デジタルが普及してから、製造メーカーの新たなビジネスモデルとして、D2C(製造メーカーが顧客と直接取引する)が注目を浴びました。このように、デジタルを積極的に活用したマーケティングDX(改革)が加速しています。中小企業は、ビジネス機会を得るために、どのようなDX推進に取り組めば良いのでしょうか?DX推進の手順は、どのような流れになるのでしょうか?今回は、中小企業におけるマーケティングDXの進め方について解説します。
マーケティングDXとは?
マーケティングDXとは、従来のマーケティング(市場調査・商品開発・広告宣伝・効果検証)に、変革を起こすことをいいます。デジタルツールやAI技術を活用して、マーケティングの質を高めることをいいます。
DX(Digital Transformation)推進が加速して、デジタル化に取り組む企業が増えました。しかし、DXとは業務をデジタル化するだけではなく、業務変革を起こすことを指します。マーケティングDXの定義は、間違われやすいため注意してください。
マーケティングDXの必要
中小企業が、マーケティングDXに取り組む必要性は、以下の通りです。
顧客優位性のビジネスに変化
顧客は、インターネット検索で商品比較ができるようになりました。従来は、営業担当者から商品説明を受けなければ分かりませんでしたが、現在は、自発的に商品情報を収集していけます。このような時代変化により、顧客優位性のビジネスに変化しました。中小企業は顧客データを収集して、顧客が求めているものを提供していく姿勢が、求められてきているのです。そのため、デジタルツールを活用して顧客管理、アプローチしていく必要があります。
D2Cの市場拡大
デジタル普及により、メーカーがエンドユーザーに、商品を直接販売できるようになりました。このようなビジネスモデルをD2Cと呼びます。D2Cは仲介業者に支払う費用が発生しないため、コストを安く押さえて、ユーザーに商品提供できます。また、顧客の声を直接聞けることがメリットです。このような理由により、D2Cに取り組むメーカーが増えてきました。
日本ネット経済新聞によると、国内D2C市場規模は、2019年度に2兆300万円となり、2026年度までに3兆600万円になると見通しがされています。新聞内容から、D2Cに参入を検討している企業が多いことが伺えます。競合他社に負けないように、D2Cビジネスを取り入れなければいけません。
新型コロナウイルスによるビジネスの変化
新型コロナウイルスにより、ビジネス形態が変化しました。非対面ビジネスが推奨され、商品購入はECサイト経由が増えてきています。そのため、オンラインを活用した販売経路を考えていかなければいけません。
[中小企業]マーケティングDXのメリット
マーケティングDXのメリットには、次のようなものがあります。
顧客満足度を上げられる
マーケティングDXを推進していけば、顧客満足度が上げられます。例えば、AI搭載型チャットボットを設置すれば、無人受付対応が実現できます。営業時間内でお問い合わせ対応していた場合は、24時間365日対応に切り替えると顧客側の利便性が上がり、顧客満足度を上げていけるのです。
また、マーケティングDXを推進していくと、顧客データが蓄積していきます。蓄積したデータを分析して、パーソナライズ化した対応や商品開発に活かしていくことで、顧客満足度が上げられます。
顧客開拓の業務効率化が図れる
社内に蓄積した顧客データを解析すれば、相手が求めているものを把握できます。例えば、Webサイトの閲覧ログを取得すれば、自社の、どの商品に興味を持っているかが、明確に分かります。その顧客の興味・関心度の高いメルマガを送るなどすれば、新規開拓の営業業務の効率化が図れます。また、顧客リストを作成してメルマガを一斉送信する、MAツールなども登場してきており、営業業務の効率化が行えます。
O2Oマーケティングを実現できる
O2O(Online to Offline)とは、オンラインと店舗を融合させたマーケティング手法です。例えば、SNSアプリでクーポンを発行して、店舗に足を運んでもらうなどの販売促進活動がO2Oに該当します。
また、店舗で商品を下見した後に、ECサイト上で商品を取り寄せるというショッピング方法も、O2Oに該当します。オンラインと店舗の双方の良さを取り入れられるとして、O2Oは大きな注目を浴びているマーケティング手法です。
[中小企業]マーケティングDXの進め方
マーケティングDXの重要性について、理解して頂けたと思います。これから、マーケティングDXに取り組みたいと思った方もいるのではないでしょうか?次にマーケティングDXの進め方について解説します。
1.経営者や決裁者を説得する
製造メーカーでマーケティングDX推進に取り組む場合は、企業文化や組織の仕組みの変革が必要になる恐れがあります。そのような変化を恐れない、経営者や決裁者の強い覚悟が必要です。マーケティングDXは、従来の業務を大きく変える必要も出てくるため、社内抵抗が起こる可能性もあります。このような問題が発生した場合も、経営者はリーダーシップを発揮する必要があります。そのため、DX推進に取り組む前に経営者や決裁者を説得してください。
2.マーケティングDXの目標を立てる
経営者や決裁者に納得をしてもらったら、マーケティングDXの目標を立てていきます。マーケティングDXの目標を実現するための設計図(DXジャーニーマップ)を作成していきましょう。DXジャーニーマップを作成する場合は、DXに詳しい方と業務に詳しい方の意見を反映してください。社内にDXについて詳しい知識を持つ人材がいなければ、コンサルタントに相談することをおすすめします。
[DXジャーニーマップの作成方法]
- デジタル設計図(目的・業務プロセス・指標・デジタルツール・CX)
- ステークホルダーマップ
- デジタル連携図
- デジタル投資シミュレーション
3.社内の従業員に同意を得る
DXジャーニーマップが完成したら、社内の従業員に説明をして同意を得てください。マーケティングDX推進をするために、従来の業務のやり方が変わる恐れがあります。ITリテラシーが低い人も、デジタルツールを操作しなければいけません。少なからず、従業員の業務負荷が上がります。また、エンドユーザー像を明確に定めて、共通認識を持つために、DXジャーニーマップの共有は必要です。また、関連する部署のメンバーで、横断的にカスタマージャーニーマップをワークショップを実施することで作成することも、非常に効果的です。
4.小さな成功体験を積み上げていく
マーケティングDX推進は、小さな成功体験を積み上げていきましょう。多くの中小企業は、DXの実績を保有していないため、業務変革の方法が思い浮かびません。デジタル活用に抵抗を持つ中小企業も存在します。そのため、小さな成功体験でも積み重ねて、デジタルの取り扱いに自信を持てるようにすることが大切です。
デジタルツールで、業務効率化を実現するなどから取り組んでいけば、デジタルを活用した業務変革を思いつくようになります。そのため、小さな成功体験から積み上げていきましょう。
マーケティングDXの成功事例
次にマーケティングDXの成功事例をご紹介します。
コカ・コーラ
マーケティングDXの成功事例で有名な企業が、コカ・コーラ・カンパニーです。公式アプリ「Coke ON」を自販機にかざしてコーラを購入すると、15本購入で1本無料になるサービスを提供しています。
アプリ活用により、自動販売機でスタンプを貯められるという、顧客体験の変革を実現しました。このような仕掛けでアプリをダウンロードしてもらい、顧客データを収集して、顧客が求めるコンテンツやクーポン配信を行い、アプリユーザー獲得に成功しています。
アスクル
アスクル株式会社の「LOHACO」は商品開発から材料調達、販売、物流を自社で行っており、お客様と直接取引することで得た声を、サービスに反映させています。お客様の価値観でもある「欲しい商品がある」「納得できる価格である」「早く商品が届く」「安心・安全な商品である」を内製化で実現しています。
組織改革によるDX推進に積極的に取り汲む上で、従業員が同じ方向を向いて動けるように、DXジャニーマップを共有。開発部と事業部が一体して運営できるようにしています。
ピーチ・ジョン
自社ECサイトを主体にインターネット通販を行う株式会社ピーチ・ジョンは、膨大な登録会員1人1人に合わせたメルマガ作成をAIで自動化しています。
パーソナライズ化された商品選定からメルマガ作成、配信までデジタルツールで行うことで、高い開封率のメルマガ配信に成功しています。また、商品選定は在庫状況などとも連携していることでも、大きな注目を浴びているDX施策です。
まとめ
今回は、中小企業のマーケティングDXの取り組み方を、成功事例を踏まえながら解説しました。とくに製造メーカーでは、顧客と取引するビジネスモデルD2Cが採用され始めています。新型コロナウイルスの影響で非対面ビジネスが推奨され、店舗よりECサイトの需要が高まってきています。このような変化が起きているため、中小企業の方はマーケティングDXに取り組んでみてください。
マーケティングDXの取り組み方が分からない場合は、DXコンサルタントに話を聞くのが一番です。ベリーグッド社でもコンサルティングを実施しています。そのため、マーケティングDXにお悩みの方はお気軽にご相談ください。