地方創生とは何か?:その重要性と日本の未来

地方創生とは何か?:その重要性と日本の未来

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コロナ渦を経て、多様な働き方やDXが身近なものになった今、2014年から進められていた地方創生の方向性が定まってきたようにも感じられます。テレワークが広く浸透し、IoTが汎用化し、SaaSなどインターネットやアプリを介して様々なサービスを安価で受けられるようになり、都市以外に住み、便利で豊かな生活をすることが可能になりました。

結婚、子育てがしやすい環境を作ることで、若い人を引き寄せることが出来ます。画一的でない地域の魅力があることも人を呼ぶには重要になります。

この記事では、地方創生の概要と目的、施策、成功事例を紹介します。

地方創生の概要

地方創生とは、日本が直面している人口急減・超高齢化に対し、「各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生できるよう」に、内閣官房にまち・ひと・しごと創生本部を設置し、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局と内閣府地方創生推進事務局が中心となって推進している政策になります。

地方創生の目的

形の違う木のブロックがランダムに置かれている

地方創生には、人口減少の歯止め、地方の活力向上、日本の成長という3つの大きな目的があります。

人口減少の歯止め

2008年頃から始まった日本人の人口減少ですが、毎年減少しつづけています。日本人の人口は去年よりおよそ80万人減り、減少数、減少率ともに、調査を始めた昭和43年以降最大で、初めて47都道府県すべてで人口が減ったという報道があったのも記憶に新しいところです。

人口減少は地方から始まると云われています。都市への人口流出と出生率の低下により地方の人口減少は加速されていますが、地方の人口が減れば、大都市への人材供給も減少し、大都市の衰退を招くとされています。

地方での人口減少は、大都市よりも10年早く始まるとされていますが、先日の報道にあるように、大都市の人口減少は既に始まっていますから、深刻な状況といえます。

人口減少の歯止めをすることは、喫緊の課題といえます。

地方の活力向上

東京一極集中を是正して、地方の活力を向上させることは、日本の将来にとって重要なことです。地方に若い世代が就労でき、結婚、子育てがしやすい環境を整えることが、地方創生の軸となる目的といえます。地方創生の施策で、環境を整え、その効果によって、地方に人が増え、地域が活性化することがこの政策の目的となっています。

日本の成長

地方創生の取組みが目指す最終的な着地点は、「活力ある日本の社会」です。地域に住む人々が、未来に希望を持ち、個性豊かで潤いのある生活を送ることができる地域社会を作ることは、日本の成長に繋がります。

地方創生の施策

日本の田舎の景色山間の集落

地方創生の施策には、以下のようなものがあります。

地方への移住・定住促進

移住・定住促進の方法は多岐にわたりますが、以下のようなことが実施されています。

情報発信

地方の魅力や生活情報、就職・起業の機会などを発信し、移住を検討している人にとって有益な情報を提供することができます。ウェブサイトやSNSを活用した情報発信や、地元のイベントの開催、移住相談会などを都市部で開催したりする方法があります。

移住支援金

地方自治体が移住者に対して、住宅取得費用や生活環境整備費用などを補助したりしています。条件は自治体により異なりますが、一定期間その地域に住み続けることなどが求められることが一般的です。

住宅提供

空き家再生や公営住宅の提供などを通じて、移住者に対する住宅問題を解消します。いわゆる「一戸建て1円」などのキャンペーンも行われています。

地域おこし協力隊

国の制度で、都市部から地方へと人材を送り込み、地方自治体の職員として地域活性化に取り組むものです。

雇用創出

地方企業への助成金提供や新規事業の創出を通じて、地方での就労機会を増やすための取り組みが行なわれています。

教育・医療の充実

移住者やその家族が地方で安心して生活できるよう、学校や病院などの生活インフラの充実にも力を入れたりしています。

地方の産業振興・観光振興

地域資源の活用:地方特有の資源や文化を活用した地域振興、観光業の育成をすることで、地方の産業を興し、就労の場を増やすことができます。

地方創生の成功事例

青空に家族と鳥たちと太陽のイラスト

地方創生では、様々な成功事例が生まれています。その中でも、特に注目されているのは、以下のようなものです。

奇跡の再生~徳島県神山町~

徳島県神山町の風景 山と川のある景色

徳島の山間部にある限界集落といわれていた小さな町に、10年前からスキルを持った若者が移住し始め、東京や大阪のITベンチャーが続々とサテライトオフィスを開くようになりました。2005年に町内全域が光ファイバーで敷設されたことをきっかけに、Sansanを皮切りに、有名なIT企業が続々とサテライトオフィスを置き、話題になっています。

多様化する新しい働き方を模索する企業と神山町の利害関係が合致した成功事例になります。

世界のめがねの聖地SABAEの確立~福井県鯖江市

高台から見た鯖江市の景色

地域資源の活用で誰もが知るほどの知名度を上げた鯖江市は、地方創生が目指すところの地方の活力向上を多角的に行なうことに成功しています。「めがねのさばえ」を確立し、繊維や漆器、農業などの「ものづくり」、これらの産業を支えてきた女性の活躍、鯖江市固有の地域資源の全てを世界に発信しています。産業育成、雇用確保、人口増を実現しています。

せとうちブランドの確立~瀬戸内~

瀬戸内地域が地方創生に成功している理由として、いくつかのポイントが挙げられます。特に注目すべきは、地元の文化と芸術を活かした観光振興と、地域コミュニティの強化に力を入れている点です。せとうちDMOを創設し、持続可能な観光経営を目指して情報発信・プロモーション、効果的なマーケティング、戦略策定をしているのが特徴です。

アートイベントの成功

瀬戸内地域では、瀬戸内国際芸術祭をはじめとしたアートイベントを活用して観光客を呼び込んでいます。これらのイベントは地元の風景や文化を活かしながら、国内外からのアーティストの作品を展示することで地域の魅力を再発見し、観光資源としています。さらにこれらのイベントは地域住民の参加や協力を得て開催されており、地域コミュニティの活性化にも繋がっています。

地域資源の活用

瀬戸内地域は豊かな自然環境や温暖な気候、美味しい食材などの地域資源を持っています。これらを活用した観光や地産地消、エコツーリズムなどを推進し、地域の魅力を広く伝えています。

地域コミュニティの強化

地元住民が地域の魅力を発信したり、観光客と交流したりする機会が増えることで、地域への愛着や誇りが深まり、地域コミュニティが強化されています。これは地方創生の持続性にとって重要な要素です。

長期的な戦略

瀬戸内地域の地方創生は一時的なイベントやキャンペーンだけに頼っているわけではありません。地元の文化や環境を活かした持続可能な戦略が進められており、これが成功の一因となっています。

瀬戸内の取り組みが成功している理由は、地方創生が単なる人口増加や経済活動の促進だけではなく、地域の特性や魅力を活かし、地元住民が主体となっていることだということです。お金を撒いて人に来てもらうだけでは、持続して人が住み続けることにはならないからです。

 

まとめ

夕日の中でタブレット端末を持つ女性

地方創生は、日本全体の課題である人口減少と少子高齢化に立ち向かうための重要な政策です。様々な施策を展開することで、地方の活力を向上させ、日本の成長につなげていくことが期待されています。

地方創生を目指して、様々な施策が行なわれ、地域の活性化が現在進行形で進んでいます。人口減少の歯止めが先行しがちですが、地域の特性と魅力を活かすこと、そこに住む人が中心にいることが、軸にあることが成功への道筋と思われます。

各地の事例も参考になります。正解がない世の中と云われていますが、まずは、自分の地域の魅力を洗い出して、整理し、戦略を立てることが重要でしょう。

※参考文献

『地方創生に関する取り組み

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