小規模企業共済と経営セーフティ共済の活用ポイントとは?比較してわかる節税効果の違いについてご紹介

中小企業や個人事業主の方の間で利用ケースが増えているのが、小規模企業共済と経営セーフティ共済です。どちらも金銭面での不安やリスクを軽減し、少しでも安全なビジネスモデルの構築や、将来性のある人生設計を実現するのに役立てられるため、利用価値の高い制度です。

今回は、似て非なる2つの制度の特徴と、どのように活用と節税に繋がるのか、そのポイントをご紹介します。

小規模企業共済とは

小規模企業共済は、個人事業主や中小企業の経営者向けに提供されているサービスの一環で、廃業時や退職時にその後の生活資金として、積み立てておいた退職金を賄ってもらうことができます。

フリーランスとして活動する際、問題視されているのが彼らの将来についてで、一般企業の会社員とは異なり、退職金などの制度が存在しないことから、あらかじめ積み立てておくことが求められます。

たとえ会社役員であっても、従業人規模が100人に満たないような会社の場合は、必ずしも安定した老後を送ることができるとは限らず、将来に向けた備えが欠かせません。

そんな時に活用したいのが小規模企業共済で、個人年金のような形式で、毎月の積み立てを行い、退職後に積立額を一括、あるいは分割で受け取ることができます。

また、加入者の個人所得について控除を受けることができるため、節税の観点からも注目されている制度です。

経営セーフティ共済について

一方の経営セーフティ共済ですが、こちらはタイトルにもある通り、企業経営におけるセーフティネットワークを拡大することに焦点を当てた制度です。

中小企業はその事業規模ゆえ、限られた数の取引先しか有しておらず、取引先が一つ倒産して仕舞えば、自社の経営状況も傾いてしまう、というケースも珍しくありません。大企業のようなリソースも持たないため、一度傾いてしまうと状況の改善が極めて難しい場合もある中、活用されているのが経営セーフティ共済です。

この制度は、取引先の事業者が倒産した際、中小企業の連鎖的な倒産を回避するため、無担保・無保証人で事前の掛金の10倍まで借り入れができるというものです。掛金についても必要経費として計上できるため、負担を小さく抑えられるだけでなく、節税にも繋がります。

両制度の比較ポイント

小規模企業共済と経営セーフティ共済は、どちらも小規模な事業を展開する経営者に向けて用意されている制度です。両制度を比較検討する上では、以下の目的、資格、掛金という3つのポイントに注目することが大切です。

制度の目的

両制度の違いを理解する上で、注目したいのがそれぞれの目的です。小規模企業共済ですが、こちらは個人事業主や中小企業の役員でも退職金を得られるよう、積み立て式による制度導入を促してくれるものです。大企業に所属していなくとも、コツコツ積み立てていれば将来の心配をある程度解消してくれる上、積立金は控除の対象となるため、目下のメリットも得られます。

一方の経営セーフティ共済は、中小企業の経営者がセーフティネットとして活用することを目的とした制度です。日ごろから積み立てておくことにより、いざという時の緊急手段として、借入のチャンネルを増やすことができます。倒産を回避するために有効な制度です。

制度活用の資格

続いて、制度活用の資格の違いです。小規模企業共済も、経営セーフティ共済も、個人事業主、会社経営者を問わず加入することができる制度ですが、加入条件に微妙な違いがあります。

そもそも、前者の制度は個人の退職金に関わる制度であるため、こちらは個人名義での加入が必要です。後者の経営セーフティ共済は、経営者として会社を守るために加入するものなので、事業者名義での加入が求められます。特に前者については法人として加入することはできないため、注意する必要があります。

ただ、両制度はどちらも加入要件こそ微妙に異なるものの、ほぼ全ての個人事業主、及び中小企業経営者が条件に当てはまるため、思い立ったらすぐ加入が可能です。どちらか一方はもちろん、両方の加入も可能なので、手元資金に余裕がある場合にはどちらも利用してみると良いでしょう。

掛金・解約金

掛金及び解約金のルールについても注意が必要です。小規模企業共済の場合、掛金は月額1,000円以上、7万円以下というルールが設けられている一方、経営セーフティ共済は月額5,000円以上、20万円以下と指定されています。

前者の場合、掛金は所得控除として扱うことができ、後者は事業の経費として処理することが可能という違いがあることも覚えておきましょう。

また、両制度は中途解約が認められている一方で、その場合には解約金やペナルティも発生します。小規模企業共済は、20年以上の加入で100%を超える解約金を得られますが、途中解約すると解約金は元本を割り込んでしまいます。

経営セーフティ共済については満期が存在しないため、いつでも解約することができますが、40ヶ月以上の加入でなければ100%の解約金は得られません。また、受け取った解約金については事業収入として処理されてしまうので、受け取るタイミングにも注意が必要です。

小規模企業共済のメリットとデメリット

小規模企業共済は、個人所得の節税に効果を発揮する一方で、解約金の発生なども懸念されるため、運用には注意が必要です。メリットとデメリットをまとめて確認しておきましょう。

節税効果が個人所得の面で期待できる

小規模企業共済は、前述の通り個人での加入となり、個人所得の控除を受けられるため、高い節税効果が期待できます。積み立てた分の金額が丸ごと控除対象となるので、収入が増えた年にしっかり積み立てておくのが良いでしょう。

将来に向けた積立ができる

ふるさと納税などとは違い、積み立てたお金は全て退職金としてキープしておくことができるので、支出とならないのも嬉しいところです。

もちろん退職までは積み立てたお金に触れることはできないものの、所得税として多くの額を持っていかれてしまうのであれば、積み立てておいた方が損はしないのがこの制度です。

借入にも対応している

小規模企業共済に加入しておくことで、万が一に備えた借入制度を利用できるのもポイントです。掛金の納付額や期間に応じて、目的の異なる制度を利用できるため、必要な場合にはこれらをフル活用して危機を乗り越えましょう。

利用可能な借入制度については、以下の中小機構のサイトにて詳細が記入されています。

https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/loan/index.html

解約のタイミングに注意する必要がある

小規模企業共済は、金銭面でのメリットが多い反面、気をつけておくべきデメリットがあります。まず、前述の通り同共済は20年未満で解約してしまうと、得られる解約金において元本割れが発生します。継続20年未満で解約することにメリットはない、という点に注意しましょう。

せっかくの節税対策と退職金確保のために長期間積み立てていたお金が、期間を待たなかったことで減額されてしまうというのは勿体無いものです。無理のない範囲で積み立てを続け、20年以上継続することが大切です。

経営セーフティ共済のメリットとデメリット

経営セーフティ共済の活用においても、メリットとデメリットが存在します。メリットを最大限活用し、デメリットが発生しない仕組みづくりが必要です。

取引先の状況に左右されず借入ができる

経営セーフティ共済の強みとなるのが、取引先の状況に左右されず借入を行えるという点です。一般的な金融機関での借入を行う場合、自社の経営状況はもちろん、取引先の経営状況なども踏まえて審査が行われますが、同制度を利用する場合にはこのような審査は発生しません。

連鎖倒産を防止するための共済制度であるため、早いうちから積み立てを行っておき、いざという時に支援を得られるよう準備しておきましょう。

掛金は経費計上できる

また、掛金は全て事業経費として計上されるので、積み立てそのものが会社の負担となることもありません。任意のタイミングで解約できる上、40ヶ月以上であれば解約の際のデメリットも小さいため、安心して運用できます。

解約のタイミングに注意する必要がある

小規模企業共済同様、経営セーフティ共済も解約のタイミングに注意する必要があります。40ヶ月未満での解約時には8割程度となってしまうほか、解約の際に発生する解約金は、事業所得として計上されます。

そのため、売上が大きい年の解約は、本来は節税対策であったはずの同共済が、税負担を大きくしてしまい、これまでの節税効果を半減させてしまう可能性もあります。

40ヶ月未満、あるいはそれ以上継続期間の解約であったとしても、赤字や経費の大幅増が見込まれるタイミングでの解約がベストです。

借入時には事実上の利息が発生する

経営セーフティ共済は、制度上無利子無担保での借入が可能な一方で、実際には利息に当たる差し引きが行われる点に注意しましょう。

中小機構のホームページには、「共済金の借入額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除される」という文言が記述されています。これは、借りた額の10%が失われてしまうことを意味するため、借入になんのデメリットもない、と考えるのは危険です。

せっかくの掛金による節税効果を無駄にしないためにも、借入の利用には慎重になる必要があるでしょう。

参考:https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/proceed/index.html

まとめ

小規模企業共済と経営セーフティ共済は、どちらも中小規模で事業を展開する経営者、あるいは個人事業主にとって、セーフティネットの役割を果たす便利な制度です。

それなりの節税効果が見込めるだけでなく、将来の安心を確保したり、いざという時に頼れたりする制度であるため、加入しておくメリットは大きいと言えます。事業がある程度安定してきた段階で、加入を検討してみましょう。

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