建設業界では、東京オリンピックなど国を挙げた一大プロジェクトや昨今の新型コロナウイルスの感染拡大の影響など、さまざまな要因によって刻々と変化しています。
また、建設資材の高騰や顕著な人材不足など、中小建設業者にとっては頭を抱える懸案事項が数多く存在していると言えるでしょう。そのため、中小建設業者は激動の建設業界を生き残るために、さまざまな手法を取らなければならないのです。
本記事では、建設業界の動向と中小建設業者が生き残る方法について詳しく解説します。
建設業界の現状とは
現在、建設業界とはどのような状況であるのでしょうか?
ここからは、建設業界の現状について詳しく解説します。
対前年度
2022年は2021年を上回る出来高となっており、民間工事および公共工事においては回復傾向にあると言えるでしょう。公共工事では2025年に大阪万博を控えていることなどもあり、発注件数は増加傾向にあります。
また、国の施策としてコンパクトシティ化なども掲げられていることから、都市部でのマンション建設などは顕著なものとなっています。
このように、対前年度比を確認すると、2023年も建設業界は変わらず回復傾向にあると言えるでしょう。
人材
2020年に開催された東京オリンピックを契機として、2019年は建設需要が非常に高まったと言えます。2022年現在においても建設技術者の人材需要は高い数値で推移しています。
しかし、建設技術者の有効求職者数は過年度と比較すると減少傾向にあり、人材不足の状況が見え隠れしています。
建設資材および人件費の高騰
現在、建設資材の高騰は非常に顕著なものとなっています。
木材・石油・鋼材原料などが軒並み高騰しており、輸入に頼っていることも相まって各種メーカーも価格を上げざるを得なくなっています。
人件費も上昇傾向といえます。
国土交通省では、地方自治体などを通じて毎年労務費調査などを建設業界の業者に向けて実施、その結果を積算基準書に反映させています。
これによると、建設業界の労務費は毎年のように増加しており、人件費が高騰していると言えます。
建設業界の動向とは
建設業界の動向を正しく理解するためには、さまざまな最新情報を収集し、将来的な推移も含めて考える必要があります。
ここからは、建設業界の動向について詳しく解説します。
公共工事
公共工事の発注状況を知るためには、国土交通省の予算額を把握すると良いでしょう。
国土交通省が財務省へ行っている予算要求は数十兆円規模であり、ここ近年の推移を見ても大きく増減していません。
予算の内訳ですが、新規事業に伴う予算要求の他、大型台風や南海トラフ地震など大規模な自然災害への対策を講じるための予算があります。
内閣官房として国土強靱化基本計画を推進しており、さまざまな災害に対する対策を講じるための公共工事は将来的にも安定して発注されると予測されます。
ICT
マクロな視点では日本の労働者人口は減少傾向にあります。
建設業界も例外はなく、団塊の世代が退職したことによる人員補充は満足のいくものでなかったため、慢性的な人手不足に陥っていると言えるでしょう。
今、建設業界では、国土交通省が中心になってICT化を推進しています。ICT化を目的としたi-Constructionです。
i-Constructionは、ICT技術を積極的に活用することで、さまざまな生産性向上に寄与すると期待されています。
具体的な事例を挙げると、ドローンを活用した空中写真測量、三次元データを活用した施工管理などです。
リフォーム需要
コロナ渦で注目すべきは、住宅分野で新しい生活様式を意識した空間利用のニーズが増えているということです。
そのため、リフォームを含めた改装および改修などは、今後も需要が高まるとされています。
SDGs
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
それを背景として、建設業界では脱炭素の動きが活性化すると予想されています。
事例を挙げると、二酸化炭素を吸収するコンクリートの開発や高断熱素材などを使用した省エネ住宅などです。
そのため、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルを目指して、脱炭素化を目的とした技術開発が積極的に行われているのです。
中小建設業者が生き残る方法とは
中小建設企業が激動の建設業界を生き残るためには、さまざまな手法を取り入れなければなりません。
利益の確保、原価管理、資金繰りを適切に行うことで、会社の事業継続および発展が期待できるのではないでしょうか。
ここからは、中小建設業者が生き残る具体的な方法について詳しく解説します。
利益の確保
会社の事業とは「慈善事業」ではないため、しっかりと利益を追求することが重要です。
原価管理をしっかりと行うことで、決算期末を待たずとも、会社にどれだけの利益があるのかを予測することができます。
また、それらの情報を活用してさまざまな節税対策を講じることで、会社の純利益をさらに高めることもできるでしょう。
更に、利益率を高めることで、最新の建設機械を導入して生産性向上につなげることもできますし、新たな人材を雇用することで事業規模を拡大することもできます。
このように、利益が上がることによって会社の将来的な展望が広がることから、利益の確保は極めて重要な要素であると言えるのです。
原価管理をするうえでの3つのポイント
適切な原価管理を行うためには、まずは3つの基本要素を抑える必要があります。なお、具体的な原価管理のポイントは次のとおりです。
1.工事単位で労務費およびそれ以外の費用に分類して実行予算を立案する
2.工事単位で労務費およびそれ以外の費用に分類して原価集計を行う
3.1および2を比較して利益が確保できているかどうかを確認する
原価管理の概念としては、材料費・労務費・外注費・経費があります。
上述したように、材料費・外注費・経費は「その他の費用」として分類しているところがポイントなのです。労務費は日報などを活用することで比較的簡単に集計することができます。
一方、「その他の費用」を精緻に把握するためには、それなりの労力が必要となってしまうのです。結果的に、原価管理そのものが時間に追われてできなくなってしまうことが懸念されますので、まずは労務費とそれ以外の費用を工事単位で原価管理して利益を追求できるようにすると良いでしょう。
日々の原価管理をしっかりと行う
原価管理は長いスパンをまとめて行うのではなく、適切に日々管理することが重要です。
そのためには、日報を活用するのが良いでしょう。日報を活用することで、リアルタイムで工事の原価を把握することができます。
日報を原価管理に活用するポイントとしては、交通費やガソリン代などの経費・ダンプトラックや重機などの使用した機械の時間・アスファルトやコンクリートなどの材料費を把握できる様式とすると良いでしょう。
原価管理を行ううえで、材料費、労務費、外注費、経費がしっかりと管理できるようになれば、工事単位で原価の内訳を比較できるようになり、会社全体としてどれだけの工事収益があるのかが可視化できるのです。
また、原価を必要以上に要している工事、工期的にゆとりのある工事、外注が多い工事、材料費がウエイトを占めている工事など、さまざまな状況も可視化できます。
それらの情報を検証および利益率向上に向けた改善を行うことで、会社の利益をより一層高めることができるでしょう。
資金繰りに気を付ける
中小建設業者における資金繰りの管理は、極めて重要な要素です。
工事を受注したあと、入金までに日数を要してしまうと、工事を進めるうえで必要であった先行出資の費用が会社の予算を圧迫してしまい、資金繰りが厳しくなってしまいます。
そのため、会社の事業継続運営の観点からも、資金繰りには細心の注意を払わなければならないのです。
資金調達についてできるだけ多くの選択肢を持つ
資金調達については逼迫しないように、常にできるだけ多くの選択肢を持つようにしましょう。銀行融資だけではなく、ノンバンクからの借り入れやファクタリングを活用することも常に考えましょう。また、場合によっては既存借り入れに対しての返済の長期化や、リスケジュールも選択肢に入れておきましょう。
資金繰り管理をするうえでの2つのポイント
中小建設業者において、資金繰りの管理は極めて重要です。資金繰りをしっかりと管理するためには、2つの重要なポイントがあります。
1つ目のポイントは、資金繰りの管理レベルを緻密なものとすることです。
どのタイミングでどの程度の出資が必要となり、どのタイミングで入金が行われるかをしっかりと管理することが重要です。
2つ目のポイントは、受注する工事内容です。
工事の種類によっては、工事完成前に前払金を支払ってもらえるところがあります。
特に公共工事では、国や地方自治体が前払金制度を導入しています。前払金制度を活用することで、先行出資などにも対応できる資金繰りが可能となるでしょう。そのため、前払金制度を導入している工事を受注すると良いと言えるでしょう。
上記2つのポイントをしっかりと抑えて、適切な資金繰りを行うよう心がけましょう。ここまで、建設業界の動向と中小建設業者が生き残る方法について詳しく解説しました。
中小建設業者が刻一刻と変化する激動の建設業界で生き残るためには、会社が利益を確保することが大前提であると言えます。利益を確保するためには、原価管理をしっかりと行い、資金繰りに細心の注意を払いながら事業を推進していく必要があるのです。
すぐに資金調達ができる方法とは?
財務状況もしくはキャッシュフローにおいて厳しい建設業者に対して、金融機関は審査を厳しくする傾向にあります。そのため、すぐに資金を調達できる方法としてファクタリングがあります。ファクタリングの場合は、審査方法が銀行などとはやや違う方法をとっているため、簡単にすぐに資金を調達することが可能です。実際、多くの建設業者はつなぎのためにファクタリングを活用しているケースが多く、少しでも資金に余裕を持たせたい場合は特に検討してみましょう。
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他のファクタリング会社との相見積もりを歓迎していることからも、良い条件を提示することに自信があると思われます。
本記事が、建設業界で生き残るために苦慮されている中小建設業者の方の一助となれば幸いです。
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