みなさん。こんにちは。今回はベンチャー企業でHR部門で事業開発を経て、現在は人事コンサルティング事業と”HR×WEB”領域の新規事業を立ち上げようとされている株式会社キャライフ代表取締役 金子 勲氏へのインタビュー記事を掲載します。「企業を成長させるために人事でやるべきこと」について教えていただきました。
金子 勲氏
株式会社キャライフ代表取締役
WEBサービスを運営する企業にて、WEBメディア制作・広告運用・CS管理などの経験を経て事業管理者として従事。その後、代表1名の創業期に参画し人材紹介業を両面型で従事。グローバルトップクラスの外資系総合人材会社でCA専属として従事。
GrowthTech系スタートアップ企業にてHR部門での事業開発を経て、人事に異動。「有料職業紹介事業」と「人事コンサルティング事業」を軸に株式会社キャライフを兼業起業。代表取締役として会社経営・事業運営に尽力。2020年4月から経営に専念し、創業から毎年売上倍増を実現し事業成長中。2021年11月から自社メディア運営もスタートし、現在は”HR×WEB”領域の新規事業を鋭意開発中。今後も積極的な事業展開・事業投資・組織拡大を目指して推進中。
(※https://www.wantedly.com/id/califekaneko より参照。)
企業を成長させるために人事でやるべきこととは?
-近況につきましてお伺いしてもよろしいでしょうか?
金子 勲氏(以下、敬称略):今年の夏を目処にメディアを新しく立ち上げる予定です。人材エージェント業界の在り方を変える革新的な内容になるかと思います。優秀なエージェントがより評価されるような仕組みになるのではないかと思います。
詳しくはリリースしたらお話できればと思います。また今後も新しいサービスをリリース予定です。私たち日本人はキャリア観が保守的で受動的な側面があります。そのキャリア観を変えるようなサービスをリリースしていきたいと考えています。
-さて、本題に入りますが、人材採用に失敗している企業は多いかと思いますが、人材を採用する前に準備すべきことについて教えてください。
金子:一番は、将来に向けての組織像を明確にすることです。面接では候補者に将来像を聞くことがあると思いますが、逆にどんな組織になりたいかを明確にしている会社は少ないです。採用において、そもそも失敗と認識しているかどうかという問題もあります。早期退職になったから失敗というわけではなく、何をもって成功、何をもって失敗なのかという前提がないと「良かった、悪かった」ってだけの単なる小学生の感想文になってしまいますよね。
人事コンサルをやっていると、ある程度の規模になると指針を作り変えるということが非常に困難になると実感していますが、中小企業であれば弊害も少なくなり容易に実現できると思います。なので「どういう組織になりたいのか」ということを言語化することがまずは大切だと思います。言語化することが大切であり、表現が例え稚拙でも抽象的でも良いのでとにかく言語化する必要があると思います。テーマやスローガンに置き換える認識で問題ないと思います。
例えば、指針として「自走性、自律性」というのを掲げるのであれば、その後の採用した人材が仮に早期退職するとなった場合でも、「自走性、自律性がある人材が活躍する」という指針があるので、その早期退職した人材が「自走性、自律性」がない人であればお互いにとってそれは問題はないことだと判断していいと私は思っています。
指針がぶれるような早期退職であれば、変えるべきは採用方法になると思います。つまり、なぜ?その人を採用時に「自走性、自律性がある」と判断してしまったのか?というところを見つめ直す必要がありますよね。
つまり最初にやることとして私が掲げているのは、中小企業が意図的にローリスクで組織拡大に対してやれることは、指針を立てることだと思います。そしてその指針に基づいて採用活動を始めると思いますが、採用手法そのものの情報は山ほどあるので、それを取捨選択するだけになると思います。
ーあとはどういうことをすべきだと思いますか?
金子:経営者は人事に対して本気になることが重要だと思います。特に中小企業・ベンチャー、スタートアップは社長自身が率先して採用活動に当たらなければならないと思います。
一つの例として、人事で優秀な人材を採用するためには、それなりの年収を準備しなければならないと思います。人事担当の年収は年々上がってきています。人事は以前はバックオフィスの年収で勘案されていましたが、今は紹介会社出身者が多いことから、フロントサイドの年収レンジに近づいてきています。
また、人事のプロフェッショナルについては、今の時代、高いコンサルやフルで雇うのではなく、スポットの時間単価、例えば時給数千円から依頼することができます。時給一万円以上のフリーランスコンサルタントもいますが、そういう人材は経験や知識が豊富で、どういう風に組織やチームを作れるか、視野を広げることは容易なのではと思います。
人事戦略は論理的なものであり、人事戦略は経営戦略と同列で考えるべきだと思います。経営戦略を実現するのは、組織であり、組織を作るのは人事ですね。予算は、1人あたりの利益から逆算して採用戦略を考えるべきであり、それを実現するということで立案するべきです。
また、人事で必要な施策、ツールの導入などについては後回しにせずに行うことも必要です。人事については決裁権を持つべきですし、経営戦略にかかわる必要があるかと思います。それを社長や経営陣が理解していない人事チームは本当に苦労しているし、どれだけ優秀な人事がいても力を発揮できていない企業をたくさん見ています。ぜひまず誰よりも社長が人事について本気になっていただきたいと願っています。
企業を成長させるための採用法とは?
ー採用時にすべきことは?
金子:採用ブランディングはやるべきだと思います。社内情報の発信をすれば、その情報を見てくれて面接に来てくれる人は、そこに魅力を感じているから来るわけです。それで採用できた人が組織の一員となっていき、自ずと社内カルチャーが出来上がっていくというわけです。
例えば、私の会社においては「欲しがりサミット」という企画をやっています。社員同士で福利厚生を決めるミーティングになりますが、会社やみんなにとって必要だと思うものを社長や経営陣にプレゼンするという場になります。
この「欲しがりサミット」の実施について採用ページやSNSなどで発信することで、これを見て応募してくれた方は、面接でほとんどの方が質問してくれます。その結果「何か提案したい人」「自分も会社を良くしたいと思う人」が応募してくれるようになりました。そういう人が採用し入社してくれて、その思考をもつ人材が多くなったらそういうカルチャーになると考えています。
企業を成長させるために採用後にすべきことは?
ー採用後にすべきことは?
金子:採用後に関しては、良くあるダメな例としては「経験者だから分かって当たり前」ということで何も教えないケースがあります。未経験者だろうが、経験者だろうが、その会社においては未経験なので、会社のルールや同僚についてきちんと研修はやるべきです。経験者の採用時においても、きちんとオンボーディングを行いましょう。また、平等は難しいですが公平性を保つ努力は必要だと思います。制度や福利厚生は全員にきちんと把握できるように説明しましょう。
企業を成長させるためのインセンティブ、評価制度とは?
ーインセンティブ、評価制度についてはいかがでしょうか?
金子:やはり、「どういう組織になりたいのか」ということを言語化することがまずは大切だと思います。何を評価し、何を評価しないのか、これを明確にしないと評価軸がブレブレになります。評価のブレは、社員の不満や不安に繋がっていく要因の一つだと考えています。
評価の仕組みは流行りもあり取り入れる会社も少なくないと思いますが、組織像がないと機能しない事例を多く見てきました。例えばOKRを導入すれば成功するということを聞きかじって導入した会社は一時期多かったと思いますが、しっかり運用して描いた成果を出せている会社は少ないです。何よりもまず続きません。
OKRでいえばまず本質論を理解しなければ続きません。結局OKRの場合は運用しきらないと意味がないからです。指針をちゃんと作って、何のために入れるのかについてちゃんと議論をすべきだと思います。
誰にとっての評価制度であるのか、そして、どういう人が評価されるべきかということも明確化するべきです。これは採用時においても、どういう人材が活躍しやすいのか、フィットする人材はどんな人物像なのか、それを考える時にも活用できる指針になるはずです。
ーさいごに
金子:まずは、どんな組織になりたいか?組織像を言語化しましょう。そして、社長が本気になって人事に取り組み、どこにもないオリジナルの組織を一つでも多く作っていくことで、日本全体が強いチームになると信じています。
ー貴重なお話をありがとうございました!