企業買収方法の「MBO」「EBO」「MEBO」とは?メリット・デメリットを解説

2021年12月に開催された金融政策決定会合で、金融緩和策が維持されることが決定しました。金融緩和は新型コロナウイルスの影響を受けた企業を後押しするために実施されています。

しかし、新型コロナウイルス関連倒産が相次いで発生していることも事実です。このような情勢で、企業再編を行うために「MBO」「EBO」「MEBO」を選択する方が増えてきています。今回は企業買収方法の「MBO」「EBO」「MEBO」について解説します。 

参考資料:日本経済新聞「MBO、2倍の15件、1~9月 コロナ下、経営改革狙う」

会社買収方法の特徴

最初に企業買収方法「MBO」「EBO」「MEBO」のメリット・デメリットについて解説します。

  メリット デメリット
MBO

(Management Buy Out)

  • 迅速な意思決定が図れる
  • 従業員の士気が高められる
  • 既存株主と対立する恐れがある
  • 経営体質が変化しない恐れがある
EBO

(Employee Buy Out)

  • 経営者の引退に利用できる
  • スムーズな引き継ぎ業務が行える
  • 組織崩壊が起きる恐れがある
  • 従業員に不信感を与える恐れがある
MEBO

(Management and Employee Buy Out)

  • 従業員の士気が高められる
  • 従業員の意見が聞ける
  • 既存株主と対立する恐れがある

 

(参照資料:SUCCEED「バイアウトの意味や各手法のメリット、目的をわかりやすく解説」)

会社買収方法(1)MBO

MBOとは経営陣が出資して企業を買収する方法です。経営陣(個人)の資金調達力には限界があるため、LBO(企業買収のために会社設立をして、借り入れでレバをかける)と組み合わせて実行される場合が多いです。

【MBOの例】

  •  親会社から子会社を買収したい場合
  • 上場を廃止して非上場企業にしたい場合

 買収の流れ

MBOの買収の流れは以下の通りです。

  1.       経営陣が買収目的の会社(SPC)を設立する
  2.       買収目的の会社(SPC)が金融機関やファンドから資金調達する
  3.       買収目的の会社名義で自社を買収する
  4.       買収目的の会社と自社を合併させる

メリット

(1)    迅速な意思決定が図れる

経営陣が自社株を占有すれば、経営の自由度が上がり、迅速な意思決定が図れます。

(2)    従業員の士気を高められる

経営陣が、成長戦略を立てて組織改革していけば、従業員の士気を高められます。

デメリット

(1)    既存株主と対立する恐れがある

自社株式を安く購入したい経営陣と、高く売却したい株主の間で、対立する恐れがあります。金融機関から融資を受ける場合は、対象企業の債務となるため、既存株主が応じないケースも多いです。一般的に、株主が多くなるほど、交渉が難航します。

(2)    経営体質が変化しない恐れがある

経営陣が株式を占有しても、経営体質が変わらない恐れもあります。経営体質が変わらなければ、市場の変化に付いていけなくなるかもしれません。

成功事例

2012年に、MBOで独立を発表した株式会社YOYAGI GROUP。サイバーエージェントから株式取得をしました。ECナビを中心とした、オンライン上のメンバーシップサービスを主力事業としています。ECナビの登録会員数は56万人。アドテクノロジーの事業成長をスピードアップさせるため、スポンサーの支援を受けながら、企業買収に成功しました。

デジタルを活用した事業展開を加速させており、デジタルギフトをプレゼントできるサービス「デジコ」を開発して、大きな注目を浴びています。

(参考:株式会社 VOYAGE GROUP)

会社買収方法(2)EBO

EBOとは、従業員が出資して企業買収する方法です。従業員が資金を用意できない場合は、ファンドや投資家が一緒に資金調達して、EBOを実施するケースもあります。

【EBOの例】

  •  中小企業の事業承継や事業譲渡したい場合
  • オーナー経営者が引退する場合

買収の流れ

EBOの買収の流れは以下の通りです。

  1.       事業を引き継ぐ従業員を選定する
  2.       従業員と秘密保持契約書を締結する
  3.       株式譲渡の条件を交渉し合う
  4.       株式譲渡契約を締結する
  5.       必要な場合は資金調達を実施する
  6.       株式譲渡を実行する

メリット

(1)オーナー経営者の引退時に利用できる

EBOを活用すれば、オーナー経営者が悩む後継者問題を解決できます。

(2)スムーズな引き継ぎ業務が行える

会社の組織構造は変化なく、資本交代だけ行われるため、スムーズな事業継承が行えます。

デメリット

(1)    組織崩壊が起きる恐れがある

従業員と株式譲渡の交渉を行う際に、必ず同意が得られるわけではありません。交渉決裂した場合には、組織崩壊が起きる恐れがあるため、慎重に対応してください。

(2)従業員に不信感を与える恐れがある

事業承継は、会社の組織に大きな影響を及ぼします。事業承継を発表するタイミングを間違えると、「なぜ、事業承継を話してくれなかったのか?」という不信感を与えてしまいかねません。そのため、EBOを発表するタイミングに気をつけてください。

成功事例

2020年4月に、ユニゾホールディングスがEBOを実施しました。不動産事業を展開するユニゾホールディングスは、米国の投資ファンドと契約交渉を進めていましたが、従業員の雇用の場やモチベーションを維持するために、EBOを選択しました。

ローン・スター・ファンドが、ユニゾホールディングスの従業員に資金を貸すことで、EBOを実現できたのです。この事例は、日本初のEBOとして大きな注目を浴びました。

参考資料:SPEED M&A「バイアウトとは?3つの手法と事例を紹介(MBO・EBO・LBO)」

会社買収方法(3)MEBO

MEBOとは、経営陣と従業員が出資して、企業買収する方法です。MEOとEBOの買収方法を組み合わせた方法になります。経営陣だけでなく、従業員を参加させることで、従業員の士気を上げることができます。企業買収後の企業価値向上を目的として、MEBOを選択する企業が増えてきました。MEBOを実施すると、経営陣と従業員で自社株を占有することになります。

成功事例

 2007年に、MEBOを実施した企業が、株式会社日本レーザーです。社員が主役になる事業を展開するために、MEBOで親会社から独立。経営陣と従業員が一丸となることで、退職者ゼロ・無借金経営を実現しました。赤字からの業績回復は大きな話題を集めて、中小企業庁長官賞を受賞。夢と志が感じられる企業買収だと話題を集めました。

(参考:社員が主役になる MEBOによる事業承継)

会社買収を成功させるポイント

企業買収方法「MBO」「EBO」「MEBO」について理解して頂けたと思います。次に、企業買収を成功させるポイントをご紹介します。

1.専門家へ相談する

企業買収を検討する場合は専門家へ相談してください。企業買収のプロセスを把握して行動に移さなければ、希望する方向に話は進みません。企業買収には事前準備が必要のため、買収を検討し始めた段階で、相談することをおすすめします。

2.スポンサーを探す

企業買収を成功させるためには、スポンサーからの支援は必要不可欠です。企業買収に共鳴をしてもらい、資金面や経営ノウハウ面で支援をしてもらうことで、企業買収の成功率が上げられます。主なスポンサーには、以下のようなものがあります。

投資ファンド 投資ファンドをスポンサーにする場合は、投資回収率が高い根拠を提示する必要があります。投資ファンドにより、希望する投資回収率は異なります。
銀行 銀行から信頼を得ている場合は支援してもらいやすいです。銀行にはMBO支援部門があります。スポンサーとして支援を受けやすいですが、既存の借入金がある場合には調整しなければいけません。
事業会社 シナジー効果が見込めれば、事業会社がスポンサーになってくれる場合もあります。資金提供と経営の役割を明確にしておきましょう。
エンジェル 資産家や事業家がスポンサーになってくれる場合もあります。資金提供と経営の役割を明確にしておきましょう。

3.財務分析を行う

企業買収で金融機関から融資を受ける場合は、多額の負債を抱えることになります。そのため、企業買収後に利益が獲得できて、黒字化経営できるか財務分析を行ってください。財務分析をせずに企業買収すると、大きな損失を被る恐れがあります。融資の返済ができないなど、トラブルを避けるためにも財務分析をしましょう。

4.買収企業の価値を理解する

買収企業の価値を正しく理解することは大切です。事業価値(非事業用資産を含む)から借入金などの負債を差し引いたのが、株式価値です。株式価値より高値で株式を購入する場合は、それに見合った価値があるかどうかを、きちんと理解した上で、話を進めましょう。

5.売り手側と良好な関係を築く

企業買収を成功させるためには、売り手側と買い手側で良好な関係を築く必要があります。関係に亀裂が入ると企業買収できなくなる恐れがあるため、注意してください。

また、売り手側である経営陣の人柄に惹かれていた従業員がいる場合は、企業買収で従業員の士気が低下してしまうかもしれません。このような問題が発生しないように手を打ちましょう。

6.金融機関の理解を得る

企業買収を検討し始めたら、日頃から金融機関との関係を良好なものにしておきましょう。金融機関と信頼関係を深めておけば、企業買収で融資を受ける際も理解が得られやすくなります。日頃から金融機関と情報共有するだけでなく、返済遅延などトラブルを起こさないなど、信頼関係を築いておきましょう。

7.利害関係者と良好な関係を築く

企業買収後に従業員や取引先などに不信感が抱かれると、企業価値は落ちます。そのため、従業員や取引先の立場を考慮しながら、企業買収を進めてください。魅力的な経営戦略を用意し、適切なタイミングで発表するなど考慮することで、利害関係者と良好な関係が築けます。

8.支援目的の事業計画書を作成する

企業買収を成功させるために、事業計画書を作成してください。企業買収の目的を明確に定めて、事業強化・事業拡大・新規事業の展開などを記載しておきます。魅力的な事業計画書を作成しておけば、金融機関から融資が受けやすくなります。

参考資料:信金キャピタル株式会社「M&Aを成功させるための7つのポイント」

まとめ

新型コロナウイルスの影響で金融緩和がされている関係で、資金調達がしやすいです。そのため、自社を買収する経営陣・従業員が増えてきています。今回は企業買収方法「MBO」「EBO」について詳しく解説しました。ぜひ、この記事を参考にして企業買収を検討してみてください。

コンサルティングご相談は
以下より承っております(初回相談は無料です)





    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。

    CAPTCHA