ビジネスローンとは、その名の通り事業用資金を用意するためのローン商品です。一般的なローンと大きく異なる点は、「借入資金の使途」です。
ローン商品は、個人を対象として個人的な用途に利用されるものが多いです。一方、ビジネスローンは、事業用に限定されているといった特徴があります。この記事ではビジネスローンの概要や、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
ビジネスローンの特徴について
ビジネスローンとは、事業専用のローン商品のことを言います。一般の人がプライベートな目的で借入するローン商品とは異なり、事業を行うために必要となる資金の借入を行うローン商品です。
事業用資金の借入といえば、銀行などの金融機関から融資を受けるのが一般的だと思われがちですが、消費者金融などの貸金業者も、インターネット経由で申込を受け付けており、利便性の高いビジネスローンが多種多様に展開されています。
ビジネスローンの使用用途については、事業用に限定されており、個人の用途には利用できません。借入金は原則として事業性資金として利用しなければいけません。
事業性資金には、具体的に以下が該当します。
- 新規事業立ち上げ資金
- 運転資金
- 設備資金
- 取引先への支払い
- 従業員への給与支払い
事業に関することであれば利用可能であり、細かな使途は特に定められていません。ただし、ビジネスローンとして借入した資金で、個人用途に使用した場合は、たとえそれが少額であったとしても規約違反となるので注意してください。
ビジネスローンを利用できるのは、個人事業主もしくは法人のみです。申込時点で開業もしくは法人設立ができていない場合は、基本的に利用できません。したがって、未開業の場合は開業資金として利用することはできません。
ビジネスローンのメリット
このように利用の場面が限定されているビジネスローンですが、どのようなメリットがあるのでしょうか?具体的にご紹介していきます。
融資スピードが速い
ビジネスローンは、総じて審査にかかる時間が短く、一般の融資に比べて短期間で借入が可能です。ノンバンクの商品には最短即日のものが多く、銀行のビジネスローンの中にも、一部、即日融資に対応したものがあります。
これに対し、日本政策金融公庫の融資では、審査完了までに3週間前後、口座にお金が振り込まれるまでにはさらに1〜2週間前後がかかります。銀行融資の場合でも、日本政策金融公庫と同等か、それ以上の時間が必要です。
ビジネスローンなら、最短即日、遅くとも5営業日ほどで融資が受けられるので、急な資金調達に適しています。
総量規制の対象外
ビジネスローンは個人向けではないため、総量規制の対象外です。したがって経営者や個人事業主の年収に関わらず借入が可能です。
総量規制とは消費者金融やクレジットカード会社などを対象に設けられている法制度の1つです。返済能力を超えた過剰な貸付から消費者を守るために、「年収の3分の1を超える貸付の原則禁止」を定めています。
総量規制を気にすることなく借入ができるというのは、特に個人事業主にとっては大きなメリットになり得るのではないでしょうか。
無担保・無保証人で借入できる可能性が高い
ビジネスローンでは、多くの場合、無担保・無保証人で融資を受けられます。そのため、より手軽に申し込むことができ、万が一返済が滞っても、代表者や第三者に責任は及びません。
担保となる物を保有していなかったり、依頼できるような保証人がいなかったりする場合は、消費者金融のビジネスローンを検討されてみてはいかがでしょうか。
事業用使途の柔軟性が高い
ビジネスローンは「事業用」であれば、融資を受けた資金の用途に制限が設けられていないものがほとんどです。
例えば、日常的な経費の支払いを目的とした「運転資金」に当てることもできますし、従業員の賞与や季節性のある商品の仕入れなどを目的とした「季節資金」として利用することも可能です。その他にも、法人税の支払いや設備投資目的の利用も可能であるなど、資金用途の柔軟性の高さがビジネスローンの大きなメリットといえます。
ビジネスローンのデメリット
一方、ビジネスローンを借りるときは注意すべき点もいくつかあります。デメリットも踏まえた上で自社にとっての最適解を探るのが重要です。
銀行融資と比較して金利が高い
ビジネスローンは、通常の融資に比べて金利が高く設定されています。日本政策金融公庫や銀行、信用金庫からの融資が、0%台〜4%前後で借りられるのに対し、ビジネスローンには金利が10%を超える商品も珍しくありません。ビジネスローンを長期で借りるのは、負担が大きいといえるでしょう。
借入可能金額が少ない傾向にある
ビジネスローンの融資金額は、10万円〜1,000万円程度であることが一般的です。通常の融資に比べ、融資限度額は低めに設定されています。そのため、それ以上の額を希望する場合は、銀行などの金融機関に相談する必要があります。
とはいえ、三井住友銀行のビジネスセレクトローン(〜3億円)、三菱UFJ銀行の融活力(〜5,000万円)など、金額の大きいビジネスローンも存在します。
一般の融資が受けづらくなる恐れもある
ビジネスローンの借入があると、金融機関で融資の審査を受ける際、担当者の心証を悪くする可能性があるともいわれています。
一般にビジネスローンは審査が甘いとされており、現実には銀行融資などを受けられない方がビジネスローンを利用するケースが少なくありません。そのため、ビジネスローンを利用していると「資金繰りが苦しいのではないか」、「融資を受けられない重大な問題があるのではないか」などと、否定的に捉えられる可能性があるのです。とくにノンバンクのビジネスローンを利用している場合は、この懸念が比較的強いとされています。
法人の場合、決算書に借入先を記入することから、ビジネスローンの借入があることは、確実に知られてしまいます。将来的に金融機関から融資を受けることを希望する場合は、ビジネスローンの利用には慎重になる必要があるでしょう。
条件の良い商品では担保・保証人を求められる
金利や融資額の条件が良いビジネスローンでは、担保や保証人を求められることがあります。例えば、最大1億円を金利4%台〜で借りられるビジネスローン商品では、必要に応じて不動産担保が求められます。なおかつ、法人の場合は、原則として代表者が連帯保証人にならなければなりません。
そのほか、信用保証協会による保証が必要となるビジネスローンもあります。条件が良いのは魅力的ですが、担保・保証人が要ると、利用のハードルは上がり、リスクもつきまといます。
ビジネスローンの活用例
ビジネスローンのメリット・デメリットについて簡単にご紹介してきました。では、その上でどのようなケースの場合、ビジネスローンの活用が適しているのでしょうか?一般的な事例についてもご紹介します。
急いで資金調達をする必要がある場合
今日明日にでも資金を調達したいという場合は、借入までのスピードが速いビジネスローンの利用が想定されます。
例えば、月末に売掛金が入るまでのつなぎとしてお金がほしいといった場合には、3営業日〜5営業日、最短で即日融資も可能なビジネスローンが便利です。
100万円以下の少額の融資を希望する場合
法人なら20万円〜50万円、個人事業主なら5万円や10万円といった少額の融資を希望する場合にも、ビジネスローンは役に立ちます。とくに短期で返済できる場合には、そうした少額の融資を受けるために、わざわざ面談を受けたり、1ヶ月審査を待ったりするのは合理的とはいえません。
ビジネスローンの中には、利用金額を1万円から設定できるものや10万円単位で借りられるものもあり、すぐに少しだけ借りたい際に便利です。
銀行や信用金庫で融資を受けられない場合
ビジネスローンは、比較的審査が甘いといわれるため、現実には銀行や信用金庫の融資で審査に通らなかったから利用する方もいます。最初は低金利の融資を求めて、日本政策金融公庫から地方銀行、信用金庫、信用組合とあたってみるもののうまくいかず、やむなくビジネスローンで借りるというパターンも多いようです。
とりわけノンバンクのビジネスローンは、一般の融資に比べると審査の難易度が落ちるとされているので、どうしても借入がしたい場合には、頼みの綱になります。ただし、手軽に利用できる分、金利が高いことから、慎重かつ計画的に利用することを心がけましょう。
銀行や信用金庫で貸してもらえないケースでは、資金繰りがうまくいっていない場合も多く、高利で借りることでさらに状況が悪化することも考えられます。
無担保・無保証人で借りたい場合
担保にできる資産がないケースも含め、何としても無担保・無保証人で融資を受けたい場合にも、ビジネスローンの利用が想定されます。ビジネスローンには、担保不要・保証人不要の商品が多いため、不動産担保や個人保証を避けて借入をすることが可能です。
ただし、開業資金を借りる場合には、ビジネスローンではなく、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」から検討してみましょう。新創業融資制度では、原則として無担保・無保証人、かつ低金利で融資が受けられます。
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まとめ:ビジネスローンで資金調達する秘訣
今回は事業資金専用のローン商品であるビジネスローンの概要とメリット・デメリットについてご紹介してきました。利用の場面が事業資金のみと限定的ではありますが、即日で融資を受けられたり、保証人が不要であったりと、企業が置かれているケースによっては利用が向いているケースも多々あります。ローン商品の利用を検討する際は、複数商品の特徴を理解し、自社の現状にとって最適なものを選択しましょう。