人事評価制度を整備し、昇給制度をつくるともらえる助成金とは?

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少子高齢化による生産年齢人口減少や若年層の離職率増加に伴い、企業の人材不足が深刻化しています。このような状況を背景とし、近年はより従業員の定着率や生産性の向上が注目されています。

そこで、今回ご紹介する助成金は人事評価制度と賃金制度を整備・実施することで支給されるものとなります。

助成金の対象となるための条件や申請手順について具体的にご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

人材確保等支援助成金について

まず始めに、人事評価制度を整備し昇給制度をつくることで支給を受けられる、人材確保等支援助成金についてご紹介します。

人材確保等支援助成金とは、魅力ある職場づくりのために労働環境向上のための施策を図る事業主に対して支給される助成金のことです。

この助成金には現在9つのコースがあり、今回ご紹介するのは「人事評価改善等助成コース」です。

人事評価改善等助成コースとは

そもそも人事評価とは、従業員のパフォーマンスや能力、業務への貢献度などを総合的に評価することです。

多くの企業では制度化され、人材評価を基に従業員の給与・賞与・昇進を判断します。

人事評価を適切に行い、結果を従業員一人ひとりにフィードバックすることは、従業員のモチベーション向上に繋がるだけでなく、今後のキャリアプラン形成にも活かされます。

そのため、人事評価が適切に行われているか見直し、改善することは生産性や従業員の定着率の向上に反映されます。

このようなことを目的とし、人事評価改善助成コースは設置され多くの企業に活用されています。

対象となる条件

助成金の支給を受けるためには、様々な条件があります。そして助成金を申請する際は、事前に全ての受給要件を満たしているか確認が必要です。

人事評価改善等助成コースでは、以前まで人事評価と賃金制度を整備することで支給される「制度整備助成」がありましたが、令和3年3月をもって廃止されました。

そして現在は、目標達成に関する条件を満たすことで支給される「目標達成助成」があります。

「目標達成助成」を受けるには次のような条件があります。

まず形式的な条件としては、事業主が雇用保険・社会保険の適用事業主であることなどが挙げられます。

同様に労働者側にも条件があり、事実上期間の定めなく雇用されていること、事業主に直接雇用されていること、雇用保険・社会保険の被保険者であることなどが挙げられます。

参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199313.html

人事評価の整備・目標達成に関して

では、実際にどのような条件を達成すれば、助成金が支給されるのでしょうか。先述した条件を満たした後は、次のような要件を達成できるようにしましょう。

まずは人事評価の整備に関する条件です。

主な条件として、人事評価制度の対象と基準が明確であり、労働者が理解していること、評価が年1回以上であること、賃金表を規定し、さらに毎年賃金が2%アップする制度が盛り込まれていること等が挙げられます。

また目標達成の条件としては、整備された人事評価システムを利用し、実際に対象労働者の賃金を2%以上アップさせていること、生産性要件を達成していること、離職率の低下目標を達成させていること等が挙げられます。

ここで条件の一つに「生産性要件」というワードが出てきましたが、こちらは生産性を高める取り組みをした企業へ、支給する助成金の金額を割増する制度です。

生産性要件は6%が基準になっており、生産性が前年度より6%アップしていると無条件に生産性要件がクリアとなります。

申請するメリット・デメリット

続いて、人事評価改善等助成コースを申請するメリット・デメリットについてご紹介します。

従業員のモチベーションアップ

まず一つ目に、従業員のモチベーションアップに繋がるということです。

適切な人事評価が行われると、自分がどのように評価されているのか基準が明確になり、仕事への意識が高まる傾向があります

また、人事評価改善等助成コースは賃金の引き上げも申請要件にあるため、従業員のモチベーションアップに繋がります。

企業イメージの向上

二つ目に、企業イメージの向上です。

人事評価改善等助成コースで助成金を得るには、評価基準や評価による賃金の変動幅の公開などが必要になります。

そのため、企業の透明性を企業価値としてアピールすることができます。

離職率の低下

三つ目に、離職率の低下です。

従業員は自身が会社から正当に評価されていると感じられると、会社への信頼が増し、組織への定着率がアップします。

従業員の離職率の低下は生産性の向上にも良い影響を与えるため、多くのメリットが得られると言えます。

申請手順が複雑

続いてデメリットの紹介です。

まず一つ目に、申請手順が複雑な点です。

後述しますが、人事評価改善等助成コースは専門性の高い様々な書類を準備し、提出する必要があります。

また、労働組合や全従業員との合意が必要な項目もあるため、かなりの労力がかかります。

コストがかかる

二つ目に、コストがかかることです。

人事評価改善等助成コースでは、申請の要件として賃金の2%アップがあります。

そのため、必然と人件費による負担が増えてしまいます。

また助成金の支給は単発的なものですが、賃金の値上げは長期的に行わなければならないため、継続的に負担が増えてしまいます。

助成金の受給によって得られるメリットを目的とできれば、コスト負担等関係なくいい結果が得られるでしょう。

支給までの流れ

次に、人事評価改善等助成コースを申請する場合の手続きについてご紹介します。

申請時に不備のないよう、事前に一緒に確認していきましょう。

事前準備に関して

まずは、人事評価改善等助成コースの助成金支給までの大まかな流れについてご紹介します。

人事評価改善等助成コースを申請する際は、注意点としてまず始めに、人事評価制度等整備計画を作成し、労働局へ提出して認定を受ける必要があるということです。

この書類の提出期限は、人事評価制度等を整備する月の初日から遡って、6カ月から1カ月前の日の前日までとなります。

そのため、まずはこの書類の作成に早めに取り掛かり、労働局からの認定を得るようにしましょう。

また、人事評価制度等整備計画の認定を受けるためには、11種類の書類が必要となります。

その中でも特に重要なのが、人事評価制度等整備計画書です。

この計画書には、生産性向上のための人事評価制度として、労働組合または労働者の過半数の合意を得ていること、人事評価の対象と基準・方法が明確であり、労働者に開示していること、評価が年1回以上行われるものであること等の全10項目を満たす必要があります。

実際に人事評価の整備・実施を行う前に、計画書の作成を行いましょう。

また、人事評価制度等整備計画の認定を受けるためには、11種類の書類が必要となります。

その中でも特に重要なのが、人事評価制度等整備計画書です。

この計画書には、生産性向上のための人事評価制度として、労働組合または労働者の過半数の合意を得ていること、人事評価の対象と基準・方法が明確であり、労働者に開示していること、評価が年1回以上行われるものであること等の全10項目を満たす必要があります。

実際に人事評価の整備・実施を行う前に、計画書の作成を行いましょう。

様々な提出書類がありますが、書類の不足や不備があると申請を受けられません。

必要書類は事前にチェックし、用意するようにしましょう。

人事評価制度の整備・実施

労働局からの認定を受けたら、計画書に基づいて人事評価制度の準備をしましょう。

労働協約や就業規則、賃金規定などの改定・整備を行います。

その後、制度の変更点等を労働者全員に周知し、人事評価制度を実施していきます。

人事評価期間に決まりはありませんが、期間が短すぎると従業員のモチベーションや効果に悪影響が出る可能性があります。

人事評価の内容に応じて、無理のない範囲で期間を定めるようにしましょう。

また、人事評価を実施する際は、すべての対象労働者に対して行い、人事評価の結果は実施後、2ヶ月以内に給与へ反映させる必要があります。

助成金の申請

続いて助成金の申請を始めます。

注意点としては、申請は人事評価実施以降、賃金が2%アップした賃金支払い後から1年後の翌日から起算して、2ヶ月以内に行わなければならないということです。

また「目標達成助成」の場合、人事評価の実施のみでは助成金の支給は行われません。

必ず賃金アップや離職率の低下など、条件を満たすことが出来たか確認し、申請を行うようにしましょう。

他には、併給が可能な助成金があることも覚えておくと良いでしょう。

例えば、アルバイトやパートタイムなどの基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に支給されるキャリアアップ助成金は、今回の助成金と併給が可能です。

ぜひ助成金を上手く活用しながら、組織の課題解決をしていきましょう。

おわりに

今回は、人材確保等支援助成金の人事評価改善等助成コースについて具体的に解説しました。

この助成金は申請までの準備が大変ではありますが、その分、会社にとっても従業員にとっても、多くのメリットが得られます。

ぜひこの制度を積極的に活用して、組織の安定性や生産性を高めていきましょう。

 

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