2022年度のインフレを大予測!価格高騰に中小企業はどう立ち向かう?

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中小企業が悶絶するインフレが起ころうとしています。2022年度のインフレを予測しておかなければ、「原材料の高騰」「運送価格の高騰」「顧客の消費意識の低下」の三大苦で経営難に陥るかもしれません。今こそ、世界の動きを冷静に見極め、インフレについて理解を深めて、未曾有宇の危機にどう対策していくか、考えていく必要があります。

この記事では、2022年度のインフレを大予測し、中小企業がどう立ち向かうべきなのかについて解説します。

2022年度のインフレを大予測

2022年度のインフレは、「短期的なインフレ」と「長期的なインフレ」が同時に訪れます。

コロナ禍の行動制限の緩和

短期的なインフレとして、コロナ禍の行動制限の緩和による需要増があげられます。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、緊急事態宣言やまん延防止措置が発令され、経済活動が停滞しました。

コロナ感染者数が減少し、行動制限が緩和されるようになると、経済活動が再開するため、原材料や製品、サービスの需要が一気に増えます。その結果、需要が供給に追いつかなくなってしまうのです。このような状況に陥ると、物価上昇が起きます。

行動制限の緩和による供給不足は一時的なものなので、短期的なインフレとなり、次第に落ち着きを取り戻すはずです。しかし、脱炭素や米中対立が関与する原油、天然ガスの危機的状況は、価格の高騰に拍車をかけることでしょう。まだまだ予断は許しません。

ESG・SDGsに取り組む企業による人件費の高騰

2006年にESG、2015年にSDGsが誕生しました。

ESGとは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を持った言葉のことをいいます。資源を大切に取り扱い、人権問題に取り組み、透明性の高い経営が行っている企業へ投資しようという指針です。ESGは非財産情報の判断基準です。

SDGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」で、国連で定められた取り組みです。ESGの取り組みに似ていますが、国内・国外の取引を円滑にするために行うべき指針として定められています。

ESG・SDGsの取り組みとして「働きがいある職場の提供」「安心して暮らせる賃金の提供」などが挙げられており、世界中で賃上げがされています。転職希望者は賃金が高い企業に流れていくため、優秀な人材を採用するための費用も高騰しています。このインフレは長期的なものになります。

(参考資料:NIKKEI STYLE キャリア ビジネスの視点「2022年は3要因でインフレ 長年デフレの日本は要注意」)

 運送価格の高騰

行動規制緩和のインフレにより、原油価格が高騰すると運送価格も高くなります。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で巣籠もり需要が伸び、オンラインショッピングを利用する消費者も増えました。

需要が伸びると、物流サービスの価格は上がります。海上運送と航空運送は逼迫しており、運送価格が高騰しています。オンラインショッピング利用者の増加したことによるインフレは長期的なものになることでしょう。

参考資料:産経新聞「需要回復で海運混乱、生活必需品の値上げさらに?」

2022年度のインフレによる問題

2022年度のインフレを予測しましたが、具体的に、中小企業にどのような影響が出るのでしょうか?ここでは、インフレによって起こりうる問題をご紹介します。

デフレの国の日本はパニックに陥る

日本は30年間、物価上昇を経験していないデフレの国です。インフレを実感している人は殆どいません。

しかし、世界各地ではインフレが起きています。世界中でインフレが起こると、エネルギーや原材料、食料品の価格高騰の波が日本にも影響を及ぼします。世界の動向に目を向けずに対策を行わなければ、物価上昇により経営が圧迫されてしまいます。

世界のインフレの影響で物価は上がります。デフレに慣れてしまって、世界情勢に目を向けなければ、中小企業は大打撃を受けてパニックに陥ってしまうかもしれません。

物価と給料の上昇にタイムラグが発生する恐れがある

これまで、原材料が上がっても企業努力で、価格の値上げをしない決断をする企業が多く存在しました。

商品やサービスの必要な値上げは、して問題ありません。商品やサービスの値上げで企業が利益を確保できれば、納税が増え、国家財政にもプラスになります。一方で、商品やサービスの値上げは、消費者側の消費低下を招く恐れがあります。

この問題を解決するために、岸田政権は、賃上げの政策に取り組もうとしているのです。岸田政権の賃上げ政策は、大きな注目を浴びていますが、物価上昇と給料上昇にタイムラグが発生する恐れがあります。また、岸田政権の賃上げの政策に対応できない企業も存在し、格差が拡大するのではと懸念されています。

DX推進に一点集中の日本企業は落とし穴に落ちる

現在、日本では、DX(デジタルを活用したビジネス変革)が推進されています。見落としてはならないのは、デジタル化が最優先課題ではないことです。

デジタル化を第一優先課題にした場合、イノベーションを起こせずに終わる企業も出てくるでしょう。新規ビジネスやイノベーションは簡単に起こせるものではありません。

イノベーションは、ビジネスを閃くことだけではなく、時代に合わせたビジネスを展開することも含まれます。デジタル化一点集中するのではなく、時代に合ったビジネスとは何なのかを見据えて、DXを進めていくことが重要になってきます。

2022年度のインフレに向けた経営対策

2022年度のインフレの動向や想定される問題について理解できたと思いますが、中小企業はどのような経営対策をしていくべきなのでしょうか?ここでは、インフレに向けた経営対策について解説します。

原材料の高騰による価格の見直しをする

世界のインフレの影響で、原材料や運送料が高騰しています。これまで多くの日本企業は、努力により値上げをせずに、同じ価格で商品やサービスを提供し続けてきました。

原材料の高騰による価格の見直しは、決して悪いことではありません。物価上昇を商品やサービスの価格に転嫁して、必要な値上げを行いましょう。値上げのタイミングは、競合他社が賃上げしたときと、岸田政権の賃上げが成功したときです。

価格の値上げに苦しむ日本企業

2022年1月にダイヤモンド編集部が調査した結果では、約7割の企業が価格の値上げができないと回答しています。その理由には「競合他社が価格を上げない」「消費者の低価格志向」「取引先からの要求」などがあげられました。価格の値上げに苦しむ日本企業が多いことが、調査結果から分かります。

(参考資料:DIAMOND online「日本企業が悶絶するインフレ2022、資源高と悪い円安が招く「コスト上昇ラッシュ」の惨状」)

世界の動向を見据えて柔軟に対応する

日本は30年間デフレを経験しているため、インフレが起きるなんて想像ができません。しかし、インフレに興味・関心を持ち、動向を確認しておきましょう。日本と世界は繋がっているため、世界で起きているインフレの影響を受けます。

インフレについて興味を持たずにいると、突然の原材料や運送費の高騰に大打撃を受けてしまうでしょう。そのため、世界の動向を把握した上で、経営判断を下せるようにしておく必要があります。

2021年度、世界ではインフレが加速

2021年度、日本の物価上昇率は0%台を維持していますが、世界ではインフレが加速しています。米国6.2%、ユーロ4.1%、韓国3.2%と、日本以外の全ての国でインフレが起きています。

これまで、日本企業は原材料が高騰しても、低価格の消費者志向に応えるために労働者の賃金を抑制してきました。非正規雇用を増やすなどの対策を行った結果、消費量が落ち、物価が下がり、負のスパイラルから抜け出せずにいます。

世界全体で加速する物価高騰の影響は、日本も避けらないでしょう。これらを見据えて経営を考えていく必要があります。

(参考資料:三井住友DSアセットマネジメント「2022年の米国のインフレ見通し」)

岸田政権の賃上げ政策に注目して経営判断する

岸田政権は消費量を上げるために、賃上げ政策を発表しました。従業員の賃上げに取り組んだ企業の税負担を軽くするという政策です。この賃上げ政策が上手くいけば、原材料の高騰による価格の見直しを行っても、打撃を受けずに済むでしょう。

しかし、新型コロナウイルスでキャッシュフローが苦しい中で、賃上げには対応できないという企業が多く、この政策は失敗に終わる恐れがあります。それを見据えて、コロナ対策で活用できる補助金を活用したり、海外販路を開拓するなどの経営判断をしていきましょう。

参考資料:ITmediaビジネス「法人税を大幅控除! 賃上げ税制「3%」の意味と、岸田政権の真意」

まとめ

世界のインフレの加速は、日本の中小企業に大きな打撃を与えるものとなります。原材料や運送費の高騰、優秀な人材の流出などが想定されます。このような問題に立ち向かっていくためにも、海外のインフレに関心を持ち、どのような影響が出るかを把握しておきましょう。また、岸田政権の政策にも目を向けておくことをおすすめします。

また、コロナ対策で活用できる補助金を有効活用したり、海外販路を開拓したりなどの経営判断が必要になってくるかもしれません。どのような対策が妥当かは企業により変わります。

この記事を読み、インフレによる経営対策を考えたいと思われる方は、コンサルティング会社「ベリーグッド社」までお気軽にご相談ください。企業様に合った対策をご提案したいと思います。