば幸いです。

コミュニケーションの心理学シリーズ 2はこちらから

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※参考文献

*¹ J.ゴールドスタイン,S.J.マーティン,R.B.チャルディーニ(安藤清志監訳)(2009)『影響力の武器 実践編-「イエス!」を引き出す50の秘訣』誠信書房

*² 御手洗昭治(2013)『問題解決をはかる ハーバード流交渉戦略』東洋経済新報社
第一提案として、誰もが断るような大きな要請をして実際に拒否されたうえで、本当の目的である小さな提案(第二提案)をする交渉技法である。相手の拒否をまず受け入れる。そしてその提案を譲歩したという姿勢を相手に見せ、相手に『譲歩の『お返し』をしたい』という気持ち(返報性)を起こさせる技法である。