成功事例から学ぶ!中小企業がシニア採用をする際の8つのポイント

成功事例から学ぶ!中小企業がシニア採用をする際の8つのポイント

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老後資金が不安だから定年を迎えても働きたいと願うシニアが増えています。このようなシニアを採用するメリットは中小企業にあるのでしょうか?結論から説明すると、中小企業がシニア採用を行えば、新たなビジネス機会が得られるかもしれません。

今回は、成功事例を説明しながら、中小企業がシニア採用する際の8つのポイントをご紹介します。

 [はじめに]働きたいシニアが増加している

シニア採用を検討する前に、シニアの就業意欲について理解しておきましょう。その理由は、シニアの就業意欲を理解することで、意欲や能力等に応じた生きがい就労などの活躍の場が整備できるようになるためです。ハローワークが公表している「就業安定業務年俸(令和2年度)」によると、中高年齢者の新規求職者数は以下の通りになります。

  全体 45~54歳 55~59歳 60~64歳 65歳以上
2016年 217,623人 96,722人 37,413人 37,181人 46,307人
2017年 218,443人 95,248人 38,087人 36,393人 48,715人
2018年 217,517人 91,841人 37,534人 35,557人 52,585人
2019年 216,707人 88,684人 37,817人 36,065人 54,141人
2020年 225,702人 91,618人 39,947人 36,239人 57,898人

就業意欲のある高齢者がどんどん増えていることが分かります。求職者が増えている理由は、老後資金の不安や、社会との繋がりを持ちたいと考える高齢者が多いためです。このようなシニアを採用すれば、積極的に働いてもらえるでしょう。

(参考資料:東京都産業労働局「ホワイトカラー系での高齢者雇用の活用事例」)

中小企業がシニア採用する理由

大手企業では、シニアを採用して教育する取り組みが始まっています。では、中小企業がシニア採用すると、どのような効果が得られるのでしょうか?ここでは、中小企業がシニア採用する理由をご紹介します。 

労働不足の問題を解決するため

シニア採用をすれば、少子高齢化に伴う人手不足の対策ができます。パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2030」では、644万人の人手不足に陥ると述べられているため、対策を考えなければいけません。なぜなら、人手不足倒産もあり得るからです。

早い段階でシニア人材が働ける環境を整備しておけば、若手の労働人口が減って採用難に陥っても、人材不足に悩まずに済みます。このような背景により、シニア採用を積極的にする企業が増えています。

(参考資料:幻冬舎GOLDONLINE「社会で輝くシニア人材たち!高齢者が「元気に働く」企業の実例」)

熟練した技術を活用するため

シニア採用をすれば、経験や知識が豊富な方が採用できます。専門スキルを持っているシニアもいれば、豊富な人脈を持っているシニアもいるでしょう。このようなシニアを積極的に活用していけば、事業発展ができるかもしれません。

具体的な例を挙げると、シニア社員の技術により、世界発の印刷技術を生み出すことができた製造会社なども存在します。このような熟練した技術、人脈を活かせることがシニア採用の魅力です。

(参考資料:経済産業省「中部地域における多様な人材活用事例集」) 

企業イメージを向上させるため

シニア採用をすれば、企業イメージを向上させられます。その理由は、世界で共通の目標に掲げられているSDGsの目標とシニア採用は深い関係があるためです。シニア採用をすれば、SDGsの目標である「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「働きがいも経済成長も」などを達成できます。

SDGsに積極的に取り組めば、ステークホルーダーからの企業イメージを向上させられて、取引が円滑になることでしょう。社会からのイメージを上げるために、シニア採用する中小企業が増えているのです。

参考資料:公益財団法人日本ケアフィット共育機構「SDGsの企業の取り組みと超高齢社会の関連性」

中小企業がシニア採用する場合の8つのポイント

中小企業はシニア採用すべきだと説明しましたが、実践する前にポイントを押さえておきましょう。ここでは、中小企業がシニア採用する場合のポイントをご紹介します。

シニアタイプを把握する

シニア人材にはタイプがあるため、面談でシニアタイプを把握しましょう。シニアタイプを把握することで、どのような業務が適切か判断していくのです。具体的にタイプを分けると以下のようになります。

営業タイプ 築いた人脈を活用して新規開拓するタイプ

若手社員の営業スキルを育成するタイプ

カウンセラータイプ 経験を活かして社員カウンセリングを行うタイプ

若手社員や中堅社員に目配りして相談に乗るタイプ

専門職タイプ 有益なアドバイスをするタイプ

タイプを見極めて、適切な場所に人材配置すれば、社内を活性化できます。

作業を単純化する

シニア採用をする場合は、作業を単純化させましょう。その理由は、未経験のシニア人材を採用すると、仕事を覚えるまで相当な時間がかかるためです。

誰がみても分かるマニュアルを作成しておけば、シニアの方でも覚えるのに時間はかかりません。このような働きやすい職場を整備することもシニア採用する上で必要です。

任せる仕事を明確にする

シニアを採用する場合は、任せる仕事を明確にしましょう。その方が、今まで経験してきた業務内容や期間を考慮して、何をしてもらうかを考えていきます。シニアの方に幅広いことに挑戦をさせようとすると、通院などで休養する恐れがあるため、事業計画が大きく狂う恐れがあります。そのため、シニアの方に仕事を依頼する場合は、業務の範囲を明確にしましょう。

IT技術を学習させる

シニア採用をする場合は、IT技術を学習する場を提供しましょう。その理由は、社会のデジタル化は避けられないためです。ICTリテラシーのないシニアを採用しても、現場で活躍してもらえないでしょう。

このような理由により、シニア採用する企業ではIT技術を学ばせる場を提供したり、研修制度を設けたりしています。高齢者のICTスキルの向上がシニア採用する上では避けて通れません。

売上順位を公表する

シニア採用する場合は相対評価がおすすめです。相対評価とは、個人の能力を組織内の順位で評価する手法です。上位10%はS評価、10%~30%はA評価、30%~60%はB評価と定め、能力に応じて順位を割り振ります。

働きたいというシニアは、年金受給額が少ないなどの悩みを抱えていることが多く、能力に見合った賃金、評価をすれば積極的に働いてくれるようになります。実際に、相対評価でシニアのモチベーションアップに成功している企業も存在するため、参考にしてみてください。

柔軟な勤務形態に対応する

シニア採用をする場合は、柔軟な勤務形態に対応しましょう。その理由は、視力や聴力の低下など身体的変化や腰痛などが発生するためです。このような身体のメンテナンスのために、病院へ通院したい方もいるでしょう。

厚生労働省の報告書「国民生活基礎調査の概況(2019年)」では、60歳以上の約69%が通院中であると述べられています。そのため、通院や休養などがしやすい職場の雰囲気づくりと、柔軟な勤務形態に対応する必要があります。 

若手社員や中堅社員に理解を得る

シニア採用する場合は、若手社員や中堅社員に理解を得ておく必要があります。なぜなら、シニア社員が通院などで頻繁に休む恐れがあります。また、身体的な衰えにより、若手社員や中堅社員と同等に働くことは難しいでしょう。

このような事情を説明しておかなければ、若手社員や中堅社員は不満を抱いてしまいます。そのため、理解を得ておき、想定されるトラブルを未然に防止しておきましょう。

(参考資料:幻冬舎GOLDONLINE「社会で輝くシニア人材たち!高齢者が「元気に働く」企業の実例」)

中小企業がシニア採用して効果が見込めた成功事例

実際にシニアを採用している中小企業は、どのような効果が見込めているのでしょうか?次に中小企業がシニア採用して、売上拡大など効果が見込めた成功事例を紹介します。

熟練した技術の活用に成功(富士特殊紙業株式会社)

出典元:富士特殊紙業株式会社オフィシャルサイト
富士特殊紙業株式会社は、食品用パッケージのプラスチックフィルムの仕入れ、印刷、製袋までを行う食品包装用の印刷複合フィルムメーカーです。

インキには有機溶剤が使用されていることから、大気汚染の問題を抱えており、解決するために印刷技術の開発に取り組んでいました。この開発で中心的な役割を担ったのが、熟練技能を持つシニア社員でした。

フィルムとインクの素材選びや加工方法を熟知しており、シニア社員の思考錯誤の結果、世界発となる水性グラビア印刷技術が誕生したのです。このように、シニアの経験値により事業発展する事例も多く見受けられます。

(参考資料:経済産業省「中部地域における多様な人材活用事例集」)

 

人生経験が豊富な高齢者の接待でサービス品質を向上(株式会社人形町今半)

出典元:株式会社人形町今半オフィシャルサイト
株式会社人形町今半は、明治28年創業のすき焼きの老舗店です。経営理念に「お客さま第一主義」を掲げており、定年を過ぎても働き続けるシニア社員が200人います。なぜなら、接客業でお客様の要望に応えるためには、人生経験や物事の考え方の幅、人への配慮が必要になるためです。

シニアの方は語り口がソフトで、人の話を丁寧に聞けます。そのため、接客やオペレーターとして活躍をさせ、サービスの品質を上げています。

(参考資料:東京都産業労働局「ホワイトカラー系での高齢者雇用の活用事例」)

シニア採用で年間売上2億6,000万円を突破(株式会社いろどり)

出典元:株式会社いろどりオフィシャルサイト
株式会社いろどりは、日本料理の盛り付けに使用される季節の花や山菜などを栽培して販売する農業ビジネスをしている会社です。同社のスタッフの平均年齢は70歳で、1986年に創業し、年間の売上は2億6,000万円を誇るシニアを採用した成功企業です。

同社は、シニアがモチベーションを上げながら働ける仕組みを整備していることが大きな特徴で、売上の順位を公表して正当な評価をしています。また、必要に応じて、シニアの方にIT技術を学ばせるなど、働ぎがいのある職場環境の整備に注力しています。

(参考資料:幻冬舎GOLDONLINE「社会で輝くシニア人材たち!高齢者が「元気に働く」企業の実例」)

まとめ

今回は中小企業がシニア採用をする際のポイントをご紹介しました。以下にポイントをまとめてみました。

[シニア採用をする際のポイント]

  • シニアタイプを把握する
  • 作業を単純化する
  • 任せる仕事を明確にする
  • IT技術を学習させる
  • 売上順位を公表する
  • 柔軟な勤務形態に対応する
  • 若手社員や中堅社員に理解を得る

シニアを採用して売上アップや事業拡大している企業もあります。ぜひ、これを機会にシニア採用を検討してみてください。