Web3やNFTに関わる起業家支援に特化したシードアクセラレーターが、近頃話題を集めています。投資などの分野で耳にすることのあるシードアクセラレーターとは、そもそも何を指しているのでしょうか。
今回の記事では、シードステージの種類や、シードアクセラレーターの定義を確認した上で、Web3/NFTに関連するシードアクセラレーターをいくつか紹介していきます。また、シードアクセラレーターと起業のポシティブな関係性についても解説していきます。
シードアクセラレーターとは?
まずシードアクセラレーターとは、そもそも何を指す言葉なのでしょうか?近年のベンチャー企業への投資をめぐる背景などをご紹介しながら、シードアクセラレーターの定義や概要について解説していきます。
加速するベンチャー企業への投資
近年では、設立からわずか1〜2年で数億円もの資金調達に成功するベンチャー企業が珍しいものではなくなってきました。
以前であれば、会社設立間もない時期は、銀行からの借り入れなどによる資金調達が一般的でした。しかし、銀行からの借入は審査が非常に厳しいため、設立したての会社が信頼性を担保するのが困難であったり、借入できたとしても少額だったりと、なかなか起業を応援するような風土ではありませんでした。
しかし、2000年代から2010年代にかけてIT/web業界が目覚ましい発展を遂げ、その大部分を担う企業の多くが個人や数人による小規模のものであったことから、このようなベンチャー企業への投資も加速していきました。
銀行ではなく、直接的に投資家からの資金援助を受けて事業の急成長を狙う、「スタートアップ」と呼ばれるベンチャー企業が注目を集めるようになって久しいです。また、近年ではスタートアップの資金調達の方法も細分化され、スタートアップならではの資金調達や起業家支援が発展を遂げています。
シードとは?
スタートアップ支援の文脈で、シードやシリーズAといった言葉を耳にするかもしれません。シードやシリーズAといった用語は、スタートアップの成長に応じた支援を受ける段階を表しています。
今回紹介していくシードアクセラレーターにおける「シード」とは、起業したばかり、または会社設立前のステージにあるスタートアップを指す言葉です。シードは、日本語で「種子」や「芽が出る前の状態」を意味することから転じて、起業前のスタートアップを表します。
シードステージは、起業前の事業のアイデアやコンセプトの構想段階から、課題解決に向けた仮説検証の段階までに位置しているスタートアップを指すのが一般的です。
シードステージにおけるスタートアップの多くは、プロダクトのリリースに向けた準備段階にあるため、多額の資金を必要としていないケースがほとんどですが、それでも市場調査費、プロトタイプ開発費、会社設立費、人件費などの最低限のコストをまかなう目的で、資金調達を目指しています。
シードアクセラレーターとは?
シードアクセラレーターとは、前述してきたシードステージにある事業を支援する投資家や組織のことを指します。アクセラレーター(accelerator)とは、英語で「加速させるもの」を意味する言葉です。そこから派生し、現在では「スタートアップや起業家をサポートし、事業成長を促進する人材・団体・プログラム」を指す言葉として使われています。
一般的なアクセラレーターは、主にシード期前後の企業を対象とし、数週間〜数か月という短期間でビジネスを急成長させる支援プログラム(資金投資・ノウハウ提供など)を提供します。
最も著名なシードアクセラレーターには、DropboxやAirbnbを輩出したシリコンバレーの「Y Combinator」がありますが、国内でも彼らを倣ったアクセラレーターがいくつも誕生し、それぞれ特色のあるプログラムを提供しています。
Web3/NFT領域におけるシードアクセラレーター
最後に、具体的なシードアクセラレーターを紹介していきます。今回は、特に今注目を集めているWeb3やNFT分野に特化したシードアクセラレーターを紹介します。
国内の主なアクセラレーター
Arriba Studio
Web3/NFT起業家支援を展開するアクセラレーターArriba Studioは、シンガポール・東京を拠点としています。事業会社各社との豊富な接点を有しており、アクセラレーター活動をUAEをはじめとする全世界へ拡大していくことから、さらにコミュニティ拡大が予想されるのが魅力の一つです。
マスターカード
マスターカードは、音楽アーティスト向けのWeb3(分散型ウェブ)育成プログラム「Mastercard Artist Accelerator」を発表しています。デジタル経済を意識したクリエイティブ事業を検討している企業におすすめです。
富士通
日本のテクノロジー発展をリードしてきた富士通は、安心安全なデータ流通や、管理などを得意分野としています。真正性や高度なセキュリティを強みとしたい際は適しているかもしれません。
参考:Fujitsu Web3 Acceleration Platform
Delphi Labs
Delphi Labsは仮想通貨分野での実績が厚く、近年web3分野に乗り出しました。新分野の具体的な開拓ノウハウなどを得られる可能性が高いです。
参考:Delphi Labs
海外のアクセラレーター利用も選択肢の一つ
言語の壁が気にならない、あるいは壁を乗り越えたいと考えている場合、海外のアクセラレーターを利用する、という選択肢もあります。日本よりもはるかに大きなマーケットを有する、海外を地盤にしているアクセラレーターであれば、リスクも大きくなりますが、その分大きなリターンも得られるはずです。
代表的な海外のアクセラレーターとして、GBVキャピタル、DeFi Alliance、Tribe Accelerator、Draper Goren Holm、Accelerace、MVST:MGなどが挙げられます。可能であれば、積極的にアプローチをとってみたいところです。
またアクセラレーターによって、それぞれの特化している分野は異なっているので、自身に合うアクセラレーターを探してみましょう。
Web3/NFTにおけるシードアクセラレーターが成功する理由とは?
web3/NFT分野において、シードアクセラレーターがつくことで、成功可能性がアップする理由はいくつかあります。
web3、NFTにまつわる実装面でのサポートを受けられる
web3/NFT分野においてアクセラレーターを利用することが起業の成功につながるという一番の理由は、やはり実装面での手厚いサポートを受けることが出来る点でしょう。
このような分野で起業したスタートアップが直面する主な問題は、実装するまでのインプットや実践不足と言われています。アクセラレータープログラムを活用すれば、資金提供のみならず、メンターとしての指導の機会を提供してもらえる場合があります。
加熱している分野だからこそ、先達の支援をこうした側面で享受できると、事業の成功可能性が大幅に上昇するでしょう。
事業運営に携わるノウハウを学べる
複数のスタートアップ支援を経験したキャピタリストやプログラム運営者から、ビジネスモデルや事業運営に関する指導やコンサルティングを受けることができます。
web3.NFT分野に最適化された事業運営のノウハウは、資料などが体系的に整っていなかったり、そもそもアクセス可能性が低い段階だと考えられます。そのような際に、アクセラレーターから直々に事業運営やマーケティングについて学べる機会を得られることは、競合と比較して、かなり優位に立つことができるでしょう。つまり事業の成功確率も大幅に上昇します。
密なネットワーク構築ができる
アクセラレーターによる支援を得ると、主催する企業やベンチャーキャピタルや投資家などとの関係性が深まり、コネクションが生まれるのが一般的です。またプログラムに参加する起業家同士のネットワーク構築もスムーズだと言われています。
web3/NFTのような技術の活用可能性について未知の領域が広い分野ほど、このようなコネクションが、技術の新たな革新に大いに寄与します。
より良いプロダクトやサービスを協業したり、スカウトすべき人材に出会えたりと起業成長には欠かせない後押しの機会となるでしょう。
まとめ
今回の記事では、ベンチャー企業の資金調達にまつわる背景を踏まえながら、シード期と呼ばれる初期段階のスタートアップに対する支援プログラムについて紹介してきました。
シードアクセラレーターから支援を得ることで、ベンチャー側は金銭的な面以外でもとてもメリットがあります。近年加熱しているweb3、NFT分野は特にメリットが顕著です。これから起業する方や、シード期にある方はぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。
※公式HP
『Arriba Studio』
『マスターカード』
『富士通』
『Delphi Labs』