新しい才能の引き寄せ方:2024年、ユニークな新卒採用事例15選

新しい才能の引き寄せ方:2024年、ユニークな新卒採用事例15選

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2024年卒の大学生と大学院生の大卒求人倍率は1.71倍となり、2023年卒の1.58倍から0.13ポイントの上昇が見られました(出典:第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)、株式会社リクルート)。少子化に伴い、新卒採用はますます難しくなっています。

2050年には新入社員が2割減少し、「金の卵」とされる人材は入社後すぐに部長に昇格する可能性があると日経新聞は報じています(出典:日経新聞)。これは一時的な傾向ではなく、今後はさらに厳しくなると予想されます。本記事では、ユニークな新卒採用の事例について紹介します。参考にしてください。

新卒採用成功事例15選

黒板にrecruitmentの文字と6つのビジネス要素が書かれている

2024年にも、様々な企業がユニークな新卒採用を行いました。特に注目された事例を15個紹介します。これらの企業は従来の採用方法から脱却し、新しい才能を引き付け、評価するための独自の方法を導入しています。

事例1. いちゲー採用|株式会社カヤック

面白法人カヤックは、ゲーム愛好家に特化した革新的な新卒採用プログラム「いちゲー採用」を実施しています。「一芸採用」で用いる一芸をゲームにしている点で非常にユニークなものになります。この取り組みは、通常の経験や実績だけでなく、ゲームを通じて培われたスキルや情熱も評価の対象とすることに特徴があります。カヤックは、PlayStation®4とのコラボレーションを通じて、ゲームの上手さを採用基準の一つとして採用しています。

採用プロセスには、プラチナトロフィー選考、ゲーム履歴書選考、協力プレイ選考という三つのユニークな選考方法があります。プラチナトロフィー選考では、プラチナトロフィーを獲得した実績のある応募者は1次選考を免除されます。ゲーム履歴書選考では、応募者は自分のゲーム攻略法やゲームを通じて得た経験を詳細に書き出すことが求められます。最後に、協力プレイ選考では、チームとしての協力プレイを通じて問題解決能力やチームワークを評価します。

この独特な採用方法は、ゲームが単なる娯楽ではなく、実際に多くの有用なスキルを提供することを認めるものです。カヤックは、ゲームを深く理解し、情熱を持って遊んだ人々が、創造的かつ効果的な問題解決者であると考えており、これらのスキルを企業活動に活かすことを目指しています。さすが、カヤック、「面白法人カヤック」と銘打っているだけあって、非常にユニークな採用ですね。

事例2. エゴサーチ採用|株式会社カヤック

次の事例も「面白法人カヤック」が採用しているユニークな方法です。「エゴサーチ採用」とは、伝統的な履歴書に代わるユニークな採用方法です。応募者のGoogle検索結果を用いて、その人の公的なオンラインプレゼンスと活動を評価します。履歴書の代わりに、応募者は自分の名前、ブログ、作品名、または他の識別可能なキーワードで検索し、その結果を提出することにより応募します。

この採用手法は、特にWeb上で積極的に情報発信を行っている人々に有利であり、彼らのデジタルフットプリントがその人物の専門知識、影響力、および業界内での活動実績を如実に示すと考えられます。面白法人カヤックは、このようなデジタルプレゼンスを通じて、候補者の個性や能力、情熱をより深く理解しようとしています。

採用対象は新卒者、サマーインターン、中途採用者と幅広く、職種もエンジニアリング、デザイン、企画など多岐にわたります。応募者は自分のオンライン活動が正確に自己表現と一致することを保証する責任を負い、その活動がポジティブな専門的イメージを反映していることが求められます。

この革新的な採用方法は、特にデジタルネイティブな才能の発掘において、従来の採用手法に革新をもたらし、候補者の本質的な価値を見極める新しい手法として注目されています。面白法人カヤックは、この採用戦略を通じて、オンラインでの積極的な自己表現を重視する文化を推進し、候補者が自己のキャリアを積極的に形作る機会を提供しています。

事例3.社員全員が人事|株式会社カヤック

更に、「面白法人カヤック」の事例になりますが、カヤック社においては「全員人事」制度を取り入れています。その制度は、全社員の名刺には「人事部」と記され、全員が「ファストパス(書類選考免除券)」を持ち、一部の社員には直接最終面接に進める「ラストパス」が配布されています。この取り組みにより、所謂「リファラル採用」に繋がる社員による紹介での面接数が2倍に増加し、中途採用のコストが25%削減されました。

事例4. 複業採用|サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、多様な働き方を推進する先駆者として、新たな採用戦略「複業採用」を開始しました。この独特な採用アプローチは、サイボウズでの職務を副業または追加の仕事として位置づけるもので、従来の雇用概念に挑戦しています。2012年から社員の複業を認めてきたサイボウズは、政府の働き方改革を受けて、この新しい採用形態を導入することで、更なる柔軟な働き方を促進しています。

対象となるのは、他の職場で既に仕事を持つ人々や個人事業主であり、サイボウズの理念「チームワークあふれる社会を創る」に共感する人々です。この採用は、候補者が現在の職務とサイボウズでの仕事を兼務することを可能にし、多角的なキャリアを形成する機会を提供します。サイボウズは、複業が個人のスキルと経験を豊かにすると同時に、会社に新たな視点と専門知識をもたらすと考えています。

募集される職種には、エンジニア職(開発/運用、セキュリティ、QAなど)とビジネス職(プロモーション、Webディレクターなど)が含まれており、職種に応じて東京、大阪、松山での勤務または在宅勤務の可能性があります。選考プロセスは、通常の中途採用と同様に書類選考と複数の面接が行われますが、複業を望む候補者の状況に応じた柔軟な契約形態が提供されます。

サイボウズのこの革新的な取り組みは、「100人いれば、100通りの働き方」という理念を体現しており、多様な働き方を求める現代の労働市場に適応する模範となっています。これにより、サイボウズは、従業員が自らのキャリアを形成し、自立した働き方を実現できる環境を支援しています。

事例5. 日本一短いES|三幸製菓株式会社

三幸製菓株式会社は、新卒採用プロセスにおいて「日本一短いエントリーシート(ES)」を導入し、従来の採用方法に革新をもたらしています。このユニークなアプローチでは、ESの記入に必要な時間を大幅に削減し、応募者の負担を軽減しています。具体的には、応募者は単に「おせんべいが好きか」「新潟で働けるか」という二つの質問に「Yes」と回答し、メールアドレスを入力するだけで応募が完了します。これにより、ESの記入はわずか10秒で終了します。

この採用戦略は、特に志望動機や自己PRなどの従来必要とされる情報を最初の段階で求めず、必要な情報を適切なタイミングで得ることを重視しています。三幸製菓は、「この会社に入社したい」という気持ちは徐々に形成されるべきものと考えており、採用過程を通じて応募者とじっくり関わることを目指しています。

この新しい試みは、多くの学生にとってエントリーの敷居を低くし、採用プロセスの透明性を高めています。また、このアプローチは「既存のESのアンチテーゼ」として位置づけられており、従来の時間のかかるESプロセスの効率性に疑問を投げかけています。このような革新的な採用方法により、三幸製菓は企業と応募者双方にとって有益な関係の構築を目指しており、すでに多くの関心と応募を集めています。

事例6-1. WEB面接1回のみのオンライン採用|人的資産研究所

この会社は、パフォーマンス予測モデルを活用してオンライン完結型の新卒採用プロセスを導入しました。この革新的な取り組みは、採用活動をデジタル化し、効率化することに重点を置いています。AI技術を利用して応募者の将来のパフォーマンスを予測し、必要なデータをオンライン上で収集することで、応募者が物理的に会社に出向く必要がなくなりました。これにより、地方在住の学生でも交通費や宿泊費を気にすることなく、選考プロセスに参加できるようになります。

この採用方法の最大のメリットは、時間と場所の制約を超えて多くの優秀な人材にアクセスできることです。AIが選考の多くのプロセスを代行することで、採用担当者は応募者とのコミュニケーションに集中でき、より質の高い対話を行うことが可能になります。これは、応募者が企業について深く理解し、入社動機をしっかりと固めるために非常に有効です。

さらに、このシステムの導入により、採用プロセスの時間が大幅に削減され、地方学生の内定者数が前年比で約4倍に増加しました。また、地方大学の採用実績も約5倍に増えるなど、地方在住の学生が大学の地理的な制約を感じることなく、より多くの就職機会を得られるようになりました。

このオンラインリクルーティングとパフォーマンス予測モデルを組み合わせた採用アプローチは、企業と応募者双方にとってメリットが大きく、特に地方学生にとっては就職活動の負担を大きく軽減するものです。また、企業側も選考工数の削減という形でコスト効率の改善を実現しています。このようなデジタル技術の積極的な活用は、将来の採用トレンドとしてさらに拡がっていく可能性があります。

事例6-2.オンライン完結型採用|PayPay株式会社

また、オンライン完結型採用はPayPay株式会社においてキャリア採用に導入されたことで知られています。以下はその概要です。

PayPay株式会社は、デジタル面接プラットフォーム「HireVue」を活用したオンライン完結型のキャリア採用選考プロセスを導入しました。このシステムは、世界中からの応募を可能にし、技術力の測定と迅速な選考実施を実現しています。選考プロセスはオンラインでのコーディングテストと数回のインタビューで完結し、グローバル採用を効率的に行うことが可能です。この取り組みにより、PayPayは国際的な才能の獲得とプロパー社員による組織構築を目指しています。

HireVueプラットフォームは、ビデオインタビュー、AIによる予測分析機能、ゲームベースアセスメントを提供し、採用担当者が候補者を効率的に評価できるように支援しています。これにより、候補者は世界中どこからでも面接に参加でき、企業は最適な人材を素早く見つけることができます。このプラットフォームは、世界の大手企業で広く利用されており、採用選考だけでなく、入社後の評価にも活用されています。

PayPayは、このオンラインリクルーティングシステムを今後も活用し、エンジニアリング部門を中心に他の職種にも適用範囲を拡大する計画です。この取り組みは、PayPayの持続的な成長を支える重要な要素となっています。

事例7. 実績採用 ESなし/卒業時期不問|チームラボ株式会社

チームラボは、彼らのアートとテクノロジーを融合させたソリューションで知られています。この革新的な会社は、そのユニークな「実績採用」方式で新たな才能を求めています。彼らの採用プロセスは、伝統的な自己PRや面接テクニックを重視するのではなく、候補者の具体的な成果と実績に焦点を当てています。これにより、個々の専門性と多様性を活かしたチーム作りを目指しています。

応募者は、自分がこれまでに関与してきたプロジェクトや制作物を提出することが求められます。たとえば、電子工作の企画書やデモ動画、データ画像処理に関する論文、インタラクティブアートのデモ動画、3DCGアニメーション作品、過去のポートフォリオ、卒業制作でのブランディング提案などが該当します。これらの実績は、チームラボが重視する各職種の能力を示すためのものであり、実際に応募者がどのような貢献ができるかを判断するための重要な指標となります。

チームラボでは、空間演出や展示計画カタリスト、画像処理エンジニア、インタラクティブエンジニア、3DCGアニメーター、ソリューションカタリスト、ビジュアルデザイナーといった多様な職種を設けています。これらに加えて、具体的な職種に決めかねている応募者や、複数職種に興味がある応募者にはオープンポジションでの応募も受け付けており、彼らの才能と可能性を広範囲に評価しようとしています。

このような採用方法により、チームラボは各個人のユニークな才能と創造性を評価し、それをプロジェクトにどう活かすかを考慮することで、多様で専門的なチームを構築しています。候補者が過去に積んだ経験や成果を通じて、その能力とチームラボでの貢献可能性を判断することが、この採用プロセスの中核をなしています。

事例8. いつものあなた選考|TAKEUCHI株式会社

慶応元年に創業し、主な事業活動に、住宅リフォーム、空調給排水電気事業、東京ガス関連事業を展開するTAKEUCHIは「いつもあなた選考」という新卒採用を行なっています。「いつものあなた選考」とは、候補者が日常の自分を最も自然に表現できる状況で面接を行うという、ユニークな新卒採用のアプローチです。この選考方法は、候補者の本質的な人柄や、普段の生活における自然体を重視することに特化しています。

選考の特徴は以下の通りです:

服装は普段着:

面接では、スーツ着用が禁止されており、候補者は普段から着慣れた服装で参加します。これにより、服装による選考結果の影響を排除し、よりリラックスした状態で自分自身を表現することが可能になります。

面接場所が自由:

面接場所は候補者が自由に指定できますが、ただし自宅やアルコールが関与する場所は除外されます。「いつものあなたが表現できる場所」や「自分のルーツとなる場所」を選ぶことが推奨され、面接官はその場所へ出向いて面接を行います。

ダイアログシートの使用:

対話を通じて個々の候補者を深く知るために、面接時には独自の質問シート「ダイアログシート」が使用されます。このシートは候補者に対する理解を深めるためのものであり、選考の可否を決定するものではありません。候補者は他人の添削を受けず、自分の言葉でシートを記入することが求められます。

この採用プロセスは、TAKEUCHI社が実施する「人柄採用」の一環として、候補者が何ができるかではなく、どのような人物かを把握することを目的としています。候補者は「通常選考」と「いつものあなた選考」のいずれかを選ぶことができ、どちらを選んでも選考結果には影響しません。このように、TAKEUCHI社では、より個人の性格や価値観が反映される選考方法を通じて、新たな社員を迎え入れようとしています。

事例9. 体育会スカウト採用など|ユナイテッド株式会社

ユナイテッド株式会社は、新卒採用において個性を重視した「ユニーク採用」方式を導入しています。この取り組みは、学生の多様な個性と能力を認識し、活用することを目的としており、2017年の入社生から導入されました。2017年に28名、2018年には40名近くが採用され、採用された学生の約70%が従来の選考プロセス以外の方法で選ばれました。この採用戦略には、「1日完結採用」が含まれており、説明会から最終面接までを1日で完了させることで、学生の時間と費用の負担を軽減します。

ユニーク採用は、従来の9種類から12種類に拡大され、より多くの学生との接点を創出することを目指しています。ユニーク採用の中には、体育会スカウト採用やチームビルディング合宿、新規事業創出に興味がある学生を対象としたプログラムなどが含まれています。体育会スカウト採用は、体育会の学生のための採用でユナイテッドの選考官が実際の試合や練習に赴き選考します。これらの採用方法では、学生の実際の行動やアイデアを直接評価し、それに基づいて選考を行います。このように、ユナイテッドは学生の学歴やエントリーシートだけでなく、その個性や強みを活かせる機会を提供し、学生自身が自分らしさを発揮できる環境を整えています。

事例10. オフィスツアー|株式会社Legaseed

株式会社Legaseedは、組織変革コンサルティングを行う企業で、2023年5月末までに2025年度の新卒採用エントリーが1万人を突破しました。この数字は、採用開始から3か月で達成され、これまでで最速のペースです。また、同社は6月11日に本社オフィスで対面型説明会「OPEN COMPANY®」を実施し、1日で265名の学生が参加しました。「OPEN COMPANY®」とは、企業が実施する対面型の説明会やオープンハウスの一形態です。このイベントでは、企業がそのオフィスを一般に開放し、求職者や学生に企業文化や働く環境を直接体験してもらうことを目的としています。通常、これには会社のトップや現場の社員によるプレゼンテーション、オフィスツアー、社員との座談会などが含まれます。

「OPEN COMPANY®」は、参加者にとって企業の理念やビジョン、働き方を具体的に理解する機会を提供し、企業側にとっては自社の魅力を直接アピールできる場となります。これにより、企業と求職者双方の間でより深いつながりを築き、相互の理解を深める助けとなります。また、参加者が企業文化に合致するかどうかを互いに評価する貴重なチャンスとなります。

Legaseedの新卒採用戦略は、従来の選考プロセスに加えて、学生の興味を引くようなユニークな取り組みにも重点を置いています。このアプローチには、1日完結型の採用が含まれており、学生が就職活動で経験する移動や宿泊の負担を軽減します。企業は多様なインターンシッププログラムを提供し、学生が自己のスキルやキャリアを試す機会を提供しています。これにより、学生は自らの職業観を明確にし、理想的な職場環境を体験することが可能です。

具体的なインターンシッププログラムとして、「OPEN COMPANY®」から始まり、人事コンサルティング体験「CONNECT」、事業創出を模擬体験する「IMPACT」、さらに長期の実践的プロジェクト参加を含む「EXCITE」などがあります。これらのプログラムは、理想の働き方を探求しながら、学生に実際に「はたらく」ことの意味を体感させるよう設計されています。

Legaseedの取り組みは、単なる説明会やインターンシップを超え、学生が自分のキャリアや人生について深く考え、企業の理念や文化に触れることができる貴重な機会を提供しています。このような環境は、学生が自分自身のキャリアを形成し、将来の職場を選ぶ際に重要な判断基準を得るのに役立ちます。

事例11.一芸に秀でたオタク採用|株式会社viviON

株式会社viviONは、日本が誇る文化を国内外に発信することをミッションに、電子コミックサービスやクリエイター支援プラットフォームなどを展開している企業です。

株式会社viviONでは「一芸に秀でたオタク採用」という独自の新卒採用プロセスを実施しており、特定のジャンルで突出した能力や深い知識を持つ個性的な人材を求めています。採用される職種や仕事内容は、応募者のスキルや興味に基づいて決定され、標準的なキャリアパスにとらわれない柔軟な職務配置が特徴です。

採用プロセスは、リラックスした雰囲気で行われる面接から始まり、最終的には代表取締役との面接を含む複数段階の選考を経て内定に至ります。このプロセスを通じて、株式会社viviONは候補者の個性や能力を深く理解し、それぞれが持つ「オタク要素」を企業の文化や事業目標に合わせて活かす方法を探ります。

株式会社viviONの採用戦略は、従来の選考基準や職務要件にとらわれず、応募者が持つ独自の才能や情熱を重視することにあります。これにより、企業は革新的なアイデアや新しいビジネスチャンスを創出し続けることができ、業界内での競争力を保持しています。

事例12. 野球採用|株式会社サンチャレンジ

株式会社サンチャレンジでは、新卒採用の一環として独自の「野球採用」制度を実施しています。この採用方法は、野球という共通の趣味を持つ人材を対象にしており、従来の採用基準や方法を一新しています。採用選考では、「野球が好き」という熱意が最も重要な基準とされ、志望動機や入社テストなどの一般的な選考要素は考慮されません。

この採用アプローチの背景には、「誰と働くか」という考えがあります。一般の面接では、実際に働く人々の顔や性格を知ることが難しいため、サンチャレンジは野球という共通の興味を通じて、候補者と既存の社員が自然にコミュニケーションを取れる環境を提供しています。このやり方により、応募者は将来の「チーム仲間」としての適合性をよりリアルに感じ取ることができます。

会社全体として野球を愛する文化があり、仕事だけでなくスポーツを通じてもチームワークを育むことが可能です。サンチャレンジは、野球だけでなく、仕事においても活躍できる場を提供し、誰もが輝ける環境を目指しています。また、この採用戦略には野球部のマネージャーも含まれており、野球の経験や知識がなくてもチームをサポートする役割を募集しています。

サンチャレンジは「野球採用」を通じて、同じ価値観を持つ人材を集め、共に成長し、楽しみながら働くことができる環境を作り上げています。

事例13. 麻雀採用|スターティアホールディングス株式会社

スターティアホールディングス株式会社では、2017年の新卒採用から麻雀採用を行なっています。この採用方法は、プロの雀士を介してSNSで拡散され、麻雀が好きな学生を対象にしています。企業と学生が共に麻雀を打つことにより、学生の論理的思考力や勝負勘を評価するとともに、リラックスした環境での交流を通じて学生の人間性やチームプレイ能力を観察します。

イベントは、約30名の学生と数名のプロ雀士、そして企業の社内メンバーが一堂に会し、数時間にわたって麻雀を楽しんだ後、表彰式と懇親会が行われます。この表彰式では、麻雀で最も優れた成績を収めた学生には、最終面接の機会が直接与えられるなど、従来の選考プロセスとは異なる形での評価がなされます。

この採用方法は、一般的な面接や試験だけでは見えてこない学生の真の能力や性格を理解するためのものであり、実際の業務環境において重要となるコミュニケーション能力やストレス下での判断力を直接チェックすることができます。また、麻雀というゲームを通じて自然と学生が緊張を解きほぐし、本来の自分を表現しやすい状況が作り出されるため、より公平で人間味のある選考が可能となります。

この麻雀採用により、企業は通常の選考では接点を持つことのないユニークな才能を持つ学生と出会うことができ、多様な背景を持つ新しい人材を確保することが可能です。また、このようなイベントを通じて企業文化の一端を学生に示すことで、企業としての魅力を間接的にアピールすることもできます。

※「麻雀採用」は論理的思考力や勝負勘を持つ学生を発見し、採用するためのユニークなイベントで、株式会社カケハシスカイソリューションズの登録商標です。

事例14. サウナー採用|株式会社カケハシスカイソリューションズ

「サウナ採用イベント」は、サウナを愛する学生とその熱意を評価する企業を結びつけるためのユニークな採用活動です。このイベントでは、全国から「サウナが好き!」という情熱を持った約30名の学生と、同じくサウナを重視する約5社の企業が参加します。イベントの目的は、リラックスした環境下でのオープンなコミュニケーションを通じて、企業と学生が互いの真の価値を理解し合うことです。

この採用イベントは、従来の緊張感溢れる面接や固定的な自己紹介の場を避け、サウナという共通の趣味を通じて自然体での交流を促します。参加する学生は、サウナにおけるリラックス効果を享受しながら、自己表現や企業への理解を深めることができます。また、企業側も、学生のガクチカ*¹や他の成果物に縛られることなく、その人の本質やコミュニケーション能力を観察する貴重な機会を得ることができます。

イベントは三部構成で進行され、最初に企業のプレゼンテーションが行われ、次に共同でサウナタイムを楽しむ時間が設けられ、最後に懇親会が行われます。この流れにより、参加者同士の壁が低くなり、よりオープンな意見交換が可能となります。

特に、サウナを介した採用活動は、就活生が本来の自分を出しやすい環境を提供し、企業もリラックスした状態で学生の潜在的な能力や個性を見極めることができます。さらに、サウナ好きな学生と企業が一堂に会することで、互いに深い関係を築く基盤を作ることが可能です。

*¹ガクチカとは就活用語で、「学生時代に力を入れたこと」を略した言葉です。

事例15. 筋肉採用|大谷地病院

中小病院は医師の確保が困難とされています。この問題に対処するために、大谷地病院が取り入れているのが「マッスルファーストな医師募集」という、ユニークな採用方法です。

採用基準として、「プロテインを常に携帯する」「タンクトップまたは上裸が正装」「全身鏡の前を素通りできない」といった、筋肉を重視したユーモラスなチェックポイントが並べられています。さらに、快適な当直室や24時間利用可能なトレーニングジム、体育館といった施設が完備されていることがアピールされています。これらは、肉体派の医師に特化した福利厚生として提供されており、筋トレをライフスタイルとしている医師にとって非常に魅力的な環境であることがうかがえます。

この事例は医師不足に悩む中小病院が「筋肉採用」といった特定のニッチなターゲットを狙い撃ちにすることで、医師を確保しようとする試みです。従来の方法では見落とされがちな、趣味やライフスタイルを重視する医師の層を引きつけることで、病院に新たな活力をもたらす可能性を秘めています。

事例から学ぶ採用戦略を成功に導くためのポイント

人事マネージャー 人材採用

新卒採用を成功に導くためのポイントとして、以下の点が挙げられます。

(1)採用ターゲットを明確化する

各事例では、特定のスキルや個性を持つ人材を狙った採用方法を採用しています。

【例】
ゲーム愛好家を対象にした「いちゲー採用」
特定ジャンルに深い知識を持つ「一芸に秀でたオタク採用」

【ポイント】
自社が求める人材像を明確にし、それに合わせた採用プロセスを設計することで、マッチングの精度が向上します。

(2)企業文化を採用プロセスで反映させる
採用プロセスそのものを企業文化の体現とすることで、応募者に自社の価値観を理解してもらいます。

【例】
「全員人事」で社員が採用に関与することで、企業のオープンな文化をアピール。
「いつものあなた選考」で自然体を重視し、リラックスした雰囲気を提供。

【ポイント】
採用プロセスが応募者にとって「企業らしさ」を感じる場となるよう設計する。

(3) 柔軟な採用プロセスを導入する
一般的な選考プロセスに代わるユニークな方法を導入することで、幅広い人材にアクセスします。

【例】
「複業採用」で他職場と兼務できる仕組みを導入。
「オンライン完結型採用」で場所や時間の制約を解消。

【ポイント】
従来の採用方法にとらわれず、多様な働き方や応募者のニーズに応じた柔軟性を持たせる。

(4)応募者の本質に焦点を当てる
履歴書や学歴に依存せず、応募者のスキルや価値観、性格に焦点を当てます。

【例】
実績を重視する「実績採用」。
プロセスを簡素化した「日本一短いES」。

【ポイント】
学歴や形式的な要件にとらわれず、本当に必要な能力や個性を見極める。

(5)趣味や情熱を活用する
候補者の趣味や興味を採用プロセスに取り入れることで、応募者の自然な姿勢を観察します。

【例】
「野球採用」や「サウナー採用」で共通の趣味を軸に交流。
「麻雀採用」でリラックスした環境を提供。

【ポイント】
応募者の趣味や情熱を引き出し、それを評価の基準とする。

(6)テクノロジーを活用する
デジタル技術を活用することで効率的な採用を実現します。

【例】
AIによるパフォーマンス予測を用いた「オンライン完結型採用」。
デジタル履歴を評価する「エゴサーチ採用」。

【ポイント】
テクノロジーを活用して効率的かつ公正な選考を実現する。

(7)職場環境を魅力的に伝える
説明会やオフィスツアーなどを通じて、企業文化や職場環境を応募者に直接伝えます。

【例】
「OPEN COMPANY®」で企業理念や環境を体験させる。

【ポイント】
実際の職場や社員の姿を見せることで、企業の魅力をリアルに伝える。

(8) ユニークさと実用性のバランスを取る
斬新な方法を採用しつつも、実用的な目的に合致していることが重要です。採用プロセスは、単なる話題性ではなく、確実に求める人材を引き寄せるために設計されるべきです。

これらのポイントを採用戦略に取り入れることで、競争の激しい新卒採用市場でも効果的に人材を確保できるでしょう。

まとめ:ユニーク採用についての考察

夕暮れにビジネスパーソン達のシルエット

この記事では、採用活動における様々な事例を紹介しました。各社試行錯誤しながら、新卒採用に工夫を凝らしています。ここで重要なのは、斬新な採用方法を取り入れること自体が目的でないという点です。あくまで必要な人材を確実に獲得することが目的であり、この点をブレさせないことが大切です。また、採用にかかる費用と得られる効果をしっかりと考慮することも必須です。

企業文化に合った適切な人材を引き寄せることが大切であり、従来のエントリーシートや学歴重視の方法だけでは、例えばクリエイティブな人材を逃す可能性があります。ユニークな採用は、求める人材に自社の職場がどのように彼らの成長に貢献するかを示し、魅力をアピールすることから始まります。

さらに、一般的な大衆向けのアピールではなく、求める人材に直接訴えかけることが重要です。彼らが居心地の良い環境で才能を発揮できるように職場を整え、その環境を前面に出すことで、より良いマッチングを実現することができます。大量の応募者を集めることも重要ですが、採用成功の鍵は企業風土に合った最適な人材を見つけることにあると言えます。

お問い合わせ

※参考文献
いちゲー採用

エゴサーチ採用

ぜんいん人事 | 面白法人カヤック - UWORK(ユーワーク)

採用情報 | サイボウズ株式会社

「複業採用」を開始サイボウズでの仕事を複(副)業とする方を積極募集

三幸製菓の採用/人材育成 における取組事例

"人が育つ"を科学する ―人的資産研究所―

PayPay株式会社におけるHireVueを活用したオンライン完結型採用選考プロセス運用開始のお知らせ

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実績採用スタート!/ESなし/卒業時期不問 | チームラボ

新卒採用 | 採用情報 | TAKEUCHI株式会社

新卒採用において12種類の「ユニーク採用」を実施  | ユナイテッド株式会社

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一芸に秀でたオタク採用 | 株式会社viviON

野球採用|株式会社サンチャレンジ

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サウナー採用|サービス紹介

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