事業再構築補助金の採択を勝ち取る!成功企業の事例紹介

事業再構築補助金の採択を勝ち取る!成功企業の事例紹介

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新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、世界中の経済に前例のない影響を与えました。特に、中小企業はその打撃を強く受け、需要の低下や売り上げの減少に苦しんでいます。しかし、この危機は同時に、経済社会の変化に適応し、事業モデルを再構築する機会でもあります。日本経済の構造転換を加速するため、政府はポストコロナ・ウィズコロナ時代における新たなニーズに応えることを目指し、事業再構築を促進するための助成金を設けています。

この助成金の採択を目指す中小企業は、公募の要件を確認し、事業計画書を提出する必要があります。この計画には、新分野への展開、業種や業態の転換、あるいは事業再編の意志が明確に示されている必要があります。特に、宿泊や飲食といった業界で、厳しい時期を乗り越えるために業態の変更や新技術の導入を図る事例は、助成金の枠内で実施される実証的な試みとして注目されています。これらの事業再構築の実績は、日本経済の中で重要な役割を果たし、ポストコロナ時代の経済再生の礎となることが期待されています。

この記事では、事業再構築助成金の採択につながるポイントと採択を受けた中小企業の事例を紹介します。

事業再構築助成金採択事例のご紹介

次に、採択を受けた中小企業の事例をご紹介します。これらの企業は、困難な状況の中でも前向きに事業計画を策定し、業界の枠を超えた変革を目指しています。彼らの経験は、これからの日本を支える他の中小企業にとって、大きな示唆となるでしょう。

事例1 レトルト食品OEM事業への新分野展開

工場の作業着を着る男女が笑顔でガッツポーズする

最初に紹介するのは、青森県青森市でオリジナルプリンの製造・販売や「ナチュールカフェ」の運営を手掛ける合同会社ナチュール青森(現・株式会社ナチュールプロビジョン)です。

当社では、コンクールで賞を受賞したプリンの販売が順調な売上を確保していましたが、コロナ禍の想定外の長期化によって、カフェと土産店の売上が、40%減少する厳しい状況となりました。

そこで、既製品で培った密閉製法の技術を活用して、青森県産の品質の高い食品素材を使用したレトルト食品事業を展開することとなりました。

具体的には、地元の食材をレトルトパウチ、瓶詰、冷凍などの保存食品にして、極小のロットから受託するOEM生産を行いました。

これにより、まずは、少量のテスト販売から始めたいという飲食店などのニーズに応えました。

また、商品企画に関する相談から販売までをワン・ストップで消費者へ提供し、顧客満足度を高めることに成功しました。

OEM生産は、補助事業として設備投資を行っており、当社は、補助事業終了後の4年目で売上78.7%増を計画しています。

企業ホームページ:NATURE PROVISION HP

事例2 ハイブリッド車向け部品製造に新分野展開

2つ目は、広島県呉市にある金属リング製造技術「ベンダ工法」による、内燃機関車用部品などの設計・製造・販売を行うベンダ工業株式会社です。

当社調べでは、世界トップシェアを確立していますが、自動車市場では、ガソリン車から電気自動車へと移行しており、エンジン指導用部品である「リングギア」は需要が落ち込むと予想されています。

またコロナ禍で営業赤字となったことから、エンジン車部品から、ハイブリッド車用部品の分野へと進出を果たしました。

具体的には、新たにハイブリッド車が搭載する、モーター内臓型トランスミッションに装着する電動化技術部品を製造しました。

新分野においても、従来の事業で培ってきた独自の材料加工技術の活用によって、安定した加工精度と高品質な製品づくりを実現させました。

当社では、補助事業で量産体制構築のための設備投資を行い、補助事業終了後、5年目で新分野の売上比率20.5%を計画しています。

また、大規模な設備投資が可能な財政基盤とするために、資本金を5850万円から3億円に増資しました。

企業ホームページ:ベンダ工業

事例3 航空・宇宙エンジン部品事業に新分野展開

宇宙の衛星と地球

3つ目は、愛知県小牧市にある株式会社モリタアンドカンパニーです。

国内外の自動車部品・鉄道メーカなどから、生産設備を個別に受注・設計・製作するプラント事業を行う会社で、効率的で安定した加工技術を強みとしています。

当社は長年、外部環境の動向に影響を受けやすいのが課題で、売上の安定化を模索していたところでした。

そして、コロナ禍で業績が落ち込んだところで、事業再構築助成金を活用して航空・宇宙エンジン部品事業への進出を決断しました。

具体的には、航空機エンジンとロケットエンジンの燃焼室部品を生産しました。

この分野は今後も大きな成長が予想されていて、また国内調達のニーズが高まっていることから、大きな機会が見込まれる事業です。

当社は、今後も技術力や品質管理能力を磨くとともに、展示会にも積極的に出展し、将来的には航空・宇宙エンジンの分野で海外展開を目標としています。

企業ホームページ:株式会社モリタアンドカンパニー

事業4    手術用ガーゼRFIDタグの製造に新分野展開

手術室で握手をする医師

4つ目は、愛知県一宮市にある100年前から各種繊維素材への染色を手がける茶久染色株式会社です。

染色技術においては高い評価を得ており、その他抗菌消臭、涼感温感、吸水撥水などの機能付与も行っています。

しかし、海外生産のファストファッションの台頭により、国内の繊維業界には厳しい状況が続き、加えて、コロナの影響からアパレル市場全体が縮小していました。

このような状況下で、手術時のガーゼ遺残防止のために使用する電子タグが普及せず、事故が起こり続けているということを知り、当社の糸を扱う技術力を生かして遺残事故を防ぐ、RFIDタグの製造に進出することとなりました。

具体的には、アンテナ付ICチップを糸状に加工したRFIDタグを開発し、手術用ガーゼとして医療現場へ提供します。

また新開発のRFIDタグは、糸状に加工することで肌触りがよく、単価も従来品の半分以下での提供を実現しました。

この製品は医療現場で働く人々だけでなく、他にも様々な分野での活用方法が検討されます。

企業ホームページ:茶久染色株式会社

事業5   市場の鮮魚店と連携した回転寿司に業種転換

本マグロのお寿司

5つ目は、大阪府大阪市にある、主に飲食店をテナントとする不動産賃貸業を行っている株式会社千成屋です。

当社は、立地の良さとインバウンド客対応によって、連日外国人を中心とする観光客で賑わい、安定した賃貸収入を得ていましたが、コロナの影響でインバウンド客が激減し、売り上げも半減しました。

そこでテナントが撤退し、空き状態となったビル1階を、高単価・高付加価値の回転寿司店に改装しました。

インバウンド需要は、コロナのような世界的な感染症や政府情勢といった不測な事態に左右されやすいため、まずはインバウンド依存からの脱却を目指しました。

そして市場の原点である、地域に密着した営業に回帰することで、市場全体の活性化にも貢献しました。

参考:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases/case010.html

事業6    超小型衛星の運用システムを開発

地球のイラストと手

6つ目は、静岡県浜松市にある、自動車部品や大型衛星等の精密部品の設計・試作開発などの超精密加工を請け負う原田精機株式会社です。

当社は、コロナの影響により、自動車・大型衛星ともプロジェクトの中止等によって、機構部品の需要が落ち込み、売上が大きく減少しました。

この状況を受けて、当社の持つ技術と知見を生かしながら、超小型衛星システムを開発・商用化する事業に進出を決めました。

具体的には、秒速8km/高度400kmで移動する機体をセンサーで制御して、撮りたい画像を撮影・送信するシステムを開発しました。

この事業再構築によって、新たな市場の創出だけでなく、SDGsなど様々な分野の課題解決に貢献することが期待されています。

企業ホームページ:原田精機

事業7 地域の生産者と連携したマルシェに新分野展開

7つ目は、茨城県つくば市内に3店舗展開する洋菓子店、有限会社コート・ダジュールです。

地元の厳選された食品素材を使用したケーキや生菓子が人気で、各種SNSのフォロワー合計が3万人を超えるなど、多くの地元客に支持されていました。

しかし、コロナ禍によって贈答品・嗜好品である洋菓子の需要が激減し、同時に、地元食材を提供してもらっていた生産者からの出荷量が減少するなど、厳しい状況に置かれました。

そこで、強みである商品開発力と発信力を生かし、生産者と消費者が直接交流・販売できるマルシェ(フランスの”朝市”)事業に進出することになりました。

地域密着型の経営であることは変わりなく、今後も、マルシェが「つくばブランド」の世界への発信拠点となることを目標にしています。

企業ホームページ:コート・ダジュール

事業8 広告配信が可能なスマート自動販売機を開発

8つ目に、京都府京都市にある、モバイル端末向けのデジタルマーケティング会社の株式会社アドインテです。

当社は従来、ユーザーの位置情報や移動履歴を分析し、来店者の行動予測に基づく、広告配信や販売促進サービスを提供していました。

しかしコロナ禍による外出自粛の影響で、ユーザーの位置情報を活かした広告配信の機会は減少し、広告費は大幅に削減されたことで、業績に甚大な影響をもたらしました。

そこで、非接触での商品販売と集客・宣伝、人流計測等ができるスマート自販機「AIICO」を開発し、全国の小売店や商業施設等に設置しました。

このビジネスは、施設や店舗が広告を配信すると、広告収入の手数料と人流計測などのデータをもらうことができる仕組みで、PR・集客・収益という3つの新たな機会を得ることができます。

企業ホームページ:AdInte

事業9 オンラインを活用した交流観光に新分野展開

お祭りのうちわとすだれ

最後に、富山県富山市にあるオリジナル国内ツアーの企画販売を得意とする旅行会社、有限会社西部トラベルです。

当社では売り上げの9割を団体旅行が占めていましたが、コロナの影響を受けて、ほとんど予約がなくなり、経営が危機的状態に陥りました。

そこで「地域のお祭り」に着目し、祭りをテーマにしたオンラインツアーを行う運びとなりました。

4K対応カメラ・VR等の最新デジタル技術を活用することでUXの向上に努め、オンラインでもお客様へ感動を与えられるようにしました。

また地域の魅力を伝え、地域の活性化と伝統文化の継承に貢献し、ポストコロナの見込み観光客増加にも寄与しました。

企業ホームページ:西部トラベル

再構築助成金の採択につながる主要なポイント

事業再構築補助金の文字とペン

再構築助成金の採択につながる主要なポイントは、事業計画の適切な策定、審査基準の理解、そして特定の事業領域への適合性の明確化に集約されます。

1. 事業計画の策定: 採択されるための事業計画書は、A4サイズで15ページ以内に詳細な計画を記載する必要があり、Microsoft Wordなどの文書形式で作成されることが推奨されます。採択される事業計画は、規定のページ数を最大限に利用して、企業の事業再構築に関する取り組みだけでなく、組織の能力も詳細に記述することが重要です。

2. 審査基準の理解: 審査基準には、補助対象事業としての適格性、事業化点、再構築点、政策点、加点項目などが含まれます。これらの基準は、公募要領の中に記載されており、採択されるためにはこれらの要件を満たし、理解することが前提となります。

3. 特定の事業領域への適合性: 事業再構築補助金は、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編を支援するためのものであり、申請事業がこれらのいずれかに該当することを明らかにする必要があります。

その他、特別枠での申請や過去の採択事例を参考にすること、認定支援機関の選定に注意を払うことが採択率を上げるための追加の戦略となります。

不採択理由のフィードバックを得ることも可能で、事務局に問い合わせて、具体的な不足点や評価が低かった理由を把握することが、改善につながります。

最終的には、自社の強みや市場ニーズを考慮し、明確な差別化と競争優位性を証明することが重要です。また、補助事業としての実現可能性を示し、具体的な取り組み内容やスケジュールを記述することで、計画の信頼性を高める必要があります。

おわりに

ノートパソコ手帳手帳

今回の記事では、事業再構築助成金を活用した成功事例と採択につながるポイントをご紹介しました。

事業再構築助成金は、どんな業種の中小企業の方にも活用しやすい助成金の一つです。ぜひ持続性のある経営を目指して、助成金の活用を検討してみましょう。

事業再構築助成金の公式ホームページ:事業再構築補助金

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