新型コロナウイルス感染拡大の影響で、企業の事業環境は大きく変わりました。デジタルを活用した戦略的なビジネスを展開していくために、欠かせないのが「DX推進」です。DX推進を行う場合は、補助金や助成金を有効活用しましょう。今回はIT・DX関連の補助金・助成金の活用事例をご紹介します。ぜひ、DX推進の参考にしてみてください。
【全国】IT・DX関連の補助金の活用事例
最初に、政府が発表しているIT・DX関連の補助金をご紹介します。下記は「令和3年度補正予算案」に組み込まれている補助金のため、2022年度も補助金申請を受け付けています。
IT導入補助金
業務効率化やDX推進を目的として、ITツールを導入する場合は、費用の一部を補助してもらえます。
令和3年度補正予算案では、インボイス方式への対応を見据えた会計システムの導入が促進されています。クラウド利用料の2年分の補助や、PC等購入費用の一部を負担してもらえるとして、注目を浴びている補助金です。
また、複数社のデータ連携を支援するため、複数社連携型IT導入枠を設けて、データ共有・活用の取り組みなどの支援も行われています。
補助金の活用事例
(出典元:独立行政法人中小企業基盤整備機構の補助金の採択事例)
小幡建設工業株式会社は、就業・勤怠管理ソフトとオンライン会議ツールを導入して、働き方改革を推進しました。建設業界の従業員は工事現場に直行している状況のため、タイムカード打刻が行えていませんでした。その結果、労働時間超過が課題として挙げられていたのです。
また、場所を問わずに参加できる、リモート会議の環境を整備しました。このような労働体制を整えて、会社・現場を往復せずに済む環境を実現しました。このような仕組みを整備したことで、生産性向上に成功しています。
ものづくり補助金
革新的製品や革新的サービスの開発、または生産プロセスの改善に必要な設備費用を補助してもらえます。令和3年度補正予算案では、業績が厳しい中で、賃上げ等に取り組む中小企業向けに特別枠が設けられており、優先採択および補助率の引き上げが行われます。
補助金の活用事例
(出典元:『ものづくり・商業・サービス補助金成果活用グッドプラクティス集2019-2020』)
有限会社ホテル十勝屋では、チェックイン・チェックアウトの自動化システムを導入して、フロントの省人化を実現しました。
フロントスタッフがレストラン・弁当部門を兼任し、宅配弁当事業という新規事業を成功させました。新規事業の宅配弁当事業は5,000万円を達成して拡大し続けており、北海道を代表するホテルグループを目指し挑み続けています。
事業再構築補助金
新型コロナウイルスの影響で、2020年4月以降の売上高が10%以上減少した中小企業等に対し、新分野展開や業態展開等の事業再構築に係る設備投資を補助しています。令和3年度補正予算では、売上高が30%以上減少するなど、業績が落ちて事業再生に取り組む事業者に対して、補助率を上げる特別枠が設けられます。
補助金の活用事例
音声や映像を制作していた有限会社市場印刷は、画期的な画像提供を実現するために、ドローン及び屋内外用VRカメラを導入しました。ドローンおよび屋内外用VRカメラを活用した非対面・非接触化に寄与する新たな広報支援ツールを開発してサービスを提供しています。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が、経営計画を策定して取り組む販路開拓などを補助するものです。業績が厳しい中で、従業員の賃上げに取り組む小規模事業者向けに、特別枠が設けられています。
また、後継ぎ候補者が実施する新たな取り組みを支援する特別枠や、インボイス発行事業者に転換する場合の環境変化への対応を支援する特別枠も設けられています。
補助金の活用事例
焼肉店いわじは、県外や訪日外国人を取り込むための地酒のアピールを強化するためにホームページを新しく作りました。英語翻訳のあるウェブサイトを新設して予約を開始したことで、オペレーションの合理化を図ることに成功しました。また、外国語に対応したメニュー案内が可能になり、外国人のお客様から高い評価を集めています。
共創型サービスIT連携支援補助金
ITツールを活用する中小企業がコンソーシアム(共同事業体または団体)を組成し、連携強化する際に補助してもらえます。連携手法としては「ファイル転送」「リソース共有」「メッセージング」「アプリケーション連携」などがあり、これらを実現するITツールを導入すると補助対象になります。
補助金の活用事例
株式会社それだでは、コンテンツ制作管理システムを導入しました。コンテンツ配信や配信先デバイス管理、字幕制作、翻訳ツールを連携させることで、データの授受や販促方針、配信管理などに関する情報を共有できるようになりました。コンテンツ制作業界の生産性向上の見本として、注目を浴びています。
【市区町村】IT・DX関連の補助金の活用事例
政府によるIT・DX関連の補助金をご紹介しましたが、自治体でも補助金が用意されています。各自治体で提供されている補助金は異なるため、お問い合わせをしてみてください。ここでは、IT・DX関連の補助金の一部をご紹介します。
生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業
公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」におけるアドバイスを受け、提案書の内容に基づいて機器・システムを導入する場合に助成金が受け取れます。機器・ロボット導入費、システム構築費、ソフトウェア費、クラウド利用費、データ分析費などが助成対象です。
意欲ある事業者経営・技術支援補助金
大阪八尾市内の中小企業を対象に、予算の範囲内において、新製品・技術開発、新分野への進出、経営改善・技術の向上にかかる費用を補助してもらえます。新製品・技術革新だけではなく、DXやIT推進、コーポレートブランディングにも利用できるなど幅広い分野に対応していることが大きな特徴です。
ITビジネスマッチング推進事業補助金
ふくい産業支援センターでは、IT技術を活用した製品の開発に取り組む企業は、県外企業との取引を促進するため、県外展示会への出展費用の一部を補助しています。展示会の出展費や装飾費だけではなく、旅費や委託費なども補助対象となっています。
ものづくり生産力高度化事業費補助金
和歌山県では、県内で、ものづくりを行う企業の競争力を上げるため、デジタル技術等を駆使してビジネスモデルを変革し、生産力を高度化するための設備等の導入に要する経費に対して補助しています。主に製造業のデジタル導入を中心に支援しています。
IT戦略推進事業補助金
兵庫県内でのイノベーションを創出して地域活性化を狙うため、新たな事業所を開設するIT起業家に経費の一部を補助しています。IT企業の建物改修費や事務機器取得費、賃借料、通信回線費、人件費などを補助してもらえます。
中小企業等IoT導入促進補助金
岐阜県では、中小企業のIoT導入促進を行っています。IoTを活用して生産性向上やサービスの高付加価値、新製品の開発などを行う場合の経費を一部補助しています。補助金を受け取るためには、設備投資計画を策定しなければいけません。
先進技術開発支援事業費助成金
にいがた産業創造機構では、ロボットなど、高度ITを活用した付加価値の高いビジネスモデルの創出を支援しています。高度ITやロボットを活用したシステムの施策開発に要する経費の一部を助成しています。これまで、マッチングAIや安全誘導ロボットなどが採択されました。
まとめ
今回は、政府と各自治体が支援目的で提供しているIT・DX関連の補助金・助成金をご紹介しました。政府が提供する補助金は「令和3年度補正予算案」にも組み込まれているため、2022年度も補助金申請ができます。どのような補助金があるかを確認した上で申請してください。
自治体が提供する補助金の内容は、都度変わります。そのため、地域を管轄する自治体に問い合わせをして、活用できる補助金がないかを調べましょう。もし、IT・DX関連の補助金活用でお悩みの方は「株式会社ベリーグッド」でもご相談を受け付けています。専門スタッフがお聞きした上で、最適な補助金や申請補助まで担当させて頂くので、ぜひお気軽にご相談ください。