従業員の健康づくりをサポートする助成金とは?企業は健康経営を目指すべき!

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「健康経営」という言葉、最近では多くの方が耳にするようになったのではないでしょうか。

健康経営とは、従業員の健康づくりに積極的に取り組むことで、業務効率を上げ、企業の生産性を高める経営戦略のことです。

従業員の健康を支えることは、個人の責任ではなく企業の責任であると考えられるようになり、近年さまざまな企業が、健康経営の取り組みを始めています。

しかし、施策内容によってはコストがかかるため、なかなか実施できていないという企業も多いでしょう。

そこで、今回の記事では、健康経営の実践に活用できる助成金制度について解説します。

健康経営とは?

まず始めに、健康経営とは何かについてご紹介します。

経済産業省によると、健康経営とは従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業が従業員の健康を支えることで、従業員の活力向上や企業の生産性アップが促され、結果的に組織全体が活性化されることが期待されます。

参考:経済産業省

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html

健康経営に関連する助成金

続いて、健康経営に関連する助成金についてご紹介します。

健康経営には、従業員の心身の健康を害する労働環境の改善や、多様な働き方への支援など幅広く施策があります。しかし、施策内容によっては多大なコストがかかる場合も多く、なかなか健康経営に取り組めていない事業所も多いでしょう。

そこで、コストを抑え、より多くの企業が健康経営に取り組むための助成金について、いくつかご紹介します。

時間外労働等改善助成金

まず一つ目にご紹介するのは、時間外労働等改善助成金です。この助成金は、労働時間の短縮や有給取得促進に取り組む企業に対し、助成を行う制度です。

時間外労働のような課題をなくし、従業員のワークライフバランスを実現させることが目的となっています。また、時間外労働等改善助成金には5つのコースがあり、自社にマッチするものに取り組むことができます。

ここでは、主な3つのコースについてご紹介します。

時間外労働上限設定コース

このコースは、長時間労働の見直しに向けて、労働時間の短縮に取り組む中小企業を支援するための制度です。

現段階で月45時間を超える時間外労働が発生している企業などは、改善に取り組むことでこの制度が適用されます。例えば、労務管理担当者・労働者に対する研修や就業規則の見直しなどが支給対象となる取り組みとして挙げられます。

勤務間インターバル導入コース

勤務終了後、次の勤務までの間に一定期間の休息を設けることを勤務間インターバルと言います。

過労死など、労働による従業員の健康被害を防止するための取り組みとなります。この施策には、インターバル制度導入のための労務管理システムや設備の購入、場合によっては外部コンサルティングを依頼する場合があります。

これらの施策にかかる経費の一部を負担するのが、勤務間インターバル導入コースです。

ただし、既にインターバル導入の経験のある企業や、成果目標を設定したものの達成できなかった企業に関しては、助成金が支給されないため注意が必要です。

団体推進コース

この制度は、中小企業事業主やその連合団体が、労働者の労働条件改善に向けた取り組みを行うことに対し、その事業主団体等へ助成金を支給するものです。

例えば、新型コロナウイルス感染症の影響に関するアンケート調査を含む市場調査の実施、企業のSDGs推進に関するセミナー開催、新たな求人サイト開設による人材確保に向けた取り組みなどが助成金の支給対象となります。

また団体推進コースは、3事業主以上で構成され、1年以上活動実績のあることが条件となります。上限額は500万円となっており、取り組みの実績報告を経て助成金が支給されます。

注意点として、後述する制度を含め今回ご紹介するすべての助成金制度は、対象が中小企業事業主となっています。ここで表記される中小事業主とは、例えばサービス業であれば、資本または出資額が5000万円以下、常時雇用する労働者数が100人以下という要件を満たしている事業主が当てはまります。

コースに共通して、資本または出資額と労働者数に一定条件があります。業種によって条件は異なるため、詳しくは厚生労働省のHPをご確認ください。

参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692.html

業務改善助成金

二つ目にご紹介するのは、業務改善助成金です。

地域別の最低賃金は、全国の整合性を図るために毎年改正のための審議が行われています。そして業務改善助成金は、地域ごとの最低賃金引き上げに伴い、事業内の最低賃金を一定以上引き上げた企業に対し支援する助成金です。

 

企業の生産性向上のために機械設備や人材育成への投資を行い、最低賃金引き上げを行った場合、その設備投資にかかった費用の一部を助成金によって負担します。

いくつか要件がありますが、基本的には全国の中小企業がこのコースの対象となります。また助成金額は、最低賃金の引き上げ額と事業所内の引き上げる労働者数によって異なります。

参考:厚生労働省「[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

キャリアアップ助成金

三つ目にご紹介するのは、キャリアアップ助成金です。

こちらの助成金は、アルバイトやパートタイムで働く非正規雇用者のキャリアアップを促進するための支援制度です。

従業員の待遇を良くすることで、即戦力となる人材の確保や定着率の向上のようなメリットが期待できます。また、キャリアアップ助成金には「雇用保険適用事業所の事業主であること」などの条件があります。

コースによっても助成金内容が異なるため、どのようなキャリアアップを実現させたいかによって選択すると良いでしょう。また、キャリアアップ助成金を支給申請するには、事前にキャリアアップ計画の作成・提出が必要です。事前準備にも時間がかかるため、あらかじめ要件を調べ、余裕を持って申請するようにしましょう。

両立支援等助成金

四つ目にご紹介するのは、両立支援等助成金です。

こちらの助成金は、仕事と家庭生活を両立できる職場環境づくりのための支援制度です。

例えば、男性の育児休業取得を促進するための出生時両立支援コースや、仕事と介護の両立を支援する介護離職防止支援コース、仕事と育児の両立を支援する育児休業等支援コースがあります。

このように両立支援等助成金は5つのコースに分かれており、多様な働き方に対応しています。コースごとに対象となる範囲や支給額は異なるため、詳細についてはHPをご確認ください。

参考:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000207842.pdf

受動喫煙防止対策助成金

五つ目にご紹介するのは、受動喫煙防止対策助成金です。

こちらは、受動喫煙防止のための施設設備にかかる費用の一部を支援する助成金です。事業内での受動喫煙を防止することを目的として制度が成り立っています。あくまでも設備費用の一部を負担するもので、工事費の全額を負担するものではないということを気をつけましょう。

具体的に設備費用とは、喫煙所の設置をはじめ、加熱式タバコ専用の喫煙室、屋外喫煙所の設置・改修などが挙げられます。そして補助金額は経費の1/2、飲食店の場合は2/3と定められており、上限は100万円となっています。

また、この助成金は工事実施前に申請が必要で、工事実施後に申請を行った場合は適用外となります。その他、措置の規定内容も細かく定められているため、検討の際は、厚生労働省のHPをご確認ください。

参考:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049868.html

おわりに

今回は、健康経営への取り組みを支援する様々な助成金制度についてご紹介しました。健康経営や働き方改革への推進は年々加速していて、企業にとって急務となってきました。

それぞれの組織状況によってマッチする制度や取り組み内容は異なるため、ぜひ今回の記事を参考にしながら検討してみてください。

またそれぞれの助成金に関する対象要件や申請の流れ、その他最新情報に関しては必ず厚生労働省のHPを確認するようにしましょう。