建設業界における外国人労働者を雇用するための方法とは?

建設業界における外国人労働者を雇用するための方法とは!注意点についても徹底解説!

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現在の日本では、さまざまな業界において人手不足が深刻な問題となっています。

その背景にあるのは、日本の人口はピークを迎えていることが挙げられ、人口が減少傾向にあることで労働者人口も減少傾向にあるのです

そのため、どの業界でも労働者の確保は喫緊の課題となっており建設業界においても例外ではありません。

それらの状況も踏まえ、現在注目されているのが外国人労働者なのです。

外国人労働者を有効活用することで、企業における労働者問題を解決できると考えている会社は少なくありません。

本記事では、建設業界における外国人労働者を雇用するための方法や注意点について詳しく解説します。

建設業と外国人労働者の関係性について

どの業界でも労働者の不足は深刻な問題となっていますが、建設業界では慢性的な人手不足に加えて、オリンピックの開催などで人手不足が加速しました。

2025年に開催される万博の需要もあり、インフラ設備などが対象となっている建設業界は、一層の人手不足に悩まされています。

建設業界における労働者の分布としては、高年層の割合が高く、若年層の割合が低い傾向にあります。これは、若年層の建設業に関するイメージが良くないことにも起因しており、高年層の団塊の世代が現役を引退する一方で、若年層が労働者として参入してこないことが、労働者不足に拍車をかけているのです。

日本政府としては、建設業界を含めたさまざまな業界で、人手不足が深刻化していることを大きな問題であると認識し、2018年12月には「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」が閣議決定されました。本方針が効果を発揮し、建設業界に従事する外国人労働者は増加の一途をたどっています。

建設業と外国人労働者は、非常に密接な関係性にあります。

外国人労働者の雇用に向けた動き

資格が必要な技術者でない限り、日本人であれば特段の就労資格は必要ありません。しかし、外国人労働者を雇うためには日本政府に対する届け出なども必要となるのです。

ここからは、具体的に必要な在留カードや届出について詳しく解説します。

在留カードの確認

外国人労働者を雇うためには、その者が日本に滞在できる資格を有しているのかどうかを確認する必要があります。それらの事項を確認する際に有効なのが、在留カードです。

在留カードとは、3ヶ月以上の長い期間に渡って日本に在留する者に対して、交付されるカードです。新規の上陸許可、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可など、在留資格に係る許可の得た証として入国管理局より交付されるカードです。

そのため、法務大臣が日本に中長期間滞在できる在留資格、及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明する証明書としての効果を発揮します。

なお、在留カードには、交付を受けた外国人の氏名・生年月日・性別・国籍・地域・住居地・在留資格・在留期間・就労の可否など法務大臣が把握する情報が記載されています。

また、記載事項に変更が生じた場合には、変更の届出を義務付けられているため、常に最新の情報が反映されているのです。

在留カードを確認することで、外国人労働者として雇用しても問題ない人物かどうかを見極めることができるのです。

なお、確認を怠ることで不法就労を黙認する結果となった場合には、不法就労助長罪により懲役懲役刑や罰金刑が科せられる可能性があるため、注意が必要です。

届け出書の提出

上述した在留カードで問題ないことが確認できた場合は、厚生労働大臣宛てに外国人雇用状況の届出を提出します。

なお、届出書の提出を怠った場合は、1名につき30万円の罰金刑を科される可能性がありますので、注意が必要です。

建設業で外国人労働者が働くために必要な資格について

建設業界で外国人労働者が働くためには、外国人労働者が然るべき資格を取得している必要があります。ここからは、外国人労働者が取得していなければならない具体的な資格について、詳しく解説します。

一般技能

日本国外における建築等に関する技能、および知識を取得している外国人に付与されている資格が技能在留資格です。

技能と称される資格は、日本国内におけるゴシック、およびバロックなどの専門的な建築様式を活用した建築物の補修等を目的とした資格となっています。

そのため、技能在留資格を持っている外国人労働者は、建設業における現場の作業員として雇用することはできませんので、注意が必要です。

特定技能

特定技能とは、日本語試験、および建設分野特定技能1号評価試験の2つに合格することで取得できる資格となっています。また、日本国内における建設業界で3年以上の実務経験があれば取得できます。

特定技能を持つ外国人は、建設業界では即戦力としての活躍が期待できるでしょう。

特定技能は、1号と2号に分類されており、日本語および技能の水準によって分類されます。1号と2号では、日本における滞在期間が異なっており、1号は通算5年で、2号は無制限となっています。

なお、特定技能の資格保有者を労働者として雇う場合は、短時間労働は認められておらず、フルタイムのみとなっているため、注意が必要です。

技能実習生

発展途上国の外国人労働者は、技能実習生の資格を取得していれば、建設業界で就労することが可能となっているのです。

本資格の大きな目的は国際支援であり、日本の高水準な技術等を享受することで、発展途上国の人材育成に寄与することを主たる目的としています。

そのため、労働者不足を解消するために、外国人労働者を雇うといった目的には合致しませんので、注意が必要です。

資格外活動

外国人の中には、就労することを目的としていない人たちもいます。しかし、日本で生活をするために、就労することを望んでいる人たちがいることも事実なのです。

留学生・留学生の配偶者といった、就労目的以外で日本に居住している外国人には、1週間の内、28時間以内であれば、地方出入国在留管理官署に申請することで、在留資格とは別に、資格外活動の位置づけで就労することが可能です。

なお、就労させることができる業務内容は、単純労働のみとなっているため、専門的な技能が要求されるような仕事に従事させることはできないため、注意が必要です。

身分等に基づく在留資格

外国人が日本に在留することができる資格の内、特別な身分や地位に基づいた在留資格が存在します。

本資格保有者は、日本国内において活動制限、および在留期限がない資格となっていますので、当然のことながら、建設業界を含めたすべての業界において就労することが可能です。

具体的には、永住者・永住者の配偶者および子ども、特別永住者の配偶者、日本人の配偶者、特別養子、日本人として出生した子どもなどが挙げられます。

建設業で外国人労働者を就労させるメリットについて

建設業界において、外国人労働者を雇用することで、さまざまなメリットを享受することができます。ここからは、具体的なメリットについて詳しく解説します。

有能な労働力確保

建設業界では、高年層の割合が高く、若年層の割合が低いといった特徴があります。外国人労働者を採用することは、若い労働力の確保が可能となるのです。

労働者の割合からも分かるように、若年層が少ないということは、技術の継承が困難であるということです。そのため、若年層の外国人労働者を雇用して、高年層より適切な技術継承が行われるサイクルを構築することができれば、有能な労働力の確保に繋がるのです。

会社内の活性化

若年層の労働者がいることで、会社内の空気が良い方向に刷新される傾向にあります。建設業界の特徴としては、他の業界と比較すると賃金が安い傾向にあります。

しかし、外国人労働者が元居た母国と比較すると、日本の賃金は高い傾向にありますので、労働に対して意欲的であると言えるでしょう。これらの環境が会社内の活性化に繋がるのです。

社内教育の充実

若年層の外国人労働者は、動きが良いなどのメリットはありますが、高年層の労働者と比較すると経験不足なのは否めません。そのため、若年層の外国人労働者に対して、適切な社内教育を施すことが重要なのです。

社内教育を行うということは、社員の中で講師になる人が必要になります。教える側の社員も、より一層知識を深めることになります。知識を深めた社員から、外国人労働者が社内教育を受けることで、技術継承にも繋がることでしょう。

このように、社内教育の充実は、教える側の人間と新しく入ってきた人間にとって、winwinの関係性を構築することができるでしょう。

建設業で外国人労働者を就労させるデメリットについて

外国人労働者を雇用することで、さまざまなメリットを享受することができますが、デメリットがあることも忘れてはいけません。

ここからは、具体的なデメリットについて詳しく解説します。

コミュニケーション

外国人労働者と一緒に働くためには、コミュニケーションは必要不可欠です。

主たるコミュニケーション手段は会話がメインとなりますが、外国人労働者との間には異なる言語であることの壁が少なからずあります。

日本人同士であれば言葉で伝わることが、外国人労働者との間では、言葉のみでは伝わりきらない場面も想定されます。そのため、十分なコミュニケーションが図れる環境を構築することが重要になります。

価値観

日本人と外国人の間には、文化や価値観が大きく違うことがあります。

事例を挙げると、日本人では、集合時間の5分前に到着するのが当たり前だと考えていても、外国人では少しくらい遅れても、全く問題ないと考えていることもあるのです。

このように、文化や価値観の違いから、仕事に対する考え方も大きく異なることが想定されますので、日本のビジネスマナーについても、周知することが重要であると言えるでしょう。

まとめ

ここまで、建設業界における外国人労働者を雇用するための方法や、注意点について詳しく解説しました。

日本の建設業界では、労働者不足に悩んでいる会社も少なくないのではないでしょうか。それらを改善するため、外国人労働者の雇用は極めて有効であるといえますが、メリットとデメリットをきちんと理解する必要もあると言えるでしょう。

本記事が、建設業界で外国人労働者の雇用を検討されている、さまざまな企業の方の一助となれば幸いです。