経営理念を作ることは、経営の軸を固めて組織力を上げるために必要です。しかし、中小企業の中には経営理念を作っていないところもあります。経営理念がない企業は、これを機会に作ってみてください。その理由は、経営理念を作れば事業戦略や事業計画の精度を高めていけるためです。
今回は、中小企業に必要な経営理念の作り方をご紹介します。この記事では、誰でも簡単に経営理念を作れる方法を紹介するので参考にしてみてください。
経営理念とは
経営理念とは、企業の根本となる活動方針を明文化したものをいいます。経営理念は、最初から完璧に見えるものではありません。経営を続けていくうちに、経営理念の形が見えてくることもあるため、定期的に変更する企業も多いです。
ドラッカーが提唱した企業理念
ドラッカー著書「Managing in the Next Society」では、企業の存在意義や行動指針を決めるものとして経営理念(MISSION・VISION・VALUE)を決めることが大切だと述べられています。
MISSION | 会社の存在意義や使命 |
VISION | MISSIONを実現させた将来のあるべき姿
自社が目指すイメージをわかりやすく提示する |
VALUE | 具体的な行動指針や価値基準
社員1人1人の行動指針となるため具体的な内容にする |
参考資料:『株式会社OGS 経営理念(MISSION・VISION・VALUE)の作り方【マネジメント講座】』
経営理念のメリット
経営理念のメリットは、経営の軸を固めることができて営業組織力が高められることです。よい経営理念があれば、社員の心に影響を与えて、同じ方向に向かって組織を動かすことができます。また、会社に相応しい規範や行動基準が生まれれば、従業員のモラルが高くなります。
経営理念のデメリット
経営理念のデメリットは、作り方を間違えてしまうと弊害が生まれてしまうことです。例えば、経営理念が浸透しなければ、組織全体の連帯感を高めることはできないでしょう。また、経営理念の作り方を間違えると、自社に相応しくない人材を採用してしまう可能性が高まります。
経営理念の作り方
経営理念を簡単に作りたい方は、時間軸で考えてください。ここでは、時間軸を活用した経営理念の作り方をご紹介します。
MISSION:顧客に提供できている価値を考える
MISSIONを考えるときは、現在、顧客に提供できている価値を考えてみてください。その理由は、顧客に提供できている価値を追求すれば、自分たちが存在している意義に繋がるためです。
フリマアプリサービスを提供しているメルカリは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をMISSIONに掲げています。このように顧客に、どのような価値を提供できているかを深堀りしてMISSIONを決めてみてください。
VISION:将来なりたい理想像を考える
VISONを決めるときは、現在から未来を見据えて、どういう未来を描きたいかを考えてみてください。その理由は、未来を思い描くことで、組織全体で何を目指していけば良いかが明確になり、組織力を上げていけるためです。
世界で活躍するトヨタ自動車はVISIONとして「様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する」と掲げています。
VALUE:「過去」「現在」「未来」で大切にしたいことを考える
VALUEを決める場合は「過去」「現在」「未来」の時間軸でブレない大切にしたい価値観を考えてみてください。なぜなら、VALUEは従業員の行動指針になるためです。変わらずに保ち続ける企業の価値観の浸透は必要不可欠です。
味の素では「創業以来一貫した社会価値と経済価値を共創する」というVALUEを掲げています。VALUEは顧客へのサービス提供価値に反映される概念のため、シッカリと決めましょう。
参考資料:『株式会社OGS 経営理念(MISSION・VISION・VALUE)の作り方【マネジメント講座】』
経営理念を作る場合の4つのポイント
経営理念を作っても、失敗して企業が衰退してしまう場合があるため、気をつけてください。ここでは、経営理念を作る場合の4つのポイントをご紹介します。
経営理念を独断で決めない
経営理念を決める場合は、経営者が独断で決めないようにしましょう。その理由は、各領域で起こっている出来事は、現場の方が関与しています。現場の声を聞かずに独断で決めてしまうと、現場から理解が得られなくなり、経営理念が浸透していきません。そのため、現場の声を吸い上げた上で経営理念を決めましょう。
現場の声を吸い上げる方法として、アンケート調査がおすすめです。アンケート用紙を用意して全従業員に記載してもらい、どのような言葉が多く使用されているかを検証して、経営理念を作ると良いものが作れます。
現場に任せきりにしない
経営理念づくりを現場に任せきりにしてはいけません。現場の経営理念に悩んだ場合に、従業員の声を反映させようとする経営者の方は多くいます。従業員の声で完成した経営理念であれば、良いのではないかと思う方は多いです。
しかし、社員に経営理念を決めさせてしまうと、顧客第一主義から社員第一主義に変わってしまいます。また、従業員は経営者ではないため、元々あった企業文化が崩れてしまいがちです。その結果、会社が衰退することになるため、気をつけなければいけません。従業員の声を聞くことは大切ですが、最終決断まで任せるのは控えましょう。
言葉の定義を曖昧にしない
経営理念の言葉の定義を曖昧にしてはいけません。その理由は「成長とは何か?」のような言葉の定義が曖昧だと、経営理念が浸透していかないためです。そのため、掲げている経営理念の言葉の定義は分かるようにしましょう。
例えば、「成長とは何か?」は「能力を向上させて顧客への提供価値を提供させること」などのように説明すると、社内に経営理念が浸透しやすくなります。
他社の経営理念からキッカケを掴む
時間軸で経営理念を考えても、将来なりたい像が漠然としていたり、大切にしたい価値観が曖昧だったりすることもあるでしょう。このような悩みを抱えた場合には、同業他社の経営理念を調べてみることをおすすめします。
自社オリジナルの経営理念を作りたいとは思いますが、同業他社の経営理念を参考にすれば明確になってくるはずです。
定期的に経営理念を見直す
経営理念は、一度作れば終わりではなく、定期的に見直してください。その理由は、最初から完璧な経営理念を作れるわけではないためです。会社の成長度合いや従業員数、時代の変化に伴い経営者の想いも変化してくるでしょう。そのため、今大切にしたい想いを言葉にして経営理念を決めていく必要があるのです。
特に、VALUEやVISIONは従業員の行動指針に影響を与えるものなので、定期的に振り返って見直すようにしましょう。
参考資料:『株式会社ネオキャリア 【社長必見】ミッション・ビジョン・バリュー作成時にやってはいけない3つのこと』
まとめ
今回は、中小企業に必要な経営理念の作り方をご紹介しました。経営理念の作り方は時間軸で考えれば、誰でも簡単に作ることができます。
- MISSION:顧客に提供できている価値を考える
- VISION:将来なりたい理想像を考える
- VALUE:「過去」「現在」「未来」で大切にしたいことを考える
経営戦略は組織力向上に欠かせないものなので、ぜひ、これを機会に作ってみてください。