2050年の世界経済はどうなる!?日本は4位から8位に転落!?

2050年の世界経済はどうなる!? 日本は4位から8位に転落!?

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現在、世界経済は、先進国と新興国間で大きな変動の中にあります。

さて、2050年には、日本や他の世界の国々はどのように変わっているでしょうか。

この記事では、近年の世界経済の具体的な変動を詳細に検証し、各国の動向と今後の課題について解説します。

世界経済に大きなシフトチェンジ

近年、世界の経済力が、先進国から新興国・開発途上国へとシフトする動きが見られます。

実際に、IMFが発表した各国の年間実質GDP率を見てみると、先進国よりも新興国・開発途上国の方が実質GDPが高いことが分かります。

それでは今後、2050年までに世界経済はどのような動きを見せていくのか、より具体的に検証してみましょう。

先進国から新興国・開発途上国へ

実質GDPとは、1年間に国内で生み出された利益の合計額から、物価変動による影響を取り除いたものです。

経済が成長するということは、GDPがインフレ率などの影響を差し引いて実質的に増えることであるため、今回は各国の年間実質GDPを参考にしています。

PwCのマクロ経済担当チームが「2050年の世界」をテーマに発表した調査レポート「長期的な経済展望:世界の経済秩序は2050年までにどう変化するのか?(The long view: how will the global economic order change by 2050?)によると、現在の先進国から新興国等へと世界経済がシフトしている動きは、2050年頃まで長期化すると明らかになっています。

本レポートは世界経済が2016年から2050年までに年平均実質成長率約2.5%のペースで成長し、その成長の主な牽引役となるのが、新興国と開発途上国だと予想しています。

ちなみに新興国とは主に、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、ロシア、トルコのE7と呼ばれる大新興国グループを指します。

本レポートは2017年に公開されましたが、新型コロナウイルス感染症による世界経済への大打撃があったものの、実際に2020年以降、E7各国のGDPは高い数値を記録しています。

それに対し、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国のG7と呼ばれる先進国グループは、わずか1.6%程度に成長がとどまると予想されており、実際に日本の2021年の実質GDPは1.6%でした。

PwCは今後も、先進国からアジアやその他地域の新興国へのシフトチェンジは見られると予想しており、世界GDPにおけるシェア率も大きく差が開く可能性があると考えています。

中国、インドが世界最大の経済大国に

2016年時点で、中国は購買力平価(PPP)ベースで見ると、米国を抜いて世界第一位のGDPとなっていました。

またインドは、2050年には、2位の米国を抜いて、世界第二位に上昇すると予想されており、アジアへの経済力の顕著なシフトは、長期的に続くと考えられます。

新興国は、経済成長率が高いといっても、平均物価水準が低いままなため、GDPを見ても、劇的なシフトチェンジは見られません。

一方、G7をはじめとする先進国では、GDPランキングの下降が予想されています。

ちなみに日本は、2016年時点で世界4位だったGDPが、2050年には8位にまで転落すると見られています。

このように、E7諸国の一つである中国・インドの著しい成長や、日本のような先進国の成長率低下によって、世界経済の変化は長期化すると考えられています。

新興国、高成長の背景

中国、インド以外の新興国の動きについても見てみます。

まず、インドネシアとメキシコの経済規模は、G7諸国である日本、ドイツ、英国、フランスを上回る見込みです。また、トルコはイタリアを抜く可能性が見込まれています(*1)。

では一体なぜ新興国がここまで高成長を遂げているのでしょうか。

その背景には、まずGDPの仕組みが挙げられます。

GDPは一人当たりのGDP×人口と表すことができ、国内生産量だけでなく、その国の人口が大きなポイントとなります。

近年世界の人口は増加傾向にありますが、その大部分は新興国が牽引しているのです。

つまり、新興国の経済成長率が高いのは、人口が増え続けていることが大きなポイントなのです。

多くの新興国は、一人当たりのGDPがまだまだ低いが、インフラ投資などによる効果が非常に高く、さらに、人口増加も経済効率向上のプラス要因となっています。

人口増加は、言い換えると生産人口・消費人口の増加であり、労働力としてだけでなく、消費の担い手としても、新興国の経済成長を支える原動力となっています。

逆に日本では、少子高齢化が叫ばれているように年々人口が減っていて、労働人口とされる15歳〜64歳の人口は今後も減少する見込みにあります。

人口全体だけでなく、経済成長を支える労働中心世代のボリュームも、新興国と先進国とでは年々差が大きくなっています。

このようなことを背景に、新興国は高成長を遂げ、先進国は経済が停滞状態にあるのです。

多くの新興国の成長は、近年の急速な人口増加や内需拡大、豊富な労働人口に支えられているため、新興国がこの状況を維持するには、人材育成と若者の雇用確保により力を入れる必要があるとも言えます。

*1:インドネシアに関しては、マッキンゼーによれば、インドネシアのGDPは2030年には世界のGDPランキング7位になるという予測しています。詳細はこちらの記事「世界GDPランキング7位が近づくインドネシアの魅力とは?」をご覧ください。

平均所得について

先述の通り、新興国の急速な経済成長によって、世界経済は大きくシフトチェンジがされており、先進国の経済は停滞状態にあります。

とはいえ、新興国にも課題点はあります。

次に、平均所得という観点から、2050年における実質GDPの予想をみてみましょう。

世界の平均所得

先進国では、今後も平均所得が上がり続けると予測されています。

イタリアが例外となる可能性もありますが、一人当たりのGDP順位は、2050年時点でもG7の各国ともに、引き続きE7よりも高くなる見込みです。

内容としては、2016年に米国の人口一人当たりのGDPは中国の4倍、インドの9倍でしたが、2050年までにこの格差は縮小し、米国の平均所得水準は中国の約2倍、インドの約3倍となる見込みです。

新興国では現状、急速な人口増加がトータルの実質GDP成長を支えている状態といえます。

中国やインドのような巨大新興国の経済発展によって、世界の所得格差は抑えられてきましたが、国内の所得格差は進んでいて、世界の所得水準の完全なる収斂は長期化することが予想されます。

世界経済全体の推移

では、世界経済全体の成長スピードは今後どうなっていくでしょうか。

続いて、世界経済の今後の推移と課題点についてご紹介します。

全体的な成長率は鈍化

PwCは、世界の経済成長率は2020年以降年々鈍化していくと予想しています。

実際に2021年から2022年にかけて、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、世界全体の実質GDPは約半分に減少しました。

しかし予測不可能な異常事態だけが成長率鈍化の原因ではありません。

多くの先進国が、近年労働人口の著しい減少に見舞われ、先進国を中心に経済成長率が下がっていることが原因の一つです。

また新興国でも今後市場が成熟していくことで、先進国によるキャッチアップ型の急成長が見込めなくなり、成長率が鈍化すると予測されています。

これまでは、世界GDPを新興国が高く占めることで平均成長を押し上げてきましたが、こうした効果がなくなり、2050年ごろには世界全体の経済成長は鈍化すると考えられるのです。

今後の課題解決について

最後に、先述した世界経済の見込みや課題に対して、どのような解決策が考えられるかご紹介します。

新興国の成長維持

まずは新興国に関してです。

新興国が今後も現在の成長率を維持していくには、教育やインフラ、技術に対し持続的かつ効果的な投資が必要です。

先進国に比べて新興国は、安定した政治や法律、社会面の諸制度が確立されていない場合が多いため、これら諸制度の確立と、持続的な雇用創出に向けて力を入れる必要があります。

また新興国の企業は、市場で成功するために、経済・政治などの短期的な困難を乗り越える忍耐力と柔軟性が大切です。

日本経済の今後

日本は社会問題として、少子高齢化や人口減少が思い浮かぶように、かなり経済力の低下が目立っています。

労働人口・消費人口は今後増える見込みがないため、日本の中小企業はどんどん海外比率を高くし、利益を伸ばしていく必要があります。

先述の通り、経済成長と人口減少は比例関係にあるため、海外進出によって外需を拡大していくことも柔軟に検討するようにしましょう。

おわりに

今回の記事では、2050年の世界経済のあり方について、先進国・新興国それぞれのGDPや人口増減を観点として解説しました。

新興国は人口増加を皮切りに急速な経済成長を遂げていますが、今後も様々な施策を講じなければ経済成長の維持は難しいでしょう。

また日本のような先進国も、人口減少が見込まれる中で外需拡大などに積極的に取り組んでいかなければなりません。

2050年の世界経済の姿は、現在の世界経済を細かく読み解くことで、予測が出来てきます。決して遠くはない、2050年の世界経済を予測することをきっかけに、将来性のある持続可能な事業が何かを見極めていきましょう。

(おまけ)未来予測に関する書籍について

未来予測について書かれている書籍です。参考にしてください。

賛否両論はあるかもしれませんが、以下の書籍もあります。

※参考文献

『IMF世界経済見通し 2022年4月

 

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