中小企業が陥りやすいディスコミュニケーション

中小企業が陥りやすいディスコミュニケーションとは?

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ディスコミュニケーションとは、英単語「dis(欠如、反対などの意味)」と「communication(コミュニケーション)」を組み合わせた造語で、そもそものコミュニケーションが行われていない、または全く機能していない状態を表しています。

日頃の会社生活の中で、社員同士や上司と部下の間でのコミュニケーションがとれていない、意思を伝えているはずが必要な情報伝達が出来ていない、そもそも全く伝わっていない場合などは、企業内でディスコミュニケーションが起こっている可能性が高いです。

ディスコミュニケーションが発生していると、情報伝達の滞りや漏れ、業務遂行への悪影響、企業全体の利益損失など、あらゆるデメリットが生じます。

中小企業においても様々な原因によるディスコミュニケーションが生じている事が見られます。よくあるケースとしては、従業員間の連絡手段に起因するものと、上司による部下への人事評価に起因するものの2点になります。本記事では、それらについて取り上げつつ、解決する手段についても提示したいと思います。

従業員間の連絡手段に起因するディスコミュニケーション

電話ありきの連絡手段

「電話で話した方が早いから」という理由で、いかなる時でも電話で伝達する事がメインになってしまっているケースがあります。電話での伝達は、相手の状況が全く見えないにも関わらず、内容を話す声だけに全てがかかってしまっているため、複雑な情報を伝えられない事はもちろんですが、伝達の意図や内容が正しく伝わらないケースもあり、更には話した内容の履歴が残せないため、いわゆる「言った言わない問題」に繋がる事も多いです。

ホワイトボードの書き漏れ・マグネットによる書類掲示物の埋もれ

事務所に掲げられている共有情報を記載するためのホワイトボードですが、外出する前に帰社時間を書き忘れてしまうケースも多く見られます。電話で内勤者に帰宅時間を伝えて、ホワイトボードを訂正させるという事も、電話を受けた内勤者も目の前の業務に終われる等が原因で、訂正を忘れてしまう場合もあります。

既に終わっている掲示項目の消し忘れも同様です。「書いた人が消すだろう」などと思われて、他人事になっている中で、書いた本人ですら消し忘れている、そういったケースがあります。

マグネットで貼られた書類による掲示物も、期日が過ぎたものを処分せずにそのままにされてしまう事も多いです。ホワイトボードの使用領域を減らすために、大きなクリップ型のマグネットを使用するケースもありますが、書類を受け取った社員もただ機械的にクリップに挟めて掲示してしまうため、重要な連絡事項が次々と埋もれてしまうケースもあります。

書類やメモの紛失

書類やメモなど紙ベースの媒体は、紛失のリスクが非常に高いです。電話で受けた伝達事項を伝えるためのメモは、他の書類に紛れてしまったり、うっかり気が付かないうちに間違って捨ててしまう恐れもあります。

よく使用される文具ツールの「伝言用の付箋」ですが、粘着力が足りなくてデスクから落下してしまったり、外回りから帰宅した際に、デスクの上に置いてある伝言用の付箋に気が付かないまま上着やバックをデスクに置いてしまったために紛失したりなどのケースもあります。

「伝達は全てメール」の弊害

業務効率化のために、伝達事項は全てメールを送るという方法もありますが、やたらとメールだけに頼れば解決するかというと、そうでもありません。

メールによる伝達は、履歴が残るという面でのメリットはありますが、「開封する」というアクションが行われなければ伝達されないというリスクを合わせ持っています。

フォルダ分けをして自動振り分けをするという方法もありますが、やはりこれについても、顧客や取引先からのメールが格納されるフォルダの確認が最優先となってしまいがちです。

メールを送った側の上司や社員は、「自分は伝達を行なった」という意識が残り、情報を受け取る側に責任を渡しがちです。メールを受け取った社員が他の業務で忙しくしている中で、メールの開封ができてなかったりすると、「メール送ったよね?」「見てないの?」などと発言してしまうなど、「こちらはしっかり送っているのだから見てない方が怠慢である」という様な意識が働きがちになります。

さらに、外出先からではなく社内にいる場合でも「社員に話しかけるのではなくメールを送った方がスマートだし履歴も残る」として、一言の声をかける事もなくひたすらメールを送付するというケースもあります。こうなってくると、メールを受け取った側が開封していない場合に、社員によっては、相手が社内にいるにも関わらず「この件は声をかけた方がいいのかそれとも、メールを送った方がいいのか」というような無駄な迷いをしてしまう事もあり、こういった事から業務全体の効率が落ちる恐れも出てきます。

受発注業務でフル稼働しているFAXに、伝達事項が埋もれる

受発注業務のほとんどの割合をFAXで行っている中小企業には、一日中膨大な枚数の注文書や見積依頼書が届きます。その大量の受発注関連の受信FAXの中に、社内の連絡事項や社外からの重要な伝達資料が埋もれて、誤って紛失してしまうリスクが高まります。小さい印字文字が潰れて読みにくくなっていたり、手書きで追加した文字の見逃しなども良くあるケースです。

気軽に書き込めない雰囲気の日報制度

グループウェアなどを活用し、その日に行った業務や営業についての日報を書き込む制度を用いる中小企業は多くありますが、その日報に書き込める内容が、限定されてしまっているケースが多いです。その日にうまく出来たことや、ちょっとした社内のトラブルなどを何でも自由に書く事はできず、上司の独断の指示で、売り上げや受注に繋がる見込みの話や、業界の最新情報、直近の取引先とのトラブルなど、といった直接的に数字に繋がることしか書けない雰囲気が出来上がってしまっていて、その他社内で起きた出来事など、細かい事を報告する機会が無いという状況になってしまっているケースがあります。

上司としては、部署や課内の売上と利益を上げる事に注目しているのですから、流れとしては仕方がないと思いがちですが、部署全体の内部の状況を把握することを疎かにしてしまうと、部下からの信頼を失ってしまったり、優良な社員を失う事にも繋がったり、思わぬ弊害が出て来てしまいます。

上司による部下への人事評価に起因するディスコミュニケーション

社内評価が、上司から部下への一歩通行

目標管理シートにおける社員の評価制度は、半期に一回、年2回程の面談が行われますが、この半期の評価面談のみでは、上司の評価と部下の自己評価に乖離が起きるケースが多いです。目標事項を数値化し、その達成度によって評価が行われますが、実際に日々細かく行動を起こして課内のために仕事をしている部分があっても、数字で示されない業務内容については評価対象にならない事が多く、そういった部分が全て評価から削がれていってしまう事が多く見られます。

社員間の関係性が見えていない

上司から見た各部下同士の、横の繋がりや関係性が見えていない事が多いです。上司が社内にいる時の部下同士の様子と、上司が外出している時の様子とでは、大きく異なる状況になっている事も多く、各社員の力関係、どういう状況の時に仕事の力を発揮するのかなど、細かい所が明るみにならず、上司の主観で部下の人間性を決め込んでしまいがちになります。

こういった所から、部下の人間性の認識の誤解やズレが生じてきます。

人事評価において、社内でその社員がどのような立場になっているのかを把握できておらず、実情を知らないままにしていると、社員の人間性をしっかりと知った上で評価をすることがでなくなり、うっかり重要な人材を失ってしまう恐れもあります。

中小企業におけるディスコミュニケーションの解決方法

ビジネスチャットの導入

ビジネスチャットはメールよりも手軽に連絡が行えるため、「外出先からメールを作るのが面倒」という煩わしさを軽減する事ができるので、手軽に履歴を残していく事ができます。メールの返信の繰り返しが続くと全体の流れが見にくくなる事がありますが、ビジネスチャットならメッセージのやり取りの履歴もとても見やすく、自分から積極的に情報を見にいこうとする、精神的な面にも役立ちます。

また、ビジネスチャットには「グループ機能」があり、同じ部署、課、チーム毎にグループを作る事ができるので、帰宅時間の変更などがあれば、このグループ内で帰宅時間変更についての発信をすることで、同じグループの社員全員に同時に通知することができます。発信内容が届くと、各社員のビジネスチャット上に、発信が届いた事がわかる様な通知もしっかり表示されますので、見逃しを防ぐ事もできます。

社内SNSの導入

日報というほどの堅苦しい程のものでなくても、社内SNSで、上司と1on1の環境を作り、今日自分が行った仕事の中で、是非これは上司に報告したいということがあれば、どんな内容の事でもいいので気軽に報告できる場がある事で、よりきめ細かい人事評価に役立てる事ができます。

また、社内SNSの報告に上司が全てコメントを残す必要はなく、facebookやTwitterのように、「いいね」を返したり、LINEのように、スタンプを返すだけでも、十分です。投稿を行った部下は、上司がアクションを起こしてくれるだけで、ちゃんと見てくれてると認識できるので、仕事のモチベーションにも大きく影響していきます。

社内SNSは、各種新着情報の通知についても非常に分かりやすく、伝達事項の漏れを大きくカバーしてくれます。

EDIシステムの導入

EDIシステムを導入する事で、今までFAXや郵便などの紙溶媒で行われていた受発注業務を全てパソコン上で確認・管理することが可能になります。EDIシステムの導入で受発注業務でのペーパーレス化を進める事ができれば、大量のFAXで重要書類が埋もれて紛失してしまうリスクが大幅に軽減できます。さらに企業の基幹システムとの連動ができれば、業務効率化も進みますし、人的ミスの削減にも繋げていくことができます。

まとめ

ディスコミュニケーションによる弊害が積み重なっていくと、気が付かないうちに大きな歪みが出てきて、企業全体の利益率の低下や優良社員の離職にも繋がることから、決して見逃す事のできない重要な課題であることを受け止める必要があります。事前にディスコミュニケーションを予防する施策を行ったり、現在既にディスコミュニケーションに陥っている事が明らかな場合は、改善に向けた対策をして早急に取り組む事が重要です。

情報共有に関するデジタル化については、すでにグループウェアを導入している企業も多いと思いますが、使いやすさや分かりやすさは日々進化していますので、状況を見て新しいシステムに変えていく柔軟性を持つことも大切になってきます。

また、各部門の管理職と自社のシステム部門で定期的な会議を行うこと以外にも、専門機関やコンサルティングなどの支援を導入するなどし、第三者を交えて検討するのもオススメです。これによって、社内間の意見に偏ることなく冷静な状況判断と本当に向き合うべき課題から外れずに済みます。