【プロに聞く】経理におけるDXとは?三浦崇生氏インタビュー

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みなさん。こんにちは。今回は経理DX化支援のプロフェッショナルであるipartners株式会社 代表取締役 三浦 崇生氏へのインタビュー記事を掲載します。「経理におけるDXとは?」ということで経理のDX化について教えて頂きました。


ipartners株式会社代表取締役

三浦 崇生氏

大学卒業後、システム開発会社へ入社。約15年の勤務で経理/財務・人事(労務・採用)・総務・営業管理・債権管理等様々な部署の立上から安定運用までの責任者を経験。スタートアップ企業へ転職しコーポレート部門の立上げ、資金調達等を実施。現在は、ベンチャー企業を中心に7社を支援。クラウドツールやIT機器を利用し経理の月次決算を行う体制構築などの支援を行っている。


ーー今は、主にベンチャー企業の支援をされているということですか?

三浦崇生氏(以下、敬称略)

はい、そうですね。スタートアップがメインになります。

ーー今は、三浦さん一人でやられている感じですか?

三浦:社員としては僕だけですが、業務委託メンバーは今20人ぐらいいます。小規模な取引先に関しては僕ともう一人でやっています。しかし、ある程度規模が大きい会社においては3、4人で月次決算を回すということをやっております。

ーークライアント先は何社ありますか?

三浦:今は7社です。

ーーコドモンさんも支援されていたのですね?

三浦:そうですね。僕がジョインした当時は30人ぐらいの規模でしたが、今は200人ぐらいになっていると思います。

ーーあとは、どういう会社を支援していますか?

三浦:ベンチャーキャピタルから出資を受けているようなIPOをめざすスタートアップになります。

ーーなるほど。確かにスタートアップの場合、なかなか優秀なCFOはいないことが多いので、三浦さんにお声がけするということでしょうか?

三浦:そうですね。ベンチャーキャピタルから出資を受けた会社の場合でいいますと、試算表を要求される為、月次決算をしなければなりません。

それをどうやって作ったらいいのでしょうか?というところから相談を受けます。

代表者が1人で請求書確認・支払い作業を行い、帳簿は税理士事務所に任せているという状態から、試算表を毎月作るというのは、やり方そのものがわからず、なかなかハードルが高いと思います。

そこで、僕が入ってまず請求書の集め方や、締め日、税理士との連携方法など社内ルールを作ります。その次にツールの導入となります。

会計システムを導入して帳簿回りを内製化して、請求書受付のシステム等を決めます。その後、マニュアルを作り、クライアント先のメンバーの方に引き継ぐか、もしくはうちのリモートのメンバーだけで回す体制を作ります。

ーーリモートメンバーだけで回るのですか?

三浦:そうですね。週1回、リモートメンバーと顔合わせをしながら作業をしますが、リモートメンバーだけで回ります。

なので、価格に関しても、最初の3ヶ月目から半年くらいは、コンサル費用がかかりますが、全て落ち着くと、急に金額が下がります。だいたい、10人くらいの会社だったら、安定運用後については月5万くらいで済みます。その中には月次の予実管理とかも含まれています。

ーーそれは、とてもいいですね!

三浦:そうですね。freeeの使い方をうちのメンバーは理解しているため、freeeに毎日請求書を2,3枚ずつきちんと上げていくというところがルーチン化しています。

さらに、もっと工程を楽にする為、メールで届いた請求書のPDFを会計freeeに自動でアップするツールを作りました。freeeは仕訳にPDFを添付できるので証憑の添付も簡単に行えます。「この金額がおかしい。証憑を確認する為に経理だけは出勤しないと」というTVCMみたいなことにはなりません。

また、メールが届き、アップされたら、Slackのチャンネルに通知するようにしています。

ーーそれは、すごいいいですね!

三浦:通知が来た時に、リモートメンバーは仕事をするという感じです。毎日15分から30分は時間をとるつもりでやってねと言っています。

ーー確かに、これは、三浦さんにとっても良いですし、仕事を受けるメンバーにとっても良いですね。

三浦:僕にとって良いのは、更にそこから1つ作業をやったら、僕に通知が届くという仕組みになっている点です。

リモートのメンバーがいつ何をやったかについてだいたい分かります。仮に抜けてたら、「この作業ちょっと急いでね。」というのを通知に合わせて連絡します。

ーーおお、すごい効率的ですね!

三浦:そうですね、効率的だと思いますね!

ーーこれ、例えば、通常は決算があるときは、税理士に頼まなきゃいけないと思うのですが、この仕組ですと、もうfreeeで連携して渡すだけですよね?

三浦:僕らは、基本月次決算を毎月毎月やっていて、月次を締めた後に取引先の顧問税理士にチェックを毎月お願いしています。なので1ヶ月毎に税理士の確認含めて終わっていく感じですね。

ーーキャッシュフローの管理も自動的に出来る感じですか?

三浦:freeeには、資金繰りの機能が全部あります。きちんと月次でfreeeに入力することを徹底すれば、当然ですが、支払い予定なども全部出てきます。このリストを見ながら、上から内容確認してもらって、支払準備してていきましょうという事ができます。振込データをダウンロードできるので、月次の数値報告をして支払いリストを見てもらい内容に問題がなければ、これで予約振込をお願いしますという流れになります。

ーーリストが出て、それに基づいて振り込みするだけで良いのですね?

三浦:そうです。CSVがそのままfreeeからダウンロードできるので。銀行のネットバンクにアップロードすれば終わりです。

ーーすごいですね!

三浦:その登録作業の工程をきちんと踏んでいれば、月次締まったと同時に、月末支払いの処理を終わらせる事も可能です。

ーー経費精算とかも全部freeeにありますよね。

三浦:はい、あります。経費精算をしてもらうと、翌月に支払う給与に全部流れ、それが会計freeeに流れて、月次を締められます。経費精算も全部て締まっている状態になります。月次が締まったイコール、来月支払う金額が全部決まっている状態になります。

ーーそれがわかれば、どれぐらい資金が必要かすぐに把握できますよね?

三浦:そうです。例えば、「来月のこの曜日にこの額を払うことになるだろうけど、資金は大丈夫か」とか、「これとこれは翌月に調整しましょうか」という相談もできます。だいたい出金の3週間前に全部が分かっている状態です。

ーーいいですね。それが分かっていないと、資金繰りが厳しくなってあたふたしてしまいますよね?

三浦:そうですね。税理士さんに投げていると、月次締まるのが2ヶ月後、3ヶ月後とかになっていたりするので。ちゃんと数字を合わせていかないと、今どうなっているのか分からなくなってしまいます。

その点、僕らの取引先においては、ベンチャーキャピタルさんから試算表を出してって言われた場合、会計freeeでダウンロードボタンを押せば、すぐに出る体制を構築しています。

加えて、先程言った弊社が作ったツールによって証憑のついていない仕訳はほぼ無く、銀行入出金データと紐付いていない仕訳もほぼない状態にして行くので、通帳残がほぼリアルタイムで合うんですよ。

ある程度小さい規模のうちに、形をきちんと作っておくと、規模が大きくなっても問題は無いと思います。僕が入って2年か3年ぐらいで形にできたら、新人の方にバトンタッチできるようにします。

ーーその新人の方とは、御社のメンバーの方ですか?

三浦:それで言いますと、うちのメンバーでも、お客さんのところのメンバーでも両方対応できます。

ーーなるほどですね。

三浦:お客さんの方でも、きちんと窓口になる人がいた方が良いと思います。その方を僕が育てて、僕とうちのリモートのメンバーで組んで仕事をしていくのも良いと思います。僕らはクラウドシステムやツールなどでかなり効率化するので、他社に比べて経理の人員が半分ぐらいになるというレベルまで体制を作ることができます。

ーー三浦さんがやっていることは、まさしく経理DXですよね。

三浦:そうですね。実際、僕が入って一番最初に行うのがスキャナーや各種システムとのAPI設定だったりします。

API機能がそれぞれのシステムに入っていたら、その設定をやってみます。設定がされたらスキャンデータがfreeeのファイルボックスに全部自動でアップロードできる機能がもともと入っているので。

後は、すごーく地味な話になりますが、領収書等を会社に全部送ってもらって、うちのスキャナーでスキャンして会計freeeに自動アップさせます。そこから先はリモートメンバーが処理をする流れを作ってます。

超アナログな工程もありますが、経理DXの形にもっていくというところまではやります。

ーー実際、ここまでやろうっていう人、少ないですよね。

三浦:そうですね。会計とか経理の業務や手順に詳しい上に、会計システムなどのAPI周りの機能にある程度詳しく、業務中に2〜3時間ぐらいかけて設定にチャレンジする余裕がある人はなかなかいません。「情シスの方がやってくれるまで今のやり方で頑張ります」となる人の方が多いのではないでしょうか。

ーー基本的には、freeeのAPIを使っているのと、Slackを使っているという感じですかね?

三浦:はい。あとはGoogleDriveを使っています。ScanSnapとかも活用しています。最近は、我々で業務改善、業務の効率化が出来そうなツールを作っています。

ーーそれは、御社で構築されているSaaSの件ですか?

三浦:それは、弊社で作った「カンタン!残高管理表クラウド」の事ですね。

そちらも前受管理EXCELでやっているようなデータ作成をシステム化させ、さらに改修も随時進めています。

基本の設定だけ登録すれば、按分計算がきちんとできあがるので前受金や前払費用などの残高管理に使っています。

ーーすごい良いですね。

三浦:あとは、会計システムに入っている取引先毎の実際の残高が一致しているのかを、システムで確認できるようにしたいと思っています。会計システムからCSVをダウンロードして、アップロードすれば、取引先毎に設定されて、差額がでているものだけチェックするというふうにしようと、改修を進めています。

ーー今は、これは無料ですか?

三浦:今は、無料で開放していますね。やっぱり、ちょっと計算が特殊なやつとかは対応できないので、全ての管理表をクラウド化するのはまだ課題が多くて。

今後は、これを会計freeeアプリにしようとしています。

他にも、支払いの請求書の管理システムをちゃんと作ろうと思っています。そこで、支払データを作ったら、残高管理が必要なものが「カンタン!残高」に連携されてくる、そこからfreeeなどの会計システムに、APIで流れて行くというのをどんどん広げていこうと思います。

ーーfreeeでは、この「カンタン!残高」みたいな機能は無いのですか。

三浦:前受金アプリなどはあるので、按分するような機能はあるのですが、前月と振替額の間で変わっていないかなどの作業確認を主として作っているので、そこが大きく違うところですね。

ーー具体的な課題感のある中で作っているのは、いいですね。

三浦:あとは、エクセルの管理表をなくしたい。

ーー管理表、いっぱいありますよね。

三浦:一番の理想は、すべての管理表をこのシステムの中に入れることです。機能拡張をして、このシステムの中に全部入っているという状態を作りたい。色んなフォルダーの中に、色んなエクセル管理表がいっぱいあるという管理、嫌じゃないですか。「あれ?あの管理表どこにあるっけ?」となる。

ーー探したりする時間は、無駄ですよね。

三浦:リモートの形で業務しているので、作業が全部リモートで完結できるよう仕組みを作っています。どうしても取引先に行かなければ、業務が完結しないという時は、当然行きますが、基本的にはWebミーティングとかリモートで作業しているので、安くサービスを提供することが出来るというのが正しいですね。

ーー本来あるべきやり方ですね。

三浦:単純に考えて、普通に経理の人を雇うよりは、3分の2くらいの費用で月次決算の構築するメンバーが揃う、みたいなイメージですかね。

ーー普通の経理ってどういう人ですか。

三浦:書類整理や伝票入力を行う、経理事務と呼ばれる事務の方。

僕らは、チームで業務をするので、そこの業務も行いつつ、期限決めて月次で帳簿を作成しつつ、予実比較表を作ったり、推移表の分析をしたり、「この経費削れますよ」みたいな話もします。

自分だけで手を動かして、仕訳を切っていたりすると、そういう分析作業をやる余裕が無くなっちゃうんですよね。

分析も複数の会社の経理業務をやっていくと、1つの会社でこれやった方がいいねという案が出たら、他の会社も全部バージョンアップしていきます。今だと、コロナの助成金の申請可否を確認するのに、売上を3年比較でやらないといけないのですが、1社で資料を作って、その資料の枠を他の会社でも使うようにしました。

ーーで、それが出来れば、他の会社も月次、支援金の申請が簡単にできるという。

三浦:資料の枠を少し整えれば、3年比較できる資料が完成します。

ーー付加価値としては、高いですね。

三浦:びっくりされますよ。

ーー本当に、CFO候補の人、一人の仕事という感じですね。

三浦:でも、僕らからしてみたら、よその会社での経験やデータがあるので、あまり労力がかかっていないんです。

その会社に合ったものに作り込むため、最初はひな形で2,3ヶ月回してみて、足りないところを足していく作業を、半年から一年くらいやっていくイメージです。

やっていることは、単なる経理ですが、デジタルが入ったり、効率のよい人員配置をしたり、というイメージかな。

DXですかというと、ちょっと違うというところもあると思うんですけど。DXにきちんと準じるような動き方を、日々日々やっているイメージですね。

ーー今は、三浦さんのお知り合いからの引き合いですか?

三浦:そうですね。基本的には、紹介をいただいています。取引先から紹介してもらうこともあります。

やっぱり、お金の話ということが、結構センシティブなところで。全く知らない人にいきなり声をかけるというのは難しいと、ここ一年くらい思いました。

ーー権限渡して、それで設定してもらうってこういうことか。

三浦:そうなんです。やっぱり、そこのハードルが一番高かったりします。

マネホでもfreeeでもいいんですけど、それ自体はあるけれど、ネットバンキングと連携されていないとか。それでは意味がない。

じゃあ、「すみません、ここに暗証番号入れてください」って、画面持っていってやるのだとか、きちんと話せる代表じゃないと、なかなか難しくて。

最初はそこのハードルが大変ですね。

あとは、めんどくさいんですかね。金融機関の書類をとることをお願いしても、2ヶ月くらい誰もやらないですからね。

ーーちょっとここ記入が足りないとかですかね?

三浦:現場の代表さんとかからみたら、一ヶ月に一回CSVで渡すだけでいいじゃんという発想もあったりするんで。そうじゃないんだよと。

ーーそこがせめぎ合いなところなんですね。

三浦:毎月5千円とかのネットバンキングちゃんと契約してください、とか。初期費用5万円かかりますとか、そこを納得させるのが、すごくハードル高いですね。

ーーわかります。そういう効率的なことにお金を使わないんですよね。

三浦:CSVを一ヶ月に一回もらって、月次のタイミングに一気に処理するっていうのは、結構大変なんですよ。

ーーデイリーでちょこちょこやるっていうところがポイントなんですね。

三浦:はい、基本デイリーベースで、10分、15分は必ずやります。時間はともかく、必ず画面を見る。当然入出金がなければ、やることがないということです。2,3個ぐらいの入出金なら、15分もかからないじゃないですか。なので、きちんとやっていく、というのを継続していきます。

ーー最初に話したことと整合していますね。月末月初が集中して、やはり入金支払い確認のタイミングということですよね。

三浦:月次決算の時忙しい人って、経理担当者一人とかじゃないですか。一人で全部やるっていう感じじゃないですか。100枚を一人でやるみたいな感じなんですけど、うちは3人とかで30枚ずつやろうという考えです。

極論的を言えば、一人で100分かかる作業を、僕だったら、100人集めて1分で終わらせたい。

ーーおもしろいですね。

三浦:発想はそっちです。100人本当に集めるとなると大変ですけどね。

ーーすごい革命的なことをいいますね。経理の人ってみんな抱えちゃいますよね。それって、やっぱり気持ちわかりますよね。たとえばA型の方であれば。

三浦:みんなコストが高くなるのは、だめだといいます。しかし、かけるべきコストはきちんとかけないと。逆に残業だとか、何だとかの別のコストが発生するので、その人しか出来ないブラックボックスコストみたいなのも発生するんですね。

ーー昭和だったら、お金払わないってこともできるんで。

三浦:サービス残業ですよね・・・。

ーー恐ろしいですよね。

三浦:楽々精算のCMでやっているじゃないですか。最近優しくなったね、ていうのを。

あれは、あれですね。忙しくて大変だと、みんな不機嫌になるんですよね。

ーー僕なんかも、経理の人一人みたいなところに入った時、常に経理の人は不機嫌だったりしました。小口精算しようものなら、わーって、なので、みんな機嫌の良い時に小口精算しようっとなっていましたね。

三浦:あとは、そこまで大変だと、次のステップアップ、バージョンアップをやる暇がないんですよ。改善してこれをやったらもっと楽になるっていうのは、わかってはいても、余裕がないから、これで失敗して、無駄に2,3時間だったらどうしようってなっちゃうんで。

会計システムを変えるってだけでも、本当にみんなやらないです。

勘定奉行クラウドっていうのがあるじゃないですか。

Macでは対応していないんですよ。だから、中にバーチャルで一個ウィンドウズを入れなきゃいけないんですよ。

ーーOSが対応していないってことは、一回ソフトをインストールして、クラウドもあるよってことですか?

三浦:クラウドであるんですけど、クラウドのホームページ、ウェブページがiOSでも表示されない。

ーーやっぱり拒否しているんですね。

三浦:ウィンドウズ版クラウドみたいな感じ。何それって感じですね。

ある勘定奉行クラウドを使っている会社の為に、わざわざウィンドウズのPCを持っていきました。普段Macなんですけど。何だこれって思いながら、やっていました。

ーーそういうことって、あるんですね。

三浦:あります、あります。

ーー意外と、勘定奉行クラウドとPCAは、強いですよね。

三浦:ただ、勘定奉行クラウドは、API連携されないんで、通帳の残高はネットバンキングからCSVなり、PDFなりをダウンロードして、手で打つんです。

ーー手で打つ?

三浦:そうです。APIにはないから。仕訳を打っていくわけで。

ーーアップロードすらもできない?

三浦:だから、勘定奉行クラウドやめましょうよってことばっかり言っています。このままだと本当に作業回らないですよと、公認会計士や管理部長に言っています。

「PDF見ないと打てないなんて、やってらんないじゃないですか。」

「CSV出さないといけないんですか?しかも口座いっぱいあるのに、そんなことやっているんですか?」と。

ーー恐ろしい。絶対間違えてるでしょ。人力だから。

三浦:本当に、月次が締まるまで通帳残が合わないって感じで。

ーーそういうところも、受けてやっているって感じですか?

三浦:依頼があれば受けます。基本的には決算のタイミングで次のやつに変えて、残高だけ合わせる形で出しましょうというのが一番シンプルだと思っています。ある程度下準備で1,2ヶ月回しながらやっていきます。

ーー話をきいてると、スタートアップとの相性が良さそうですね。

三浦:そうですね。スタートアップで、売り上げがぐっと伸びていっているところが、相性はすごくいいと思いますね。

ーーそうですね。やっぱり、レガシーなところって、色々しがらみがあったりするから。

三浦:結構厄介ですけど。まあ、僕は元々の会社が超レガシーな会社だったんで。そこで、システム入れ替えとか全部やっていたから、意外にレガシーなところに納得される技もあるんですけど。

ーーなるほど。やっぱり、そういう経緯があるから、仕様とか、細かくみることが出来るんですね。

三浦:そうですね。業務のここを楽にするために、どうすればよいかみたいなことは、よく考えるようにしているのと、あとは、自分の業務を楽にするのがスタートで考えていたので、覚悟の決め方がわかるというか。

あまりわからない人って、100か0でものを考えるので。システム化すると今やっている作業が0になるんでしょっていうんですよ。そんなわけないじゃんとなります。

ーーそうですよね。

三浦:本当に頑張っても、80%が限界です。残りの20%を、できるだけシステムに寄せるように、そこは運用でカバーして、やっと95%くらいが何となくシステムにちゃんとのった形になるんだよ、というのを意識してやります。

ーー今やっている仕事も、その延長上というか、そこでの経験を踏まえたという感じでやっているんですね。

三浦:経験とかはあると思うんですが、ただ、僕がクラウドシステムを触るようになったのは、次の会社なんですよ。次の会社で会計freeeを触って、SlackやGoogleDriveなどを触って、クラウドツールを使った経理支援とか、経理ツール開発するみたいなことやるかってことで、独立したって感じですね。

ー-クラウドシステム使ったという経験がないと、なかなか怖くてできないってことはあるかもしれないですしね。

三浦:僕も、最初freeeで銀行データやクレジットカードデータを連携させるのは怖かったです。だから、最初は勘定奉行と同じ使い方でしたし、勘定奉行にない機能は、しばらく怖くて使えなかったです。

なにかのきっかけで触った時に、すごい!いいじゃん!ということになって、他の機能もちょっと触ってみるかって。そういう感じで覚えていきました。

ーーそれでみると、最近、税理士さんでもfreeeをやり始めているところもありますよね。

三浦:多いですよ。

税理士さんで使っているfreeeの場合だと、どちらかというとアカウントを渡せる。というところが多い気がします。試算表出してっていう時、ダウンロードしてください、ていう。やっぱり、証憑とかちゃんとつけて、品目をきちっと設定して、支払いデータちゃんと作ってというところまで、使っている税理士さんはいないかもしれない。税理士さんは支払い関係ないですから。

なので、支払いデータとか全部作れるのだけど、全部使う必要がない、という状態かなっと思います。

ーー彼らからしてみれば、一年一回の決算が締まればいい。

三浦:支払ったデータを流してくれれば、いいんだと思うので。我々の現場からいくと、登録全部していったら、支払いデータぐらい出してくれよ。てな話になっちゃうんで。そこら辺が、使い方に差がある理由だと思うんですね。

ーー支援しているところでいうと、だいたいゼロベース。スタートアップですよね、ほぼ。

三浦:そうですね、スタートアップです。長いところもありますけど、最近ですね。

ーーそれは、スタートアップとは違うという感じですか?規模的に。

三浦:新しいメイン商材が出来たって感じですか。

ーー新規事業として。

三浦:会社としては、10数年やっているけど、ここ2、3年で新しいのが出来て、IPO目指している。なので、スタートアップじゃないといえば、スタートアップじゃないし、スタートアップだといえば、スタートアップという企業ですね。

ーーそれでいうと、コドモンと同じようなパターンって感じですね。

三浦:そうですね。

ーークラウド系というのは、ちょっと触ってみないと、感覚的にわからないから、そこがハードルになってる企業という。

三浦:そうですね。昔経理の人を募集するとき、勘定奉行出来る人っていうのがあったじゃないですか。あれと同じ感覚だと思います。

ーー今は、三浦さんのところで募集とかやっていると思うんですけど、そこら辺、募集にクラウド必須とかにしているんですか?

三浦:僕らは、メンバー集まって、3人とかで、同時にやったりするので、使い方を説明します。

ーーじゃあ、初めての人でも。

三浦:大丈夫です。マニュアルもありますし、このフォルダーに請求書が自動でアップロードされているから、ファイルボックス開いて処理していくんだよと。仕訳がわかれば大丈夫です。

ーーあと、一日10分とかになるんですよね。

三浦:そうですね。

ーーめっちゃ人が集まってくるんじゃないですか?

三浦:バックオフィス系の支援だと、10数人いますけど、全部紹介で。

ーー人の紹介なんですか?

三浦:求人広告はお金使ったことないです。

ーーそうらしいですね。

三浦:無料の求人広告に出しておくだけでも、2ヶ月に一回とか問い合わせくるんで。これでいいかっていう感じでやっていますね。仙台の人だったり、北海道の人だったり、横浜の人だったり、子供が学校に行っている時だけでいいかとか。2,3日だけやってもらっている人もいますけど、それでもやっぱり、一日1時間くらい。月次の締めの時だけ、若干延びたりするので、そこだけ2時間、3時間やってもらうこともあります。1社だったら、月次で忙しい時でも1時間あれば終わる、そんなところですね。