コロナ融資返済対策

中小企業経営者のためのコロナ融資返済対策:返済猶予から資金繰りのヒントまで

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新型コロナウイルス感染拡大に伴う資金繰り支援として、金融機関による貸出金額は驚異の40兆円にのぼりました。中小企業向けの信用保証が拡大した結果、多くの企業が倒産の危機から救われました。しかし、金融機関への融資は返済していかなければいけません。

コロナウイルスの影響は2023年時点でも継続しており、売上の目途が立たないまま返済期日が迫ってきている中小企業をはじめとする企業経営者も多いのではないでしょうか?

さらに2021年3月末時点での日本公庫のコロナ対応融資の総額は、なんと13兆8702億円に達しています。この中で、実質無利子の条件を満たす「ゼロゼロ融資」が大部分を占めていると考えられます。そして、2021年末から2022年にかけて、元本の返済を開始する企業が多数存在し、その企業の収益力の回復が今後の大きな課題となっています。

新型コロナウイルス感染症の継続的な影響の中で、多くの方が融資の返済に関する悩みを持っています。今後の返済の残高や内容を確認し、適切な判断を行うためにも、コロナ融資の元本返済の状況を深く理解することが必要です。破産や債権者との交渉を検討する可能性もありますので、それに関連する書類や情報の登録状況を把握し、解決策を導き出すプロセスを進めていくことも大切です。

返済の難しさや不安を感じている方は、焦らず冷静に対策を考えましょう。この記事では、コロナ融資が返済できない場合の具体的な対処法について詳しく解説します。

コロナ融資の元本返済の幕開け

新型コロナウイルスが収束したとは言い難い環境の中で、融資が返済できないとお悩みの方もいるのではないでしょうか?融資の返済方法を考えていくためにも、コロナ融資の元本返済の状況について理解を深めておきましょう。

据置期間「1年以内」の企業が過半数

2021年1月までに無利子・無担保の融資を受けることに決まった中小企業のうち、元本返済の据置期間を1年以内に設定したのは日本政策金融公庫で66%、民間金融機関で57%になります。

この融資は日本政策金融公庫が2020年3月に、民間金融機関が2020年5月に始めたものです。従って、早いタイミングで元本の返済が開始しています。それに備えなければなりません。新型コロナウイルスの長期化で売上の目途が絶っていない状況でも、返済はスタートするのです。

金融機関は中小企業を積極的に支援

中小企業の資金繰りに注力している金融機関が、地域密着型の信用金庫です。実質無利子・無担保融資を実現して、コロナ禍で経営に苦しむ中小企業(飲食業・旅客運送業・宿泊業・観光業・小売業・イベント業)を支援してきました。

融資を受けた中小企業の多くはは、長引く新型コロナウイルスの影響で売上回復が見込めていません。信用金庫は、このような中小企業に対して、返済期限の延長や条件変更など柔軟に対応してくれています。

金融機関は、金融庁の指針によりコロナの影響で経営に苦しむ中小企業の支援を行う方向です。そのため、1人で悩まずに融資先の金融機関へ相談してみましょう。

補足:高金利の借り入れは避けましょう

融資が期日までに返済できない場合は、遅延損害金が発生します。また、銀行口座への入金から自動的に弁済されることがあり、取引先への支払いや従業員の給料の支払いが滞ってしまいます。これらを避けるために、高金利の借り入れをして問題を先送りしようとする経営者の方がいますが、おすすめできません。

コロナ融資の返済に関しては、借入先の金融機関が相談に応じてもらいやすいです。ひとまずは、高金利の借り入れを避けて相談することを優先させるべきです。

出典元:NHK「コロナ禍 融資受けるも回復見通せず 元本返済始まる中小企業も」

コロナ融資の返済猶予:ビジネスに新たな息吹を!

新型コロナウイルス感染症の影響は、多くの企業に大きな経済的打撃をもたらしました。この危機を乗り越えるため、多くの企業が「コロナ融資」を利用しました。しかし、経済の回復が思うように進まない中、多くの企業は融資の返済に頭を抱えています。そこで、返済猶予の制度が注目されています。

1. 返済猶予とは

返済猶予は、一時的に融資の返済を延期することができる制度です。この制度を利用することで、経営の立て直しやキャッシュフローの改善に集中することができます。

2. 返済猶予の申請方法

返済猶予を希望する場合、融資を受けた金融機関に申し出る必要があります。必要な書類や条件は金融機関ごとに異なるため、詳細は直接問い合わせることをおすすめします。

3. 注意点

  • 猶予期間が終了すると、通常の返済が再開されます。
  • 金利は猶予期間中も発生する場合があります。
  • 猶予を受けたことが信用情報に記録される可能性があります。

4. 今後の展望

新型コロナウイルス感染症の収束時期はまだ見えず、経済の先行きも不透明です。返済猶予制度は、一時的な経済的な困難を乗り越えるための大きな支えとなるでしょう。しかし、長期的な経営の安定のためには、他の支援策と併せて、事業の再構築や新たなビジネスモデルの検討も必要です。

コロナ融資が返済できない場合の対処法

コロナ融資が返済できない場合は、借入先の金融機関が柔軟に相談に応じてくれると説明しました。しかし、企業側の努力も必要です。キャッシュを温存するための策を講じたり、ムダな経費を削減したり、売上を伸ばす施策を考えたりしていきましょう。ここでは、コロナ融資が返済できない場合の対処法をご紹介します。

1.公租公課の猶予を受ける

新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が減少した企業に公租公課の猶予が設けられています。国税・地方税など要件を満たした企業であれば、最大1年間の支払いの猶予が認められています。

また、従業員の厚生年金保険料や労働保険料の支払いは、想像以上に資金繰りを逼迫させるものです。これらの支払いの猶予制度も設けられているため、上手に活用していきましょう。

2.固定費を見直す

賃料など固定費の支払いの負担が大きい場合は、本当にその場所である必要があるのか、その広さである必要があるのかを見直してください。帝国データバンク「首都圏・本社移転動向調査」では過去最多ペースで本社を移転する企業が増えていることが伺えます。地代家賃を下げれば、固定費が下がり、経営の安定化が図れます。

3.雇用調整助成金を活用する

新型コロナウイルスで客数が大幅に減少して売上が見込めない場合は、従業員に事情を説明して時短・休業等の協力を得てください。会社側の指示で休業させた場合は、給料の6割を支払わなければなりません。

しかし、雇用調整助成金が拡充されているため、これらを活用して休業させましょう。

整理解雇(リストラ)は労働基準法の諸条件を満たさなければいけません。そのため、整理解雇する場合は専門家へご相談ください。

4.売上を伸ばす新たな施策を考える

 ビジネスは外部環境に適応していかなければいけません。そのため、Withコロナ時代でも安定経営が望めるような新たな取り組みを始めていく必要があります。補助金や助成金を活用すれば、少ない資金でも施策が実現できるため、積極的に取り組み始めましょう。

新たな施策のヒントが知りたい方は「【業種別】中小企業DXの取り組み方とは?製造・建設・運輸・小売業」を参考にしてみてください。

コロナ融資が返済できない場合に良くある質問

最後にコロナ融資が返済できないとお悩みの中小企業から、よくある質問をご紹介します。

Q.資金繰りの状況も把握してない場合の対処法は?

まずは、資金繰り表を作成して経営状況を見える化させましょう。資金繰り表を作成する場合は、収入は堅めの予測をして支出は漏れなく記入してください。資金繰り表のテンプレートは「日本公認会計士協会」からダウンロードできます。

資金繰り表のテンプレート ダウンロード先

Q.資金繰り対策はどこに相談をすれば良いですか?

まずは、借入先の金融機関に相談をしてください。その他にも、日本政策金融公庫や商工会議所、自治体などにも相談窓口が設けられています。

しかし、既に融資返済が停止されていたり、資金ショートしたりする場合は金融機関に相談が正しい選択とは言えません。このような場合は、事業再生に詳しい専門家へ相談をするようにしましょう。

Q.融資を受けても国や自治体の融資は受けられますか?

金融機関の融資返済ができずに悩んでいる中小企業でも、国や自治体が提供している融資制度が利用できます。

とくに国や自治体の融資制度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた中小企業に柔軟に対応してくれます。そのため、一人で悩まずに政策金融公庫や自治体へ相談してください。

Q.売上が激減して支払ができない場合の対処法は?

新型コロナウイルス感染拡大で売上が激減した企業に対しては、国が指揮をして積極的な支援をしています。金融庁が金融機関に支援要請をしています。そのため、売上が激減して融資の返済ができない場合でも、金融機関へ相談をしてみてください。

Q.新たな施策のための補助金はどこで探せば良いですか?

補助金は中小企業基盤整備機構(J-net21)に掲載されています。新型コロナウイルスの影響を受けない事業展開は必要不可欠です。そのため、補助金を活用して売上アップのための新たな施策を計画していきましょう。

DX関連の補助金について詳しく知りたい方は「【中小企業向け】DX関連の補助金の一覧表!正しい活用方法まで解説」を参考にしてみてください。

(出典元:ほっとダイヤル「新型コロナウイルスによる資金繰りに不安を感じている事業者様へ Q&A」)

まとめ

金融機関が支援してくれたコロナ融資は返済しなければいけません。据置期間1年でコロナ融資を受けた企業は半数にも昇ります。想像以上に新型コロナウイルス期間が延び、融資の返済ができないと悩む中小企業が多いのが実情です。

しかし、金融機関が柔軟に支援してくれるでしょう。そのため、独断で高金利の融資に乗り換えるのではなく、まずは借入先の金融機関へ返済期間の延長ができないかを相談してみてください。

また、金融機関の協力を仰ぐだけではなく、自社で行える取り組みをしていきましょう。どのような施策を計画すれば良いか分からない方は専門家のアドバイスを受けてみるのも1つの方法です。

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