新卒者に人気の職場の秘密!心理的安全性がもたらすメリットとは?

新卒者に人気の職場の秘密!心理的安全性がもたらすメリットとは?

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現代の労働市場では、少子化の影響で特に新卒者が売り手市場にあるとされており、職場選びにおいて風通しが良い職場環境が重要な判断基準となっています。

職場の風通しを見る基準として「心理的安全性」が注目されています。本稿では心理的安全性の内容、および心理的安全性を高めることのメリットについて解説します。

心理的安全性とは何か?

職場のデスク パソコンのある風景

心理的安全性は、組織やチーム内で個々のメンバーが、リスクを恐れずに自分の意見や疑問を自由に表現できる状態を指します。この概念は、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授によって広められました。心理的安全性の高い環境では、以下の特徴があります:

開かれたコミュニケーション

チームメンバーが自分の考えや感じたこと、提案などを自由に話すことができ、他のメンバーによって受け入れられます。

失敗の容認

失敗を学びの機会として捉え、それによって個人やチームが成長する手段と見なされます。失敗を非難するのではなく、問題解決と改善のためのステップとして扱われます。

相互尊重と信頼

チームメンバー間における尊重と信頼があり、個々の意見が価値を持ち、尊重される文化が築かれています。

リスクを取ることの奨励

新しいアイデアや異なるアプローチを試すことが奨励され、そのためのサポートが組織から提供されます。

心理的安全性は、チームのパフォーマンス向上、イノベーションの促進、そして従業員の満足度やエンゲージメントの向上に寄与する重要な要素です。

参考:心理的安全性とは何か、生みの親エイミー C. エドモンドソンに聞く

心理的安全性が高い職場のメリットとは?

職場の風景 パソコンとデスクの奥に社員が働く

心理的安全性が高い職場は、多くのメリットを提供します。

心理的安全性が高い職場|個人に対するメリット

まずは心理的安全性が高い職場が何故個人にとってよいのか、メリットをご紹介します。

ストレスと不安の軽減

心理的安全性の高い環境では、従業員は自分の意見を自由に表現でき、失敗を非難されることなく学習の機会として捉えることができます。これにより、職場でのストレスや不安が減少します。

職業満足度の向上

自分の意見が尊重され、貢献が認められることで、仕事に対する満足感が高まります。これはモチベーションの向上にもつながり、長期的にはキャリアの発展にも良い影響を与えます。

個人の成長と発展

 新しいアイデアを試したり、スキルを伸ばすための安全な環境が提供されることで、従業員は個人としても成長する機会を得ます。これにより、専門的なスキルだけでなく、対人スキルの向上も促されます。

精神的健康の支持

職場での支持と公正な扱いは、従業員の精神健康を保護する上で重要です。心理的安全性が高いと感じることは、抑うつ感情や職場のバーンアウトを減少させることが示されています。

心理的安全性が高い職場|チームへのメリット

心理的安全性が高いチームでは、いくつかの重要なメリットが得られます。これらのメリットは、チームの成果、メンバー間の協力、および全体の職場文化に直接影響を与えます。

パフォーマンスの向上

チームメンバーが自由に意見を交換できる環境では、問題解決へのアプローチが多様化し、より創造的な解決策が生まれやすくなります。このようなオープンなコミュニケーションは、プロジェクトやタスクの効率を向上させることができます。

協力とコラボレーションの促進

心理的安全性が確保されたチームでは、メンバー間の信頼感が高まります。これにより、お互いに助け合う文化が育ち、目標達成に向けて効果的に協力することが可能になります。

イノベーションの促進

 新しいアイデアや提案が受け入れられやすい環境では、チームメンバーがリスクを取って新しいことに挑戦しやすくなります。このような文化は、イノベーションを通じてチームや組織が持続的に成長するための土台を築きます。

コンフリクトの健全な管理

コミュニケーションが開かれているチームでは、意見の相違や紛争も建設的に扱われることが多く、問題がエスカレートする前に解決することができます。これにより、チーム内の緊張を減少させ、生産性を維持することができます。

職場の満足度とエンゲージメントの向上

チームメンバーが支持され、価値を感じる職場では、仕事へのエンゲージメントが高まり、職場の満足度も向上します。これは、離職率の低下と直結し、組織全体の人材保持に寄与します。

これらのメリットは、チームが目標に向かって協力的に動くための基盤となり、持続可能な成果と成長を支える重要な要素です。心理的安全性は単に快適な職場環境を提供するだけでなく、チームの成功と直結する要因となるため、積極的に育成する価値があります。

心理的安全性が高い職場| 組織に対するメリット

心理的安全性が高い職場は最終的に会社全体、組織にとっても大きなメリットを生みます。以下、組織にもたらす利点をご紹介します。

イノベーションの促進

従業員が新しいアイデアや改善案を提案しやすい環境は、創造性を刺激し、組織全体のイノベーションを促進します。これは競争力の強化に直結します。

生産性の向上

開かれたコミュニケーションと協力的な職場環境は、プロジェクトの進行や日常業務の効率を向上させます。また、問題が早期に解決されることで、無駄が減少し、全体の生産性が高まります。

離職率の低下

従業員が職場環境に満足し、心理的安全性を感じることは、彼らが組織に留まることを望む一因となります。これにより、採用やトレーニングにかかるコストの削減につながります。

リスク管理の強化

問題や懸念が開かれた環境で共有されることで、リスクが早期に把握され、対策が講じられることが可能になります。これは事故や失敗のリスクを減少させ、組織の持続可能性を保つ上で重要です。

心理的安全性が低い職場の典型的な問題点とその事例

職場で上司が若い部下を怒っていて、部下はきょとんとしているイラスト

では、一方で心理的安全性が低い職場の典型的例とその問題点について述べていきたいと思います。

心理的安全性が低い職場は、従業員が自分の意見を自由に表現することが難しい環境です。このような職場では、通常、以下のような上司と部下のやりとりが見られることがあります。

指示のみでフィードバックがないやりとり

– 上司: 「これを明日までに終わらせておいて。」

– 部下: 「えーっと、これを終わらせるためには、関係部署と調整が必要なため明日までには難しいかと…」

– 上司: 「はぁ?言い訳はいいから、とにかく明日までにはなんとかしろ!」

– 部下: 「は、はい…」

失敗を非難するやりとり

 – 上司: 「このプロジェクトの結果は何だ?全く期待はずれだな!」

 – 部下: 「申し訳ありません…」

 – 上司: 「はぁ?謝って済む問題じゃねーだろ??お前のせいで会社の評判が下がったんだよ!」

意見を無視するやりとり

 – 部下: 「新しいマーケティング戦略についていくつかアイデアがあるのですが、ご意見を伺いたいです。」

 – 上司: 「あー、それは必要ない。お前の仕事はただ私に指示されたことをすることだからね。」

個人攻撃を含むやりとり

 – 上司: 「おい、いつになったらまともな仕事ができるようになるんだ?」

 – 部下: 「すみません…もっと努力します…」

 – 上司: 「はぁ?お前は努力しても、無能なんだから、どうせダメだろうよー」

これらのやりとりは、部下が自由に意見を言いづらい環境や、失敗に対して非難が行われる環境を示しています。心理的安全性が低い職場では、このようなやりとりが常態化しており、従業員のモチベーションの低下や、高い離職率などの問題につながります。

心理的安全性が高い職場だったらどうなるか?

心理的安全性が高い職場では、上司と部下のやりとりは支援的で、互いに尊重し合うコミュニケーションが行われます。以下は、先ほどの例に対する、心理的安全性が高い職場でのやりとりです。

協力的なフィードバックのやりとり

 – 上司: 「これを明日までに終わらせるのがベストだけど、どうかな?」

 – 部下: 「そうですね…。関係部署への根回しが必要なため、正直、明日までには難しいかと思います。」

 – 上司: 「わかった、どれくらい時間が必要か教えてくれ。一緒に計画を見直そう。」

建設的な批評とサポートのやりとり

 – 上司: 「このプロジェクトの結果について話し合いたい。何がうまくいかなかったと思う?」

 – 部下: 「いくつか予期せぬ問題が発生し、それに対応するのに時間がかかってしまいました。」

 – 上司: 「次に同じ問題が起こらないように、何を改善できるか一緒に考えよう。失敗は学びのチャンスだからね。」

意見を歓迎するやりとり

 – 部下: 「新しいマーケティング戦略についていくつかアイデアがあるのですが、聞いていただけますか?」

 – 上司: 「もちろん、ぜひ聞かせてくれ!」

個人の成長を支援するやりとり

 – 上司: 「最近、業務で苦労しているみたいだけど、どうサポートできるか教えてくれる?」

 – 部下: 「そうですね…。ちょっと、業務において簿記の知識が必要になってきているので、学べる機会があったらなと思っています。」

 – 上司: 「確かに、簿記の知識は必要だよね。そういえば、業務時間内で簿記を学ぶ社内研修があるので、それに参加できるように取り計らいますね。」

これらのやりとりでは、互いにリスペクトを持ち、部下の意見や感情が重視されていることがわかります。また、問題や挑戦は共に乗り越えるものと捉え、サポートと成長の機会として扱われています。このような環境は、従業員が安心して自分の意見を表現でき、創造性やイノベーションが促進される土壌となります。

心理的安全性を高める取り組みとは?

研修の風景、男性講師がホワイトボードで説明し男女社員が聞いている

企業が心理的安全性を高めるためにはどうしたらよいのでしょうか?

心理的安全性が高い組織は、従業員が率直な意見や質問を恐れずに表現できる環境であり、これによって問題の早期発見やイノベーションの促進が期待できます。以下のステップを通じて、心理的安全性を育むことができます。

オープンなコミュニケーションの促進

   – 定期的なミーティングを設け、すべての従業員が意見を共有できるプラットフォームを提供します。

   – 「無知な質問はない」という文化を確立し、すべての質問や意見が価値を持つという認識を植え付けます。

フィードバックの正しい扱い

   – フィードバックは成長のためのツールとして扱い、個人の非難とは区別して受け止めるようにします。

   – 正と負の両方のフィードバックをバランス良く提供し、建設的な方法で提供することを心がけます。

透明性の強化

   – 経営層は組織のビジョン、目標、課題を明確に共有し、従業員全員が情報を持って参加できるようにします。

   – 意思決定プロセスに従業員を積極的に関与させることで、彼らの意見が重視されていると感じさせます。

リーダーシップの役割モデル化

   – リーダーたちは、自己開示や脆弱性を示すことで、心理的安全性を示す模範となります。

   – リーダーが自らの過ちや学習過程を共有することで、失敗を恐れずに挑戦する文化を醸成します。

個々の貢献を認識し、評価する

   – 個々の成果だけでなく、チームへの貢献や協力的な行動も評価の対象とします。

   – 進捗報告や成果の発表の場を設け、全員が評価されていると感じられるよう努めます。

教育と研修

   – 心理的安全性に関するトレーニングを定期的に行い、従業員が互いに助け合い、協力する方法を学びます。

   – コミュニケーションスキルや対人関係のトレーニングを提供し、より良い職場環境の構築を支援します。

おまけ~心理的安全性とチームコミュニケーションツールの稼働について

パソコンで作業する部下を双眼鏡で監視する上司のイラスト

心理的安全性が低い組織では、Slackなどのコミュニケーションツールを活用しにくい現状があります。以下その理由を挙げます。

信頼の欠如

心理的安全性が低い職場では、従業員間や従業員と管理層間の信頼が不足しています。信頼がなければ、オープンで透明なコミュニケーションは困難となり、従業員は自分の意見やアイデアをオンラインで共有することを躊躇するかもしれません。これにより、コミュニケーションツールの利用が制限されます。

監視と評価の恐れ

デジタルツールを通じてのコミュニケーションが常に監視されていると感じると、従業員は自分の発言が評価や批判の対象になる可能性があるため、自由に意見を表明することを避けるかもしれません。これは特に、失敗や意見の相違が厳しく扱われる文化では顕著です。

非公式なコミュニケーションの抑制

コミュニケーションツールが正式な報告や連絡のみに使用される場合、非公式な対話や自由な意見交換の場としての利用が限定されることがあります。心理的安全性が低いと、従業員は非公式なコミュニケーションを行うことで自己の地位を危険に晒すことを恐れるかもしれません。

参加の不均等

特定のグループや個人だけが情報を共有し、他のメンバーが除外されるような状況が発生することがあります。このような非包括的な環境では、一部の従業員が取り残され、ツールの有効な活用が妨げられる可能性があります。

これらの問題を解決するには、組織内の心理的安全性を高め、信頼とオープンなコミュニケーションを促進する文化を築くことが重要です。それには、管理層が率先して透明性を示し、全ての従業員が平等に声を上げられる環境を整えることが求められます。

Slackなどチームコミュニケーションツールが効果的に活用されるためには、組織内の心理的安全性の高さが必須です。心理的安全性が高い職場では、従業員はリスクを冒しても新しいアイデアを提案しやすく、問題や課題についてオープンに話すことができます。このような環境では、Slackのようなツールが最大限に活用され、自由かつ建設的なコミュニケーションが促進されるため、組織全体のイノベーションと効率が向上します。

逆に、心理的安全性が低い場合、従業員は自分の意見やアイデアを表明することを躊躇し、その結果、コミュニケーションツールの活用が抑制されることがあります。そのため、組織がSlackなどのツールを導入する際は、心理的安全性を確保し、全員が自信を持ってコミュニケーションできる環境を整えることが、その成功の鍵となります。

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