国際ファクタリングとは?メリット、デメリットについて解説

国際ファクタリングとは?メリット、デメリットについて解説

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国際ファクタリングとは、貿易取引をする日本国内の輸出企業が、海外の輸入企業に商品を輸出するときに、輸入企業からの代金を確実に回収するために行うファクタリング(先払いの仕組み)のことです。今回の記事では、国際ファクタリング活用のメリットとデメリットを詳しくご紹介していきます。

国際ファクタリングとは?

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まずは、国際ファクタリングという言葉はどのような定義で使われるのでしょうか?概要からご説明していきます。

ファクタリングとは?

そもそもファクタリングとは、先払いによる資金調達の仕組みです。利用者の入金待ちの売掛債権(=請求書)をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、請求金額の着金前に現金を受け取れる仕組みです。個人・会社の資金繰りの悩みを解決し、代金を回収し損ねるリスクを回避するための手段でもあります。

国際ファクタリングの概要

国際ファクタリングとは、輸出業者が輸出したときの海外業者への売掛債権(商品の代金)を買い取るサービスです。

一般的なファクタリングは、基本的に「未払いの売掛債権を早めに現金化する」という目的で使われます。しかし、国際ファクタリングの目的はそのような資金調達ではありません。

ファクタリングという名称がついているものの、国際ファクタリングは資金調達が主目的でなく、海外の業者から、売掛金(売上金)をキッチリと回収することを目的として利用されます。

海外の業者とやりとりする場合に避けたいのは、未払いの発生です。しかし、取引先の与信(支払い能力)の調査などを十分に進めるには、障壁が少なくありません。このような事業に打撃を与えるリスクに対応できるよう、国際ファクタリングの仕組みが発展しました。

国際ファクタリングは、通常のファクタリングと違い、輸出業者(ファクタリング利用者)、海外の輸出業者、国内のファクタリング会社、海外のファクタリング会社の計4者が介在するのが特徴です。

国際ファクタリングと信用状の違い

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国際ファクタリングと比較されるのが「信用状(L/C)」です。

信用状(L/C)とは、日本の銀行および現地の銀行が中間に入って支払いを保証するシステムで、その資金もいわば「貸付」「手形」に近いものです。

国際ファクタリングとL/Cは形式は似ているものの、実際の取引内容は、全く別物といっていいほど異なっています。

目的が違うので損害の被り先が変わる

国際ファクタリングの場合、「輸入企業の同意」が必要ですが、L/Cの場合「輸出企業に通知」されるだけで、「同意」は必要ないのが大きな違いの一つです。

こうした違いがあることで、損害の被り先が変わってきます。

L/Cの場合は、「万が一取引でトラブルが起きた際に、その損害はL/Cを発行している銀行」が被るために使われる仕組みだと考えられています。

それに対して国際ファクタリングは、「荷積みが完了した時点で前もって売掛金を回収する」ということが目的となっている仕組みなので、トラブル発生時に損害を被るのは、あくまで国際ファクタリングを依頼した輸入業者側ということになります。

もっとも、取引の形式上、海外の現地ファクタリング会社も何らかの損失を被るリスクは存在しますが、最終的な責任の所在という意味で、L/Cとはまったく異なります。

与信の違い

L/Cは「輸出企業」の与信枠をもとに「信用状開設」が必要なのに対し、国際ファクタリングは「輸入企業」の与信枠が審査されます。

これはL/Cが「売掛金を担保とした貸付」であるので、「お金を借りる輸出企業が審査される」のに対して、国際ファクタリングが「支払い能力を調査し、売掛金を購入者から回収する」といった「ファクタリング」であるため、「支払いを行う輸入企業が審査される」という違いになります。

最終的に入ってくるお金と国際保証という意味では同じでも、手続きは完全に別物となります。

書類の煩雑度

そして最後が、書類の煩雑度の違いです。L/Cにおいては、取引申請時に銀行を通して書類のやり取りを行うため、「商品が到着してもまだ書類が届いていない」といった事態も往々にして存在します。

また、双方が提出する書類が完全一致しないと、L/Cによって資金は入ってきません。こうした書類の不一致を一部の輸入業者は悪用し、未払いを行うことがあります。こうした行為は「ディスクレ」と呼ばれます。

それに対して、国際ファクタリングは、あくまで取引は輸出入業者双方で行い、ファクタリング会社はそれを補助する、という形式ですので、輸入した側だけが未払いのリスクに晒されるということがありません。

以上を加味したうえで、どちらを使うのかの意思決定の参考にしてください。

国際ファクタリングのメリット

色とりどりのコンテナ

次に、国際ファクタリングを活用した際のメリットをもう少し詳しくご説明していきます。

売掛債権が100%保証される

事前に信用調査を行い、「出荷」した証明(B/Lなど)を提出した時点で売上請求が可能になるため、入金が早くなり、売掛債権も100%保証されます。

また、通常のファクタリングのように「資金調達」が目的ではないので、あくまで保証料を払うだけで、売掛債権の額面金額100%が保証されているというのも魅力です。

万が一、輸入企業がこの時点で支払いを行わなかった場合、出荷したもののまだ納品前である商品を「回収」し、販売料金の取りはぐれのリスクを回避することができます。

多少の手数料は取られるものの、異国の地で料金が未払いになり、その後、国をまたいだ請求や回収・商品の返送手続き、場合によっては司法手続きなどの最悪の事態を事前に回避することができます。さまざまな「リスク」を回避しながら、売掛債権分の料金を確実に手にすることができます。

信用状の開設が不要

信用状(L/C)の場合、銀行で信用状開設と呼ばれる「与信枠」の割り当て審査に通過する必要があります。

それに対し、国際ファクタリングは取引の都度、国内ファクタリング業者を通して、現地の海外ファクタリング業者が輸入企業の与信調査を行うため、こういった「与信の開設」は不要です。

国際ファクタリングは、あくまで「輸入業者の信用調査」と「出荷した時点での売上相当金(売掛金)の徴収」なので、国内ファクタリング業者にはリスクはほぼありません。

それに対し、信用状(L/C)はいわば「銀行が貿易における支払い料金を保証する」というシステムになっており、万が一トラブルが発生した場合、引受業者が損失を被る仕組みになっています。

そのため、厳しい審査を通じた「信用状の開設」というステップが必要となります。

国際ファクタリングにおいて、信用状の開設が存在しないことは、時間的にも信用的にも、さまざまな企業にとってメリットだと考えられるでしょう。

書類送付による遅延が起きない

信用状(L/C)を利用して貿易取引を行う場合、船積書類(B/L等)を信用状を発行している銀行を経由して送付するので、書類到着が遅くなるというデメリットがあります。

それに対して国際ファクタリングは、「取引開始(出荷)」から「完了(商品到着)」までの間にファクタリング業者を通して売掛金を売り上げとして現金化できます。

申し込みと与信審査というタイムラグは存在するものの、結果として現金が入ってくるのが早いというメリットがあります。

信用状や国際ファクタリングは、商品の運搬に時間がかかる海路での貿易に利用するため、タイムラグが発生しないというメリットはかなり大きく、輸出側にとっては大きな利益になります。また、中には最短即日で現金化を行うということを売りにしているファクタリング業者も存在しているので、こうした側面から事業者を比較してみても良いかもしれません。

信用調査を委託できる

国際ファクタリングでは、ファクタリング会社が輸入会社の信用調査をします。信用調査費はかかってしまいますが、なかなか正確に自社で信用を測りにくい海外の企業に対して、プロが信用調査をしてくれるのは大変心強いです。特に、初めての取引を行う企業や事業者に対しては、信用調査は実施しておいた方が良いでしょう。

国際ファクタリングのデメリット

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このようにリスクを回避しながら、確実に入金も保証されている国際ファクタリングですが、実はデメリットもあります。

手数料が高い

L/C取引と比較すると、与信を通すのに必要な費用がかかるので、高くなります。

国際ファクタリングの費用相場は、まず「信用調査費」として約1万円程度、さらにファクタリング手数料(保証料)として、請求書(インボイス金額)に対して約0.7%〜2.0%/月が相場となります。

それに対して、「L/C取引」の費用相場は2019年現在、「保証料」として約0.5%~1.0%/年、あとは「電信料」として約1万円程度、最後に為替手数料がかかるとされているので、最大1.0%の違いが出てきます。

利用できる会社が少ない

国際ファクタリングに対応している会社は、三井住友、みずほ、三菱UFJなどの国内の大手金融会社だけです。貿易となると、商材によっては数千万・数億円という金額になり、資金力に加えて、現地のファクタリング会社と業務提携や支社進出が必要になります。

国際ファクタリングは、「貿易費用を取りはぐれないようにするための保険」という位置付けで、仕組みの煩雑さと手数料の高さがハードルとなり、利用者総数自体もあまり多くありません。

そのため、「ファクタリング業者」にも大きな参入障壁が存在し、大手金融しか積極的に取り組めないのが現状です。

まとめ

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今回は、海外企業と取引する際の未払いなどのリスクを回避できる国際ファクタリングをご紹介しました。信用情報調査の代行や、未払いなどの損失を回避できる一方、手数料が高くなってしまうなどのデメリットがあります。本記事を参照しながら、自社に適切な形を模索してみてはいかがでしょうか。

参考:資金調達に関する記事一覧|法律相談ナビ

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