近年多くの人が春や秋に悩んでいる花粉症。なんと2023年は前年比200%の飛散量と予報されているエリアもあり、より万全な花粉症対策が必要になりそうです。
この記事では、ビジネスマンが生産性を落とさないために、日々の中で花粉症対策としてできることを紹介していきます。
花粉症になる原因や主な症状
花粉症の人が徐々に増えてきた昨今ですが、実際どのような仕組みで人の体は花粉に反応してしまうのでしょうか。まず花粉症のメカニズム、原因や症状について解説していきます。
花粉症のメカニズム
多くの人は口ではなく鼻で呼吸をしています。鼻で呼吸をする際に、目に見えない小さな物質を空気と一緒に取り込んでいますが、そうした物質を異物だと判断し、無害化しようとする反応が花粉アレルギー反応です。
まず身体はくしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの症状を通じて、異物を外に追い出そうとします。また追い払えずに体内に侵入してきた花粉(≒異物)を認識し、それに対する抗体を作り、再び花粉が侵入してきたら排除するために反応し続けます。
こうして異物を排除するという営みは、風邪菌などに対しても行われているものです。
ただ花粉症の場合、多くの人にとって厄介なのは、免疫反応が過剰に出過ぎてしまい、生活に支障が出てしまうという点です。
くしゃみや鼻水、涙といった症状に加えて、肌荒れや、咳や喘息、口内粘膜の腫れなど、悪影響は枚挙にいとまがないほど多岐に渡ります。
花粉症の原因
では、なぜこのように多くの人が花粉症になるのでしょうか。その原因を見ていきます。
花粉が体内に入ったからといって誰もがすぐに花粉症になるわけではありません。また、アレルギーの素因を持っていない人は、まず花粉症にはならないと言われています。
アレルギーの素因を持っている人の体内に花粉が侵入すると、花粉に対しての抗体が作られます。花粉の種類によって抗体は異なります。
数年や数十年という長い時間をかけて、花粉を浴び続けると抗体の量が十分になり、くしゃみや鼻水、涙目などの症状が体に出てくるようになるのです。
実は年々、スギ花粉の飛散量は増え続けています。
明確な理由はまだ解明されていませんが、一説によると戦後急激にスギの人工林が増えたことで、当時植樹された数多くの杉が一気に花粉を生産し始める樹齢25〜30年を迎え始めたことが原因だと言われています。
2023年の花粉飛翔状況
これまで花粉症のメカニズムや歴史をみてきました。花粉の飛散状況は年によって違います。
2023年の花粉症の飛翔状況はどのように予測されているのでしょうか。
予報を見ていきます。
飛散開始は例年並みの2月から
花粉の飛散が始まるのは2月上旬頃からで、例年と変わらない時期と言えそうです。春の陽気がまだ本格化していない肌寒さを感じるような気温であっても、花粉は飛び始めているのです。
また晩冬の時期に、グッと気温が緩む日は特に花粉の飛散が活発化します。寒暖差に注意しながら、花粉症の方は早めに対策を始めるのが良いでしょう。
スギ花粉のピークも例年並み、3月から本格化
2月から飛散し始める花粉ですが、飛散のピークは3月と予測されています。特に初春の時期に活発に飛散するスギ花粉のピークがここでやってくる予報です。
時期としてはこれまでと同様となっています。
飛散量は昨年より多い!特に関東、東海、近畿、四国は要注意
飛散開始もピークもおよそ例年と同じだと予測されています。では、花粉の飛散量はどうでしょうか。
なんと2023年は関東、東海、近畿、四国を中心に花粉の飛散量は昨年と比較して多くなるという予測が出ています。
一般的に花粉の飛散量は前年の夏がどのような気象だったかという点に大きく影響されると言われています。
前年の夏、気温が高い・日照時間が多い・雨が少ないという3点に当てはまると、花芽がより多く形成され、それにともなって飛散する花粉の量も増えると考えられています。
昨年の夏は梅雨前線の活動が弱く、東日本の日本海側と西日本の太平洋側は、日照時間がかなり長かったです。
また太平洋高気圧が強く、暑い日が多かったのも昨夏の特徴です。このように「多温・多照・小雨」という三つの条件が見事に当てはまっています。
このような条件から、今年は例年より花粉の飛散量が増えるのではないかと考えられています。四国や近畿、関東甲信では200%も昨年の飛散量を上回るという予報も出ており、万全な対策が必要そうです。
今から始められる花粉症対策について
現在は4人に一人が花粉症に悩んでいると言われている一方で、実は症状が出てから対処を始めるという人もいるかもしれません。
効果的な対処法をいくつかみていきましょう。
適切な処方箋をもらって、早めに服薬を始める
ドラッグストアなど身近にすぐアレルギー薬を購入できる場所はありますが、より効果が見込め、自分の症状に適した薬を処方してもらえるので、早めに耳鼻科などを受診し、服薬を始めるようにしましょう。
自分自身で症状が出やすい部位を認識できている場合は、関連して目薬やアレルギーパッチ、鼻腔スプレーなども処方してもらえることがあります。
花粉の飛散が始まる直前の時期に病院で提案してもらえる対処法は、症状を抑える薬物療法が中心となります。
アレグラやアレロックなどよく知られている薬は抗ヒスタミン剤による抗アレルギー薬で、即効性があるわけではないことから、花粉飛散が始まる1〜2週間前から服用するのが理想とされています。そのため12月〜1月に受診するのが理想的でしょう。
また即効性があるステロイド薬は、すぐに効く一方で、アレルゲンに加えて、そのほかのあらゆるウイルスへの反応を全て鈍らせてしまいます。
そのため、風邪を引き起こすウイルスが侵入したサインを見逃してしまうデメリットがあるのです。常用は避けるようにしましょう。
衣類や肌に付着した花粉は室内に入る前に取り払う
花粉は目に見えない小さな粒子ですが、実は衣類や肌、髪などにも付着しています。
それが何かの拍子に鼻腔や口内、目の粘膜に付着することでひどいアレルギー反応を引き起こすことになります。
また次の節で見ていくように、室内の空気が花粉で汚染されてしまう懸念もあることから、野外から室内に入る際は、できるだけ体に付着した花粉を取り払うように努めましょう。
粘着クリーナーや衣服用クリーナーでも十分効果があると言われています。肌や髪に対しては、事前に花粉ブロックのスプレーを振りかけることで付着する量が減らせる場合もあるので活用してみましょう。
また外出後、体に付着した花粉を十分に取りきれないと、部屋の中の椅子やソファに特に花粉が溜まりやすいと考えられています。
家の中で気になる箇所がある場合は、湿ったタオルなどで拭き取ることが効果的でしょう。
空気清浄機を活用する
近年では、空気が乾燥している場合や、十分に換気ができていない場合、ストーブやガスレンジなどの燃焼で室内の空気が汚染されている場合に、花粉症の症状が悪化するという指摘があります。
空気が乾燥し、換気が難しいオフィスビルにおいては、症状が悪化する可能性が否めませんが、自宅などでは空気清浄機を積極的に活用しましょう。
窓を開けて換気をすると、さらに外から花粉が入ってきてしまう恐れもあるのでこの時期はあまりお勧めできません。
喫煙を控える
仕事のちょっとした息抜きに喫煙をしている方も少なくないかもしれません。
しかし、近年は喫煙し、粘膜が有害物質によって傷ついてしまうことで花粉などのアレルギー物質に対する反応もひどくなってしまうという指摘が増えています。
普段の習慣を急に変えるのは難しいかもしれませんが、花粉症の症状が重い場合は、この時期の喫煙をなるべく減らしてみるのも効果的かもしれません。
まとめ
今回は、ビジネスマンが今日から始められる花粉症対策について見てきました。花粉症がどのようなメカニズムで発症するのかを知り、今年の飛散情報を知ることで早めに対策を立てることが可能になります。
毎年この時期は花粉症で仕事の生産性が下がってしまうと悩んでいる人も、前年の気候から来年の飛散を予想し、早めに治療に取り掛かるとよいかもしれません。