建設業を取り巻く現状とは!建設業2024年問題 現状と解決策!

建設業を取り巻く現状とは!建設業2024年問題の現状と解決策について徹底解説!

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建設業を取り巻く業界は、さまざまな要因によって刻一刻と変化しています。

耐震基準などの品質に関する基準の見直しやICTを積極的に活用した現場管理など、さまざまな側面において変化が生じているのです。

その中で、建設業の働き方における大きな変化が訪れようとしています。本記事では、建設業2024年問題の現状や解決策について詳しく解説します。

建設業2024年問題とは

「建設業2024年問題」とは、日本政府が発出している「働き方改革関連法」に関連して起きる諸問題を指します。建設業を営む者は、2024年4月までにさまざまな労働環境に関する問題を解決しなければならないのです。

現状と課題について

働き方改革関連法は、2019年4月1日に施行された法令であり、大企業は2019年4月1日から、中小企業は2020年4月1日から順を追って適用しています。

しかしながら、建設業では部分的ではありますが、働き方改革関連法案の適用に関して、5年間の時限で猶予期間が設けられています。この猶予期間が切れるのが、2024年ということです。

5年間の猶予期間が設けられた背景は、建設業界全体において高齢化および労働者数の減少に伴って人材不足が著しいことや、常態化した長時間労働を解決するには時間を要すると判断されたことによります。

2024年問題を前に、解決しなければならない課題として、人材不足・高い離職率・長時間労働が挙げられます。

人材不足

現在における建設業界の労働者は、55歳以上の高年層が高い割合を示しており、逆に29歳以下の若年層は低い割合を占めています。日本の総人口はピークを迎え、今後中長期的な観点では減少に転じています。

必然的に労働者数も減少することが予想される中、高年層は団塊の世代であることから多数者が現役を引退することが見込まれています。そこで、建設業界を支える深刻な人材不足と、技術継承が大きな問題となっているのです。

離職率

建設業界の労働者において29歳以下の若年層が低い割合を示している背景として、離職率が高いことが挙げられます。

建設業では、限られた工期の中で工事目的物の品質を確保したうえで一定の金額内で完成させなければなりません。どうしても現場の優先順位が高く、労働環境が二の次になってしまいがちです。休暇は取得しづらく、危険を伴う労働に対する対価の賃金が低いことで、若者の離職率が高くなっています。

長時間労働

建設業界特有の問題として、他業界と比較すると長時間労働が多い傾向にあります。建設工事を確認すると、4週4休以下での労働環境であるところも珍しくありません。

長時間労働の原因としては人材不足も挙げられますが、元請が求めている工期までに完成させるため、下請けは企業努力の範疇で現場を完成させている現状があります。

下請けは短期間の工期で現場の完成を強いられている現状があるため、長時間労働が常態化しているのです。

2024年に導入される働き方改革

ここからは、2024年4月から適用される働き方改革関連法案の具体的な内容について詳しく解説します。

時間外労働の上限

働き方改革関連法では、時間外労働時間に上限が設けられます。なお、違反した場合は罰則が適用されますので、注意が必要です。

原則として、労働基準法において法定労働時間が定義づけられており、1日8時間および1週間40時間以内とされています。

労働基準法に定義づけられている労働時間を超過して労働することは、「時間外労働」に該当することから、雇用者は次の手続きを行う必要があります。

・労働基準法第36条に基づく労使協定「36協定」の締結

・所轄労働基準監督署長への届出

働き方改革関連法の猶予期間は2024年4月までとなっていますので、それ以降は建設業も時間外労働規制の対象となるのです。また、違反すると6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が適用されます。

上記2項目の手続きを経たとしても時間外労働時間の上限規制は原則、月45時間以内および年360時間以内となっています。

なお、真にやむを得ない事情が雇用者と労働者間においてある場合は、相互協議のもと合意形成が図れると特別条項が適用され、例外として年720時間(月平均60時間)の時間外労働が可能となります。

ただし、大規模地震や大型台風などの自然災害などに伴う復旧および復興に関する業務に限っては、特例として、2〜6ヶ月の平均が80時間以内および月100時間未満(休日労働を含む)は適用除外となっています。

60時間を超える法定時間外労働の割増賃金率アップ

時間外労働について通常の賃金に対して割増率が定められていますが、中小企業における60時間を超過する時間外労働の賃金割増率が、現行25%から50%へ引き上げられました。

建設業においては、大企業は2010年から50%の賃金割増率が適用されていますが、2024年4月からは中小企業も賃金割増率50%が適用されることとなります。

建設業における中小企業の概念は、資本金または出資金が3億円以下もしくは従業員が300人以下の企業となっています。

なお、時間外労働は労働者に大きな負担を強いるものですので、雇用者と労働者の間で同意締結があれば、時間外労働に対する割増賃金を支払う代わりとして、時間外労働分の代替休暇を取得することも可能となっています。

2024年に導入される働き方改革に伴う解決策

2024年4月1日から、建設業の全ての企業に対して働き方改革関連法が正式適用されます。

上述したように、建設業ではさまざまな問題が山積しており、短期間での解決は困難であるとの見解から適用期間について猶予が与えられてきましたが、その猶予期間もまじかに迫っています。そのため、可及的速やかに具体的な解決策を構築しなければならない現状となっています。

ここからは、2024年に導入される働き方改革に伴う解決策について詳しく解説します。

週休2日制の導入

建設業では、現在においても多くの現場で4週4休以下の労働環境となっています。

これらを改善するため、適正な工期設定・施工時期の平準化を行うことが非常に重要なのです。それらを行うことで、労働者の週休2日確保および長時間労働の抑制が期待できます。そのためには、さまざまな工事を受注する者は、適切でない工期設定の工事を受注しないことが重要です。

また、適切な工期設定はさまざまな工事を発注する者の責務であるため、現場ごとの施工条件などを明確化して適正な工期を設定して発注するようにしなければなりません。

当初の工期では、工事の完成が困難であると判断された場合においては、受注者および発注者で相互協議を行い、工期延期なども視野に入れた検討を行うようにしましょう。

適切な工期が設定されている現場においては、週休2日制の導入を検討する余地が生まれますので、2024年に導入される働き方改革に伴う解決策として有効であると言えるでしょう。

労働時間の管理

労働安全衛生法において、労働時間の客観的な把握が明確に義務づけられています。労働時間の客観的な把握方法としては、タイムカード・ICカード・パソコンを活用した勤務時間の記録などが挙げられています。また、法律上において「客観的」と協調されていることから、労働者の自己申告は原則不可となっています。

なお、建設業はデスクワークばかりではない側面も持ち合わせていますので、現場からの直行および直帰などは、会社では直接労働時間を把握することが困難であるため、このような真にやむを得ない事情がある場合に限っては、自己申告が認可されています。

労働時間を適切に管理することで、長時間労働の抑制だけに留まらず、労働に対する報酬の支払いについても適正化されることが期待できます。

また、労働時間の客観的な把握を行うために必要となる書類としては、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿・タイムカードなどが挙げられ、これらの書類については、労働基準法第109条に基づき3年間の保存義務があります。保存義務は現在、経過措置で3年ですが、経過措置期間が過ぎると5年間になるので注意が必要です。これらの書類を適切に管理していなければ、30万円以下の罰則が適用されます。

労働時間の客観的な把握のためには、紙ベースやExcelなどで適切に管理するのも良いですが、より一層適切に管理するためには勤怠管理システムなどを導入すると良いでしょう。

勤怠管理システムなどを導入することで、労働時間の適切な管理だけでなく、時間外労働の超過防止および賃金割増率の計算間違いを未然に防ぐなど、業務効率化を図ることができます。

最新設備の導入

人材不足や長時間労働の改善は、雇用者や労働者の努力だけでは解決できるものではありません。

現在確保できているマンパワーを適切に把握し、これまでアナログ形式であった部分に対してデジタル形式を導入することで高い業務効率化を図ることが重要です。そこで、IoTおよびICT建設機械を導入することで、省人化および工期短縮および省人化が実現し、生産性向上に繋がるとされています。

IoT

IoTとは、Internet of Thingsの頭文字から称されている言葉であり、さまざまな物体をインターネット環境に接続することで、動作や状態の正確な把握およびデータの蓄積を行い、情報交換が可能となる仕組みです。

現場における導入事例としては、ヘルメットにカメラを設置することで、遠隔からでも現場に臨場していない技術者がリアルタイムで現場の状況を把握し、業務の効率化を可能にしたケースがあります。

また、タブレットを導入することで、さまざまな申請手続きや竣工書類の作成を電子化し、業務負担軽減およびペーパーレス化が出来ます。

ICT建設機器

ICT建設機器は、国土交通省がi-Constructionプロジェクトにおいて積極的な活用を推進しています。ICTとは、Information and Communication Technologyの頭文字から称されている言葉であり、情報通信技術のことです。

ICT建設機器では、建設用機器に情報通信技術を搭載することで、建設機械の自動制御や操作補助などが可能となり、設計どおりの工事を行うことができます。

現場における導入事例としては、ICT建設機器を活用したことで、衛星測位システムを使用、測量誤差を限りなく低減させることができ、作業範囲の精度が高まったケースがあります。

また、建設機械に3次元設計データをインプットして、機械自動制御を行い省人化できるメリットがあります。

まとめ

建設業を取り巻く現状を知り、「建設業2024年問題」で想定される課題を明らかにしてきました。あらゆる意味で企業のDX化は、「建設業2024年問題」を回避し、持続可能な経営への糸口となるでしょう。

建設業2024年問題は、もうすぐそこまで迫っています。直前になって対応できないといった事態とならないよう、今から先手を打って対策を講じておくことが重要です。

本記事が、建設業2024年問題に苦慮されているさまざまな企業の方の一助となれば幸いです。

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