アルバイトやパートタイムを正社員化することでもらえる助成金とは?

アルバイトやパートタイムを正社員化することでもらえる助成金とは?

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アルバイトやパートタイムを正社員化することで支給される助成金をご存知でしょうか?

労働者のキャリアアップを目的とした助成金は現在いくつか種類があり、今回ご紹介するキャリアアップ助成金正社員化コースもその一つです。

近年は少子高齢化による生産年齢人口減少に伴い、より従業員の定着率や生産性の向上が注目されています。

助成金と聞くと、少し敷居が高そうに感じる方もいるかもしれませんが、今回はキャリアアップ助成金がどのようなものか、支援内容や具体的な支給までの流れについて解説していきます。

従業員の正社員化が進む背景

まず始めに、従業員の正社員化が進む背景についてご紹介します。

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少

正社員化促進の1番大きな背景は、少子高齢化の影響です。日本では少子高齢化に伴い、生産年齢人口(15〜64歳)が年々減少しています。国はこのままでは、国全体の生産力、国力の低下が避けられないとし、働き方改革など様々な取り組みを行なっています。

今回ご紹介するキャリアアップ助成金も、従業員の待遇改善やキャリアアップを促進することで、国全体の経済的成長に繋がるとして、制度が確立されました。

正社員化するメリット

続いてアルバイト・パートタイムスタッフを正社員化することで、どのようなメリットがあるのか、解説していきます。

待遇面の改善

一つ目は待遇面の改善です。従業員は、手当や補助の拡充、契約期間の定めがなくなるなど、非正規雇用にはなかった安定性を手に入れることができます。

また雇用者側にとっても、従業員の待遇が良くなることで、彼らのモチベーションアップに繋がり、その結果業務生産性の向上が期待できます。

正社員の募集コスト削減

二つ目は、正社員の募集コスト削減です。既に働いているアルバイトやパートタイマーを正社員にすることで、正社員の採用活動や求人掲載にかかるコストを削減することができます。

また募集コストだけでなく、人材育成にかかるコストもカットすることができます。アルバイトやパートタイムで働いていたスタッフは、既に業務内容や社内ルール等を網羅しているため、研修期間が少なく即戦力となります。

組織の安定性

三つ目は組織の安定性向上です。従業員の待遇面改善やキャリアアップ促進によって、組織への定着率はアップするでしょう。

また雇用者側からしても、アルバイトのような非正規雇用者よりも正社員の方が指揮命令が明確となり、マネジメントしやすくなるというメリットがあります。このような点から、組織の一体感が高まることが期待でき、組織の安定性もアップするでしょう。

正社員化でもらえるキャリアアップ助成金について

続いて、従業員の正社員化によって支給を受けられる、キャリアアップ助成金についてご紹介します。

支援内容について

キャリアアップ助成金は、アルバイトやパートタイムで働く従業員を正社員化することでもらえる助成金です。キャリアアップ助成金には7つのコースがあり、その中の「正社員化コース」に該当します。

具体的な支援内容としては、アルバイトスタッフなどを正社員に転換すると助成金を支給するというものです。しかし支給金額は、正社員として締結した契約の規定条件によって、最低21万3,750円から最高72万円と大きく異なります。

規定条件としては、「正規か」「無期か」などの雇用形態から「中小企業か」などの企業形態のような条件があります。この助成金は労働人口の減少に伴い、従業員のモチベーションや能力向上、事業の生産性アップを目的としています。

そのため、優秀な人材を確保するために、どのようなメリットが見込まれるか、と言う点も重要な条件の一つとなります。

対象となる条件

助成金の支給を受けるためには、いくつかの条件があります。

そして助成金を申請する際は、事前に全ての条件を満たしているか確認が必要です。

まずは従業員側の条件です。

アルバイトスタッフなどの雇用形態で、6か月以上勤務していること、正社員として雇用することが約束された従業員ではないこと、過去に正社員として雇用された事がないこと等が挙げられます。

続いて雇用主側には次のような条件があります。

キャリアアップ助成金に適した労働協約・就業規則を規定すること、正社員転換後6か月以上継続して雇用し、賃金を支給したこと、転換後の賃金が転換前の賃金より5%アップしていることです。

これらの条件以外にもいくつか条件があるため、申請の際は必ず最新の情報を確認してから行うようにしましょう。

参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

支給までの流れ

次に、キャリアアップ助成金を申請する場合の手続きについてご紹介します。支給までの流れについて一緒に確認していきましょう。

助成金を受けるための前提条件

始めに、キャリアアップ助成金を受けるためには、2点確認しなければならないことがあります。

1点目は、雇用保険適用事業所であるということです。

例えば従業員を1人も雇用していない場合や、雇用していても家族経営であった場合は、雇用保険に加入していないことから助成金の支給はされません。

2点目は、雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を任命することです。

キャリアアップ管理者は、キャリアアップに関する知見を持つ人に限定され、役員や事業主がなることも可能です。

そして、次にご紹介するキャリアアップ計画は、管理者中心に作成することとなります。

キャリアアップ計画の作成・提出

前提条件をクリアできていたら、次にキャリアアップ計画という書類を作成・提出する必要があります。

キャリアアップ計画とは、アルバイトやパートタイムスタッフのキャリアアップに向けて、対象者や目標、期間などの取り組みイメージを記入する計画書のことです。

このキャリアアップ計画は、提出後に、変更届を提出することで変更することも可能です。

この書類の作成にあたっては、管理者中心に大まかな取り組みの全体像を決めますが、キャリアアップ対象の従業員の意見も反映させなければなりません。

そのため、雇用側だけでなく労働組合などの労働者代表の意見も取り入れる必要があります。

就業規則や労働協約の改定

次に、既存の就業規則や労働協約に転換制度を規定させるために、改定をします。改定後の就業規則は労働基準監督署に届け出をする必要があります。

そして改定が完了したら、実際に規定した転換制度に関わる試験等を実施します。試験のような能力測定を経て、正社員への転換を正式に行うことができます。

また正式転換を行う際の注意点ですが、適用される就業規則などに規定している労働条件・待遇にすることが必要です。特に正社員への転換後は、基本給を5%以上増額するなど、規則が定まっているため反することのないようにしましょう。

支給申請・審査

続いて支給申請・審査です。時期としては、正社員転換後6ヶ月分の賃金を支払った後、2ヶ月以内に支給申請を行う必要があります。

支給申請書の内容によっては、時間がかかることもあり、また審査側が申請書類の内容に疑義がある場合、助成金が支給されないこともあります。協力的に審査してもらい助成金の支給を得るためにも、申請書は明確な内容で、丁寧に作成するようにしましょう。

キャリアアップ助成金の活用事例

最後に、キャリアアップ助成金を実際に活用している2つの事例について、ご紹介します。

1.株式会社ガスター

製造・加工業を営むガスターでは、キャリアアップ助成金を活用することで、積極的な正社員登用を実施しています。元々従業員が正社員として働きたいというニーズが強く、そのニーズ実現のために助成金を活用し、社員の更なるキャリアアップ意欲向上に繋げることができました。

また全ての従業員が正社員に転身できるのではなく、毎年正社員登用試験を実施することで、正社員登用の人数を決定しています。このように、ただ従業員のニーズに応えるだけでなく、能力や今後の成長を総合的に判断し、組織にとってプラスになるよう助成金を活用しています。

参考:厚生労働省 多様な働き方の実現応援サイト

2.日新運輸工業株式会社

運搬・製造業を営む日新運輸工業では、試験による年一回の定期的な正社員転換を制度化しています。また、対象の契約社員の中でも特に優秀と見られる社員は、決められたスケジュールによらず、柔軟に正社員化がなされます。

さらにキャリアアップ助成金の支給金を、従業員の資格取得の費用の一部に充てることで、従業員への継続的な教育支援を行なっています。

参考:厚生労働省 多様な働き方の実現応援サイト

アルバイト・パート採用や育成に関する書籍について

以下の本がアルバイト・パート採用や育成に関する書籍になります。ご参考にしてください。

おわりに

今回は、キャリアアップ助成金の正社員化コースについて、具体的に解説しました。

非正規雇用者の正社員化を図ることで、従業員のモチベーションや能力を向上させるだけでなく、組織としても生産性向上が促進されます。

また今回ご紹介した助成金は、他の助成金と比べても取り組みやすく、従業員と雇用者双方に大きなメリットがあるものです。ぜひこの制度を積極的に活用して、組織の安定性を図っていきましょう。

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